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実践派マニア・Mみどりが描きだす倒錯エクスタシーの極致
実の母親に人体改造を施され、生ける人形として極限まで「感覚」を削られていく女子高生の壮絶な体験。数十年に亘って自らを責め苛む工夫に情熱を注いできた実践派マゾヒストである著者が、イマジネーションの果てに辿り着いた自虐妄想のリミットとは。「私もこうされてみたい――」という激烈な思いで描かれた、他に類を見ないマニアック嗜虐フィクション! いよいよ最終回です。
 
※この作品には残酷な描写が含まれており、閲覧時に不快な気分になる恐れがあります。グロテスクな描写が苦手な方や嫌悪感を感じる方は閲覧されないようご注意下さい。

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【5】売買契約の完了

■木村健治の熱弁

木村病院から山一つ越えた、直線距離にして1キロ程のところに木村健治の自宅があった。そこに行くには、国道から離れて10メートル程のトンネルを通らねばならず、しかもトンネルの入り口には監視カメラが設置されていて、24時間作動していた。

トンネルを抜けると道が直角に左に曲がっていて、そこから20メートルのところに高さ2メートルの石垣で囲まれた木村健治の屋敷があった。そこの特別調教室は30畳程の広さがあり、床はコンクリートの打ちっぱなしになっていた。その部屋に10人程の父母が集められ木村の熱弁を聞いていた。

「日本全国で子供による凶悪な事件が頻発しています。皆さんは他人事、自分の子供とは無関係と思われているかもしれませんが、いつあなた方の身に降りかかってくるとも限りません。皆様方のお嬢さん、ご子息が万一殺人事件でも引き起こせば、本人の将来は勿論、あなた方の将来までも一瞬にして失われることになります」
「あなた方の人生が年端も行かない子供たちに左右されていいのでしょうか。危険な芽は、いまのうちに摘んでおくのが最良と考えます。私どもでは、そうしたご要望に応えるべく特別体制を組んでおります。親御さんの苦労はすべて私どもがお引き受けいたします」
「この先何十年間もの安心を手に入れられては如何でしょうか。しかも、何がしかの金銭を産み続ける金の成る木になってもらうのですから、こんな素晴らしいことはないと思います」

そこまで一気に喋ると、木村はコップの水を口にした。そこに集められたのは、子供の非行や暴力に悩まされている父母ばかりで、中には包帯を頭に巻いた者もいた。

「まもなく、男女各1名がこの部屋にやって来ます。女子は十分調教され、すでに反抗など絶対に出来ない体になっております。男子はいい見本がありませんでしたので、昨日お引き取りした高校2年のお子さんを呼んでおります。まずは男子からお見せしたいと思います」

数分後、佐野勇太が看護師のマヤに連れられて部屋に入ってきた。勇太の姿に室内がざわついた。勇太は紺色のスカートを穿かされ、白のブラウスを着せられていた。しかも10センチヒールのサンダルを履き、足首には革枷が嵌められ、20センチの鎖で左右が繋がれていた。その為に内股で、ヨチヨチ歩きしか出来ず、抵抗したり走り出したりすることは不可能だった。

「あら、可愛いのねぇー」
「ありがとう御座います。こんな姿が似合う体になってもらいます」

勇太はアイマスクで視界が奪われ、ボール状の猿轡が口に嵌められ、首輪に繋いだ鎖をマヤに引かれながら入ってきた。両腕は伸ばした状態で後ろへ回され、左右の上腕部と手首がそれぞれ別々に一つに縛られていた。しかも手首を縛ったロープがウエストベルトの背中の部分にある金具に繋ぎとめられていた。つまり勇太の手首は体から離れることはなかった。

「ほら、皆さんへのご挨拶は?」

マヤが鎖を下方に引いた。

「あっ、ううっー」

うつむかされた勇太の口から、言葉にならない呻き声が洩れ、同時に涎が何筋も床に落ちていった。

「如何でしょうか。昨日までは世の中、自分中心で回っていると信じて疑わなかった高校生が、こんな姿を人前に晒すのですから……あと1カ月もすれば、反抗心を失い、素直で従順なお子様になって、ご両親の元に返されると思います」

勇太は拘束されていることは判っていたが、スカートとブラウス姿にされているとは知らなかった。しかも生まれて初めてのヒールサンダルだったので、歩くことに全神経が集中して他のことにまで気が回らなかった。勇太は、鼻に嵌められたリングを天井から垂れ下がったロープと繋がれ、顔を下には向けられない状態にされてからアイマスクを外された。

「ご覧下さい、新しい名前を御両親からいただきました」

勇太の顔のアップが、脇にあるモニターに映し出され、額に刺青された『マゾ・ユウコ』の文字が読み取れた。場内からクスクス笑う声が聞こえて来たが、勇太には状況が理解出来ていなかった。

「あのー、宜しいでしょうか?」
「はい、何か」

一人の中年女性が立ち上がった。

「うちにも馬鹿息子がいて大変困っているのですが、このようにして頂けるのでしょうか?」
「勿論で御座います。殺して欲しいというご要望以外は、100%希望が叶うと思っていただいて結構で御座います。子供にどれだけの自由を与えるのかは、御両親様の意向で決まります。すべてを奪い去ることも可能で御座います。息子の苦痛に歪む顔が見たい、涙に暮れる顔が見たいというのでしたら、そのようにして差し上げます」
「あるいは、このユウコみたいなお子さんがご希望で御座いました、性転換手術を施して、ワンピースでもブラウスでもなんでも似合う可愛らしいお嬢様にして差し上げます」

勇太は、自分が「ユウコ」と呼ばれたことに気がつかなかった。

一人の男性が立ち上がった。

「何か芸は出来ないのでしょうか」
「芸ですか……こんなのは如何でしょうか」

マヤが手にしていたリモコンのスイッチを入れた。

「あううっ、あわっ、あわあわ」

しゃがむことが出来ない勇太は、呻き声を発し、猿轡から涎を流しながら腰をくねらし始めた。それはかなりエロチックで、再び失笑をかった。

勇太は生まれて初めて30ミリの太さのアナルバイブを根元まで咥えさせられていた。そのバイブはT字帯で留められ、そのために足を閉じることが出来ず、左右の足は鎖一杯の20センチに開いたままだった。そのバイブが振動とともに回転を始めると、味わったこともない刺激に下腹部が襲われ、膀胱の筋肉が一気に緩んだ。

「あうっ、ううっー」

ひときわ大きな叫び声が室内に響き渡り、勇太は体を震わせ、涙と鼻水と涎が混ざった液体を床に垂らしながら、一気にお小水を漏らした。勇太はオムツをしていることにさえ気が付かなかった。

「ご満足いただけましたでしょうか」

室内の誰もが勇太の失禁に気付き、クスクス笑う声が聞こえてきた。

「素晴らしいですなぁー」
「ありがとう御座います。このように男子であっても人前でお漏らしが出来るように調教いたします」
「あなたもオムツをしていて良かったわねぇ」

そう言いながら、マヤは憔悴して立ちすくむ勇太のスカートを無造作に剥ぎ取った。パンツタイプの紙オムツで包まれた勇太の下腹部が現われ、大量のお漏らしで変色しているのがわかった。

あまりの醜態に、気弱そうな母親が立ち上がった。

「あのー、この子に私たちの顔を見られていると思うのですが、大丈夫なのでしょうか」
「それはご安心下さい。理由は間もなく判ります」


■麻紀の登場

遠くで車の止まる音が聞こえた。するとマヤは勇太に再度アイマスクを掛け、さらにヘッドホンで左右の耳を塞いだ。

「何か都合でも悪いのでしょうか?」
「いえ、ショックを与えないためで御座います。この子に余計な不安を与える必要はないと考えております」

会場内の誰もが、勇太のヘッドホンから大音量の音楽が流れていることを理解した。そこにスーツ姿のユカが入ってきた。

「院長、ドール・マキをお連れしました」
「ご苦労!」

静まりかえった室内に歩行器の車輪の「キィー、キィー」と軋む音と、鎖のこすれる音が響いた。麻紀は私鉄駅前で施された姿のまま、イヤホンの指示に従って、ヨチヨチ歩きで入ってきて、勇太の脇で停まった。

「これが先程申しました反抗など絶対に出来ない体に作り変えられたドール・マキで御座います。どうぞ近くまで寄ってじっくりとご覧下さい」

そもそも歩行器を見ること自体初めての人が多く、パイプで丸い円筒状に作られ、下部には車輪がついた歩行器に視線が注がれた。

そして次に、大きなよだれ掛けに注目が集まった。どう見ても10代後半と思える少女がよだれ掛けを首に巻き、しかもその上によだれを止め処もなく垂らし続けている姿が興味を引いた。

「このよだれは、止まらないのでしょうか」
「はい、口の中に自殺防止用の猿轡が入っておりますので、口が閉じられず、よだれを垂れ流すことしか出来ません。こんな姿を世間に晒すのもいいのでは、と思いまして」
「口の中の白いのがそうなんですか」
「さようで御座います」
「顔の黒いシミみたいなものは何でしょうか」
「刺青で御座います。親御さんのご希望にお応えいたしました。鏡を見なければ本人が気付くことは御座いません。ご覧のように、醜い顔になっていますので、誰も近付きませんし、声も掛けてきません。しかも、ご存じかと思いますが、顔の刺青を消すのは至難の業で、常識的には一生消えることはない、と考えて宜しいかと思います。つまり、一生この顔で暮らすわけで御座います」
「確かに醜い顔ですわねぇ。顔に刺青を彫られて、不都合なことは御座いません?」
「はい、なんら御座いません。それに顔の刺青に気付くことは、一生ないと思われますので、ご安心下さい」
「と言いますと……」
「そういえば、この子の両腕はどうなっているのかしら」

別の女性がさえぎるように発言をした。

「失礼しました。まだ、説明しておりませんでした」

木村が目でユカに合図をすると、ユカは麻紀の下半身を覆っているスカートを取り外し、さらに、よだれ掛け、その下のジャケット、ブラウスを脱がした。

「ご覧下さい。これがドール・マキの本当の姿でございます」

一瞬、室内のざわめきが止み、空気が張り詰めた。ユカは、集まった父母たちの咽喉がコクリと鳴る音を聞いた。

そこには、歩行器から伸びたパイプに首枷とヘッドギアが繋がれ、顔すら自由には動かせず、両腕を肘から切断され何かを掴むことさえ不可能となり、しかもオムツカバーで下半身を包み込まれ、自由に歩くことさえままならない少女の姿があった。

「あら、何か臭いですわねぇ」
「申し訳ございません。電車の中で何度もお漏らしをしましたものですから」
「まあ、電車で来られたのですか」
「はい、この醜い姿を皆さんに見ていただきました」

ユカが答えた。

「残念なのは、本人が現在の状況をまったく把握出来ていないことで御座います。顔に刺青を彫られていることも、よだれ掛けをしていることも、本人は知りません。まして皆様方の視線浴び、醜態を晒していることさえ気付いておりません。ですから羞恥心も御座いません」

木村が補足説明をした。

「そんな風には見えませんが……」
「そうなんです。目が見えて、すべての会話が聞こえていると思われるかもしれませんが、実は目も見えず、音もほとんど聞こえない状態になっております。説明をしないと他人にはわかりませんが」

木村健治は調教中の麻紀を写したビデオをモニターに流しながら、肉体改造の説明をはじめた。

「目の角膜ですが、100万ほどで買わせていただきました。移植した人の角膜が代わりに入っていますが、明暗程度しか見えないようです。ですから、鏡を見ることがあっても顔の刺青に気付くことは御座いません。勿論、私たちの顔を識別することも不可能で御座います」
「次に、耳ですが、右の鼓膜は摘出いたしております。左は、聞こえ辛いような手術が施され、イヤホンからの指示がかろうじて聞こえる程度になっております。腕は、ご覧の通りです。これは買わせていただきました」
「足は、左右とも親指を含め3本の指を切除いたしております。これは、親御さんの希望で御座います。バランスが取りにくく、走ったり片足で立ったりは出来ません。移動には歩行器が必要かと思います。そして、声帯ですが、これも切除いたしました。人形が喋ったりするのはおかしいですし、生意気な口を聞かされるのは我慢できないのでは、と考えました」
「素敵ですわ、絶対に反抗なんか出来ませんわねぇ」
「はい、不可能で御座います。これならば皆様方の日頃の鬱憤が晴らせるのでは、と思います。難点は悲鳴や親への懺悔が聞けないことですが、その代わり遠慮なく調教が出来ますので、子供が流す汗と涙と涎で溜飲を下げてください」

何人かの父母の目が輝いたことを木村は見落とさなかった。

しかも、歩行器に拘束された麻紀の口元からは、よだれがひっきりなしに溢れ出し、下顎、胸元を濡らしている様が父母の視界に入ることも木村の計算の一つだった。

「如何でしょうか。当病院にお子様を、お預けいただけないでしょうか? きっと満足していただけると思います」

麻紀の出現がすべての父母の決断を促した。全員がその場で木村病院と子供の売買契約を済ませた。その中に、娘の万引き癖に悩む、麻紀の友人で香奈の母親、森嶋真由美の姿があった。

「麻紀ちゃん、よかったわねぇ。お陰で皆さんと契約が出来ましたよ」

そんなユカの言葉さえ、麻紀にも勇太にも届くことはなかった。

父母と木村が退出すると、2人のオムツ交換が始められた。

「あなたたちのお仕事は、今日みたいにオムツの中に一杯お漏らしをして、醜態をさらけ出して、皆さんに興味を持ってもらうことなのよ」

麻紀にとっても、勇太にとっても長い一日ではあったが、2人の人生にとってはこれが始まりでしかなかった。
(了)

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Mみどり 「おばかな写真を公開しておりますが、すべてセルフで撮ったものです。キャミと猿轡と拘束が大好きですので、趣味が合うという方がおられましたら、一声掛けてください。『奇譚クラブ』に体験小説 (カットは、室井亜砂路さん)を発表したのが、私の出発点、いえ、プチ自慢です。昔の話ですけどね」(「スナイパーSNS」Mみどり自己紹介欄より抜粋)
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