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「エロ語呂暗記法」シリーズ第2弾!!
伝説の珍本『エロ語呂世界史年号』が出てから7年、ついに待望の日本史版が登場! 覚えにくい年号を卑猥な言葉で語呂合わせして覚えるという勉強法は、果たして受験生を救うのか――。
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WEBスナイパー編集部Iさんから今回、私のところに送られてきたのは江口五郎著『エロ語呂暗記法② エロ語呂日本史年号』、「ぜひ、書評してください!」とのことでした。へーと思って開いてみたけど、なんと受験用の日本史知識をエロい語呂合わせで覚えちゃおう!と、こういう大変愉快な本なんですね。本書はジョーク本のようでいて、本気の学習参考書でもある。しかし、受験というものがはるか昔の思い出となった身で眺めてみると(読むと頭が狂いそうになるので眺めるだけ)、これは下ネタを言わずにいられない強烈なオブセッションに囚われた人による、電波本に見えてきます。または、アウトサイダーアートといってもいいかもしれない。
あとがきを読むと、著者も相当きつかったようです。これに先行する『エロ語呂世界史年号』を出してから7年。エロ語呂世界史を出したからには日本史版も出したいと思いつつ、7年間も手をつけられなかった。「日々、数字・人名・用語でダジャレを考え、下ネタ的な文章に構成しつづけるという作業は、まともな人間のやることではありません」と書いています。エロ語呂世界史の本が完成する頃にはすっかり「燃え尽き」てしまい、それがブランクの原因になった。しかしそれでも最後には、『エロ語呂暗記法② エロ語呂日本史年号』を完成させた江口五郎氏は、不屈の精神をもった、真面目な方なのでしょう。彼はアウトサイダーじゃないのに、アウトサイダーアートを自分に課したようにも見える。「まともな日本語の文章が書けなくなるという副作用」が出たという記述には、心配になってきます。

本書の狂気が作者に由来していないならば、それはどこからきているのでしょうか?それこそが「社会から強制された暗記」です。文脈を持った存在である歴史が、暗記テストという形式によって、単語とランダムな数字の羅列に解体される。それが社会生活を送る上で、生存率を左右する関門(進級試験や入学試験)としてふるい分けに利用された結果、暗記は強制される暗記となり、暗記ができない人間のうち一定数がその単語と意味のない数字の羅列を覚えるために、またそこに文脈を持ち込む。それが語呂合わせです。その結果、この本には内臓が裏返しにされて晒されているような、奇妙な文がぎっしり詰められることになりました。さらにエロという縛りによって「強制された暗記」のグロテスクさは、極限にまで高められている。眺めるうちに「そもそも、なぜここまで無理をして、覚えなければいけないのか?」という疑問が浮かび上がってくる、そこに本書の批評性があります。

とはいえ、現状「社会から強制された暗記」としての日本史があるんだから仕方ない。この本にはそんな暗記作業の無味乾燥さや無意味さを少しでも楽しい、興味のあるものに変えよう!という善意が込められているわけです。でも、そもそも「暗記テスト」が強制されてるのがおかしいから!「暗記テスト」をなんとか興味あるものに変えて乗り越えようとする以前に、暗記が必須なのがおかしいから!!!とくに年号!!そんなの 100年単位か50年単位で合ってればいいだろ!!鎌倉幕府の成立が1192年か1193年かなんてどっちでもいいいだろ、しかもその後、解釈が変わって1185年になりましたって、そんなあやふやな意味のない数字の羅列を中学・高校と6年もかけて何百も覚えるって、ソ連が政治犯に課した穴を掘らせてまた埋めさせる拷問か!!!そんな無駄な作業は拒否してヘルマン・ヘッセ『車輪の下』2000回読むほうがましマザー・ファッカー!!グーグルやイーロン・マスクには一刻も早く、脳をネット空間と繋いでもらって、単語や年号の暗記という徒労から人類を解放してほしい!そう願ってやみません。
しかし、じゃあ日本史試験から年号を取り除けばいいのかというと、エピソードの前後関係を捉えるには、結局年号が一番便利という話もある。フォルダからファイルを探すとき「作成日時順」でソートします。ひとつひとつのファイルに日付情報がついてなかったら、フォルダはごちゃごちゃになってしまう。だから、やっぱり年号もセットで覚えよう。無理なら語呂でおぼえよう。それも無理なら、興味のあるものに変容させよう、たとえばエロはどうだろう?と本書に再び戻ってくるんですが、いや結局、興味のないことを、利益(社会における自己の生存率アップ)のために無理やり自分に課すべく、興味があるようにごまかすようなことはやめたほうがいいということなんだよ!日本史そのものが好きすぎて教科書読むのやめられない!!!みたいな感じじゃないなら、語呂でごまかしたりせず日本史なんかやらないほうがいいんだ!!!!いや「日本が昔、アメリカと戦争してた」とかまで知らないのは困るけどそんなの程度問題で、1429年に播磨の土一揆が起きただとか1716年に徳川吉宗が新田開発を推し進めたその田の名は飯沼新田、武蔵野新田、見沼代新田とか知る必要なんかないだろそんなの!!日本史、世界史、etc......すべての暗記科目を拒否する権利を学生に与えろマザー・ファッカー!!!とはいえ、大学受験はまだしも、中学・高校で日本史が進級に必須だったりして、怒っているだけでは留年したり、はては中退になったりする。

ではどうすべきか、カンニングするのが一番だと思いますね。進級のために避けて通れない暗記テストは全てカンニングでいい。やっぱり自然に覚えてしまうことならまだしも、好きでもないことを無理やり覚える、なんてしないほうがいいと思います。イーロン・マスクが脳チップを発明したら、そのとき日本史をアップロードすればいい。
そして、世の大学入試試験は、もっと暗記力を試すのではないテストを増やして、暗記できない人間への高等教育への門戸を広げてほしい(私もそういった試験で大学に入学したので感謝しています)。いつの日か、科学の発展によってか、社会の変容によってか、受験生たちは暗記という奴隷作業から解放されることでしょう。その時初めて、本書の狂気も救われると思うのです。

【暗記を一掃する未来へのリンク】
実現は5年後? イーロン・マスクの新事業「Neuralink」は、脳とコンピューターの接続を目指す
【ガチ】「脳に知識をアップロードする方法」を科学者が発見! 米航空会社で衝撃の実験結果、勉強不要に!!

文=ターHELL穴トミヤ

『エロ語呂日本史年号』(パブリブ)

著者:江口五郎
価格:1620円(税込)
ISBN:978-4908468100
発売:2017年5月5日
出版社:パブリブ

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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。
http://sites.google.com/site/tahellanatomiya/
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17.07.15更新 | レビュー  > 
文=ターHELL穴トミヤ |