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(C)2016 DOCFILM4TIFFCO LLC a subsidiary of QUIXOTIC ENDEAVORS LLC. ALL RIGHTS RESERVED. (C) 2016 Quixotic Endeavors

WEB SNIPER Cinema Review!!
ティファニー初のドキュメンタリー映画
世界で最も有名なジュエリーブランド、ティファニー。来年180年を迎えるこのジュエラーの魅力の核とは何か......。女優やセレブ、映画監督、関係者などへの膨大なインタビューと共に、アメリカの宝石店が世界的な人気ジュエラーになるまでを本邦初公開となるエピソードも交えて紹介する。

新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開中
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もうこの映画出てくるやつがほぼ全員ムカつくんだよ。「中学生の時に祖母からもらったの!」とか言って、次から次へと出てくるティファニー購入者たちの顔は、そのまま俺がいままで見て来たアメリカ映画のありとあらゆる嫌なキャラの顔とそっくり。しかもどいつもこいつもハシャいでるのがさらにムカついてくるのだが、おしゃまな女の子ふたり組が出て来て、ドキュメンタリーの進行役のようになっていくのでホッとする。この二人、なかなか鋭いことを言う。たとえば「宝石屋さんにストーリーは必要ないはずよ」。その通り!でもブランドにはストーリーが必要で、それこそが本作の映し出す「秘密」に他ならないのだ。

というわけでまず箱の話がはじまった。彼らはかなり箱に気合を入れている。緑色がかった青の箱に白いリボン、ああ、あの箱を開けてみたい、リボンを引っ張って、そしたら出てくる、光り輝く(x)が......。そんな気分こそが買い物の蠱惑だということに、ティファニーはユーチューバーの150年くらい先に気がついていた。今でこそ人気ジャンルになっている箱開け動画(開封の儀)だが、ティファニーが箱開け大好き人間たちに囲まれたのは、19世紀半ば。特徴的な箱をデビューさせるとすぐに、「箱だけ売ってくれ」というオファーが届きだし、しかし彼らはこう答える「いくらお金を積まれてもお売りできませんが、商品を買っていただけた方には無料で差し上げます」。ティファニーは「開封の儀」の快楽を、安売りしなかった。
黒人のスタンダップコメディアンがティファニーをディスりまくる場面も出てくる。「裕福なやつら!白人の!あのバカ高い青い箱を買うような......」会場から笑いが起こり、しかし青い箱というだけで観客の誰もが理解する。その箱は色(ティファニー・ブルー)によって強烈な個性を放っている。映画は箱から、その色の秘密へと迫って行く。

(C)2016 DOCFILM4TIFFCO LLC a subsidiary of QUIXOTIC ENDEAVORS LLC. ALL RIGHTS RESERVED. (C) 2016 Quixotic Endeavors

一流のブランドとなるには、時代を超えて輝く強烈なストーリーが必要になってくる。たとえばシャネルの商品には、ココ・シャネルの神話がまとわりついている。孤児院で育ち、やがて世界中の女性の服装や意識や地位を変えていった彼女の生涯は、映画化され出版され、神話となって永遠に輝き続ける(彼女の映画は4本ある)。次のストーリーはミステリアスな男、カール・ラガーフェルドに受け継がれ、それも『ファッションを創る男~カール・ラガーフェルド~』(ロドルフ・マルコーニ監督)としてドキュメンタリーになった。ディオールに19歳で見出され、のちに自らのブランドを打ち立てるイヴ・サン=ローランもまた、若くして天才と呼ばれ、若くして散っていく本人のストーリーがそのまま、ブランドの伝説と重なり合っている(最近相次いで彼の映画が公開された)。苦悩するラフ・シモンズの姿に迫ったクリスチャン・ディオールの秘密にせまる『ディオールと私』(フレデリック・チェン監督)も最高だったし、さてティファニーはというと......ブランド初のドキュメンタリー映画である本作にも、やっぱり創業者チャールズ・ルイス・ティファニーが出てくる。なんか髭を生やしたおっさん、彼の伝説はたとえば「人死にが出るほどの大雪の日でも一人出勤し、たった一人の客に80セントの研磨剤を売っていた」というものらしい。へぇ~。また別の社長が出てくる。「どんなにお金を積まれても、安息日である日曜日には営業しません」ふ~ん。お金の話ばっかり。なんか、引退した社長の自費出版した伝記本でも、読まされてる気分になってくる。そこでやっと気づく、ティファニーは本質的には地味な男によって作られた会社なのだと。でも彼らはタイアップによって伝説を手に入れた。それこそが『ティファニーで朝食を』(ブレイク・エドワーズ監督)であり、オードリー・ヘップバーンが、ティファニーを永遠に輝かせる神話なのだ。生身のストーリーではなく、ハリウッドのフィクションによって、自らをブランディングする。さすがアメリカという感じがする。

歴代のジュエリー・デザイナーが紹介され、その中にはピカソの娘や、モデル出身のクレイジーギャルや天才フランス人なんかもいる。アナ・ウィンターや、Vogue中国の編集長も出てくる。『華麗なるギャツビー』(バズ・ラーマン監督)や『メラニーは行く!』(アンディ・テナント監督)のシーンが流れ、監督たちがティファニーへの感謝を述べる。それにしても、「こちらはすべて1億円以下のお値打ちものばかりでございます。現金のみのお支払いでうけたまわります」とか言う店員を見ていると、なめてんのか!と思う。ダイヤモンドはじめ、全ての宝石は不当に高価で、いつかロシアのクレーターから巨大鉱脈が見つかったり、ダイヤモンド惑星からいくらでも採掘できるようになって、値段が鉛筆と一緒くらいになればいいのにと思う。高かったり、稀少だったり、美しかったり、ストーリーがあったりする宝石、それはなんのためにあるのだろう。
この映画で誰よりも、その価値を雄弁に語っていたのは、本店の元・名物販売員と呼ばれる女性だった。彼女が昔にした、すごいいたずら。細かくは述べないが、彼女はある夜のティファニーでのいたずらを経て、一生忘れられない体験をしたという。そして「人生の長さは心臓が何回動いたかで決まるんじゃない、息が何回止まったかで決まる」と気づく。それって人生の秘密じゃないの!? ブランドの秘密がそこに通じているなら、宝石も悪くない。ティファニー、許す!!

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文=ターHELL穴トミヤ

世界のラブストーリーが、ここから始まる――。


『ティファニー ニューヨーク五番街の秘密』
新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開中

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原題=『Crazy About Tiffany's』
監督=マシュー・ミーレー
出演= バズ・ラーマン、デール・マルコビッツ、レイチェル・ゾー、ロブ・マーシャル、ジェシカ・ビール
配給= ファインフィルムズ

2016年│アメリカ│カラー│英語│87分

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映画『ティファニー ニューヨーク五番街の秘密』公式サイト

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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。
http://sites.google.com/site/tahellanatomiya/
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