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(C)2009 Dark Castle Holdings, LLC

WEB SNIPER Cinema Review!!
2作品連続上映「ジョン・キューザック スペシャル」Part.1
"謎の娼婦失踪事件"を追っていたニューヨーク州バッファロー市警。担当刑事のマイク(ジョン・キューザック)と相棒ケイシー(ジェニファー・カーペンター)は、新たな被害者がマイクの17歳になる愛娘アビー(メイ・ホイットマン)であることを知って愕然とする――。世界中を震撼させた実在の"シリアルキラー" ゲイリー・ハイドニックの猟奇事件を元にしたリアル・サイコ・サスペンス!!

6月1日(土)より新宿ミラノにて先行ロードショー!
6月8日(土)より全国公開

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この映画いっつも雪が降ってますね、というのも、本作の殺人犯は冬期だけ活動する。雪が降る夜に娼婦が行方不明になる。梅雨どきに雪のサイコスリラー、いいじゃないですか! 納涼? みたいな? 今作に引き続きジョン・キューザック主演映画『殺しのナンバー』も6/22から公開されるという、「ジョン・キューザック・スペシャル」という企画の第1弾。本作でキューザックはその猟奇犯を追う刑事、そして思春期の娘を持つ父親を演じてます。しかし、キューザックが猟奇犯をやれば良かったのにね。観たいなー、娼婦に子づくりを強要するキューザック。
下敷きになっているのは実際に起きた猟奇事件「ゲイリー・ハドニック事件」。アメリカ人のゲイリー・ハドニックは、自分の子どもを産ませて、大家族を作ろうと娼婦を次々と監禁。さらには殺した被害者をバラバラにし、それを食べ物に混ぜてほかの被害者に食べさせたりもしていたというんだから恐ろしい! 観たいなー、被害者の肉を別の被害者に食べさせるキューザック。ただ本作は実際の事件とは違う演出もかなり加わっていて、そこらへん殺人事件マニアの人にはあらかじめ断わっておきたいですね(なので劇場で暴れたり、配給会社に脅迫状を出したりしないように)。

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ニューヨーク州バッファローで頻発する娼婦の失踪事件。犯人どころか被害者の死体も見つからぬままに月日が経過し、警察当局はついに捜査の打ち切りを決定する。そんななか、またも一人の娼婦が街からいなくなった。しかし、このとき犯人の車がATMの監視カメラに映っていたことが判明する。今度こそ逮捕のチャンス! キューザックは上司に捜査の続行を求め、なんとか今回だけはと許可を取り付ける。ナンバーから調べだした住所には目撃証言と一致する黒のセダン。満を持してSWATとともに突入すると! そこにいたのは完全に人違いの人間、そして車庫の黒いセダンからはナンバープレートが盗まれていたのだった。そんな中、妻からキューザックの娘が帰ってこないと連絡が入る。目撃者の証言によれば、彼女が最後に話していた相手は「黒いセダンに乗った男」......。
と物語はすすんでいくんですが、このキューザックの娘(メイ・ホイットマン)が小太り、オールバックで、レズのタチ役にしかみえないので困った。でも彼女には大学生の彼氏がいます。「どうしても彼に会いにいきたいの! 会いにいかなきゃダメなの!」って母親とケンカになって、こっそり抜け出した挙げ句にさらわれちゃう。しかも大学生の態度を見るに、彼女はどうやらやり逃げされている、これはなんとも切ない。しかしこのやり逃げ大学生はしっかりキューザックにぶっ飛ばされていたから、この映画の脚本家は絶対娘のいるおっさんだと思うんですよね。
娘がいなくなったときに同僚がまず言うのが「でも娘さんは、この事件とは関係ないでしょう!? 犯人が狙うのは娼婦だけのはずよ」という台詞。そこでキューザックが「娘の手配書を読んでみろ」と返す。「服装は胸元の開いたシャツに短いスカート、強調された厚いメーク......」「娼婦と一緒じゃないか!」ってそれが一番言いたかったんだろうなーと思いましたけど。っていうか娘にお前の格好はまるで娼婦だぞ!って言えないから、娼婦ばっかり狙う連続殺人犯が、女子高生を間違えて襲うっていうこの映画の設定を考えたんじゃないか。

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ただ、本作一番のインパクトは、タチっぽい娘でもなく、猟奇犯でもなく、彼に脅されてる巨漢の黒人看護師でもなく、キューザックの同僚の女性刑事、の顔なんですね。とくに目のあたり、よく貼ってある防犯シール(東京都だけっぽいですが)、「犯罪を見逃さない!」にそっくり! もう刑事としてはピッタリの顔じゃないか! 彼女に追いかけられたら逃げ切れない! 彼女は仕事一筋、三十路で子どももいないんですが、キューザックの妻を落ち着かせようと声をかけたら「子供もいないくせに知ったようなこと言わないでちょうだい!」とか八つ当たりされていて、「母親の地雷を見逃さない!」ことの難しさを痛感しました。

本作、猟奇犯のアジトももったいぶらずに、最初から登場します。となるとこれは、監禁されている被害者への暴行シーンを期待せざるを得ない! でも、そこは映らないんですね。人肉料理シーンも控えめで、じつは直接的な描写はそんなにない。ただ監禁されてる被害者が、犯人を「パパ」とか呼んでいて、むしろ演出の気味悪さでおしてくる。妊娠しないと「井戸」に入れられるヤバすぎるルールがあり、強姦されたあと「妊娠しやすいように」とかいって逆さ吊りにされちゃう! ヤバすぎます。どんどん状況が切羽詰まっていく中、はたしてキューザックは娘を救うことができるのか!? そして後半のむちゃくちゃすぎる大どんでん返しに、ぜひみなさんメガネや携帯を落として欲しい。とくに女の子は化粧ポーチからザザーッと中身をこぼしてほしい。胸がキューッとなって中身がザー、これがほんとのキューザーック。なんてね、無理矢理すぎましたね。地下室に帰ります。

文=ターHELL穴トミヤ

妊娠しなければ殺される――"パパと呼ばれる男"が定めた恐怖のルール




『コレクター』
6月1日(土)より新宿ミラノにて先行ロードショー!
6月8日(土)より全国公開

(C)2009 Dark Castle Holdings, LLC

原題= The Factory
監督= モーガン・オニール
出演=ジョン・キューザック、ジェニファー・カーペンター、メイ・ホイットマン、ダラス・ロバーツ、ソーニャ・バルゲル

配給=日活

2012年|アメリカ|108分|カラー|シネマスコープ|DCP上映

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映画『コレクター』公式サイト

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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。
http://sites.google.com/site/tahellanatomiya/
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