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牡奴隷とともに


「今からお前たちにも分際鞭を与える。さっき先輩奴隷たちの格好を見ていたろう。あれと同じ姿勢をするんだ。まず牡奴隷xxx号、お前からだ……すぐに出てこなかったな。倍にして鞭六発だ」

抗議や哀願の言葉も奪われているのです。膝で這って出た父親奴隷は、顔を床に付け、お尻を高く上げました。看守様が靴で頭をグイと踏みつけます。膝は大きく広げたままです。私たち牝奴隷の膣リングと同じように、器具の苦痛で膝が閉じられないようです。股間に丸見えの男性器の卑猥さ、浅ましさ。私は目をそらし、母と娘の奴隷は号泣していました。

「フフフ、初めて見るだろうが、お前たち牝奴隷が膣リングを嵌められるのと一緒で、牡奴隷はペニス錠を嵌められる。スプリング錠だから、珍棒の根元に嵌めるとバチンと締まる。例外なく「ギャッ」と叫んで飛び上がるから面白いぞ。なあ、お前もそうだったろう。手錠と同じで、締まるほうにはいくらでも締まるから珍棒の大小に関係なくキュッと締め付けるが、鍵がなければ絶対に緩められない。尿道は圧迫しないようになっていて小便は出来る。だが牝奴隷のマ○コを見て勃起させたりしたら大変だ。錠が食い込んで七転八倒しなきゃならん。膣リングとペニス錠を嵌めておけば、お前たちハダカの牝と牡を一つの檻に入れておいても大丈夫だ。絶対にヤレない」

何が大丈夫なのでしょう。性器さえも拘束され管理される、奴隷の身の惨めさに絶望するのでした。

「さあ、これが奴隷の分際鞭だ。貴様らは牛や馬と何の変わりもない畜生だ。鞭でハダカのケツをヒッパタカレながら使役されるために生きている家畜なんだ。それを悟らせて頂く鞭だ。有難く頂戴しろ」

妻や娘が見ている前で、頭を靴で踏みつけられて、床を舐めさせられていた牡奴隷の、高く上げたお尻に、火が出るような鞭が炸裂しました。

「グエーッ」

嵌口具の中で喚いた牡奴は、前へぶっ飛んで床にへたばりました。

「さっさと元の姿勢に戻れ! グズグズしてると鞭が増えるぞ!」

生まれて初めて素肌に受けた力まかせの革鞭の一撃。その激痛に目が眩んでいるのでしょう。目もうつろな牡奴は、ふらつきながら、もう一度床を舐める哀れな姿勢をとりました。

再び鞭がうなって、

「ギャーッ」

人間の口から出るとは思えない喚き声が嵌口具から洩れます。この地獄図が六回繰り返されて、やっと牡奴の分際鞭が終わりました。





コンクリートの床にへたばって、ヒクヒクうごめいている牡奴の、背中からお尻にかけて、六本の鞭跡が真っ赤に浮き上がり、痛々しく血を滲ませています。次は私たちがあの鞭を……もう歯の根が合いませんでした。

「どうだ、奴隷の分際がどういうものかよく判ったろう。鞭様にお礼を申し上げろ。『鞭様、卑しい奴隷に分際をお教えくださいまして有難うございます』と唱えながら、床に額をすり付けるんだ」

拒否することなど出来るでしょうか。牡奴隷は正座し、看守様が持った鞭に向かって床に顔をすり付けて、嵌口具の中でモゴモゴとお礼の言葉を唱えていました。

靴で蹴り飛ばされて戻った牡奴は、私たちと一緒に正座して、妻と娘が分際鞭を受けるのを見せられるのです。

「次! 牝奴xxx号、お前だ! 分際鞭三発。親父のザマを見ていたろう。あれと同じ格好をするんだ」

娘奴隷が、鼻環の鎖を曳かれ、膝で這って中央へ引き出されました。顔はもう涙でグショグショでした。でも、どんなに恐ろしかろうと、恥ずかしく惨めで辛かろうと、命令されたことは血の涙を流しながらでもやらなければならない。それを私たちの心と体に叩き込むのが奴隷調教監獄の役目で、それを強制するのが私たちの顔にブラ下がっている鼻環なのです。

十七歳だという娘奴隷は、鼻環の鎖を踏まれて、床を舐める姿勢を取らされ、靴でお腹を蹴られて、丸々と大きな、でもどこかまだ幼さが残る白いお尻を高々と上げました。

膣リングで膝を閉じることが出来ない彼女の股間が丸見えになります。鎖褌を締め上げられて、残酷な膣リングと肛門栓が食い込んでいる娘の秘密の箇所が何もかも公開されて……。

「まだ処女なんです」と母親が訴えた娘の性器が哀れに口を開け、ピンク色の内部を露出しているのが見えて、私は目をそらしました。私以上に、冷たい風にも当てまいと育ててきた娘が、見るも無残な姿勢で女の恥部まで晒す姿を見せられる親の気持ちはどんなでしょう。

嵌口具で声さえ出せず、肩を震わせている夫婦奴隷の姿が、正視できないほど哀れでした。そして娘奴隷の白いお尻に容赦のない鞭が炸裂します。一打ちごとに、娘奴隷は泣き叫んで床に転がり、鎖と枷で自由を奪われた十七歳の娘の裸体を、隅々まで人目に晒していました。

ウーウー呻き泣きながら、文字通り這うように娘が列に戻ると、代わって母親奴隷が曳き出されて屈辱の姿勢をとらされ、娘と同様に、女の羞恥の個所を周囲の男たちの目に公開させられます。

看守様が、牡奴の鼻環をつかんで顔を上げさせ、妻の姿を見ることを強制します。

「フフフ、見慣れた女房のマ○コだろうが、もうお前が使うことはない。拝んで名残りを惜しんでおげ」

下品にからかわれて、牡牝ともに屈辱に悶えます。

「お前も分際鞭三発だ。ソレッ!」

母親奴隷も同様に、くぐもった悲鳴を上げながら鞭で三度飛ばされ、大きなお尻に、血の滲む無残な鞭跡をクッキリと三本付けられて、涙で顔をグシャグシャにして哀れに這い戻りました。そして次は……。

「さあ、責様だ。出て来い!」

自分で出て行けるわけがありません。首輪をつかまれて引きずり出され、靴で蹴られ漆で小突かれて、前の三匹と同じ格好をさせられました。

首筋を靴でグイと踏まれて、惨めに床を舐めます。お腹を蹴られて、私も丸ハダカのお尻を高く上げ、あの膣リングを嵌められたオンナの恥部を大勢の前に晒したのです。

口惜しさ、恥ずかしさより、恐ろしさが先でした。そして、羞恥も怒りも、風を切って打ち下ろされて、ハダカのお尻に炸裂する鞭の痛さの前に簡単に吹っ飛びました。大きな火の玉がお尻に押し付けられたような痛さが頭の芯まで駆け上がって、私は、

「ギャアアッー」

と喚いていました。嵌白具でわずかな声しか洩れなかったかもしれませんが、力いっぱい叫んだのです。どうやって元の姿勢に戻ったかは覚えていません。

鼻環を曳かれお尻を蹴られて、またハダカのお尻を突き上げた途端に、もう一度お尻に火の玉を押しつけられて目から火が出、

「ウワーッ」

という叫びが口がら飛び出します。オンナの目から出るとは思えぬ声音で、獣のように三度喚いた私は、もう恥ずかしいと思う余裕さえなく、ズッパダカのままコンクリートの床に長く伸びて、ハアハア肩で息をしていました。

看守様に靴で蹴られて、膝で這って元の位置に戻り正座します。足枷の鉄の環がお尻の鞭跡に当たり、その痛さにもう一度、「ヒィッ」と泣き声が出ました。この痛さをこれがら毎日味わわされるのです。

もう目の前が真っ暗になる恐ろしさでした。

「鞭様にお礼を申し上げろ!」

突き付けられた黒く太い革鞭。それはもう私にとってはただの道具ではなく、恐ろしい支配者でした。

「鞭様、お躾け有り難うございました。卑しい奴隷の私に、どうぞお慈悲を……」

嵌口具の中で教えられた文言を唱えながら、私は平伏してコンクリートの床に額をすり付けました。本当に恐ろしくて、私は心の底から屈伏して鞭様にお慈悲を願ったのです。

自尊心だの誇りだの、恥ずかしいだの嫌だのと云ってはいられない。私は家畜と同じ奴隷なのだから、鞭で命令され、辱しめられ足蹴にされるのが当然なのだ、この鞭を少しでも減らして頂くためには、どんなことでもお云い付け通り大急ぎでしなげればならないのだ、と心から思いました。

分際鞭は、目論み通り私に哀しい奴隷の覚悟を固めさせたのです。



調教開始

奴隷の朝の儀式の分際鞭は、やっと終わりました。でも、これが私たちの苦痛と屈辱の終わりではなく、それから一日中泣き叫ばされた「調教」の前奏曲にすぎなかったのです。

お尻の痛みが薄らぐ暇もなく、「立て!」と命令されました。

「今から、お前たちを奴隷に仕立て上げるための調教を開始する。一日も早く、自分が人間だったということを忘れて、鞭で叩かれながら働く、牛馬なみの家畜なのだと心に刻み込め! それが奴隷になるということだ。その手助けに、ケツにタップリ鞭を食らわせてやる。まず、調教中にきっと小使を洩らすだろうから、ゴムズロースを穿かせてやる。肛門栓を嵌めてるから糞は出せないが、小便は止められないんだ」

牡奴隷も含めて、厚ぼったい、ガバガバと音がするゴムズロースを穿かされました。腰を包めるのですが、そのブザマさに打ちのめされました。全裸以上に恥ずかしい姿というものがあるのです。

腰周りのヌメヌメした気色悪い肌触り。ミミズ腫れの鞭の跡にもう出てきた汗がしみて、その痛さに腰がよじれます。

「いいか、ゴムズロースは穿かせたが、中に洩らすようでは奴隷失格なんだぞ! もし汚したら、その口できれいにさせるから、そのつもりでいろよ」

母奴隷、娘奴隷、そして私、最後に牡奴隷と縦一列に鼻環を連鎖され、先頭の母奴隷が鼻環の曳き鎖に曳かれて歩きだせば、私も、歩くなと云われても、足板の鎖を鳴らしながら歩かずにはいられないのです。

鉄の扉を通り、昨日下りてきた階段へ出ました。昨日は気が付きませんでしたが、階段の端が狭いエスカレーターになっているのです。でも、そんなものに私たち奴隷が乗せてもらえるはずがありません。

「フフフ、初日だから低速で勘弁してやろう」

曳き鎖を握る看守様が乗ったエスカレーターが動きだし、鼻環を曳かれる私たちは、階段を登らなければなりません。低速といっても結構速く、足枷まで嵌められている私たちは、汗にまみれて必死に登るのでした。



目が眩み、汗まみれで、息も絶え絶えの階段登りがようやく終わって地上階に出ました。呼吸を整える暇もなく廊下を通って屋外へ曳き出されます。ふりそそぐ朝日と、吹き抜ける朝風を全裸の肌に浴びてたじろぎますが、足を止めることも許されず、鼻環や手枷を嵌められた浅ましいゴムズロース一枚の姿で広い野外調教場を横切ります。

追い込まれた屋内調教場。その天井には水平に回転する大きな輪があり、一メートル程の間隔で輪から鎖が下がっています。私たちは、一匹ずつその鎖に鼻環を繋がれて立たされました。

看守様がおっしゃいます。

「今から調教開始だ。説明する必要はないんだが、貴様たち奴隷の調教には、三つのポイントがある。第一は、どんな命令にも従順に服従する奴隷の心の訓練。第二には苦役に耐えられる体力の訓練。そして三つ目は、厳しい拘束を施されたまま、全ての労働をこなす技術の訓練だ。今日はまず体力訓練だ。タップリ汗をかかせて、貴様たちのブヨプヨの体を絞ってやる。さあ、出発進行!」

看守様がスイッチを入れ、輪が回転を始めると、私たちは否応なく歩くほかありませんでした。腰に惨めなゴムズロースを穿いただけのスッパダカ。首輪・手伽・嵌口具を嵌められ、顔の真ん中に付けられた鼻環を引かれて、30センチほどの鎖で歩幅を制限されてヨチョチと歩くのです。

鎖に曳かれて、看守様が立っていらっしゃる前に来ると、看守様が手にした鞭で「ピシーッ」と私たちのハダカの背中を打ちます。さして強くはない「督励の鞭」ですが、それでも私たちに「ギャッ」と悲鳴をあげさせる程度の痛さはあります。鞭で打たれると判っていながら、逃れようもなくそっちへ歩いて行かなければならないのは、本当に魂も凍る惨めさ恐ろしさでした。

オシメ代わりのゴムズロースを穿かされ、お乳は丸出し。両手を背中で縛られて肌を隠す術もなく、鼻環を引かれて看守様の前を通ります。アア、今か、もうか。思う間もなく背中に灼熱の痛さを感じて「ギャッ」と喚いて飛び上がり、鼻環の苦痛に、必死に体勢を立て直して歩みを続ける……。

私の他の三匹の親子奴隷も、まったく同じ姿でした。おまけに、だんだん輪の回転速度が速くなるのです。今はもう私たちは、足の鎖を鳴らしながら必死に走っていました。鼻環を吊られていなければ、もうとっくに倒れていたでしょう。何を考える余裕もなく、ただ鼻環の苦痛と鞭の恐怖だけを感じながら、血の汗と涙にまみれて走り続けるのでした。

熟練した看守様は、奴隷の体力の限界をよく心得ておられました。私たちを限界まで走らせ、失神する寸前に機械を止めて鎖を緩めたのです。私たち四匹は、嵐のような息を吐きながら床にブッ倒れました。水が掛けられ、嵌口具の隙間から流れ込んでくる水をのどを鳴らして飲みました。

「もうダメ、もう死んじゃう。死んだほうがまし」

そう思いました。でも、ほんの数分でまた鼻環の鎖が巻き上げられ、私たちはまた、非情に回転する機械に曳かれて、ヒイヒイ泣きながら地獄の駆け足をさせられたのです。

(続く)



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浜不二夫
異端の作家。インテリジェンス+イマジネーション+ユーモアで描く羞美の世界は甘く、厳しく、エロティック。
「 悪者に捕らわれた女性は、白馬の騎士に助けてもらえますが、罪を償う女囚は誰にも助けてもらえません。刑罰として自由を奪われ、羞恥心が許されない女性の絶望と屈辱を描きたかったのです。死刑の代わりに奴隷刑を採用した社会も書いてみたいのですが――」
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