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どんな体型の人にもジャストフィットの服はある!
女性が美しくなるための教科書
大人気変身番組『ティム・ガンのファッションチェック』から生まれた話題の本。ニューヨークの名門デザイン学校「パーソンズデザインスクール」の元ファッション学部長全米で、現在は全米でひっぱりだこのファッションコンサルタントとして活躍するティム・ガンが、素敵な女性になるための服の選び方をやさ しく解説。賢い整理・賢い買い物をするための目からウロコのアドバイスがいっぱい!!
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毎日ジーパンとスニーカーでリュックサックを背負ってる私でも、お洒落には興味ありありなのだ。もっと自分に似合う服が着たいし、どこへ行っても恥ずかしくないファッションでありたい。でも、日々の忙しさや余裕のなさにかまけて、とりあえず最低限の"着てもおかしくない"服を選び、動きやすい格好を選んでしまう。
ああ、いつになったら私は、お洒落な人になれるんだろうか。それさえ手に入れれば「仕事できそう」「信用できそう」「頭よさそう」に見える上、自分に自信がついて、しかもモテるという素晴らしい特権がついてくるというのに。分かっていても出来ないのは、そもそもお洒落のやり方が分からないから。これに尽きるだろう。

そもそも服のことばかり考えていた学生時代とは違い、ある程度の大人になれば、服に労力を使いたくなくなるものではないだろうか。私はそうだ。だもんで、服を買いに行くにしても、ついつい安くて便利なショッピングセンターばかりを利用してしまう。ところが、手頃な値段の店ほど、並んでいる服は流行モノばかり。大量生産、大量消費、大量破棄を推奨するかのように、毎年、流行スタイルが登場し、どの店でも同じように並ぶ。来年にはパタリと見かけなくなるというのに。
もっとスタンダードで流行に左右されない服が欲しいの!と求めてみれば、今度は高級ブランドショップに限られてしまう。ああ、やめてほしい。
かくして、ファッションセンスとお金のない大多数の人々は、毎年迫り来る流行アイテムに身を包み、「流されてばかりの人」ファッションを完成させてしまう。
この不条理で、馬鹿馬鹿しい仕組みにうんざりした私は、早々にお洒落を諦め、「いつも同じ服を着た人」を貫くことで、立ち位置を確保した。あれから早10年。いい加減30歳にもなれば、お洒落しないと常識が疑われるレベルである。私は多少アセっている。

さて本書は、そんな私のような人間にも希望の光を与えてくれるがごとく、『誰でも美しくなれる』と謳っている。
本当かよ!と叫びたくなるが、著書がティム・ガンと、ケイト・モロニーである以上、期待せずにはいられない。
なんたってこの二人、アメリカのテレビ番組「ティム・ガンのファッションチェック」を大ヒットさせた、元パーソンズ・ザ・ニューヨーク・スクール・フォー・デザインのファッションデザイン学部長ティム・ガンと、副学部長のケイト・モロニーなのだ。
日本でもNHKで放送されたから、知っている人も多いはず。

番組では毎回、ファッションに悩める一般人女性が登場するわけだが、二人は女性のワードローブを全てチェックすると、なんとセンスのない服を片っ端から処分させてしまう。しかもボロクソ言いながら。
「下品の極みだな」
「こんな服、買う人がいるのね」
気持ち良いほどの毒舌に、苦笑いするしかない彼女たち。しかし、アドバイスに従ってコーディネートしやすいアイテムを買い足すうち、センスに磨きがかかって、みるみる美しくなっていく。最後は、すっかりコーディネート上手になってしまうというわけだ。
この番組を見て、ぜひ自分のワードローブもチェックしてもらいたいと思った女性は多いのではないだろうか。
本書はそんな願いを叶えるべく、より様々なタイプの女性に向けてファッションアドバイスをしている。

番組同様"センスを身に着ける"ことこそ重要課題なため、コレとコレを組み合わせればOK!!なんていう単純明快さはない。
最初にたっぷりページを割いて説明されるのは、いかに自分を知るかということだ!
「年齢のワナにかかってふさわしくないファッションを選んでしまうケースとして最もよく見られるのが、ティーンのような格好をする中年女性です」
「この世には大きすぎる服や小さすぎる服を着ている人があまりにも多すぎます」
「まるでジャガイモの入ったズタ袋です」
「腸詰めソーセージを彷彿とさせるね」
「はちきれそうな服を着ている女性ははっきり言って目の毒です」
ティム・ガンの辛口とあいまって、ヘコむには充分。

さらに、服の捨て方についての章では、
「クローゼットはつまるところ、"過去になろうと努力したけれど結局なることをやめてしまった様々な自分"を一堂に集めたカタログと言えるでしょう」
という、ぐうの音も出ない格言から始まり、
「フィットしない服」「処分することに罪悪感を覚える高価な服」「なぜか一度も着ていない服」「大いなる思い出の名残」などなど、捨てる服の基準と、捨てる理由を明解に説明してくれる。
あげくに「この仕事着で元カレに会ったら困る、というアイテムは、処分することをおすすめします」
とまで言っているんだから、ティム・ガン恐るべし! 女の心理を知り尽くしている!

実際に私、アドバイスに従ってクローゼットを整理してみたのですが、着てない服があるわあるわ。
しかもそのほとんどが、過去に捨てようとして思いとどまっていた服でした。ティム・ガンは、その服たちをスムーズにゴミ袋へ運べるよう促してくれる。
で、これが大正解。自分のワードローブに何があるか明解になるし、服選びが楽になる。すごいよ、ティム・ガン。

毒舌に耐え、自分と向き合い、ワードローブを整理した後は、いよいよショッピング。
正直、活字を追っているだけでも、この時点で精神力が切れそう。だってティム・ガンの言葉を一つ一つ理解するだけで大変なんだから。
写真を眺めていればいいだけのファッション誌とは、根本から違う。

しかもショッピングとはいえ、ウキウキ楽しくなると思ったら大間違い。
ティム・ガンは、必ず揃えなければならない「女性に必須の10のアイテム」を提案しているんだけど、丈について、季節感について、何を持つべきか持たざるべきか、試着に関するチェックポイントなど、アイテムそれぞれについてこと細かに説明している。
一着選ぶだけでも膨大な時間が掛かりそう!

また、安い服=流行に乗せられるという構造は、アメリカでも共通しているようで、
「H&Mやその手の店で買ったものすべてがそうだというわけではありませんが、それらはまったくもって"その時だけ"のアイテムです」
と、暗に高級ブランドを勧めている。
しかも親切ながら、お金が少ない人のために「アウトレットでのコツ」までも指南。といっても、欲しい商品を確実にゲットするために、事前にあれこれと手回しが必要なのだ。
こんなに努力が必要だなんて、なんかもう服のことなんてどうでもよくなっちゃうよ私!!

本書を読んで分かることは、服選びは片手間じゃできないということ。自分と真剣に向き合って、たっぷり頭と時間とお金をつかわなければファッションセンスは身につかない。
もしもティム・ガンのアドバイスに従えば、どこへ行っても恥ずかしくない素敵なレディに変身することは間違いないでしょう! ついでに買い物の失敗も大幅に減るし、クローゼットもグっとスマートになって、人生まで変わりそうな気配!
でもその前に挫折する人も多いのでは!?(私がそうでした)
本気で実行するならば、ティム・ガン週間を設けて徹底的にやるべき! お洒落への道は険しいのだ。

文=東京ゆい

『全米No.1ファッションアドバイザーが教える 誰でも美しくなれる10の法則 』 (宝島社)


著者=ティム・ガン/ケイト・モロニー

発売:2011年7月8日
定価:1200円+税
ISBN-13:978-4796681506
発行元:宝島社

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東京ゆい 他人の人生を覗き見するのが趣味。聞き役なら、愚痴、ぼやき、自慢話、何でもこい。サブカル系と思われることが多いが、実際はサブカルをほとんど知らない。休日は動物と触れ合っていることが多い。
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11.09.04更新 | レビュー  > 
文=東京ゆい |