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「エロバリ」第2弾! 気になる作品『姉妹狂艶』先行上映会レポート!!
“障害のある人たちが、エロティックな映画を映画館で楽しめ、体感できる環境を作る”というスローガンの下、女性による副音声と日本語字幕を付けたバリアフリー仕様の映画を製作し上映するプロジェクト、「エロティック・バリアフリー・ムービー」略して「エロバリ」。その第二弾として製作された最新作『姉妹狂艶』の先行上映会&トークショーの模様を遠藤遊佐さんにレポートしてもらいます!!10月29日(土)よりポレポレ東中野にてレイトショー
11月5日(土)よりUPLINKにてモーニングショー
皆さんは“エロバリ”という言葉をご存知か。
前バリじゃありませんよ、エロバリ。それは障害のある人達にもエロティックな映画を映画館で楽しんでほしいというプロジェクト(“エロティックバリアフリー”略して“エロバリ”というわけです)。
私なんかも、辛いにつけ楽しいにつけエロで自分を奮い立たせてきたクチでして、身体的な事情でそれがままならない人たちに気軽にエロを楽しんでもらえたら……という理念には共感するところ大。いやあ、すばらしいじゃないですか!
今回、その第二弾となる『姉妹狂艶』が10月末から劇場公開されるにあたり、主演である範田紗々ちゃんを招いてのトークショー&上映会が行なわれるということで、意気揚々と出かけてきました。
場所は渋谷のおしゃれなレストラン。入場は女性限定。
というのもですね、バリアフリーというのは何も障害のある人とない人との壁をなくすというだけには限らない。今の社会では女性がオープンにエロを楽しむにも壁があって、それをも取り除きたいという想いがあるからだとか。なるほど、最近めっきり図太くなってしまって忘れてたけど、確かに一般女性がエロティックな映画を観るために映画館に足を運ぶのは簡単なことじゃありません。そういう意味でもバリアフリーを目指してるわけですね。
会場に足を踏み入れると、そこにいたのはもちろん全員女性。そして入場時にはなぜかTENGA EGGが貰えるという謎の至れり尽くせりっぷり(女がTENGA貰ってどうするのかとか野暮なことは言うなかれ、いろんな使い方があるんですよ。ちなみに隣の席に座ったOL風のお姉さんが「わー、雪見大福みたいー」とか言いながらTENGA EGGをいじくってるのを見てムラッときたのは内緒です)。
まずはビールを一杯やりながら、範田紗々ちゃん×ロマンスライターのピンク先生(美女!)の赤裸々トークを堪能。そして引き続き、映画『姉妹狂艶』観賞。
一見ロマンポルノみたいなタイトルですが、1980年代から『もう頬づえはつかない』『四季・奈津子』『ラブレター』といった女性映画で一世を風靡してきた東ヨーイチ監督作品だけあって、いやらしくもちょっと謎めいた雰囲気。奔放で不思議な魅力を持つヒロインの内面に触れるような内容になっています。
ストーリーはこんな具合。
ある日、ふと深夜バスに乗って遠距離恋愛中の恋人の家を訪れた歯科助手・葉子(範田紗々)。しかし恋人・公平が眠るベッドの横には、なんと実の姉・幹子がいた。
驚いて部屋を飛び出した葉子だったが、こんなことは始めてじゃない。姉は木の幹の幹子、自分は葉っぱの葉子。葉っぱがないと幹は生きられないけれど、幹がなければ葉は枯れてしまう。過去には2人で1人の男を共有していたこともある――。
田舎道でたたずんでいるところを中年漫画家・矢部に拾われた葉子は、彼に「ホテルに行きませんか?」とゆきずりのセックスを提案する。最初は一回だけのつもりだったが惹かれ合い、逢瀬を重ねる2人。しかし、やがて幹子の影は矢部にも忍び寄り、バーで偶然出くわした幹子×公平、葉子×矢部の2組のカップルは……。
いいなと思ったのは葉子と矢部がラブホテルに籠ってヤリまくるくだり。AVじゃないので直接的なシーンはないのだが、セックスを中断して裸で焼きそばをバクバク食べたり、ベッドの上で互いを写真に撮り合ったりするのはなんだかキュンとしてしまう。
そして、なんといっても「姉は幹、私は葉っぱ」という姉妹の不思議な関係性。
私は姉妹がいないからわからないんだけれど、葉子は姉に男を寝取られても怒って縁を切るようなことはしないし、幹子も悪びれるところがない。それどころか一度不穏な雰囲気になっても、少しすると「公平ってアナルセックスしたがらない?」なんて話を平然としたりする。
姉に彼氏を寝取られるというヘビーな内容でありながらも、陰湿な感じはせず、2人がしっかりつながっているところが心地いい。
とまあ、こんな感じで内容的にも見ごたえありな作品なんですが、この映画を観た人が衝撃を受けるのは、なんといっても副音声でありましょう。
そもそもこの“エロバリ”の一体どこがバリアフリーなのかというと、まず公開される映画館(ポレポレ東中野と渋谷アップリンク)は車椅子用のスペースがあったり、トイレやエレベータがあったりというバリアフリー対応(詳しくは映画館までお問い合わせを!)。そして日本語字幕と副音声がついていること。
日本語字幕&副音声というとテレビの福祉系ドラマなんかでもたまに見かけたりしますが、こちらはエロバリ仕様。普通の副音声じゃないんですね。
どこが違うのかというと、まずナレーションの声が色っぽい。なんかこう、息遣いがわかるような話し方なんですよ。そしてさらに素晴らしいのは、濡れ場でもしっかりセクシーに状況説明してくれるところ。
例えば範田紗々ちゃんが全裸でセックスするシーンだと、
「大きな乳房の上にピンク色の乳首。それを吸う矢部……左……そして右。滑るように下に唇を這わせていって……」
なんてことを、お色気たっぷりに描写してくれるわけです。まるで官能小説を朗読してくれてるような感じ。
「登りつめる葉子……ぼんやりとした表情。あら、いつもより早くイッちゃったみたい」
なんて、画面を観てるだけじゃわかんない情報まで盛り込んでくれることも。
いやあ、これ、ヘッドフォンかなんかで聞きながら観たらけっこうグッとくるんじゃないですかね。バリアフリーの意外な副産物。この副音声だけでも聞く価値アリ。
会場に足を運んでいた妙齢女子のみなさんも、アルコール片手にリラックスして濡れ場を楽しんでらっしゃいました。こっちのバリアフリーもかなりいい感じに進んだ模様。12月にはDVDも発売されるらしいので、劇場に足を運べない人もヘッドフォンを用意して観てみてはいかがでしょうか。
文=遠藤遊佐
ひとりの男性を共有する美人姉妹の濃密な絆とアブノーマルな肉体関係!!
FLV形式 1.59MB 0分40秒
『姉妹狂艶』
10月29日(土)よりポレポレ東中野にてレイトショー
11月5日(土)よりUPLINKにてモーニングショー
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映画『姉妹狂艶』公式サイト
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