毎週日曜日更新! あの日“アイツ”を追いかけた 全ての女子たちへ! 「腐った遺伝子」 第8回 文=早川舞 ←『セガサターン ツインスティック』 品番:HSS-0154 価格 ¥5,800 販売元:株式会社 セガ (C)SEGA CORPORATION |
先日このWEBスナイパー編集部のIさん宅にお呼ばれしてきました。奥様の料理があまりに激ウマで、ワタクシ常々旦那がほしいと思っていたのですが、むしろ嫁のほうがほしくなりました。もうこの際、女装子でもいいから! 「旦那ときどき嫁」とか「外では旦那、家では嫁」とかフレキシブルな生き様でもいいから(いや、「でもいい」どころか理想だなぁ、それ……)! SMをやっているとホント、パートナーの選択肢が増えていいなぁと思うのですが、そのわりにいい年こいてまだ結婚できていないどころか、相手もいないのはなぜだろう……(トオイメ)。
まぁそんな凹む話題はさておき、Iさん宅にあった夫婦のドリキャスで夫婦の『バーチャロンオラトリオタングラム』をやってきましたよ!もちろん夫婦のバーチャロンスティックも使わせていただきました! 「夫婦の」ってつけると何だかとたんにいやらしくなりますね! 「サイファ」も「スペシネフ」もすぐに撃沈しました。私、よくこんな難しいゲームやってたなぁ。若いってすごいよネ!!
↑『バーチャロン“オラタン”』の操作を思い出すために説明書を読みふける筆者。しかし肝心なスティックさばきの部分ではなく、キャラ設定ばかりに目が行ってしまうところがオタク。昔、「オタクかどうかの境界線はキャラ萌えできるかどうか」と言っていた友人がいたが、彼女の言ったことは本当に正しいと思う。
あ、「サイファ」ってハイヒール履いてたんだ! なんか嬉しいなぁ。
(前回からの続きです)
めくるめくようなコスプレの時間が終わった後には、またいつもの退屈な日常がやってきました。
異装の快楽はしっかりと私の心に刻みつけられましたが、しかし、だからといってそれに溺れるようなことはありませんでした。極めて強烈な体験だったにも関わらず、私はこの後約2年、大学に入ってしばらくするまでコスプレからまたも遠ざかるのです。
その理由としては、まずは仲の良かった先輩の卒業がありました。それまで私たちは何かとつるんでいろんなことをしていたのですが、先輩がいなくなった後の私は、急速に表立ったオタク活動から遠のいていきました。ひとりでは寂しい、というわけではなかったのですが、何となく分身というか相棒を失ったような虚無感はありました。
地方ゆえにイベントの開催回数が少なかったことも関係しているかもしれません。何しろその頃は年に3回程度でした。これが月に一度などのハイペースで行なわれていれば、「じゃあたまには」と何となくその気になることもあったのでしょうが、「開催日数が少ない=1回1回が貴重なお祭り」だったのです。何かことに挑むときには、それ相応の準備や気合いが、否が応にも必要とされたのでした。
また、今でこそ当時のことをこのように冷静に分析していますが、その頃は自分のこの感情が筋道立てて説明できるものだということすらわかりませんでした。つまり、何だかもやもやした楽しいものが心の中にあるけれども、それが何なのかがわからなかったのです。認識とは言語化することである、という言葉がありますが、言語化されなかったその感情は、水面にほど近いところを漂いながらも、意識可能なものとして心理の表層に浮かび上がるということはついぞなかったのでした。
要するにコスプレが自分にとって必要なものだったというのは後になってわかったことで、このときはまだそれほど重要なものだとは感じていなかったのです。
どんなにおいしいメロンパンでも、そのメロンパンひとつを食べただけではそのありがたみはわかりませんし、そのおいしさを表現することもできません。あんぱん、ジャムパン、食パンといろんなものを食べた後に、あぁ私がいちばん最初に食べたメロンパンは何ておいしいものだったんだろう、あんぱんよりも歯ごたえがあって、ジャムパンよりもあっさりとした甘さで……と、メロンパンのおいしさについてより深く自覚することができるのです。
↑アンパンマンってさぁ、確かこういうやつだよね? 大人になってから知ったことですが、アンパンマンにもやおいがあったんですね! 私が見たのは擬人化された食パンマン×アンパンマンですが、よくもまぁパン相手に挿れたり出したり突いたり咥えたりなんていうことを考えついた人がいたもんです。
「待ってたよ、アンパンマン。ふふふ、もう逃げられないね」「何するんだよ食パンマン! やめてよ! 僕たち友達じゃなかったのかい!?」「友達だよ、友達だから……こういうことしたくなるのさ」ガバッ! 「うわぁぁ……いっ……やめっ……!」
精子出しちゃったら全部クリームパンになりますよね。うわぁ精子パンかぁ、きったねぇ。
話が長くなりましたが、コスプレは確かに楽しかったけれども、当時の私にとってオンリーワンになるところまではいかなかったんですね(って、それから先も一度もなったことないですけど、それはまた追々)。
当時はちょうど部活で演劇部に入っていたこともあって、台本を書いたり、自分の台本を演じたりすることもあり、「狭間の世界」はそういったことでも何となく色づかせることができるような気がしていました。
が、今にして思うと、それは結局私を満足させることはありませんでした。そうやって作られた世界は、あくまでも「学校の中」という規定から出られないものだったのです。それらは学校の中で生まれ、学校の中で演じられ、学校の中で見られるもの……飛びぬけた美少年を登場させるわけにもいかなければ、その人たちをイチャつかせるわけにもいきませんでした。
それにこれは今も言えることですが、自分で生み出したものを自分で鑑賞するのは、何ともこそばゆいのです。
自分で生み出したものの中には、どんなに気をつけて作ったものだとしても、あちこちに自分自身がいます。それを見なくてはいけないのがいたたまれない。0から何かを作ろうとすると必ず、例えば自分のコンプレックスだとか、逆にナルシシズムだとか、そういった自分の矮小さが、その作品の枠となって見え隠れしてしまい、物語やキャラクターになかなか没頭できないのです。
まぁ後には、創作とはその矮小な枠をどこまで磨きこんだり、熱くして打ったりするかに他ならないことを知るわけですが、10代の子供にそんなことがわかるわけはなく、ただただ、恥ずかしく思うばかりでした。当時の私に作れたのは、せいぜいオカマと女子高生のドタバタほんのり純愛お涙コメディ(詰め込みすぎ)とか……うわー、私この頃から女装子好きだったのかなぁ。怖いなぁ。
まぁそんなわけでこの時期は、まったり創作とか演技の真似事なんかしつつも相変わらずゲーセンに通い、そこで出会った男子中学生のあまりのかわいさにキュンキュンしたりしていました。えぇ、男子中学生です。
今考えると、当時の私は決してまったくモテなかったわけではなく、がんばればそれなりの結果も得られたのでは?と思うのですが、「キュン」の矛先を、恋の実もつけようのない徒花たる男子中学生という存在(でも妄想は死ぬほどできる)などに向けているあたり、私は根っから腐っているというか独女体質というか、腐女子になるべくして生まれてきたのかなぁと思います。
少なくともこのときは、現実と「狭間の世界」を天秤にかけたとき、明らかに狭間の世界のほうの比重が重かったのです。だからって男子中学生はあまりにもノーフューチャーじゃないか、あのときの自分よ……。
←『CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001』
品番:T-1249M
税込 ¥6,800(税込¥7,140)
販売元:株式会社カプコン
((C) CAPCOM CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED. (C)SNK 2001
↑同じくIさん宅でプレイした『カプコンvs SNK』。男子中学生と知り合ったきっかけが『ヴァンパイアハンター』の対戦だったり、ペンネーム(っていうか女王ネーム)の由来が「不知火舞」ちゃんだったりする私にとっては、自分の痛さの歴史をマゾヒスティックに反芻できるSMプレイのような作品。カプコン様、もうお許し下さい……。
早川舞 世界、特にヨーロッパのフェティッシュ・カルチャー関係者との交流も深い、元SM女王様フリーライター。だが取材&執筆はエロはもとよりサブカルからお笑い、健康関係まで幅広く?こなす。SMの女王様で構成されたフェミ系女権ラウドロックバンド「SEXLESS」ではボーカルとパフォーマンスを担当。
Reverse Dead Run |
07.11.25更新 |
WEBスナイパー
>
コラム