The
ABLIFE―Abnormal Dilettante Magazine―
新装開店! 月一更新で贈るオール・アバウト・インモラル人生!
読者投稿欄「あぶらいふ」は、「この場」があることで生まれる創作意欲、コミュニケーション欲、そして読者を交えたフラットな交流に意味を求めるインターネット上の広場です。同性愛・自慰妄想・緊縛・露出・各種フェティシズムにまつわる体験談、小説、意見、呟き、絵画、写真など、貴方の個性的な性表現を、ジャンルを問わず募集&掲載しています。「スナイパーSNS」と併せてパワフルにご活用下さい。
2010年5月の投稿作品 NEW!
「人肌販売機」 画=久路野利男
「赤と青」 画=ナカノテツ NEW!
「M子とS美」 画=O・Y
「人魚の哀しみ」 画=カツ丼小僧
「幸子先生」 画=石井進一 NEW!
「痣になるほど殴られたいので」 文=ビアン
私は、思い切り殴られたい。どのくらい手加減すればいいのかは、相手に任せて、私は何も考えず、安心して痛めつけられたい。矛盾しているようですけど、私は、そうしてもらえないと、自分の気持ちを自由にさせられないのです。殺されたいのではありません。憎まれたいのでもありません。痛みなしに何かを受け取ることができないのです。傷つかずに快楽をむさぼる自分を許すことができないのです。
私は、変わった女だと思います。だから、私をマゾだとは思わないで下さい。私のような女は、いないものだと思って下さい。けれども、たくさんのマゾの方々が語っていらっしゃるように、私も、誰が相手でもいいというわけではありません。「この人なら」と認めた相手だからこそ、身を任せることができるのです。殴られたり、蹴られたり、首を絞められたりしたいと思うのです。肌が裂けて血が出るほど一本鞭で打たれ、痣になるほど肉を掴まれ、気を失うほど痛めつけられたいと思うのです。
分かったような顔をして、それは間違っているとか、心の病気だから治せるだとか、親切めかして言う人もいます。私のためを思ってくれていることは分かるのですが、私は、助けを求めているわけではないのです。困っているわけでもないのです。
私を失神するほど殴ってくれるパートナーがいます。傍目には、彼が私に暴力を振るっているように見えることもあるようです。彼や私の欲しているものが分からない人は、今度は彼を非難し始めます。私には、そういう人が、一番怖い。
彼と、私の間の約束事は、言葉ではうまく言い表わせないものです。呼吸と、勘と、信頼の上にある、二人だけのものです。私が納得し感謝していることに、なぜ、他の人が口出しできるのか、してもいいと思えるのか、疑問に思うことがあります。
心が自由になって、濡れた時、私は叫んで、獣になります。遠くに聞こえる彼の命令を聞いて、もっともっと自由にしてもらいます。全身が痣だらけになっても、責める手を緩めず、幸せを長引かせてくれる彼。
彼と私の間には、誰も入ってくることはできないはずです。私たちが正しい、私たちのようにしなさいなんて、言ったことはありません。きっと、彼を非難する人は、私のことを、冷静な判断のできない能無し女と蔑んで、だから、自分が言ってやらなければならないと、思いあがっているのだと思います。私の気持ちを知らないのだと思います。だから、書かせてもらうことにしました。
殴られて濡れる私は、その瞬間、これで彼を本気で愛することができると、昂ぶります。はしたない欲望を、彼のために解放できるという喜びで、全身が熱くなります。お腹を蹴られて、意識が遠のく時、身体がなくなって、魂だけになった気がします。
セックスでは得ることも与えることもできない快楽を、この瞬間に形にできたような気がして、嬉しくなります。だから彼には何度でも、いつまでも痛めつけてもらいたい。
時々、必要になる薬みたいなものです。月に一度のこの儀式のお陰で、毎日が安らかです。気持ちを形にすることが下手な私は、こんな形でしか愛情表現ができないことに切なさを感じますが、手間をかけて責めてくれ、それを喜んでくれる彼と出会えて、幸運でした。
男と女のしていることは、本人同士にしか分からないものだと私は思います。だから、話すなら、自分の好きなことだけにするのが、大事な姿勢ではないかと思います。私の幸せを分かって下さい。今日もまた痣になるほど殴られたいので。
「私は泥溝(ドブ)に浸かりたい」 文=野村螺旋
恥ずかしながら書かせていただきますと、私には「何故こんなものに惹かれてしまうのか」と自分でも首を傾げざるを得ないような、いくつかの性的嗜好があります。勉強のため、これまでに様々な文献を紐解いて参りましたが、中でも泥溝(ドブ)に浸かることから始まる私の奇怪な願望にぴったりくる事例には出会ったことがなく、まずは断片的ながら、この場をお借りして一人の異常者としてご挨拶しておこうと考えた次第です。
それはたとえば、こんな夢想となって私の胸に去来します。私のノートからの抜粋です。
「小さな町の家々に沿って、迷路のように張り巡らされた、泥溝。私は誰にも顧みられることのないその暗闇に身を潜め、ふたの継ぎ目にあるわずかな隙間から地上の世界を覗き見ることを日常としている。息を殺し、気配を窺い、人の意識の及ばない場所で、透明人間のような疚しさを胸に、ただそこにいるのである――」
私にとってまず大事なのは、「場所は絶対に人々の生活に密着した泥溝でなければならない」ということです。夢想の中、私は町の生活廃水にまみれながら、ただ一方的に見るだけの存在として地下の窮屈で孤独な回廊を徘徊しています。全ての人の足の下、私は鼻をつくガスの臭気で胸をいっぱいにし、掌や頭皮で汚水や苔のヌルつきを味わいながら、時に仰向けになって流れていることもあります。そしてふたの上を歩く女学生たちの足音を聞き、また楽しそうな笑い声を聞き、彼女らと同じ速度で、彼女らの足の下を、ゆっくりと移動しているのです。
以前、『奇譚クラブ』昭和49年2月号に「暗闇、穴、悪霊に魅せられた男」と題された岩本浩という方の告白が載っていてオヤと思い、興味深く読んだことがあります。暗い穴を見ると「ゾクゾクする様な快感が」身内を走り「穴の中に入りたくて、入りたくて、仕方がない様になってしまった」とのことで、氏は子供の頃に防空壕で味わった狭い暗闇への恐怖心が、長じてマゾヒスティックな快感に変じたのであろうと書かれています。なるほど、と自分に照らし合わせてみたのですが、どうも私の場合、畏怖の対象は人間一本に絞られているようです。
日常、泥溝を目にする機会は以前より減ってきました。けれど、子供の頃に見た吸い込まれるような黒い流れは、今も私の胸に健在です。夢想の中では、私の心の疚しさそのものとして現われているように思われます。
「ガーゼの感触に包まれて」 文=Mみどり
立体式のマスクをしていても、プリーツ式のマスクをしていても、私は、その下に必ずガーゼのマスクをしています。
三嶋由紀夫の『仮面の告白』風に言えば、「私は生まれて初めて包まれたガーゼの産着の感触を覚えている」ということになるのでしょうか。
今でもこの世に生れ落ちたときの、あの柔らかい感触が忘れられない、それを信じて疑わないのです。眠るときにガーゼに包まれていると、産着の感触が安心感となって深い眠りに誘ってくれます。ですから、旅行に出掛けるときもガーゼのハンカチを持参しています。その為に白いガーゼのハンカチを二十枚以上持っていますし、洗濯するときはフキン用の固形石鹸を使って、すべて手洗いしています。
そんなに多くのハンカチが何故必要なのかと言いますと、寝る時に最低でも四枚のハンカチを使うからです。それは熱帯夜の真夏でも、氷が張るような真冬でも変わらずに使用しています。
どのようにしているかといいますと、まず半分に折った白いガーゼのハンカチ二枚を重ねて鼻と口を覆います。次に、三つ折りにしたものを瞼の上に乗せ、最後に広げた状態のハンカチで顔全体を覆います。そしてアイマスクをして、その上から収縮包帯で何重にも縛ると完成です。もちろん、左右の耳には耳栓をしっかりと押し込んでおきます。寒くなると、五枚、六枚と使う枚数が増えていきます。しかも、口に当たるハンカチは数日で交換しますので、十枚くらいでは足りません。
白いガーゼに包まれた私には、収縮包帯を外さない限り夜が明けることはありません。どんなに寝返りを打ってもアイマスクが外れることはなく、音も遮断された暗黒で静寂な空間の中を何時間も浮遊し続けるのです。「私」という意識が目覚めない限り、布団の上に横たわる体は、私であって私ではなく、白いガーゼに包まれたまま安息の時間だけが過ぎていくのです。それは、あたかも生まれたばかりの赤ん坊が、半覚醒のままうとうとしている姿となんら変わりないように思います。
医学的にも、マスクをしたまま眠ると、暖かい空気を肺に取り込むことになって、心臓に負担が掛からず体にはよいようです。
端からみれば、白い全頭マスクを被っている物体としか映らないのでしょうが、ガーゼフェチとでも言われそうな私にとっては、それなりに意味があることなのです。
「GAL航空の機上サービス案内 2」 文=端井譲治 NEW!
……以上で救命胴衣の説明を終わります。
さてここでアテンダントは再び制服を脱ぐために順に厨房控室に入ります。その間を利用して私が機内サービスのご案内を申し上げたいと思ひます。もちろん私も後で脱ぎますわよ。ご心配なく。
以前は当社のキャビン・アテンダントは上から目線でお客様に接してゐる感がございました。それも会社破綻の一因と考へられます。私たちはそのことを深く反省し、今はお客様をご主人として文字通りご奉仕(サービス)させていただいてをります。皆様もどうぞ我々を召使、メイドと思召してご遠慮なくこき使ひくださいませ。
すでにご存じのやうに我社はジャンボ旅客機を順次廃止してをります。皆さまご搭乗のこの機も本来76人乗りの中型機でございますが、それを60人用に改造しゆつたりとしたご旅行をお楽しみいただけるやうになつてをります。このシートの広さもこれからのサービスの一環となります。
座席正面のポケットをご覧ください。ボールペンほどの伸縮式スティックが入つてゐるかと思ひます。これの使ひ方でございますが、まづカップルでご搭乗のお客様は男性がたとへどのやうなご用事であつてもアテンダントと会話した時、女性の方にそのスティックでアテンダントの尻を一回打つていただくことになつてをります。思いつきりどうぞ。男性客の皆様も、サービスが遅い、態度が悪い、顔が気に食はない、その他どんな理由でも結構ですので通路にアテンダントを立たせ、尻を屈ませてお打ち下さいませ。一度打たれるごとにアテンダントは大きな声でありがたうございました、と言ふことになつてをりますが、その声が小さいときにはまう一度、しつかりお礼が言へるまでお打ちください。
同じポケットにアンケート用紙が入つてをります。各アテンダントごとの項目別5段階評価表になつてをります。
遠井カナ
愛 嬌 5 4 3 2 1
応 対 5 4 3 2 1
態 度 5 4 3 2 1
顔が好きか 5 4 3 2 1
体が好きか 5 4 3 2 1
森 香織
愛 嬌 5 4 3 2 1
応 対 5 4 3 2 1
態 度 5 4 3 2 1
顔が好きか 5 4 3 2 1
体が好きか 5 4 3 2 1
斎藤優奈
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たいへんお手数ではございますが、目的地に到着するまでにこの評価表にご記入くださいますやうお願ひいたします。クルーのうち最低点を取つた者は現地での反省会ミーティングの後全員から罰を受けることになつてをります。これもサービスを向上させ一日も早く皆様のご信頼を獲得するための試みでございます。どうぞご協力をお願ひいたします。
この評価をしていただく上で次のやうなお遊びはいかがでせうか。アテンダントの身体の部分を指してそこの名称を言はせるのでございます。我々全員が大学卒、外国語も堪能なインテリでございます。おつぱい、おへそぐらゐまでは平気でせうがそれ以上の卑猥な個所をどのやうに表現するか、どうしても言はなければ減点ですし、あまりあけすけに言はれても面白みがございませんよね。これも減点してください。アテンダントの困つた顔をお楽しみいただきますやうに。
さて、当機は離陸して10分も経ちますと日本国の領域を脱します。それから米国領に入るまでの間、皆様の前にある液晶画面でギャンブルを楽しんでいただきます。ゲームはルーレット、ポーカー、スロット、花札のうちお好きなものをお選びくださいませ。後ほどゲーム用カードを1枚2万円で販売いたします。もし使ひ終つた場合は再度販売いたしますが、お1人様あたり3枚までとなつてをりますのでご注意くださいませ。着陸前に現金で清算いたします。
プレイ中画面にスチュワーデスマークが現われることがございます。その時はお好きなアテンダントをお膝の上に乗せてプレイすることができます。プレイの操作をアテンダントにさせても構ひませんが、そのゲームの結果はお客様のご責任になることはご了承ください。腹いせに先ほどのスティックをお使ひになるのは結構でございます。このサービスは1回につき20分続きます。画面のマークが消えた時点で終了となります。またシートベルト着用のサインが出た際には直ちに終了となりますので、その点もご了承くださいますやうお願ひいたします。
まもなく離陸でございます。シートベルトをお締めくださいませ。離陸後水平飛行に移り次第お食事のサービスをいたします。その際はアテンダントが裸の上にエプロン着用することをお許しくださいませ。
それでは到着までのお時間、ごゆつくりとお過ごしいただきますやうお願ひいたします。我々も誠心誠意尽くして参ります。
「昭和緊縛写真コレクション2」 写真・文=大橋喜市朗 NEW!
写真の女性は私の行きつけのヌードスタジオに所属していたモデルで仮の名前を晶子と言います。出会ったのは昭和40年代の半ば頃、そのダイナミックなプロポーションに惚れ込んで何度となく通っているうち、個人的な撮影にも応じてくれるようになりました。お送りした写真のうち、モノクロのものはヌードスタジオで撮ったもの、カラーのものは後にラブホテルで撮ったものです。
今でこそ外国人女性のようにスタイルいいお嬢さんは珍しくありませんが、その当時、彼女ほどのボディの持ち主はテレビで見る芸能人の中にだってそうはいませんでした。一緒に歩いているとすれ違う男たちが口惜しそうな眼で私をグッと睨みつけてくるくらい、パッと目を引く、花のある女でした。
撮影時の私の興奮も相当なものです。二人きりでラボホテルに入るだけで十分エロチックなのですから、衣服を脱いだ晶子のボディをファインダー越しに覗くことは、もう十分背徳的な行為の範疇に入っていました。さらに加えて、私は晶子を縄で縛るのです。
当時から、ヌードスタジオなどで働いている娘はよく偏見の眼で見られたものですが、晶子に限らず、写真に撮られることが好きな女は、その裏側に強い羞恥心を隠し持っています。美しく撮られたいと思う自己愛は、醜く見られることへの恐怖と一体になり、その一方で、男によって崩される儚い己の美しさも知っている。そういう逆説的な欲求を調節する弁の役目を果たしているのが、羞恥心だと思います。女を美しく撮りたいと願っていた私にとって、それはとても重要な要素でした。
縄は女の羞恥心を外部から操作するのに大変有効な装置だと思います。縛られた晶子は、最初モジモジとして、次にクナクナと心棒を失ったようになり、やがては、泣いているような声を上げて自分のからだを激しく揺すりクネらせます。そうなると、もうポーズをつけるなんてことはできません。多くの方は、そんな時こそシャッターチャンスだと思うでしょう。羞恥心を撮るのなら、そこが好機だと。ましてやSMマニアならそう感じるのが本当だろうと思います。
ところが私は変な男で、SMが好きなくせに、そういうときにはほとんどシャッターを押さないのです。そのためにマニア仲間から叱られることがあるのですが、これはこれで、私の性癖です。私は、女が、美しく見られようとして自分を飾り、言葉は悪いですが周囲を偽っている姿にゾクゾクするような興奮を覚えるのです。縛られても、責められても、女として世界を偽り続ける。対面を必死に保とうとする。そして現に保つ。それが私の求める被写体です。
晶子は私にとってとても面白い、理想的なモデルでした。その後、しばらく会えずにいた期間に連絡がとれなくなり、それっきりになってしまいましたが、きっちと今でもいい女っぷりでいることと思います。
(「あぶらいふ」新着投稿作品展示室 2010 Juneに続く)
【応募要綱】
「あぶらいふ」では皆様からの力作投稿を募集しています!
★体験談、告白、写真、イラスト募集、貴方のアブノーマルライフをお好きな形で表現して下さい。
SM、フェチ、同性愛などジャンルは問いません。他の投稿者へのご意見、ご感想も大歓迎です。
★投稿はこのページ下段の投稿フォームもしくは郵送にてお願い致します。
作品は編集部が厳重に保管の上、厳選して『WEBスナイパー』の「あぶらいふ」にアップ致します。
★恐縮なのですが、いずれの作品に対しましても、原稿料・謝礼等をお支払いすることができません。
ご了承の上、是非「WEBスナイパー」並びに「あぶらいふ」が目指すサイト作りへのご協力をお願い致します。
★応募方法
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「S&Mスナイパー」の射程と雑誌内雑誌「あぶらいふ」の行方 文=井上文