The ABLIFE September 2011
あるマニア読者がノンストップで導くSMワンダーランド!!
山奥の古寺「変態寺」の地下に隠された伝説を巡り、月星製菓の社員たちが体験する信じられないアブノーマル行為の数々! 麗しのマドンナ、淫乱ビッチ、ド変態住職、プレイボーイが入り乱れ、誰も想像し得なかった卑猥でコミカルな冒険が幕を開ける――。待望の長編読者投稿ノベル第2弾!!後ろ手に縛られて倒れたままだった優美たんが縄を解かれて抱き起こされ、木下ミキも下着を脱ぐと素肌の上に浴衣を羽織って、さすがに不安なのかどこか所在なさそうにしていた。
「さあ、出来たぞ。上杉住職、準備が出来ました」
中出ひろしはぬいぐるみを着たまま、手をバフンと叩いた。
浴衣を着せられた優美たんはまるで1回戦が終わったみたいに髪を乱していて色っぽかった。
木下ミキはどんどん不安が強くなってきたらしく、今にも何か言いたそうにしている。そしてとうとう、「いやだわ、こんなの」とぶつぶつ言い始めた。
「歴史の勉強ですよ、歴史の勉強」
上杉住職がとってつけたように言い、遠くのほうでは足立ケイ子が、
「ねえ、早く始めてよ、早く、早く、腕が鳴るわ」
とせっつき、指をポキポキと鳴らしている。
「じゃあ、おふたりとも心の準備はいいですね」
上杉住職に促されて優美たんと木下ミキが拘束台へと歩き出した。
拘束台の裏と表、背中合わせに優美たんと木下ミキは立たされ、ふたりは着たばかりの浴衣のひもを解かれると、前を開かれて白い肌を露にした。
艶めかしく輝く2つの裸体がこの辺鄙な地下室に出現した。
「ワンダフル」
マイケル=フォークナーは思わず母国の言葉で声を上げたのだす。
「いやだわ、そんなにじろじろ見ないでよ。全くの見ず知らずの人だったらまだいいけど、いつも顔を見合わせている人間に自分の裸を見られるなんて屈辱的だわ。浴衣の前を閉じてよ」
「ノー、ノー、あなたの裸は崇高です、その若鮎を思わせる腰のくびれ、太腿の張り、思わずワタシはあなたの腰に両腕を回して抱きしめたくなります」
マイケル=フォークナーが舌なめずりをしながら、木下ミキの裸体を下からゆっくり見上げると、彼女は異国の男の情熱的な視線に反応してか、たちまち目の下あたりを赤く火照らせた。
「ワタシに見られているだけで身体が火照ってくるでしょう、ワタシはそういう超能力を持っているのです」
「嘘」
「嘘じゃ、アリマセン。見ただけでこんなに効果があるなら、ワタシのこの手があなたの身体に触れたらどうなってしまうのか、ユーは想像できますか」
「いやん」
マイケル=フォークナーは木下ミキのおろした手の先を毛むくじゃらの手で握ると、ねっとりとした目で彼女の瞳を覗き込んだ。
まるで2人の目の先から触手が伸びて空中で絡み合っているみたいだった。
拘束台を挟んで向こうには優美たんと中出ひろしが立っている。
「優美、こういう機会が来ることを俺はずっと待っていたんだぜ、お前がここに入社してきたときから、俺はずっとこんなチャンスが来るのを待っていたんだよ。その間ずいぶんと俺たちに冷たく接してくれたじゃないか、そのたびに俺たちは欲望の炎をめらめら燃やしたんだ。ここまで来ればもう無礼講だからな、優美、お前は何をされても文句は言えないぜ」
そう言いながら、中出ひろしは手に持っているロープの先で優美たんの乳首の先を軽く叩いた。バイブで散々火照らされた優美たんはたまらず切ない声を上げた。
たちまち中出ひろしの股間がビーンと立って天井を向く。
「この女、なんて色っぽい声を出しやがる」
子供向けのキャラメルを作っている者とは思えないヤクザじみた口調だ。中出ひろしはすっかり目つきを変えて優美たんの女自身に手を伸ばすと、そのまま荒々しくこすった。
「いや、いや」
優美たんが長く豊かな黒髪を振り乱して中出ひろしの手首をつかんだ。
2組のカップルが楽しんでいるのを見て、ほかの社員たちは先っぽに張り形がついた槍を手に持ちながら、はなはだ不満そうだったが、中でも最高潮に不満をあらわにしている人間がいた。
以前ここに来た観光客が置いていったのか、熊のぬいぐるみが入り口のそばに無造作に放り捨てられている。その熊のぬいぐるみのお尻に向けて、ひとりの女が例の槍をさかんに繰り出し、突いている。
「いつまでイチャイチャしているのよ、腕が鳴るわ、わたしの標的になったら、誰も逃げられないからね、木下ミキも優美もこの槍で女自身を裂いてやるからね。えい、やー」
そう叫ぶ足立ケイ子の額のあたりにはうっすらと汗が浮かんでいた。
その間もマイケル=フォークナーと中出ひろしは、あのいまわしい毛むくじゃらのぬいぐるみを着たまま、目の前の獲物の身体をまさぐっている。獲物の口からは快感とも苦痛ともつかないような甘い吐息が漏れていた。
「皆さん、いったい何をやっているんですか。ここはセックスをするための場所ではありません。変なことをするのはやめてください。ここは歴史の勉強の場所です。さあ、さあ、下半身のジッパーを上げてください」
上杉住職が手をパンパンと叩くと、すでにチャックを開いて自分の巨大なモノを相手の女性に握らせていた2人の男がポカンとした顔で住職を見た。美しい生け贄たちまでが怪訝そうな顔だ。
「さあ、みなさん、目を覚ましなさい。ここは生本番をする場所じゃありませんよ。ほらほら、木下さん、不満そうな顔をしていないで、こっちのほうを向いて下さい」
すっかりその気になっていた木下ミキは不満たらたらで、ほとんど住職を睨みつける勢いだった。
「もう、みなさん、何を考えているんですか、ここは、昔のお百姓さんたちの生活を勉強する場所ですからね」
木下ミキはふてくされて地団駄を踏んだ。
その様子を見ていた足立ケイ子が「へへへへへへへへへ」とせせら笑った。
「ぶっ殺してやる」
木下ミキが、そのきれいな顔を別人のように歪めて、毒づいた。
「みなさん、勘違いしないでください、何度も言いますが、ここはラブホテルではないんです。歴史の勉強をする場所です。この由緒ある変態寺の歴史を勉強する場所なのです」
「わかりましたよ。上杉さん。あくまでもお芝居仕立てなんですね。じゃあ、そろそろはじめましょうよ。歴史の勉強を」
「ワタシも賛成です。そういったお芝居仕立てにしたほうがわれわれも楽しめマス。ここに美女たちを縛り付けて、あの地上に続いている出口から鑞鞍みたいにワタシタチが下りて着て、優美とミキを犯すフリをするんデスネ。楽しみデス。じゃあ、早速はじめましょう。村人役のケイ子さん、2人を縛ってください」
「全く、調子が狂っちゃうわ」
優美たんまでもがその黒髪をとかしながらぶつぶつと文句を言った。
その間中、足立ケイ子はカンフーの蟷螂拳のように張り形を空中で泳がせている。
「みなさん、この儀式の再現はあくまでお芝居ではありますが、リアルさを追求しています。案内人の私が天狗の面を頭に被っているのも、昔のお百姓さんが生娘をいかせるために被っていたものです。そしてこの儀式が始まるのはあと23分後でなくてはなりません。みなさん、23分待ってください」
住職の上杉はそう言うと、いくつもの拘束台と怪獣を呼び寄せるために置かれた果物の皿の数々を残したまま、その異様な空間を出て行った。
「23分後ってナンデデスカ」
「まあ、いいじゃないか、マイケル。もう少し待とう。その分たっぷり楽しませてもらおうじゃないか」
中出ひろしは2人の美女のほうを向くとヒヒヒと笑った。それから皿の上に置かれた苺を取ると、口の中に放り込んだ。
「この苺、おいちぃ」
まったくもって気持ちの悪い男だす。
さて、これは後から聞いた話だす。住職の上杉は彼らの視界に入っている間はそろりそろりと歩いていたが、彼らから見えないところに来るなり脱兎のごとく走り出した。
そして、1分後には寺の外に出て、ちょうど鑞鞍房の外の壁に当たる、言い伝えでは神獣が進入してくるとされている場所に立っていた。
「皆の衆、お待たせしました」
「住職、本当だべか、本番生板ショウが見られるって。ちらしにはこう書いてあるべな。『村人の皆さん、ひさびさの本番生板ショウです。お待たせしました、女はとびきりA級の美女たちです。このふたりの美女がおぞましい獣に犯されるライブ感、きっと村人の皆さん、お楽しみになれるでしょう』って」
「住職、おらの家の庭先の柿の木にこのちらしが引っかかっておったがな」
「おらは用水路のポンプ小屋に張ってあったのを見たがな。俺たちの楽しみったら、この変態寺の本番生板ショウだけなんだからな。町のストリップ小屋に行くのも半日もかかるけんな。住職のこのショウしか楽しみがないだべ。この前のときは本当に興奮したべな。あれが噂に聞く、東京の女子大生ちゅうもんかな、きれいだったべな。この近在にはあんな別嬪はいないべな」
「本当にな、すっかりいい声で鳴いてくれたわ。サービスで住職があの女子大生のGスポをこすってくれて潮までふかせてくれて、いい目の保養をしたべな。今度の女の子はあれと較べて、どうなんじゃ」
「皆の衆、安心してくれ、今度の出演者はあんなものじゃない、本当に神様みたいにきれいなおなごたちじゃ。それにな、感度もえらくいい、ちょっと触られたぐらいで、ひいひいよがり声をあげるんじゃ」
「和尚さん、そりゃ、本当か」
村人のひとりはごくりと生唾を飲み込んだ。
「ひとりは映画女優にそっくりじゃ、それにもうひとりはファションモデルじゃよ」
「本当か、本当か」
「俺は映画女優なんて、生で見たことないがな」
「わしもじゃ、ファションモデルなんて見たことないがな」
「それらが全裸で鑞鞍に犯されるんじゃ。さあ、席はこっちじゃよ」
地上にあるその神獣の進入口のあたりに村人たちが座るための長椅子が並べられている。
「買う、買う、チケット買う」
「わしも、わしも」
浮き世離れした村人たちだったが、この上杉住職の主催する変態生板ショウのために「チケット」という言葉だけは覚えていた。
「1枚、150円だよ。おつりが出ないように小銭を用意して、田悟作どん、田悟作どんは毎回、買ってくれるからサービスだ。100円でいいがな」
上杉住職の首からは田舎の乗り合いバスの車掌が使うような革製の両替鞄がぶら下がっている。上杉住職は料金を受け取って鞄の中に入れると切符を村人に渡した。
村人は長椅子に順序よく並ぶと壁のすきまに開いているのぞき穴から、鑞鞍房の中をのぞき込んだ。
「おお、別嬪じゃ、別嬪じゃ、菩薩さまのようじゃ」
この村人たちの驚嘆の言葉も耳にしないうちに上杉住職は再び全速力で走って地下の暗がりに戻ってきたのだった。
(続く)
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