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WEB SNIPER Cinema Review!!
『ソウ』『glee/グリー』のスタッフが贈る「笑撃」の傑作ゾンビエンターテインメント!
小説家を目指してNYに出てきたものの、早々に夢を諦め、母校の小学校で臨時職員として働き始めたクリント(イライジャ・ウッド)。しかし子どもたちは生意気、同僚の教師たちは変わり者ばかりで......。そんなある日、給食のチキンナゲットを食べた子どもがゾンビ化、他の生徒たちも巻き込んで教師vsキッズゾンビの闘いが幕を開ける!!

シネマサンシャイン池袋ほか全国公開中
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小学校3年生くらいになると、子供は生意気になってくる。ラモーンズも「ガキを金属バットで殴れ」と歌っているし、奴らにはガツんと一発分からしてやらないといけない!必要なんだ!ど頭にフルスイングの愛の鞭が!
しかし、ハリウッドはとっても良心的な世界、子供をバットで殴る映画なんてとんでもない。しかし、生意気な彼らがゾンビになったら......?そしたらそれは、子供に見える「なにか」だ!もう遠慮はいらない(レーティングに)。やってやってやりまくれ!!というわけで子供ゾンビをバットで殴り、火をつけて燃やし、車で跳ね飛ばす本作『ゾンビスクール!』が誕生した。

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本作、オープニングでクレジットのうしろに鶏がしめられ、毛を抜かれ、ミンチにされ、チキンナゲットへと加工されていくさまが流される。最初はグロいのだが、ナゲットになれば実にうまそうだ。しかしその中に1個、なんか色の変な、あきらかにやばいよ~みたいのが混じっている。ついに学食に届いたその1個を、女の子がガシッ!と噛んだところで、アウトーッ!って感じでタイトルのCOOTIESがはいってくる(原題『COOTIES』はバイ菌という意味)。この流れがテンポよくてイイんだな~。この後に続く、ハーシェル・ゴードン・ルイスに通じる「明るいスプラッター」を予感させるのだ。

主人公(イライジャ・ウッド)は実家住まいの負け犬三十路男。ここで彼が通勤に使うプリウスが、半端じゃなくボロい。プリウスが出てくる映画といえば、印象的だったのは『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』(アダム・マッケイ監督)で、それはアメリカン・マッスルカーを乗り回す従来のヒーロー像に比べて、なよなよした主人公コンビを象徴するアイコンだった(しかし後半コカインまみれになってアメリカナイズされる)。本作のプリウスも当然アメ車と比べられて、しょっぱなからマッチョ男によるドアブロック攻撃!そのあとは......、とくに出番なかったな。今度は血まみれになってアメリカナイズされるプリウスも見たかったんだけど、残念......。代わりにGMのピックアップが活躍するから、やっぱり殺人(ちがった!ゾンビ駆除)にはまだまだデカくて重いアメ車が一番! 日本車もこれからの頑張りに期待したいところだ。

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学校に到着すると、すべての映画の敵「携帯電話」が副校長によって取り上げられ、惨劇の準備も万端(ちなみにこの副校長は本作の脚本と製作総指揮を担当しているイアン・ブレナン。やたらノリが軽く、見た目もどことなくスティーブ・クーガンに似てよかったのだが、盛大にバラバラにされおいしいところを持っていっていた)。
職員室には、ちょび髭マッチョの体育教師(レイン・ウィルソン)を筆頭に、主人公の元同級生で、やさしいヒロイン(アリソン・ピル)。ゲイの美術教師(ジャック・マクブレイヤー)。空気を読む機能が欠落した理科教師(リー・ワネル)。さらには銃で頭がいっぱいの女性教師(ナシム・ペトラド)まで、キワモノキャラたちが待ち構える。この映画変わっているのが、ゾンビに立ち向かうべく団結して戦うのが「教師たち」というところで、後半には『ブレックファスト・クラブ』ばりに、「いつもは混ざり合わない教師たちが、本音語り合い邂逅する」みたいなシーンまで用意してある。大人が成長し、大人が団結し、大人が生き残りを目指す! チキンナゲット片手にアホ映画を毎週観ているような、我々アダルト・チルドレンにはたまらない設定になっているのだ。
ヤバいナゲットを食べてしまった少女はゾンビを発症し、彼女にちょっかいを出すクソガキが第二の犠牲者となる。続いてコロンバイン高校乱射事件を元にしたガス・ヴァン・サント監督『エレファント』を彷彿させる、金髪に黄色Tシャツの少年(ただしクソガキ)も最悪のゾンビになり、生徒たちを次々に襲い始める。教師たちはシンバルや、ホッケー・スティックなどで武装し、校舎からの脱出をはかるが果たして......、と映画は続いてく。

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で、肝心のゾンビ・バトルについてはザックリ割愛させていただくとして、そんな惨劇のすべてを目撃する警備員が忘れられなかった。主人公が学校に着くといきなり「幻覚キノコあるか?」と聞いてくる。STOP看板片手に、デブにひげ面、こいつは絶対メタル好きにちがいない! そんな彼がやっと手にいれたキノコをいそいそと口に放り込んだ途端、目の前で惨劇が始まるのだ。当然バットトリップ! 以後、人体破壊シーンの合間合間に「スタジオのなになにさ~ん?」的に、「うおー!なんて恐ろしい幻覚だー!」みたいになっている姿が映され、さわやかな笑いをもたらしてくれた。
人体破壊はエグく、ノリは軽く、上映時間は88分。残虐スリラー『ソウ』と学園ドラマ『glee/グリー』のスタッフがタッグを組んだだけあって、本作はまさに娯楽映画かくあるべしという、存在自体がナゲットのような良作になっている。そういえば後半に突如登場するアジア系用務員、はたちさんも印象的だ。相変わらず日本と中国の区別がついてない感じアリアリながらも、彼がさりげなく「のり」を出してくる。そこに「すし」よりも一歩進んだ、ナゲット映画における日本理解の最前線が見えた。この映画は後年、アメリカにおける日本文化の広まりを検証する上で、重要な一本になる!そう断言して本稿の筆を置きたいと思う(やっぱり撤回します)。

文=ターHELL穴トミヤ

キッズゾンビとイカけた教師たちが繰り広げる、学級崩壊ゾンビコメディ!


『ゾンビスクール!』
シネマサンシャイン池袋ほか全国公開中

(C)2014 Cooties, LLC All Rights Reserved
原題=『Cooties』
監督=ジョナサン・ミロ 、カリー・マーニオン
脚本=リー・ワネル(『ソウ』『インシディアス』)、イアン・ブレナン(「glee/グリー」)
出演= イライジャ・ウッド、アリソン・ピル、レイン・ウィルソン、ジャック・マクブレイヤー、リー・ワネル、イアン・ブレナン

提供・配給・宣伝=プレシディオ

2014年│アメリカ│カラー│シネスコ│88分│DCP│英語

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映画『ゾンビスクール!』公式サイト

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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。
http://sites.google.com/site/tahellanatomiya/
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