WEB SNIPER Cinema Review!!
石井隆監督による幻想的なセクシュアル・ラブストーリー
リストラされた上に恋人にも逃げられ、最悪の気分でヤケ酒を煽っていた健太郎(柄本佑)。酔ってチンピラとトラブルを起こした彼は、大量のマネキン人形が棄てられた廃墟ビルに逃げ込み、そこでセーラー服姿のフィギュア(佐々木心音)を見つけて淫らな行為に耽る――。人気グラビアアイドル・佐々木心音がオールヌードを披露するエロティック・ラブロマンス。池袋シネマ・ロサほか絶賛公開中
ミニスカートにノーパンの女子が(しかもフィギュアという設定)、ヤクザをやっつけ、戦っているうちに服が乱れて「偶然」そうなってしまった、オッパイが丸出しになった恰好で、雑居ビルの横を、ゆっくりと、浮かび上がっていく。しかも、上昇していくうちにアソコも丸映りになってしまうので、股間部分からは、CG合成によって、神々しい光を発している。彼女はたったいま悪いヤクザをやっつけて、主人公をピンチから救ってくれたところなのだ。美少女フィギュアが僕を救ってくれたのだ~! というこの場面で、日本の大人の男はついにここまでダメになったのかと感動した。全世界に向けて、「観てください! 美少女フィギュアが守ってくれたらすばらしいですよね!? ね!? ほら、しかも! 股間が光っています!」と大声で叫びたい。ボリウッドで合成技術がすすんだからといってなんなのか。主人公のマッチョな男が、CGでよりマッチョに変身していくだけではないか。本作の合成技術は違う、美少女(しかもフィギュアという設定)がヤクザを主人公の代わりにやっつけてくれて、股間から光を発しながら、雑居ビルの横をゆっくり上昇していくのだ。観よ、この成熟! これが、先進国ってもんだぜ! 上昇する美少女とは裏腹に、成人として世界最先端なまでに地に堕ちた男を柄本佑が、一方の美少女を、グラビアアイドルの佐々木心音が演じている。監督は『ヌードの夜』、『花と蛇』、『人が人を愛することのどうしようもなさ』など、ハードボイルドな世界観と、ハードなエロ演出で世間を挑発してきた石井隆だ。
主人公は、出版社勤務のサラリーマン。映画が始まるとさっそく会議が始まり、竹中直人演じる部長に、売り上げが悪いのをなじられまくる。落ち込んだ彼が、席に戻ってから彼女らしき同僚(間宮夕貴)にメールを送る、その「エーン、あんまりだよね」という文章に添えられた、泣き顔アスキーアートのどうしようもない素晴らしさ!
結局フラれた主人公は、やさぐれ、泥酔し、帰宅したあとには「君しかいないんだ」とフィギュアに話しかける。このフィギュアがまた、パンツがあらかじめ脱げ途中、ヒザにひっかかった場所で定位置という、そのどうしよもなさに今夜は乾杯だ! もう本作の題名は『人がフィギュアを愛することのどうしようもなさ』でいいんじゃないか。このどうしようもない主人公に引っぱられたのか、本作はエロ演出もいつものハード路線から一転、全編にわたって引きこもり風となっていた(そんな中にむりやりねじ込まれた、間宮夕貴のファックシーンは本作の宝です!)。
主人公は日を追うごとにやさぐれ度を増していき、ある日女性(壇蜜)が股間をガラス越しにグイグイ見せつけてくれるバーで泥酔。ついには、チンピラとトラブルを起こしてしまう。この相手がなぜかオナべで、しかも演じているのが風間ルミ。ここでオナべキャラが出てくる必然性がまったく分からなかったのだが、とにかく風間ルミは怖かった。
追われる主人公は、雑居ビルの一室に飛び込み、そこで捨てられたマネキンの山を発見する。よくみるとその中に、1体だけ死体と見まごうほどの美少女ドールがあるではないか。根っからのフィギュアマニアである彼は、ここで我を忘れてフィギュアのギミックチェックを始めてしまう。さらには二人一役でのレイプごっこへと移行、プレイにどんどん没入していくそのさまは、これぞ映画! これぞ創造だ!と知的に興奮しつつ、一方のフィギュアが、いつの間にか生身の佐々木心音になっているではないか! かなりきわどい場所までいじくりまわされるも、人形なので無反応(じゃないといけない)という演技......。撮影自体がプレイと化しているこの趣向には、股間もチン的に興奮した。
やがて、風間ルミに見つかった主人公はボコボコにされ、さらには関係ないシャブ・ヤクザにまで遭遇してしまう。絶体絶命の瞬間、そこで冒頭の「フィギュアが動き出した!」シーンへと繋がっていくのである。
と、ここまでをはよかった! しかし、このフィギュアを自宅に持ち帰りはじまる後半部分。主人公が家にこもり、フィギュアの世話をかいがいしく続けていく(例えばシャワーで体を洗ったり、トイレで用を足させてあげる)のは、ただただ監禁事件にしか見えなくて気持ち悪いよ! やめてよもう! なにをされても反応しない、瞬きひとつしない佐々木心音へのひたすらの介護プレイ的接触。この映画、柄本佑のダメ男ぶりもねちっこく良かったが、絶対に反応しない佐々木心音も、これはこれで根性の座ったすごい演技なのではないだろうか。
麻雀に、いい女に、セックスシーン。おっさんによるおっさんのための映画。最後にこの映画を上手くひと言でまとめるとしたら、何がいいだろうか。「本作はまさに、観る『週刊現代』だ!」。いやしかし、それにしては主題がフィギュアというのがピンと来ない。柄本祐の年齢も「週刊現代」というには若すぎるし、やっぱり「観る『週刊SPA!』」くらいがちょうどいい!? いや、むしろ「観る『サイゾー』」のほうがいいかもしれない? いやいや、そもそも角川映画だし、角川の雑誌で例えたほうが良いんじゃないか......。でも角川って『Tokyo Walker』とかしか知らないし......。などと考え始めたらめんどくさくなってしまい、続きは水割り片手に、ゆっくりと股間見せつけバーで考えてたいものだと思う私であった(トテン、シャン)。
文=ターHELL穴トミヤ
夢か現実か。そしてフィギュアが動きだす――
『フィギュアなあなた』
池袋シネマ・ロサほか絶賛公開中
■メイキングDVD&写真集も絶賛発売中!!!
■イベント開催情報
6/23(日)ほぼ裸体の佐々木心音と2ショット写真が撮れる!!
佐々木心音ヘアヌード写真集発売記念イベント開催@池袋シネマ・ロサ
日時 : 6月23(日) 13:00の回上映終了後 15:15~開始予定
場所 : 池袋シネマ・ロサ(東京都豊島区西池袋1-37-12)
概要 : 『フィギュアなあなた』13:00の回本編ご鑑賞ならびに、当日同劇場にて佐々木心音写真集ご購入者限定で、豪華ドレス着用の佐々木心音さんとツーショット写真撮影ができます。
詳細は公式HPにてご確認ください。http://www.figua-anata.jp/
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映画『フィギュアなあなた』公式サイト
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