マイケル・ダグラス、ロバート・デ・ニーロ、モーガン・フリーマン、ケヴィン・クラインの4人組による老年『ハング・オーバー！』！？　いやこれは、老年『スーパーバッド 童貞ウォーズ』だった！ 映画『ラスト・べガス』公開!!

58年来の親友4人組、ビリー（マイケル・ダグラス）、パディ（ロバート・デ・ニーロ）、アーチー（モーガン・フリーマン）、サム（ケヴィン・クライン）が久々に集結。イイ歳をしてラスベガスで羽目を外して馬鹿騒ぎをする一方、それぞれの抱える人生の問題も浮き彫りに――。笑いと涙のエンタテインメント！

５月24日（土）全国ロードショー

『スタンド・バイ・ミー』のように仲良くはしゃぐ少年4人組。悪さをして一斉に店から走り出してストップーモーション！　～そして58年後～　って時間経ち過ぎだろ！人生の大部分もう終わってるじゃねえか！　という始まり方の本作。出演するのはマイケル・ダグラス、ロバート・デ・ニーロ、モーガン・フリーマン、ケヴィン・クラインという70歳前後の超豪華俳優たちだ。
　
マイケル・ダグラスは事業で成功していて、ベイエリアの豪華な家に住んでいる。オールバックに開襟シャツ、今まで独身を通してきた彼がついに結婚、しかも相手は32歳！　というところから、4人は久しぶりの再会を期し、ラスベガスでバチェラー・パーティー（独身最後を祝うハチャメチャパーティー）をひらくことになる。モーガン・フリーマンは息子夫婦、孫と暮らしていて最近卒中になり、息子からはクスリを飲むのを忘れないよう監視される毎日。ロバート・デ・ニーロはつい最近、最愛の妻に先立たれて、NYのアパートにひきこもりになっている。ケヴィン・クラインは一番ましだが、妻とは最近ご無沙汰ぎみで欲求不満。そして、どうもロバート・デ・ニーロとマイケル・ダグラスの間にはしこりがあるらしい。


ラスベガスでバチェラー・パーティーといえば『ハングオーバー！』だが、こちらはみんなもう老人。クスリの時間もあるし、無理をすると発作の心配もあり、いかにハッちゃけるといっても無理は禁物。ケンカが起きたらとりあえず昼寝、というのがさすが年の功なのだが、ここはべガスである。「旅の恥はかき捨て」の代わりに「ラスベガスでおきたことは、ラスベガスで忘れる」というフレーズを使うアメリカ人にとって、ここがいかに特別な場所か！　それは4人がたどり着いたときに、アメリカではマジで逮捕される路上飲酒が、堂々と背景に映りこんでくることからも分かる。


映画は資金面をサクッとカジノで解決すると、1800ドルのVIP席や、ホテルの最高級スイートルームへと舞台を移す。本作はカメオ出演も豪華で、プールサイドの美女コンテストにはLMFAOが司会で出演。さらには『ハングオーバー！』のマイク・タイソンに対抗したのか、50セントまで本人役で出演してくる。
残る2人が欲望をかなえたり、その正体を見極めたりしていくなか、それでも、デ・ニーロとダグラスはしっくり来ない。やがて明らかになってくるのは、1人の女性をめぐって巻き起こった、過去のトラブルだった。そんな彼らの前に、またも新しい女性が現われる。誰もいないホテルのラウンジで歌っていたのは、歌手をめざしてラスべガスへやってきた初老の女性（メアリー・スティーンバージェン）。ダグラスとデ・ニーロはまたもや同じ女性に恋してしまって......と映画はすすんでいく。

様々なきしみが限界に向かっていく中、ダグラスが珍しく感情を吐露するシーンにはグッと来た。それに対して「お前は女ってものが分かってない」とデ・ニーロがさとす。この歳になってまで女性が分からないということもあり得るし、そしてこの歳になってはじめて分かるということもあり得る。それがいい。そしてかぶさってくる甘く、どこか寂しいメアリー・スティーンバージェンのジャズボーカル。彼女は本作をきっかけに歌手としてのオファーも来はじめたとインタビューで明かしているが、たしかにその歌声はすばらしい。

この映画、当然観るまえは老年『ハングオーバー！』を期待して行く。しかし最後、空港で再び別れる仲間たちをマイケル・ダグラスが見送るシーン。その顔がアップになったときフラッシュバックしたのは、まさかのボンクラ映画『スーパーバッド　童貞ウォーズ』だった。最後、少年2人がエスカレーターですれ違う、あの時の顔！　どちらも彼女持ち同士になって、あれっ？て、思いながら、友だち同士の関係が変化してしまうのを、少し寂しいけど受け入れてすれちがっていく。70歳近いイケイケ男のダグラスがしているのは、童貞ボーイズが大人になる、あの時の顔じゃないの！
本作は「男はいくつになっても（べガスに行けば）男の子にもどれる」という映画じゃない。「男の子をやめるのに遅すぎることはない」という映画だったのだ！　というわけで俺も70歳まで男の子でいることにきめた！　70くらいで友だちと4人で熱海に行けば大人になるはず！　そして流れるエンディングロールの曲、アース・ウィンド・アンド・ファイアーのセプテンバーが身にしみました。

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愛すべきオヤジたち、人生最大のパーティー in ベガス!!


『ラスト・ベガス』
５月24日（土）全国ロードショー

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「OST. ラスト・ベガス」

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