The
ABLIFE December 2012
窮屈な毎日に縛られて気持ち悪くならないためのゆるやかな処方箋
黒い恥毛の奥深く、まばゆい女陰から迸る黄金色のオシッコを百薬の長と崇める稀代のネクタール（神の酒＝おしっこ）愛飲作家が、自由闊達、繊細至極、奇々怪々、博覧強記の知性に加えて、百花繚乱の体験談を交えて読者諸兄からの質問・相談に答える連載。内容・ジャンルは自由。ネクタール＋言葉の免疫で、貴方が今を生きるためのヨスガを紡ぎます。
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Consultation of life to drink delicious urine. For boys and girls.
第40回の受付案件
191、「自然体」
192、「意中の男性を匂いで落としたい」
193、「シングルマザーになる」
194、「目の前でおならをした彼女に......」
195、「男性が年下の女性から言われて嬉しい言葉」
191、「自然体」
芳野先生、いつも楽しみにしています。先生はよく、ご自身のことを「自然体」とおっしゃっていますよね。それって、仏教の悟りみたいなものなんでしょうか。芳野先生の考える「自然体」について改めて教えていただきたく思います。（無職／忠）
「仏教の悟りみたいなもの」でもなんでもありません。
ノーテンキ（脳天気）なだけです。
ゴクラクトンボ（極楽トンボ）ともいいます。
何はともあれ
酒を飲み
お気楽なんですよ。
雨の日には 雨の中を
風の日には 風の中を
風の日には 風の中を
相田みつを
フジテレビ「テレビ寺子屋」で拝見しました。
これこそ、自然体、すばらしい詩です。
192、「意中の男性を匂いで落としたい」
初めまして、私は19歳の女です。以前、芳野先生がイイ女だろうなと思う歴史上の女性として「香妃」を挙げていらした時からずっと気になっていたことがあります。香妃のかぐわしい匂いって、どんなものだったと思われますか？ 今で言ったら腋臭だったりするのでしょうか。私は、腋臭ではないのですけど、最近香水に興味を持っていて、どんな匂いが男性に効くのか、率直なところを芳野先生に伺えたらと思っています。現代の香水を駆使してリアル「香妃」になって、ライバル（もの凄くたくさんいます）を蹴落として手に入れたい男性がいるのです。よろしくお願いします！（学生／kiriko）
デボラ・カーの映画『黒水仙』で流行したのが、
「ナルシス・ノワール（黒水仙）」
水仙花精油主体の花香香水。
「私はシャネル五番を着て寝るのよ」
とマリリン・モンローがおっしゃって、有名になってしまった「シャネル五番」。幻想香水の名香のひとつ。
古典的名香「ミツコ」のゲラン社の「シャリマール」はシモーヌ・シニョレの愛用香水。御主人のイヴ・モンタンが一番好きなんだって――。
「A夫人のネグリジェのすそがひるがえり、ヴォルド・ニュイ（夜間飛行）の美しいかおりがわたしを包んだ。
わたしの目の前が暗くなった。
やがて......わたしのくちびるがぬれた」
沖春二「SM夜間飛行」風俗奇譚 昭和43年2月号
沖は私です。夜間飛行は幻想香水。A夫人の想い出の香水。連続エッセイの題にいただきました。
さて――
香妃は「沙ナツメの花の香り」。
團伊玖磨の『パイプのけむり』に書いてあるそうです。
腋臭は「胡臭」と呼ばれていました。
人間の毛の残っている部分、肛門周囲、外性器、腋窩など、皮脂腺が開いて匂いのついた分泌物が出ています。
これが性臭。頭髪は除きます。
香水フンプンの詩友（ファン）の愛人がですネ。私の顔にまたがったと思し召せ。
ウッ、クサヤで猿ぐつわをされたと思った。死にそう......。
香水をやたらめったらツケマクルと、性臭の分泌物と混合して、チョースゲエ悪臭になってしまうというわけネ。
日本女性は体臭が淡いからすばらしいのです。
香水でウワキがバレてしまうから、その道の達人は、香水フンプン女性には近づきません。
それに香水がしみつき、汗と混合して悪臭になったらそれこそアウトです。
「あら、アタイ、大丈夫ヨ」
とベビーフェイスの彼女が言った。
「アタイ、サヨナラ香水ダモン」
すぐ匂いが消えてしまう。
スケベな男のことをよく知っている彼女でした。
香水はむずかしい。
逆に男ににげられる。
193、「シングルマザーになる」
お力を貸して下さい。私は24歳の女で、先日、妊娠が判明したところです。身ごもった子供の父親は今交際している彼なのですが、彼は「まだ育てる自信がない」と言い、堕胎をするようにと私にお願いをしてきました。でも、堕胎によって以後の妊娠が難しくなることがあるそうですし、私には、今お腹の中で生きている子を消してしまうこと自体に、強い抵抗があります。育てる不安より、堕胎する不安のほうがずっと大きい今、私は彼に「結婚して一緒に育てて欲しい」と言いました。が、彼には私が生むことに対する拒否反応が強くあるようで、どうしても頷いてくれません。決断を迫られた私は、生んで、両親の協力を得ながら、彼に頼らず育てていくことを決めました。そして、決めた後になって、とても不安になりました。子を持つ母として、私が持つべき覚悟について、芳野先生からお言葉を頂けたら嬉しいです。雑誌の頃からのファンです。（店員／三毛）
シングルマザーというのは、好きな人の子供をうけ、独身のまま、他人の世話にもならずに、確固たる信念を持って、子供を育てていく、経済力のある、生活力のある、生きていくのに力強い女人だと、私は思っています。
死別したり、離婚したりして、シングルマザーになってしまったという場合とは、少し意味がちがう。
さて――
はっきり申し上げますが、妊娠したら結婚拒否する男の子供など、生まないほうがよろしい。生まれてくる子供がかわいそう。
中絶がこわいから子供を生むなんて、言語道断、そんな自分勝手なことがありますか。子供より自分が大切なだけじゃありませんか。
御両親に心配かけて、それでよろしいのですか。
赤ちゃんを車に放置したまま、パチンコをしていて赤ちゃんを殺してしまった若い母親、子供を部屋に閉じ込めたまま、男と遊び歩いて子供を餓死させた若い母親......。
育児ノイローゼになって、赤ちゃんを殺してしまった若い母親......。
そんな事件ばかりではありませんか......。
赤ん坊が赤ん坊を生むからこういうことになってしまう。
194、「目の前でおならをした彼女に......」
先日、付き合い始めたばかりの彼女が僕の前でおならをして、真っ赤になりながらも笑っているところへ、「ったく、デリカシーがねぇなぁ」と、つい、こっちのほうこそデリカシーのかけらもない言葉を投げつけてしまいました。僕の本心では、目の前でおならができるほど彼女がリラックスしてくれていたことを、とても嬉しく思っていたのです。それなのに、照れを隠そうとして正反対の態度をとり、彼女を傷つけてしまいました。先生にお聞きしたいのは、こんなふうに女性を傷つけてしまった場合、どうしたら取り返しがつくのか、ということです。おならに限らず、女性が自分の秘めたる部分を見せてくれようとした時、男がヘンなことを言い、せっかくの女性の気持ちを萎縮させてしまうことって、あるような気がします。というか、僕がそういうことをしてしまいがちな、ダメな男なんです。その彼女と別れたりしたわけではないのですが、目の前でおならをしてくれるという素晴らしさ、あの貴重なものを永遠に失ってしまったと思うと、慙愧の念に耐えません。なんとか、なかったことにはできないでしょうか。（自営業／K・T）
すばらしい彼女ではありませんか......。
カンドーしました。
「正反対の態度をとっ」て「彼女を傷つけてしま」う男ってよくあることですヨ。
それだけ、彼女が好きだってことネ。
御心配なく、彼女もワカッています。
西洋の食事では、オナラはまあまあ許されるけれど、ゲップはダメなんだそうです。
むかし、宮廷の秘密行事に、絵合わせというのがありました。
亀山帝の后（きさき）が絵合わせをした時のことですが、こともあろうに「放屁合戦」二点が出品されました。
鳥羽僧正筆になるもので、一点は一対一、一点は一対二の、裸の男の放屁のスゴイこと。
ということで、宮廷にならって、彼女と裸で「放屁合戦」でもなさいませ。
参考文献
『日本の戯画』須山計一 昭和35年7月 社会思想研究所
195、「男性が年下の女性から言われて嬉しい言葉」
芳野先生こんにちは。私は今、20歳以上も年上の、バツイチ男性に恋をしています。本気の恋です。現状はまだ上司と部下の関係に過ぎませんが、これから告白に向かっていくにあたって、年配の男性が年下の女性に言われて嬉しい言葉を知りたく思います。私は、過去にこれほど年の離れた人と恋愛をしたことはなく、異性として見るのも初めてで、どんな褒め言葉なら失礼にならないのか、考えれば考えるほど分からなくなってしまいました。ちなにその方は、凄く仕事のできる、頼りになるオジサマで、年は50代です。誰にも相談できず、初めてこちらに投稿させて頂きました。何卒よろしくお願いいたします。（OL／みほ）
私の場合はカンタンです。
なにせ、オシッコ小説ですからネ。
「お飲みになりますか」
とか、
「召し上がりますか」
なんて、とたんにうれしくなってしまう。
「飲め」
「トイレに行くぞ」
「ひっかけてやる」
「ハイ」
ということで、彼の性癖、といったらヘンですが、彼の好みをみつけることですネ。
彼の興味をそそる言葉を考えて、言外に匂わせ、あなたに彼の心を向けさせる。
それぞれ個人差がありますから、御自分で言葉をみつけないことにはどうしようもありません。
「好きよ」
「そばにいて」
古い言葉はそれなりのムードがないと......。
誌友の彼女のマンションでのお話です。
舌たらずの妙にあまったるい声で、
「ねえ、パパー」
を連呼する。
「お風呂に入ろう、ねぇ、パパー」
「オネンネしようよ、ねえ、パパー」
スケスケベビードールですか、ほとんど裸デアリマス。
「お舐めして、ねぇ、パパー」
勝手にして下さい。
外で知人に会っても、ロリータファッションの彼女を、平然と「ムスメです」といっております。「アレ買って、ねぇ、パパー」 。
さて――
しばらく私の前でイチャイチャしていましたが、
「だっこして、ねぇ、パパー、オシッコ」
「ハイ、ハイ」
彼は背後から、彼女を大股開きに抱き上げました。
彼女のホヤホヤしたインモーが目に飛び込み、可愛いワレメがジワリとひらいて顔にせまりました。ジワリですよ！
そのヒワイな童女的ワレメから、泉がフンワリとわきだし、広がり、少し乱れたコーモンに流れ、ホトホトと、あたたかいしずくが私の顔にしたたりました。
それから彼女は、私のことを、
「朝顔チャン」
と呼びます。
「オシッコ」
（続く）
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WEBスナイパー編集部「あぶらいふ」係
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芳野眉美 作家・ネクタール愛飲家。1952年、『奇譚クラブ』に高校３年生の時に書いた小説「孤独なFANTASY」が掲載され、デビュー。翌年２月号の「硝子便所」で評価が固まり、以後ネクタール（神の酒＝おしっこ）を題材にした小説の元祖として多くのマニア読者に指示される。また「あぶいらいふ」での連載「芳野流神酒譚」で綴られたファンタジックなまでに刺激的な実体験は、数多のファンに衝撃を与えた。現在は『ＳＭマニア』（マイウェイ出版）にて不定期に新作を発表している。