WEB SNIPER Cinema Review!!
女優ロリ・ペティが自ら監督・脚本を務める自伝的作品
1976年、アイオワ州のさびれた町に暮らす14歳の少女アグネスは、夜ごと賭博やセックスを求める男たちが集う家に住み、ドラッグ中毒の母親から売春を強要されながらも、2人の幼い妹を守って必死に生き抜こうとする――。後に『世界にひとつのプレイブック』でアカデミー賞を受賞することになるジェニファー・ローレンス(アグネス役)と、同じく後に『キック・アス』でブレイクするクロエ・グレース・モレッツ(妹役)が共演!2月22日(土)より、新宿シネマカリテ、シネ・リーブル梅田ほか全国順次公開!
『キック・アス』でクロエちゃんに目覚めてしまった......。ロリコンとさげすまれてもいい、変態とそしられてもいい、俺はモレッツ萌えなんだ! そんな人たちをキモイ・モーレッツ軍団と呼ぶらしいが、他ならぬ私もその1人だ。だからこそこないだの『キャリー』はショックだった。「なんだか肩幅が広くない......?」「モレッツちゃんが大人になってしまった......!」。このぶんではキック・アス2こと『キック・アス ジャスティス・フォーエバー』のモレッツちゃんは、もうタキシードドレスの似合う大人のレディに違いない!こわい!そんなの耐えられない!観たいけど観たくない! そしてキモイ・モーレッツ軍団は次々とクライ・猛ウッツ状態へと落ち込んでいったのだが、そこに同日公開でぶつけてきたのが本作『早熟のアイオワ』なのだ。
この映画の製作は2008年。なぜ6年も前に作られた映画を、今さら公開するのか? そのわけは、もうお分かりだろう。この映画のモレッツちゃんはまだ幼い! なにしろ本作の製作は『キック・アス』を、さらにさかのぼること2年前。成長したモレッツちゃんを受け入れることができない「未熟」のアイオワたちが、本作に殺到することは火を見るより明らかではないか! これを見越した配給会社には悪魔的な洞察力を感じる。
実話を元にしたというにはあまりに衝撃的な本作の舞台は、アイオワ州の売春宿。男たちが出入りし、ピンプが金を回収しにくる一軒家に、売春婦の母親と、その3人の娘が住んでいる。14歳の主人公、アグネスを演じるのは当時17歳のジェニファー・ロレンス(『ウィンターズ・ボーン』『アメリカン・ハッスル』)。本作でモレッツちゃんはあくまでも脇役、彼女の妹の1人を演じている。
学校に行く前にアグネスがすることは、前夜の客をリビングから追い出すこと。乏しい食材で朝飯をやりくりし、妹を起こし、新聞配達のバイトに送り出す。母親を殴ってその日の売り上げを回収するピンプと、しかし彼女は最近キスをした。
新聞社の編集部でバイトをするアグネスの成績はオールA。さらには女子バスケットボールのエースでもあり、普通なら将来への希望で光り輝いているはずだ。しかし彼女には母親が「そろそろ体を売り始める時期だ」と迫ってくる。さらには州大会の大事な試合を控えるなか、ピンプとのあいだにも事件が勃発し...、とつらい出来事が続いていく。
肝心のモレッツちゃんはといえば、しょっぱなから友達の家で寝ていて、その後は、ずっと街のバーのなか。まさに、育児放棄!という感じなのだが、それでもひたすら明るく、あどけない。
それにしてもこの頃からモレッツちゃんは魅力的だった。毒ママを演じるセルマ・ブレアをはじめ美女たちが並みいる中、しかしモレッツちゃんはただの美人じゃない。その生意気さ、上向きの鼻、まさに21世紀のファニーフェイス! その後の『キック・アス』での成功も当然なのだ。モレッツちゃん、好きだ!
本作の救いとなっているのは、保護者に代わって彼女らを育てる街の大人たちの存在。泊めてくれる友達の父親は、モレッツちゃんと距離を測りながらも、じつに優しく彼女を支えている。もう1人の妹は街のホームレスと無駄話に華を咲かせ、集めたビンの換金所では店主から算数の問題を出してもらう。一番苦しいのは、子供と大人のはざまにある主人公だ。アルバイト先の大人やバスケ友達、支えてくれる人間はいながらも、妹には保護者としてふるまい、家では彼女を利用しようとするろくでもない大人が待っている。
そんな彼女の部屋にあるのはマーヴィン・ゲイ、ジョン・コルトレーンなど黒人スターたちのポスターだ。彼女を通してみると、誰もが思春期にいだくヒーローも、街の大人たちと同じ、親代わりの保護者なのだと気づかされる。
だからこそ、最後の3人でマーヴィン・ゲイを合唱するシーンはよかった。曲は「Ain't no mountain high enough」、歌詞が字幕で出てきて、これが長い一日の終わりに染みわたる。3人は燃費のメチャ悪そうなでかいアメ車に乗っていて、カーステはテープですらない8トラック。テープの折り返しになったとたん、無音のまま運転したくないアグネスが路肩に止まる、この演出はすばらしい!
映画全体としては、脚本が固いところもあり、ピンプと主人公の会話など気取りが鼻につく。BGMもダサいのだが、モレッツちゃんがかわいいからいいんです! モレッツちゃん成長しても好きだ! もちろんキック・アス2もみます! モレッツちゃんのために詩をつくったので、それを掲載して本レビューを終えようとおもう。
~モレッツちゃんへおくる詩~
Chloë Grace Moretz
なんていい名前!
Chloë ëがおしゃれ
Grace 優雅な響き
Moretz はねるような軽やかさ
泡のようにあらわれて
蝶のように逃げていく名前
Chloë Grace Moretz
魔法の言葉
ああそして、目をつぶれば!
ぬくもりを感じる
ほほえみかけてくれる
ほのかな髪の香り
好きだモレッツちゃん!
モレッツちゃん、これ読んでたら返事ください!
文=ターHELL穴トミヤ
ジェニファー・ローレンス 『世界にひとつのプレイブック』×クロエ・グレース・モレッツ『キック・アス』共演!!
『早熟のアイオワ』
2月22日(土)より、新宿シネマカリテ、シネ・リーブル梅田ほか全国順次公開!
関連リンク
『早熟のアイオワ』公式サイト
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