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(C)シネマインパクト

WEB SNIPER Cinema Review!!
山本政志プロデュースの実践映画塾!!
現在の日本映画を代表する監督たちが受講生と共に連続して短編映画を制作。演技コース受講生はワークショップを経て全員出演。完成した作品は映画館で上映される! そんな実践映画塾『シネマインパクト』第2弾の上演作品が決定!! A、BパートのうちAパートの3作品ををターHELL穴トミヤ氏にレビューしていただきます。

オーディトリウム渋谷にて上映中
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みんなー! プロの監督たちのもとに生徒が集まって、映画を作り上げたよー!と聞けば、さぞかしつまらないのでしょう、と思うのですがプロの監督というのが、たとえば『息もできない』のヤン・イクチュン。これはすごい。衝撃のデビュー作で世界中の映画ファンの脳裏に「シバ!シバラマ!」という汚い韓国語知識を刻み込んだ男の新作。これは観たいよ!
さらには、『ぐるりのこと。』の橋口亮輔監督(『ハッシュ!』最高!)。『苦役列車』の山下敦弘監督(『ばかのハコ船』もよかった!)。『フラッシュバックメモリーズ3D』の松江哲明監督(『ライブテープ』もいいね!)。そして『闇のカーニバル』の山本政志監督(『てなもんやコネクション』もいい!)と、日本映画のいいところばかりを集めている。
こうなるとむしろ監督・脚本以外は募集で集まってきた生徒、というのも楽しみになってくる。「全編にわたってブームマイクが映り込んでいるのに感動する」とか、「ひどい演技で、加えて台詞の途中で携帯が鳴ってるのに、モノローグがすばらしくて感情が爆発する」とか、「主演が途中で来なくなってしまい、後半は別の人間がむりやり同じ服装をして演技しているんだけど、興奮で汗びっしょりになる」とか、そういう希有で不思議な映画体験ができるのではないか!? むしろ映画の中にプロとアマチュアが混在してムラが生まれることで、映画を構成するそれぞれの要素が浮き上がってくるのではないか!? はたしてどうなるのかー!と行ってきたんですが、わざわざ映画を作ろうと集う生徒たちのモチベーションは高いし、そんな初歩的なミスはもちろんないんですね~。監督による短編集、それがきっちりと作り上げられていました。ちなみにこのシネマインパクトは上映がA、B、2つのプログラムに分かれています。今回は、そのうちプログラムA、3作品のレビューです。

橋口亮輔監督の作品『サンライズ・サンセット』は、もともと監督が台本を書き、97年に上演された舞台劇。
運転資金確保のために、社員にまでサラ金で金を作らせようとする。そんな超絶ブラックな映画製作会社を舞台にした群像コメディなんですが、登場するプロデューサーはひたすらしゃべりまくり、ごまかしまくり、信念ゼロで、愛車はジャガーで、とにかく金がない。そのまわりを固めるのも、バカな主演女優、相手によって異常に態度が変わる主演男優、むりやり応援を頼まれた衣装に、借金の回収にきた金融業の男と、業界あるあるな人ばかり。そこに脚本を買い取ってもらえると聞いた、「ぺあ」フィル・ムフェスティバルに入賞経歴を持つという青年がやってくる。
よくできているんですが、映画なんてろくでもないことばっかだけど、やっぱりすばらしい......みたいな予定調和というか、予想を超えて展開していくようなドライブ感はなかった。そんななか主演男優の男に、青年が切れちゃうシーンの緊張感がよかったですね。

『サンライズ・サンセット』
(C)シネマインパクト

ヤン・イクチュンの作品は『しば田とながお』。現時点で彼の最新作ということで、期待度シバラマ状態で望んだんですが、それを裏切らないすばらしい傑作でした。出てくるのは1組の若い男女。基本的には、彼らが対話を重ねて行くだけという、『息もできない』とはうってかわって繊細な映画です。でも、観終わった後の印象は鮮烈!
脚本ではただの文章にすぎない台詞を、どう会話にするのか。パッとカットが切り替わると、男が上下ひっくり返っていたりするわけです! とくに後半のあの「どんな顔が好きなの?」の連打。こんなに簡単に、それでいて観るものに強烈な印象を残すことができるのか! まさに「これが才能か!」という、そのきらめきを観た気がしました。

『しば田とながお』
(C)シネマインパクト

山本政志監督の作品は『タコスな夜』。山本監督の話らしく、粗暴な人間と、何も考えてない人間のアンサンブルとなっているんですが、『スリー☆ポイント』にも出ていた市鏡赫演じる、シャブ中のやくざがなんともいい味です。もうこの、シャブ中演技を観ているだけで楽しい。この映画には「シャブ中の兄貴がいれば、主人公にどんな不条理な行動をさせても、そこに必然性をもたせることができる」という、重要な示唆が含まれていますね。
本作の主人公はある日、兄貴から突然「タコスが名物の『海の家チケット』を200枚売ってこい」と命令されます。しかしそれは「来週までに北野武のロールス・ロイスのホイールをぱくってこい」でもいいし、「小津の墓に『無』って書いてあるのを『有』に彫り直してこい」とかでもいい。この「シャブ中の兄貴」というエンジンさえあれば、映画をどんな不条理なシチュエーションにもかり立てることができる! これは発明です!

『タコスな夜』
(C)シネマインパクト

以上がAパートの3作品。ひととおり観て思ったんですが、役者にしても結構長く出ている人と、人を出すために用意したようなシーンで短くぱっぱと(『サンライズ・サンセット』のオーディションシーンとか)出番が終わる人がいる。これは、どちらも同額の受講料を払ってるんでしょうか......。まあそんなことはいいか......。

Bパートでは、山下敦弘監督の『ありふれたライブテープにFocus』という、題名からして松江監督の『ライブテープ』をパロッてるとしか思えない作品。そして、松江哲明監督の、一周忌に集まった6人の女優を6台のカメラで同時撮影という、まさかの『フラッシュバックメモリーズ3D』を超える、レイヤー6枚飛び出しかー?!(いや、ないない)みたいな妄想膨らむ『SAWADA』という作品が上映されます。いやーすごい! みなさんラブホテルに行くついでに、ぜひシネマインパクトよってみてはいかがでしょうか。

『ありふれたライブテープにFocus』
(C)シネマインパクト

『SAWADA』
(C)シネマインパクト
文=ターHELL穴トミヤ


CINEMA☆IMPACT Vol.2 橋口亮輔監督作品『サンライズ・サンセット』予告編


CINEMA☆IMPACT Vol.2 ヤン・イクチュン監督作品『しば田とながお』予告編


CINEMA☆IMPACT Vol.2 山本政志監督作品『タコスな夜』予告


CINEMA☆IMPACT Vol.2 山下敦弘監督作品『ありふれたライブテープにFocus』


CINEMA☆IMPACT Vol.2 松江哲明監督作品『SAWADA』予告編

『シネマインパクト』
オーディトリウム渋谷にて上映中
(C)シネマインパクト

配給・宣伝=シネマインパクト


トークショー&舞台挨拶スケジュール
★2/6(水) 19:00~の回上映後 山本政志監督×富田克也監督(『サウダーヂ』/空族)トークショー
★2/7(木) 19:00~の回上映後 山本政志監督舞台挨拶
★2/8(金) 17:00~の回上映後 松江哲明監督×山下敦弘監督トークショー
★2/8(金) 19:00~の回上映後 山本政志監督・山下敦弘監督・松江哲明監督舞台挨拶
関連リンク

『シネマインパクト』公式サイト

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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。
http://sites.google.com/site/tahellanatomiya/
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