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あるお店でのアブノーマルな体験をきっかけにディープな変態快楽に溺れこんでいく青年・珍太。悪夢とも淫夢ともつかないその世界で、珍太が最後に見る光景とは......。「女囚くみ子」シリーズの浜不二夫氏が描く大人に向けた紙芝居。
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人妻調教・番(つが)いの奴隷(珍太の仲間たち)

「珍太、今日はお前はお給仕係だよ。ショーは新顔の番い(牡牝一組)が勤める」

ママのマンションでのパーティに呼び出された私は、そう告げられました。

ホッとしたような、チョッピリがっかりしたような変な気分......お給仕係でも、首輪だけのスッパダカにされて、短い鎖の手枷。丸出しのオチンチンには曳き紐が付けられますが、お願い札は下げられません。この姿で、お客様にお酒やお料理を運ぶのです。

ショーを勤める牡牝奴隷は、部屋の隅に正座させられていました。袋をかぶされて顔を隠して頂いていますが、当然のこと首から下はスッポンポン。牝奴隷のお乳もお股も、牡奴隷のオチンチンも丸出しで、後ろ手錠を掛けられています。もちろん嵌口具も銜えさせられているのでしょう。初めて大勢の人目に恥を晒すのです。身を縮めてうなだれている姿が哀れでした。

程よく皆様がお料理やお酒を召し上がってからショータイム。まず牡奴隷が中央へ曳き出され、調教師様の靴で首筋を踏まれ、床を舐めて平伏します。録音された声が流れました。

「牡奴隷の珍吉でございます。まだ何もできない芸無し猿。鞭を頂戴して泣き喚く姿をお笑いください」

鞭で叩かれながら、無理やり云わされたのでしょう。かすれた泣き声に交じる鞭音が残酷でした。

調教師様に命令されて、彼は床を舐めたまま、哀れにお尻を高く上げました。私は目を背けました。いつも私がさせられている姿勢の浅ましさ。牡奴の高く上げたお尻の後ろから、お尻の穴もチンチンもタマタマも丸見えになっています。傍らに立ったママが鞭でそこを突っついて辱め、続いて、唸りを上げて鞭が振り下ろされました。ハダカのお尻を鞭打たれて、牡奴隷は、嵌口具の中で獣のように泣き喚いて身を悶えます。肛門に真っすぐに鞭が打ち下ろされた時には、彼は調教師様の靴をはねのけて仰け反り転げ回りました。

どんなに痛いかを知っている私は、心から同情したのです。

平伏して鞭のお礼を云わされた彼が戻ると、牝奴隷の番でした。

「牝奴隷の万子でございます。元の夫の不始末でこんな姿になりました。亭主への仕置き。元夫の目の前で皆様に犯して頂くようご命令を頂きました。どなたでも結構です。私を慰んで頂きとうございます」

半ばヤケになっているのでしょう。彼女の口調はむしろサバサバしていました。希望者が何人か手を上げ、前手錠に嵌め替えられた女は、中央のマットレスに仰向けに寝かされました。男たちが取りつき、何本もの手で体中の敏感な箇所を責め立てられ、切なく喘がされ、そして......ジャンケンで勝った男から順番に貫かれて、彼女は、女にとってこれ以上ない辱め、元夫を含めた大勢の男の見世物になりながら輪姦され、そのことで哀れにも昇天させられたのです。

パーティが終わって、お客様が帰られた後、スタッフには食事が出され、私たち奴隷にも餌が与えられます。私たちの奴隷の餌は、お客様のお皿に残された残り物ですから、汚らしくはありますが、美味しいものでした。

嵌口具を外して頂いた私たち三匹は、後ろ手錠のまま、床に置かれた餌皿に顔を突っ込んで食べたのです。

元夫婦の奴隷の間柄は明瞭でした。元夫はオドオドと元妻の顔を窺い、元妻は彼の顔を見るのも嫌という様子。元夫に(ハダカの)お尻を向けています。

嵌口具を外された私たち、いつしか彼女は、こんな境遇に落とされたわけを私に話していました。元夫への面当て、聞いて欲しかったのかも知れません。

「貴方がチンポ奴隷の珍太さんね。名前は聞いてた。可哀相な名前。でもこいつは珍吉で、私はそのものズバリ、万子よ。淫売女以下の男性用公衆便所、畜生の性交奴隷にはピッタリの名前だわ。もう私たちは人間じゃないってことなのね。全部このバカ夫のおかげよ。私が自殺もしないで、この浅ましい性交奴隷の暮らしをしているのは、妻の私が恥を晒すことで、こいつを辱めてやりたいからなの。まあ話を聞いてください」


万子の身の上話(語り・万子)

私は座敷の中央に身をすくめて座っていました。私の前には、幼なじみで、今は、あまり評判のよくない金融業者のHが、床柱を背負って、青白く悪酔いした顔で目を据えているのです。

「ホホウ、なるほど。つまり、貴女のお話というのは、明日がお貸しした金の期限だけど一円も返せない。それどころか、追加融資をして欲しい、ということですね」
「......申し訳ありません。あてにしていたお金が、先様の倒産で全然入らなくなったんです。後生一生のお願いです。この通りです」
「頭を下げれば済むほどビジネスの世界は甘くないんですが......ほかならぬ貴女の頼み、ご相談しましょう」
「有難うございます。有難うございます!」
「お礼はまだ早いんです。この融資の連帯保証人は貴女で、お貸しするときに担保のお約束をしましたね」
「担保って......アノ......まさか......」
「もう二重、三重に抵当権がついたお宅の不動産では担保価値がないから、貴女のお体を担保に入れて頂きまょうというお話をしましたね」
「でも、それは冗談......あなたも笑いながらだったし......」
「そう、笑いながら。そして貴女も、笑いながらご承知なさった」
「だからって、まさか......」
「貴女は零細金融業の僕を捨てて、老舗の若旦那の彼と結婚さなった。僕は、泥の中を這い回るようにして今の地位を築いた。お坊ちゃんの彼は何をしてるんです? この場にさえ顔を出さない。借金を返済期限に返せなければ担保は当然実行されます。追加融資は、担保にさらに価値があるかどうかによります」
「Hさん! あなたって人は!」
「何とでも云ってください。明日の融資返済を待つ条件は、貴女がスッパダカで縛られて、僕がこれから飲む酒の肴になってくださることです。追加融資については、そのあと一晩、ユックリご相談しましょう」
「スッパダカ......縛られて酒の肴......そのあと一晩......」

まとまったお金のお願いをして、一晩相談しようと云われたのです。「一晩」がどういう意味か、子供ではなし判ります。それに加えて、羞恥の姿で酒席に侍(はべ)って、辱めを甘受しなければならない。死ぬほどの屈辱でした。

でも、銀行から親戚知人まで、当たれるところは全部当たってみた後でした。ほかに融資のあては皆無なのです。私は縄で縛られる前に、お金に縛られて身動きができなくなっていたのです。

三十分後、私は腰巻き一枚のハダカで後ろ手に縛られて、明るい座敷の床柱に縄尻を繋がれていました。

彼のお店をつぶすわけにはいなかい。死んだ気になって、私は自分の体を投げ出す決心をしたのです。それでも、Hの妾だという女将に案内されてこの離れ座敷に入り、女将が薄ら笑いを浮かべながら縄を手にして来た時には「ワッ」と叫んで逃げ出したい気持ちでした。

縄を取りに女将が開けた襖の向こう。隣室には、けばけばしい色の夜具が敷かれ、枕が二つ。アア、あそこで今夜、生け贄の私は料理されるのです。

「ホホホ、さあ奥様。お手々をお縛りしますから、おベベを脱いでくださいまし」

意地悪く縄を見せ付けながら、馬鹿丁寧な言葉遣い。私は唇を噛みながら帯を解くしかありませんでした。

肌襦袢を脱ぐと、私は、乳房を腕で抱えてしゃがみ込みました。後は腰巻き一枚なのです。

「フン、まあ、腰巻きを着けてたほうが、脱がす楽しみがあるってもんか。奥様、腰巻きの下にズロースを穿いていらっしャいます? 穿いてたら、それは脱いでくださいな。奥様がズロース穿いてると、私が叱られてお仕置きされますから」

命令されて、女の最後の一枚を脱がされる口惜しさ、惨めさ、恥ずかしさ。でも、逆らいようもなく、私は顔から火が出る思いで後ろを向いて腰巻きを捲り、薄い和装用の下穿きを脱ぎました。本当に腰巻き一枚、その下は全部丸出しにさせられたのです。

「さあお手々を後ろに回してくださいな。フン、自分が抱く女の支度を私にさせるんだから、本当に腹が立つよ。奥様、貴女も惨めか知らないけど、私にしてみれば、男をあんたに寝取られるんだ。そんな恨めしそうな目で私を睨まないでよ。そっちこそ、身から出たサビなんじゃないか」

云われれば、そんな気もします。女将は慣れた手つきで私を縛り上げました。私の両手は背中で空を掴むだけ、縄で締め上げられた剥き出しのお乳は隠せず、割れて妖しい辺りまで覗かせてしまう腰巻きの前さえも、直しようがなくなりました。

男が来て私のハダカをジロジロと見、体の隅々まで悪戯されても、私はその手を払い除けることも、それから逃げることも出来ないのです。ハダカに剥かれ縄で縛られた女。それは何をされても仕方がない、身も心も征服されて降伏してしまった奴隷女なのだと、自分の心でハッキリ思い知らされました。酒の用意をして女将は出て行き、私は屈辱を噛み締めながら一人で待たされたのです。





襖が開いて彼が入ってきました。私は身悶えしましたが、立つことさえ出来ません。顔を伏せ、体を竦めているしかないのです。彼は私のすぐそばに腰を下ろしました。アア、こんな姿を全部見られる......。

「やあお待ち遠さま。いい格好で待っててくださって幸せです。少し太られましたか。ムッチリしたお乳に縄が食い込んでむごたらしいですな。オヤ、お腰の下はノーズロースですか。大和なでしこの心意気、結構結構。明日の返済を待つ条件が、貴女がスッパダカで私の酒の肴になることでしたね。まだ腰巻きを着けていらっしゃいます。条件が整いませんよ。手を縛られていて、ご自分じゃ脱げない? 私に脱がせて欲しいんなら、口ではっきりと『腰巻きを脱がせてスッパダカにしてください』と云って頂かないとね」

猫がネズミをいたぶるような陰湿な苛め。結局私は、血を吐く思いで屈辱のお願いを口にし、スッパダカに「して頂か」なければなりませんでした。

スッパダカと腰巻き一枚、どれほど違うの?と思われるかも知れませんが、肌を覆う物が何ひとつない屈辱感はやはり堪え難いものでした。腰の周り、おへその下をスースー風に弄られる恥ずかしさ、惨めさは、人間ではなくなったような気分にさせられてやはり別なのです。

縄さえも解かれませんでした。縄尻をとられ、襖の向こうの布団へ追い立てられ、スッパダカの後ろ手姿のまま、布団に仰向けに転がされました。体をどうにかされるにしても、こんな獣のような扱いではなく、せめて縄を解いてシテほしい。心底からそう思いました。でも、そんな哀願をしても叶えられるはずがなく、惨めさが増すだけだと判っています。彼は私を辱めて復讐したいのですから。

彼の体重が、私のハダカのお腹にかかります。

「惨めなスッパダカで、後ろ手に縛られたまま......私がこんな目に遭うのは誰のせいよ」

結婚以来、夫以外の男とスルのは、もちろん初めてです。頭に浮かんできた夫を思い切り罵りながら、私はシッカリと目をつぶって体を開きました。

後ろ手の腕がグキリと鳴って、私は貞操を失っていました。

彼はなかなか巧みでした。小一時間も体を弄られて、私は浮かんでくる夫の顔に復讐するかのように、半ばヤケになって彼に身を任せ、声さえ立てていました。私は体も心も彼に操を奪われて、彼に落とされたのです。

「私は縛られてるのよ。仕方ないでしょう」

アソコの後始末まで彼にしてもらって、私は開き直っていました。縄は解かれず座敷に戻されて、明るい光の恥ずかしさ。私は自分から彼の胸に身を預けていきました。勝気と云われてきた私の心のどこに、こんな娼婦が住んでいたのでしょう。自分でも驚いていました。

「ねぇ、縄をほどいて、手が痺れて辛いわ。何も出来ないし」
「フム......じゃ、前手縛りにしてあげるから、お酌をしてもらおう」

縛られていたほうが、自分に言い訳が出来るような気がします。後ろ手縄を解いてもらい、緩やかに前で縛られました。手首にクッキリついた縄の痕、私ってカワイソウ。彼にお酌をし、私も飲んで、幼い頃の思い出話をして......もう私たち、体も一つになったのです。

夫を裏切ったことの後悔はほとんどありませんでした。夫のせいでこんな目に遭ったという気持ち。私はこんな性悪で淫奔な女だったのかしら。

翌朝になっても着物は着せて頂けず、朝食が済むとまた後ろ手に縛られて(私、自分で手を後ろに回していました。私ってエッチ!)、スッパダカの後ろ手で正座させられている私の前で、彼が夫に電話しています。

「会社の状況は、奥様に一夜身をもってご説明頂きました。今日の支払いは一カ月待ちましょう。条件は、奥様に質権を設定することです。質物ですから、当方で預かります。ちゃんと保管しますからご心配なく」

夫が憤然と電話を切ることを一応は期待しました。でも夫の返事は、「よ、よろしくお願いします......」だったのです。

あれから一カ月。私は彼の家に「保管」されています。四六時中一糸纏わぬスッパダカで、鍵付きの首輪と鎖で柱に繋がれて......。

一カ月経っても夫はお金が返せず、私は質流れで、彼の所有物になったと伝えられました。構いません。私は彼の飼い犬のようなこの暮らしが、結構気に入っているのです。何も思い煩うことはなく、彼の躾だけ頂いていればいいのです。夫のことなど思い出したくもありません。


(続く)

浜不二夫
異端の作家。インテリジェンス+イマジネーション+ユーモアで描く羞美の世界は甘く、厳しく、エロティック。
「 悪者に捕らわれた女性は、白馬の騎士に助けてもらえますが、罪を償う女囚は誰にも助けてもらえません。刑罰として自由を奪われ、羞恥心が許されない女性の絶望と屈辱を描きたかったのです。死刑の代わりに奴隷刑を採用した社会も書いてみたいのですが――」(「女囚くみ子」について)
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15.11.13更新 | あぶらいふ  >  珍太調教
作=浜不二夫 |