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伊藤計劃×円城塔原作 映画『屍者の帝国』公開記念
ばるぼら×ターHELL穴トミヤ特別対談!!
『虐殺器官』で作家デビュー後、2009年に早逝したSF作家・伊藤計劃。冒頭の30枚までが書かれたところで未完の絶筆となり、親友の作家・円城塔によって書き継がれて完成を見た小説が原作の映画『屍者の帝国』は、伊藤計劃の作品3本(『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』)のアニメ映画化を図る「Project Itoh」の第1弾。このやや複雑な成り立ちを持つ話題作が内包しているものとは......!? 原作を未読のお2人、ばるぼらさん&ターHELL穴トミヤさんに鑑賞していただきました。
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ばるぼら(以下「ば」)今回の対談は、『屍者の帝国』の原作を読んでない人たちが映画だけ観たらどう思うか?っていう企画らしいんですけど。そもそもターHELLさんは普段はアニメを観ないらしいですね。

ターHELL穴トミヤ(以下「タ」) そうですね、長編アニメってジブリくらいしか観てないかも。

ば ジブリで一番好きなのはなんですか?

『耳をすませば』(DVD)監督=近藤喜文 販売元=ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメントト 発売日=2002年5月24日
タ これは難しいですね。これは決められないけど、強いて言うなら......、『耳をすませば』(笑)。

ば え!珍しい、ワタシもです。あれ超大好き。

タ 『耳をすませば』最高ですよね。僕あれ、14歳の時に公開だったんで、主人公も14歳じゃないですか、もう......。

ば よくない影響を与えてそうですね(笑)。

タ 観た後あまりのショックで街を放浪して、映画の中に入りたくて聖蹟桜ヶ丘にも行きましたからね。当時はまだ有名になってなかったですけど、色んなスポットを足で探して。

 ワタシそこまでやってない(笑)。

タ あれで人生変わった気しますね。マッシブインパクトですよね。

ば 映画評論家としての自分はそこから始まったと言っても過言ではない!と。

タ あの映画によって僕は生まれ変わった(笑)。ジブリじゃないアニメ映画って何観たかなぁ。やっぱ観てないのかも知れないですね。

ば 『新世紀エヴァンゲリオン』も?

タ エヴァは観ましたね。TVシリーズを後追いで観て、映画館で追いついたみたいな。一応、監督がジブリファミリーだし(笑)。

ば ジブリファミリー? あ、庵野秀明が『風の谷のナウシカ』に関わったりしてたから(笑)? じゃあジブリに入れなかった細田守もジブリ枠?

タ 細田守もジブリ枠で観ました。「甘いよ!だからジブリに入れないんだよ!」って言いながら(笑)。

ば 『AKIRA』は?

タ 大友克洋ももちろん観るし。

ば 大友はジブリ枠じゃないじゃないですか。

タ ジブリ以外も観てますね(笑)。テクノ好きっていうことで、テクノ枠ですかね。あと押井守も観ますね。『パトレイバー』とか『攻殻機動隊』とか。

ば ジブリ周辺とテクノっぽい作品はアニメでもOKなんですね。『屍者の帝国』はぎりぎりテクノ枠なのかな......。

■原作は伊藤計劃の遺稿を円城搭が書き継いで完成しました

タ 僕、そもそもこの原作の人に対して凄い浅い理解しかないんですけど、ばるぼらさんは伊藤計劃とか円城搭はよく読まれてるんですか?

 いや、読んでません。伊藤計劃については「はてなダイアリー」で日記を描いてる人だと思ってました。日記っていうか映画レビューとかGenocide Organについてを書いてる人、みたいな。そしたら「はてなダイアリー」からデビューした人がいるみたいな取り上げられ方を当時どっかでされてて、そうか、ブログが書籍化でもしたのかな、はてなは才能の宝庫やで、みたいに思ってた(笑)。その程度。

タ はてなの人だったんだ。

『虐殺器官』(Kindle版)著者=伊藤計劃 出版社=早川書房 発売日=2010年2月10日
『ハーモニー』(Kindle版)著者=伊藤計劃 出版社=早川書房 発売日=2010年12月8日
『屍者の帝国』(河出文庫)著者=伊藤計劃、円城塔 出版社=河出書房新社 発売日=2014年11月6日
ば だから今でも「はてなダイアリー」に残ってますよね、当時の日記みたいなものが。で、映画に合わせて伊藤計劃の文章を再掲していくプロジェクトがちょい前にはてなで始まってるんですよ。「伊藤計劃記録」っていう。今回の映画化も伊藤計劃の名をSF史に残していこうとするプロジェクトなんじゃないですか。デビュー作『虐殺器官』はSF界の大ヒットだったらしいから。

タ 初のブログ出身SF作家だったんですか?

ば フィリップ・K・ディック記念賞を獲るレベルの人は初でしょうね。はてなでブログ書いてる的な親近感と、SF誌で年間ベスト1位とか獲ってる存在感の、不思議なバランスのまま亡くなってしまった人という印象です。その頃、たしか雨宮まみさんに『ハーモニー』を大変薦められて、本をもらったことがあったんですけど、最初の十数ページで挫折してしまった......。

タ 雨宮さんに薦められたんだ! SFとか好きなんですかね。

ば 森博嗣『四季』やその他いろいろを薦められた記憶もある。その中で『ハーモニー』はダントツで読みづらい小説だった。申し訳ない気持ちでいっぱいです、こうやって喋ってること自体が(笑)。ほんとごめん。

タ じゃあ今回、映画でリベンジということで。

ば そう思って映画観たんですけど......、あの、『屍者の帝国』で伊藤計劃が書いた部分は冒頭の30ページ分だけなんですよね。でもその最初の30ページが映画ではばっさり切られているという(笑)。これほとんど円城搭の映画化じゃないの?と思いませんでした?

タ そうなんですか、それ知らなかったですね。ばっさり切られてるって。

ば 原作通りに脚本をやったら4時間くらいになっちゃう、それをどうやって2時間に収めるかっていうのをずっと監督が悩んでたらしいんですけど、「このシーンをなくしたらうまくいくじゃん!」って削りおとされたのが冒頭(笑)。だから原作には登場する重要人物も出てこないらしい。これ観て原作ファンはどう思うのかなってちょっと思ったけど、まあ我々は原作ファンじゃないので、普通に何も知らずに観に来た人として楽しめばいいかなと。

タ 僕一応、映画観た後に原作も読んだんですけど、映画も本も筋がよく分からなかったなっていうのが今の状態です。

ば 逆に理解が深まったなっていうところはないですか。あのシーンはこういうことだったんだみたいな。

タ あっ、観る前にこれは知っときたかったなって思ったのは、伊藤計劃さんが亡くなっていたっていうこと。そもそもこの原作って、亡くなる前に残した冒頭30ページだけがあって。そこに友達の円城搭が書き継いで完成したんですよね。その前提も知らなかったので。

ば そこからなんだ(笑)!

タ それを知ってから映画を振り返ってみると、相棒のフライデーが原作だと元親友っていう設定じゃないんですよね。政府から支給されるただの機材で。映画だと「親友を復活させたい」っていう、主人公の秘めた思いがあるじゃないですか。それはこの本が生まれた経緯を、映画に活かしてるなっていうのを思いましたね。

(C)Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES 

ば ちょっとメタ構造なんですね。

タ そうですね。円城搭が、友達を蘇らせようとした映画版の主人公に投影されてる。それ知ってから観たらもっと感動的だったのかなと。もう一回観てもいいかな。

ば お、好意的な反応。

タ じゃあ映画観る前の知識は、僕は完全にゼロで、ばるぼらさんは限りなくゼロに近いブルーだったみたいな。そんな2人が観た感想ということになりますね(笑)。

■これは人類がこれから迎えるロボット・ウォーの話だ!(ターHELL)

ば ターHELLさんは映画はどうでしたか?

タ 僕はこの映画、アニメか実写かは気にしないで、アクションシーンがあって、SFものの新作日本映画として観ました。観た感じとしては、ギミックが面白くて。コンピューターが出てくるんだけど、パンチカード式で。計算機も機械式というか、初期の歯車で計算するやつで。それが動いてるのが楽しい。でもアクションシーンで、ぜんぜん興奮しなかったんですよね。撃ち合いとかいきなり始まるんですけど、ハラハラしなかった。

ば それはなんでですかね?

タ 爆発してもなんか煙の広がり方とか、あっけないなーみたいな。撃たれてても、弾が絶対当たらない感じするし。あとデカいおっぱいの人が出てきましたけど、それもあんまりぐっとこない。

ば ハダリー・リリスね。唯一の女性キャラ。男性とゾンビだらけのむさ苦しい世界に咲いた一輪の花じゃないですか。

(C)Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES 

タ なんか記号っぽいというか、アニメノリというか、あんまり色気が感じられなくて。ただ、映画の意図を探っていくのに、興奮しました。もしかしてこの映画、こういうことをやろうとしてるのか?とか考えだすと興奮するんですけど、物語の演出上での感動はあんまなかったですね。

ば 初見でこの映画は何をしようとしてる映画なんだと思ったんですか。

タ まず最初のほうで屍者の説明をするじゃないですか。死人をよみがえらせる技術として発明されて、発展して、社会に広まってって。で、初期の屍者がバラバラな動きをしていて、台詞の中に「不気味の谷」って言葉が出てきたときに、「これは人類がこれから迎えることになる、ドローン・ウォー、ロボット・ウォーの話だ!」と思ったんです。

ば 現代社会に対する警鐘として受け取ったんだ(笑)。

タ ゾンビ映画なのかな、何映画なのかなって思いながら観てたんですけど、屍者っていうのは、これ人型ロボットのメタファーだと。一番オーッときたのは、研究者に囲まれて屍者が歩いてるシーンがあったんです、一瞬なんですけど。これが、米軍のDARPA(国防高等研究計画局)ってあるじゃないですか。「WIRED」とかで記事になった四つ足ロボットで有名な。彼らが人型ロボットも開発していて、その動きと一緒だったんですよ。これはもう屍者=米軍の人形ロボットだと(笑)。19世紀のふりをして、これから起こる現実のロボット・ウォー社会を描こうとしてるんだと。それで興奮してたら後半、登場人物が屍者に噛まれて感染みたいな描写が出てきて、「あれ、やっぱただのゾンビ映画だったのかな」みたいな。

ば (笑)。

タ まあそうやって勘ぐりながら、映画が真に描こうとしているものはなんなのか、後半の展開に委ねられていく最初は凄く興奮してたんですけど。

『STAND BY ME ドラえもん』 (DVD)監督=山崎貴 販売元=ポニーキャニオン 発売日=2015年2月18日
ば 屍者だけ3Dでやってて、普通のキャラクターは2Dで描いてるらしいですよ。だから3Dロボットアニメの系譜としても観ることができるんじゃないですか。3Dでロボットといえば『STAND BY ME ドラえもん』もありますけど(笑)。

タ CGのドラえもんも「不気味の谷」感がありましたね(笑)。

ば あるある(笑)。その不気味の谷現象を逆手に取った利用方法としての3D屍者なのかな、って感じはあります。

タ 今の3DCG映画が超えられていない「不気味の谷」の限界を、そのまま演出に活かしてる。そうするとヴァーチャルリアリティとしての屍者ですね。

■USBメモリ映画をご存知ですか?

タ ばるぼらさんはどうでした? まず、観終わってみて。

ば 面白かったです。けど、リアリティってことを考えた時に、途中まではすごくリアリティを感じながら観てたんだけど、最後のほうで緑色の光線が行き交うようになってから、急に置いてけぼり感があって。これ原作ちゃんと読んでたら面白かったのかな?っていう感じがずっと残ったまま終わってしまった。

タ それは僕も同じです(笑)。

ば この作品の中におけるリアリティっていうものは、その緑色の光線のシーンまでは保たれてたと思うんだけど、あそこで光線が飛び交うような感じになってからファンタジーになっちゃったなって。

タ 急にエスパー大戦になった。

ば そうそう(笑)。

タ あらすじとしてざっと説明すると、どんな感じになるんでしょう。

ば フライデーの研究を引き継ぎたいワトソンが、大英帝国の利益にうまく乗っかりながら、フライデーの果たせなかった夢を果たそうと旅立ちつつ、その途中でホントにそんなことするのかよヤバいぞ、って人たちが出てきて、最終的にはみんなでやめよう!みたいになって、でも念力とかで動けなくなるんだけど、なんとかなった!って物語。いいのかこんな説明で(笑)? そしてヴィクターの手記に書かれていたのかもしれない、謎の喋るロボットの方法を結局試したのかどうか......って分からないオチかな。

(C)Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES 

タ ジャンルでいうとすると、この映画はSFスパイアクションなのかな。

ば そうかもしれない!

タ 主人公のモチベーションとしては、親友を復活させたいというのがあるじゃないですか。でもその技術が完璧じゃない。でも完璧な技術も、世界のどこかにあるらしい。そこでイギリス政府のバックアップを受けて探しにいくんだけど、大国同士の思惑があり、さらにその裏の裏があり、陰謀に巻き込まれつつ、アフガニスタン、ロシア、日本と世界中を旅して、最後はエスパー大戦みたいな(笑)。

ば 最後がわかんないんですよ(笑)。エスパーですよね、どうしても。

タ SFスパイアクションって言いましたけど、こないだツイッターでUSBメモリ映画って言葉使ってる人がいて面白いなと思って。これはUSBメモリ亜種かなみたいな。

ば なんですかそれ。

タ なんかすごい力を「USBメモリ」で納得させようとしたら、それはUSBメモリ映画、みたいな。

ば そんなにUSBメモリが出てくる映画あるんですか?

『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(ブルーレイ+DVD) 監督=クリストファー・マッカリー 販売元=パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 発売日 2015年12月9日
タ こないだの『ミッション・インポッシブル ローグネイション』も、USBメモリを奪い合ってましたよね。あと、『LUCY』っていう宇宙の秘密がUSBメモリに入っちゃう映画とか。インディ・ジョーンズなら聖杯とか、『天空の城ラピュタ』なら飛行石とか、あとはマイクロフィルムとか伝説の剣とか、アクション映画で登場人物たちが奪い合うアイテムってあるじゃないですか。とにかくそれさえ手に入れれば世界が滅びたり、国が乗っ取られたりする便利なアイテム。それが最近はなんでも全部USBメモリーに収斂されちゃってるっていう話なんですけど。

ば なるほどー。

タ この映画の場合は、それがパンチカードになってる。で、案の定ね。パンチカードを挿したらガーッて凄いことになって(笑)。

ば 出た出たみたいな(笑)。マザーコンピュータを制したら世界を制するみたいな雰囲気はやっぱりまだ中央集権的な発想の時代で、分散型のインターネット時代にはまだ届いてない感じがありますね。

タ そうなんですよね。原作だと凄く面白かったのは、現代のテクノロジーが全部別のものに置き換えられて登場していて、インターネットっぽいものも出てくるんですよ。「今や網状の伝達機関、それ自体がひとつの生命体としての自立性を持ち始めている」みたいな話が出てきて。

ば そのまんまじゃないですか。

タ 現代から近未来に向けてのSFを、アナクロに変換して19世紀の設定で語っていくというのが、原作の一つのアイディアだったと思うんです。

ば なるほど。ドラマ内時間を1980年代以前に設定することで携帯電話という便利なアイテムを登場させないようにする、みたいな設定の19世紀バージョン。

タ あとなんか、魂とは何かみたいな話になるじゃないですか。映画の中では結局分かったような分からなかったような感じですけど、原作だと「魂は菌だ」っていうふうにザ・ワンが言うんですよ。

ば え、言ってるんだ?

『利己的な遺伝子』(増補新装版)著者=リチャード・ドーキンス 出版社=早川書房 発売日=2006年5月1日
タ そうなんですよ。「菌にのっとられた人間は、菌の見せる幻覚の中を生きてる。自分が意識だと思ってるものは、菌にのっとられて見てる幻覚なんだ」みたいなセリフが出てきて、そして「その菌は記述できる」っていう。これたぶん「利己的遺伝子」(『利己的な遺伝子』著リチャード・ドーキンス)ってあったじゃないですか。人間はDNAの乗り物なんだ、DNAコピーを増やすために人間は利用されて生きてるんだっていう。その利己的遺伝子が、ザ・ワンの言う菌なのかなという。

ば ああ、19世紀だから菌って言葉になるけど、発想はDNAから来てるんじゃないかということですね。へー。

タ だからDNA操作の是非を云々していくのかな、と思いながら読んでたら、気づいたら「地獄の扉は開かれた」みたいな展開になっていて、そのまま終わりましたけど。

ば (笑)なんかわからないけどカタルシス!って感じでしたよ。

タ 最後エスパー大戦っぽくなるのは原作も一緒でしたね。

ば そうなんだ、忠実なんだ......。じゃあ原作読めば分かんなかったところ分かりそう、ってことでもないんだ。

タ もう自分でも、今話しながらぜんぜん分からないですもんね。

ば (笑)。

タ というわけで僕は、映画化にあたっておもしろかったのは、やっぱ屍者をDARPAのロボット兵士っぽく動かしてたとこかな。

ば 映画化をわざわざするわけだから動きや絵を観たい、と考えると、そういうところで独自性が出てるのはいいんじゃないですか。

■誰もが魂について知りたがっている

タ あと、実はロボットそのものも出てくるんですよね。ネタばらしになっちゃうかな。そこも、魂はなんなんだっていうモチベーションにつながってくる。この映画の登場人物は、みんな魂について知りたい。

ば そうですね。

タ それは記述できるのか。それは文字なのか。それはプログラムなのか。コピーできるのかとか。質量で表わす21グラムっていうのが、魂に対する一番単純な理解で。そんななかで印象的に出てくるのが、「記述があれば、その後ろに思考がある。思考の後ろには魂がある」っていうセリフだったんですよね。記述が魂にたどり着くんであれば、本の奥には魂がある。まさに原作で円城塔さんが試みていたことを意識しているっていうか、書き継ぐことで伊藤計劃さんの魂をそこに復元しようとしてたんだっていう見立てになってる。映画は原作をそうやって換骨奪胎して、円城塔と伊藤計劃の友情に捧げる演出、思考実験をしているのかな、すげーな!熱いな!と思って観てたら、エスパー大戦になったんですけど。

ば エスパー大戦がこの対談におけるくり返しギャグみたいになってきたな(笑)。ちなみに21グラムっていう具体的な話は原作に出てるんですか。

タ あったのか、なかったのかな、記憶が......

ば ちょっと気になって。魂の重さは21グラムって、ダンカン・マクドゥーガルって人が実験したんですけど、その実験が広まったのって1907年で、物語の時代(1878年)より後のことなんですよ。

タ そうなんですか?

ば だから時代がズレるのはちょっと設定が甘いなあ、伊藤計劃らしくないなあって。ごめん、知らないんだけど! SFってそのへん気にしないのかなあって。

タ ちょっと原作本をCtrl+Fしたいですね。「21グラム」で(笑)。

ば したい(笑)。

タ 原作にはなかったかな......(本をめくる)。あ、あるある、21グラムの記述。伊藤計劃のプロローグで。

ば あ、もう原作の最初のほうにあるんですね。

タ その実験は本当なんですか。

『21グラム』(DVD)監督=アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ 販売元=東北新社 発売日=2004年11月5日
ば そういう実験があったのは本当です。『21グラム』という映画もありましたよね(2004年公開)。

タ そうですね。あとは今度やるノルウェー映画で『1001グラム ハカリしれない愛のこと』(現在、公開中)っていうのがあって。それも魂の量り方っていう、21グラムネタで。脈々と魂21グラム説は浸透してるんですね。追実験っていうのは行なわれてないんですか。

ば その実験自体が凄く怪しくて、同じことを犬でやってみたらまったく減らなかったとか(笑)。いろいろ逸話が残されてるんですけど、話のネタとして面白いからずっと広まっちゃってる。

タ まあネタとしては使える!みたいな(笑)。

ば 実際は、汗とか水分が消えたんじゃないかって話ですけど。

タ 映画の中では誰もが21グラムなんでしたっけ。それともよく考えてる人は重くて、考えてない人は軽いとか。

ば いや、その辺は細かくは言ってなかった気がしますね。

タ 実在しているなら質量を持つはずっていう。

ば そうですね、重さがあるんだから実在するんだっていう時代の発想。

タ なんか20世紀初頭っぽいですね。

ば 初頭っぽい(笑)。あと気になってたのは、死んでる人が、ロボットが男しかいないから、女は出てこないのかなって思ったけど、それは原作では言及されてるらしいんですよね。

タ ありました。

ば たぶんネクロフィリア的な意味で女性は作っちゃいけないんだけど、こっそり女性を作ってる人がいる。らしい。映画ではたしか説明されなかったけど。

タ ちょっとこの社会の中でも、タブー化されてる。屍者三原則っていうのがあるんですよ。ロボット三原則と一緒で。

ば へえ、まさにロボットですねえ。

タ そうそう。まず生者より優秀な屍体を作っちゃいけない。生者を屍体化してはいけない。あともう一個、なんだっけな、それが女子供の屍者化はいけないだったかな。まあだからロボットのメタファーとして原作も使ってたのかなと。

編 三原則的に言うなら屍者は人間を殺しちゃいけないですよね。

タ さっそく兵士として使ってますけどね(笑)。

ば (笑)観ててわかんなかったんだけど、カラマーゾフがニコライで実験するのは、凄い禁忌なんだと考えていいんですかね。生きている者を!?マジ!?みたいなことかな。

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タ 原作で結構出てくるのが、これは魔法じゃなくて技術だっていう話で。技術っていうのは、一度発明したら広まるし、隠しても廃棄しても他の誰かが再発明するし、良い悪いじゃなくて、押しとどめられないものなんだと。技術は避けられない人類の運命なんだっていう話が出てくるんですよ。実現できることは禁止しても全部実現されるっていう。映画の中のセリフでもありましたね。「タブーはいずれタブーじゃなくなる」。

ば ありましたね。

タ そうするとやっぱ、すごい今的なメッセージっていうか、IPS細胞もあるから、人間のクローンをどこまで作っていいのかっていう問題はこれから出てくるでしょうし、脳死からの臓器移植もタブーだったのが、今は受け入れられてるし。この映画はそういう技術とタブーの関係について語っていくんだな、どういう結論になっていくのかなって思ってたら、なんか......結局どういう結論だったか分からないんですよね(笑)。

■これがバブみというものだ!

タ ハダリーさんのキャラクターってどうですか。おっぱいが大きくて強い。

ば 大変よかったと思います。未来のイヴ。これがバブみというものか?と思いました。

タ バブみってなんですか?

ば アニメ等のキャラクターに対する形容詞ですけど、「バブみがある」というふうに使います。バブみっていうのは、まるで自分が赤ん坊のように全てを肯定してくれる、年下なのに母親のような存在のキャラクターに対して使います。ハダリーの年齢はわからないけど。そもそも年齢関係ない設定だけど(笑)。

タ なるほど(笑)、じゃああの胸にこう、顔をうずめるイメージで。

ば しかも優しい。導いてくれる。その全肯定感がバブみだと思いました。流行を取り入れてきたな......みたいな(笑)。

タ 観客はワトソン君視点で母性を感じることになると。

ば それまではもしかしたら劇映画的に観てたのかもしれないけど、急にここで感情移入してしまうんじゃないか。急にワトソン視点になってしまう。

タ 逆に、女性観客的な視点で言うと、バーナビーのふんどしシーンで、熱いものがあったのかな。

ば そうであってほしいシーン。パンツじゃないから恥ずかしくないもん!

タ なんですか、突然(笑)。バーナビーのお兄さんキャラっていうのがまた、逆にいじりがいがあるというか。

ば 良いカラミの同人誌が生まれるかも知れません。

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タ 同人では、やっぱり普段はイケイケのバーナビーのほうが受けになるんですかね。

ば そうでしょうね。

タ じつはこの映画で一番不満だったのは、バーナビーのキャラクターだったんですけど。

ば それはどういうことですか。

タ バーナビーは、英国ウォルシンガム機関の諜報員なんですね、歴戦の。で、お目付け役として主人公ワトソンのところに送られてきた。この百戦錬磨の大英帝国の諜報員がですよ、カラマーゾフに会ってみたら、いきなり義侠心に目覚めて、いいヤツになっちゃった。そこからは、もうイギリス本国の言うことも聞かず、人間としての良心に従って行動し始めるんですよ。

ば そうですね。

タ 19世紀のイギリスの諜報員なんていったら、すれっからしもいいところじゃないですか。どっかの国が滅びても大英帝国の利益になればいいみたいなことを散々してきたはずなのに、そんな単純に良い奴になっちゃうのかよと。一応映画の理由づけとしては「クラソートキンとも酒を飲み交わした仲だったしな」みたいなセリフがあるんですけど、どんだけ純なんだと(笑)。歴戦の諜報員がそんなちょろいのかよっていう。

ば 確かに(笑)。

タ そこに最後までキャラクターとして納得できなかったですね。底がなんか浅く感じてしまって。

ば 違和感が。

タ 残ってしまいました。映画中で2回くらい旅のダイジェストみたいになるシーンがありましたよね。セリフ抜きで時間の経過を示すみたいな。あそこでだから肉体関係があったとか、映してないけどそれくらいの一大転換があったならまだ......

ば (笑)長旅だしね。

タ そうそう。察しろよってことなのかも知れないですけど(笑)。

ば なるほど。ワタシは不満でいうと、有名人大集合みたいな感じ、意味ありげなんだけど別になんの意味もない、けどとりあえず登場させてみた、っていう有名人が多くて、意味がないことにいちいち目を奪われて集中できない感じがありました。

タ 固有名詞ですね、登場人物の。

ば そうそう。

タ 主人公がワトソンですもんね。

『ドリフターズ(1)』(Kindle版)著者=平野耕太 出版社=少年画報社 発売日=2010年7月7日 
ば そう。ホームズとかのでしょ。平野耕太の『ドリフターズ』とか、TYPE-MOONのFateシリーズとか、歴史上の有名な人たちが戦いをする作品がありますけど、そういうジャンルとして捉えるべきなのかな。でも名前によってミスリードを誘いすぎじゃないかと。

タ 新しく登場してきたキャラクターの名前を聞くたびに「なんか意味があるのかな」と思っちゃうんだけど、実はないんですよね。

ば そうそう(笑)。これは『新世紀エヴァンゲリオン』にもよく感じたことですけど。

タ 思わせぶりな。

ば 思わせぶりな単語が羅列されるんだけど、なんにもない。知ってたら物語の理解が進むとかならいいけど......自重して欲しい(笑)。

■ガス燈が映える闇夜とスチームパンクな19世紀

編 一通りの不満をはき出していただいたところで、逆に素晴らしかった点は。

ば 全体に映像の暗さが上手かったですね。

タ トーンが。

ば はい。やっぱり19世紀といえばガス燈ですから、あんまり明るくないはず。日光と月光とガス燈しかないみたいな時代の暗さがよく出てているみたいな。

タ 部屋の中とか。

ば 逆にたまに明るいシーンがあって、それ白熱灯とかじゃないの?大丈夫?みたいなことは気になりましたけど。そこら辺を無駄に注意深く観てました。

タ さすが、時代考証に厳しい(笑)。僕はホント、計算機がスチームパンクっていうんですかね。

ば はいはい。

タ マシーン、計算機がたくさん出てくるんですけど、それが全部歯車式の、初期の手回し式計算機の巨大版みたいなのとか、そういうのが動いてるのが単純に気持ちよかったです。あと、パンチカード読み取る感じとか。

ば 基本的に蒸気の時代だからモヤがかってるようにも見えるみたいな。

タ そうですね、もう街も機械もスチームで。あとはなんか、いろんな世界をめぐるんで、旅行映画的な楽しさもあった。ロンドンから始まり、インドに行って、僕はあの、アフガニスタンに行った時に、すげぇ雑だなって。背景に動かない絵で、日本昔話みたいな感じの険しい山が配置してあって。これだけじゃアフガニスタン感足りねえだろって思ってたら、ケシの花が。あ、ケシの花はアフガニスタンだ、なるほどって(笑)。

ば 押さえるべきポイントをちゃんとついてきた(笑)。

タ ついてきた。その後なんか、アフガニスタンの村人が一瞬映るんですけど、それもすぐアフガニスタン人ぽく見えて。これはタジク人かなとか、結構面白かった(笑)。でもやっぱり日本が一番オッときましたね。日本に来た瞬間、江戸時代っぽいんですよ、浮世絵みたいな。

ば そんな感じなのに「東京」みたいな。

タ そうなんですよ、明治くらい、文明開化直後くらいの設定でなんですかね。

ば もう黒船は来てて、2、30年経つころかな。

タ 町並みは江戸なんですけど、人間は洋服着てみたいな。そこでなんか、研究所に潜り込むんだけど、すげぇサイバーパンクというかアメリカから見た日本みたいな。洋ゲーの世界観ですよね。日本刀を持ったロボット武者が襲ってくるじゃないですか。しかもむっちゃ強い。

ば あったあった(笑)。『るろうに剣心』でももうちょっと控えめに描くよ、って感じの。

タ 洋ゲーで日本刀の攻撃力がマシンガンとかより強いみたいな。そういう勘違いの逆輸入みたいのが面白い。ところどころの演出は面白かったですね。

ば あとは、恋愛的要素がまったく生まれないっていうのはなかなか不思議な感じでしたね、逆に。主人公の視線は本当にもうこの親友にしか向いてない。そこら辺のおかげで観易いのかも知れない。

(C)Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES 

■「よく女子供が撃てるな」「簡単さ、動きがのろいからな」

タ この映画で新しいなって思ったのが、主人公たちが旅していく過程で新型の屍者に初めて会うじゃないですか。

ば やけに動きのいい。

『フルメタル・ジャケット』(DVD)監督=スタンリー・キューブリック 販売元=ワーナー・ホーム・ビデオ 発売日=2010年4月21日
タ そうそう、新型の屍者はやけに動きがよくて、動きの統一感が取れてると。なぜかというと、新型屍者には感情があるからっていう設定で。兵士として優秀なのは感情があるからっていうのがおもしろいなと。今までの戦争映画って、『フルメタル・ジャケット』でも、優秀な兵士は感情を捨ててロボット化するじゃないですか。

ば そうですね。

タ 海兵隊とかに入ると、ひたすら人間性を損なわれて。最後は「よく女子供が撃てるな」「簡単さ、動きがのろいからな」みたいに感情が消えて、殺人マシーン完成みたいな。感情がないほうが優秀な兵士だっていうのが今までの戦争映画だったのに、屍体から出発してるこの映画だと、むしろ感情を持ったほうが優秀になるっていうのが面白いなと。

ば たしかに。感情というか、その場その場の判断能力みたいな感じではありましたが。

タ 完全なロボティクスよりも、魂があったほうが性能がいいっていう。

ば うんうん。

『EMOTION the Best 機動警察パトレイバー 劇場版』 (DVD)監督=押井守 販売元=バンダイビジュアル 発売日=2009年10月27日
『EMOTION the Best GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(DVD)監督=押井守 販売元=バンダイビジュアル 発売日=2009年10月27日
タ パトレイバーで言うと、僕は『機動警察パトレイバー』しかアニメのリファレンスがないんで(笑)。今までと全く動きの違う、黒い新型レイバーっていうのが出てきて、それを見たレイバーの生みの親みたいな博士が「あのレイバー」は美しいって言うんですよ。「あのレイバーは動きの連携がとれている。まるで生物のようだ」とかって。動きの連携の先には目的があって、つまり連携って目的に向かう意志のことだと思うんですけど。生き物っぽいとか、魂とかっていうのは、目的の存在ってことなのかなと。パトレイバーついでに言うと、この映画の後半もあれでしたね、音波で屍体が暴走しはじめる。これも、台風がきたら暴走するバグ付きOSをインストールされた劇場第1作目のパトレイバーを思い出しましたけど。魂はOSなんですかね。

ば そういうことなんじゃないですか。そうすると『攻殻機動隊』みたいな話になっちゃうのかな。やっぱ入れ替え可能なわけでしょ、こっちも。魂はコピーできないにしても。

タ でも入れ替え可能な魂は不完全なものだったじゃないですか。どうなんですかね、結局話としての結論がわかんないっってところに戻ってきちゃう(笑)。

ば 実際わかんなかったからね(笑)。

タ 小説か映画、どちらで出てきたか覚えてないんですけど、屍者たちはまず兵士として使われた。次に企業が秘書とか労働力として使いだして、最後に家庭でも使われるようになった。っていうセリフ、映画にありましたっけ。

ば 映画にはなかったと思います。

タ じゃあ本のほうだったかな。それもまさに軍事ロボットぽいなと思って。掃除機のルンバってもともと地雷除去とか、軍事用ロボットの会社ですよね。その技術を応用して掃除ロボ、ルンバができた。その、科学技術はまず軍事用に作られて、次に企業が使って、最後は安くなって家庭に下りてくるっていう。その三段論法が屍者にも使われてたから、やっぱりロボット兵士意識してるのかなって。やっぱりこの映画のインフラとして屍者が社会に根付いてる世界は、これから50年後に実際ASIMOとかPepperが行き渡った......

ば 未来を描いた作品ではないかと?

タ 50年後の日本で「最近凄い性能のいいASIMOがいるらしいんだけど、あれはどうも、ヒトを加工して作ってるんじゃねえか」って(笑)。そんな都市伝説が流れる未来を本作は予言している。

ば そうだったのか......(笑)。

「PROJECT ITOH」第2作、『ハーモニー』が絶賛公開中!

 この作品は「PROJECT ITOH」3部作の第1作となります。

ば 「PROJECT ITOH」のプロジェクトって、計劃(計画)ってことか! 今わかった、はてなIDの意味が!

タ 僕も今気がつきました。

ば 全然関係ない立場から言わせていただきますが、今回本当にみんな伊藤計劃の作品だ!と思えるんでしょうか。『虐殺器官』『ハーモニー』はいいだろうけど、『屍者の帝国』はほとんど円城さんなんですよね? 話をふりだしに戻すけど。

タ でもある意味、円城さんが文章によって復活させようとした伊藤計劃、復元された伊藤計劃でもある。

(C)Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES 

ば 満足度はどうだったんだろう。ワタシは映画を観て、結局オチがどうだったんだろうなってわかんないまま終わっちゃった印象なんですよ。あの緑色の光に圧倒されて終わっちゃったから(笑)。すごく不思議なものを観たな、とは思うんですけど、もの凄いSF映画を観にきたつもりの人たちがもしいたら、何かこう、抜けきらない気持ちを抱えたまま映画館を後にしたのではないかという。

タ 抜けきらない感はあるかもしれないですね。ばるぼらさんから、なんか本作向けの副読本みたいな、これをチェックしてから映画館に行けみたいのってあります? 僕は完全にDARPAのYouTubeなんですけど(笑)。DARPAのロボット兵士の走ってる映像をYouTubeで観てから、本作を観に行って欲しいですね。これとか、

 
これとか、



『メトロポリス』 (DVD)監督=りんたろう 販売元=バンダイビジュアル 発売日=2001年12月7日
ば そういうのないな~。しいて言えば『メトロポリス』(2001)ってアニメ映画があって、手塚治虫原作、りんたろう監督の。色々話が進んだあと、最後にとにかく全部崩れて、気持ちよく終わっちゃった印象の映画。あれを思い出したんですよね。とりあえず全部大破壊するとカタルシス!っていうのは伝統芸能なんだろうなって思いました。

タ 『天空の城ラピュタ』しかり『もののけ姫』しかり。

ば うんうん。それは映画のDNAなのか日本人のDNAなのかよくわからないですけどね。

タ あとあれですね、スタッフロールで帰っちゃだめですよね。

ば あ、そうそう。まだ続いてたもんね。ワタシはこの映画を観る前に原作を読んだほうがいいかも知れないと今思いましたね。

タ そして映画を観た後は、やおい......とらのあな......

ば 次のコミケに行くみたいな。

タ そうそう(笑)。どういう化学反応が起きているのか。物語は続くつって(笑)。

ば (笑)

タ やおい漫画にパンチカードっぽい穴が空いてて。ヤバいところが穴で穿たれた、新しい修正みたいな。

ば パンチカードにやおい穴が。

タ そうそうそう(笑)。やおいパンチカードを読んで、インストールしちゃう。

ば それ以上言うとぶん殴られるよ(笑)。

タ じゃあ結論はパンチカードで修正されたやおい本をコミケに探しに行くということで(笑)。そこで完結するっていう。

ば なにその家に帰るまでが遠足みたいな話! じゃあ責任とって年末のコミケで探してきますよ!

タ その時は、僕もター掘る穴ヤオイ名義でご一緒させてください(笑)。

構成・文=編集部

『屍者の帝国』
(C)Project Itoh & Toh EnJoe / THE EMPIRE OF CORPSES 
原作=伊藤計劃、円城搭『屍者の帝国』(河出書房新社)
監督=牧原亮太郎
脚本=瀬古浩司、後藤みどり、山本幸治
キャラクター原案=redjuice

配給=東宝映像事業部

2015年|120分|日本

「PROJECT ITOH」第2弾『ハーモニー』
TOHOシネマズ新宿ほか全国劇場にて絶賛公開中!!
(C)Project Itoh /HARMONY 



(C)Project Itoh /HARMONY 

(C)Project Itoh /HARMONY
原作=伊藤計劃『ハーモニー』(早川書房)
監督=なかむらたかし、マイケル・アリアス
脚本=山本幸治
キャラクター原案=redjuice

配給=東宝映像事業部

2015年|120分|日本

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