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(C)2015「ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE」製作委員会

WEB SNIPER Cinema Review!!
テレビ東京の人気旅番組「ローカル線バス乗り継ぎの旅」劇場版
最高視聴率15.3%を誇るお茶の間の人気旅バラエティ番組が、ニッポンを飛び出し海外の旅へ。太川陽介、蛭子能収、三船美佳の3人が台湾を路線バスだけで縦断! 路線バス以外の交通網の使用やインターネットでの情報収集が禁じられる中、個性の異なる3人が見舞われる予想できない様々な出来事とは!?

全国上映中
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(C)2015「ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE」製作委員会

たまの休日に『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』を観に行く奴とか、相当心に余裕がある。「どうしよっかなー、『ザ・ウォーク 3D』、『キャロル』、『オデッセイ』も捨てがたいしー、でも『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』にしよ!」、そんな人間に私はなりたい。
THE MOVIEというからには、なにかすごい事件が起きるのだろうかといえば、そんなことはない。たしかに今回は海外版で、マドンナは三船敏郎の娘である三船美佳だ。はたしてどんな化学反応が!?と思うけど、おばちゃんが1人公園で「ぎゃー!有名人の娘!」と喜んでいたくらい、そこまで世界のMIFUNEが爆発する感じでもない。途中で食人族に捕まって、同行者2人が食われているさまを蛭子さんが眺めるどころか、一緒になって「いやーおいしい」とか、そういう展開はないんだよ! でも、テレビ東京で普段から「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」を観ている人なら、そんな期待しないか。

(C)2015「ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE」製作委員会

本作は旅番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」の映画版。「路線バス以外を使って移動してはダメ(高速道路を経由してはいけない)」、「ネットとかを使って経路を調べてはダメ」、「タイムリミットは3泊4日」、などのルールに従って旅を続け、太川陽介、蛭子能収の2人にマドンナ(今回は三船美佳)を加えた3人がゴールを目指す。いつもと違うのは、日本語が通じないというところだ。
蛭子さんがあいかわらず飛ばしていて、「台湾の人ってバスの中をすぐ汚しちゃいそうだよね」から始まり、ご当地フルーツを見れば「なんか気持ち悪いね」、ご当地寺院を見れば「なんかごちゃごちゃしてるね」、そして旧市街に差し掛かると「ビルがボロくなってきたね」と、躊躇なく思ったことを口にし続ける。アメリカではポリティカル・コレクトネス疲れした層がドナルド・トランプ氏に引き寄せられていたが、日本では「お約束」に飽きた層が蛭子さんに引き寄せられている。次の参院選では蛭子さんが嵐の目となるかもしれないという気がした。

(C)2015「ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE」製作委員会

行き当たりばったりの旅だから、とくにおいしい店に行くこともできず、食べる飯がその都度うまそうだったり、マズそうだったりするのがいい。でも3人は毎回「おいしい」しかコメントしてなくて、これは間違いなくそのうち何回かはウソにちがいない! 本当はどれがマズいのか予想しながら観ていたけど、屋台っぽいレストランで食ってた奴は、まじでマズそうでよかったな~。ここでも蛭子さんの反応が参考になる。なんか「おいしい」のタイミングが遅かったり、無言だったり......。でも旅行ってこうだ。なんか飯はずしたり、適当な場所で意外とうまかったり、あの感覚がよみがえってくる。

2日目に突入するあたりから、旅の先行きに暗雲が立ち込めはじめる。なんと台湾に巨大台風がやってきてしまうのだ。バスが運休してしまったら元も子もなくなる、果たしてどうなるのか!? って、まあ別にそこまで緊迫もしないんだけど、けどあの出るのか出ないのかわからない公共機関を、ダメ元で確かめに行く感じは、アジア旅行あるあるだった。「日本はなにごともきっちりしすぎ!もっと心に余裕を持たないと」とか言っていたその口で、「日本ならこんなんで運休とかありえないから!こっちはスケジュール決まってるんだよ、根性みせろや!」とメコン川でキレていた、過去の自分の思い出もよみがえってくる。台湾でも3人は気まぐれな運行状況に振り回され、そんなときでも蛭子さんは1人どうでもよさそうなのが、これまた信用できる。

(C)2015「ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE」製作委員会

最も印象に残っているのは、蛭子さんが突然「はやくこの街を脱出しなければ......」とか言い出すシーン。なにかと思えば、彼はその街にホテルがないことを気に病んでいたのだった。「民宿に泊まると思うと、地獄のような感じがして」とか言って涙まで流し始める。蛭子さんの口から出る「地獄」という単語はほんとうに不吉で、瞬時にスクリーンがバッドバイブスで満たされていくのがすごかった。ここは本作で最も緊張感に満ちた瞬間なので、みんな「地獄」という単語を聞き逃さないようにしてほしい。ちなみに宿の交渉も毎回、蛭子さんが行なう。受付の人に100%日本語で話しかけるその真顔こそが、「空気」に左右されない彼の強さなのだ。またそれが通じてしまうのも不思議なところで、と続けそうになるんだけど、たぶん1回も通じてないと思う。

もし本作が好評だと、第2弾、第3弾も作られるのだろうか。バスが川に落ちたり、吊橋で落ちそうになったりする、トルクメニスタン編とか、ソマリランド編とか、本格的に訳のわからない場所を移動している太川、蛭子コンビも見てみたい。

(C)2015「ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE」製作委員会

文=ターHELL穴トミヤ

魅惑の台湾で、タイムリミットは3泊4日。
"台北"から最先端の"ガランピ灯台"へ――
ローカル線バスだけで「乗り継げる」か!?


『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』
全国上映中

(C)2015「ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE」製作委員会
出演=太川陽介、蛭子能収、三船美佳
ナレーター=キートン山田
構成=釜澤安季子
プロデューサー=越山進、能登屋重男、五箇公貴
制作=テレビ東京

配給=アスミック・エース

2015年|日本|119分

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映画『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』公式サイト

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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。
http://sites.google.com/site/tahellanatomiya/
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