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7th Story CD『M�rchen』(初回限定盤)/Sound Horizon
販売元=キングレコード
発売日=2010年12月15日
special issue for happy new year 2011.
2011新春特別企画
相馬俊樹 × 村上裕一 対談:Sound Horizon【前編】
2011年お正月企画第3弾は、昨月発売された『クイックジャパン』誌の特集も記憶に新しいSound Horizonを巡る対談! Sound Horizon(サウンドホライズン)は サウンドクリエーターRevo(レヴォ )による幻想楽団。物語性を含む歌詞と組曲的な楽曲を作風とし、多くの幻想楽団メンバーを擁するライブ、そして独特なファンコミュニティなどなど、一口には語れないサンホラの魅力を批評家の村上裕一さんと、美術評論家の相馬俊樹さんによる対談でお届けいたします! 本日は前編の掲載です。
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■旧分類では語れない!? サンホラの印象

原子心母/ピンク・フロイド 販売元=EMIミュージック・ジャパン 発売日=2000年8月30日
相馬:サンホラ、初めて聞き、また見ましたが、衝撃的って感じではあまりないのですが……つまり、どこかで聞いたようなところもなくはなくって。でも、すごく流行ってるんでしょ? で、要するに、プログレってのが最初の感想です。あくまで音的にはですが。村上さん、いかがでしょう?

村上:従来の音楽史に位置づけようとするとプログレ、つまり大作志向だとかコンセプチュアルだとかいう点では共通的だと思います。とはいえ、それは結果的にそうなっているのであって、少なくともサンホラは目的としてプログレをやりたい、という感じではないように見えますね。

『クイック・ジャパン』 VOL.93 出版社= 太田出版 発売日=2010年12月14日
相馬:なるほど。でも、この辺、『QJ』 vol.93で特集された記事のインタビューとか読んでもよくわからないのですが、影響関係というのはどうなってるんでしょうね? つい、僕のような世代だと、何の系譜からきてんのかって気になっちゃうんですよ。そんなこと気にすること自体、あまり意味ないのか?

村上:正直、大文字の音楽史との関係はよく分からないという本音があるのですが、他方でそれを論じるよりも大事なことは、小文字の影響関係の確認かなと思います。その点では、直接の出自はゲーム音楽のはずで、風の噂だとコーエーのコンテストが音楽家としてのデビューだという話を聞きます。その後はホームページを主要な媒体に打ち込みでゲームミュージック風の楽曲を発表していました。で、主要な活動先としてコミックマーケットなどの同人市場が出てきまして、サンホラはそこで台頭することになります。このとき、もちろんメジャーな音楽シーンもサンホラに影響を与えていたんでしょうが、やはり、いわゆる同人音楽シーンが直接的な作曲条件(環境)だったのかな、と思えますね。

相馬:そうか。彼らの音楽史の蓄積、つまり、どんな流れからって思う人、多いと思うんだが……。では、それは置いとくとしても、ゲーム音楽がオリコン1位になるほど、受け入れられてるってことですか?

村上:どうなんだろう。「蓄積」については、むしろ僕より音楽史に詳しいだろう相馬さんから見てサンホラがどう見えるかが気になりますね。後者については、少なくとも今の弱り切った音楽シーンにおいては相対的に、というか順番で一位を取れる程度にはゲーム音楽……というよりもサンホラが受け入れられているということは間違いないものと思われます。こちらに関しては、もうオリコン的なチャートって言うのは一種の村祭りみたいなもので、トライブの勢いの強さだけで回している感じがしますね。ジャニーズ村しかり、AKB48村しかり。

相馬:あのー、正直、音楽だけ聴くと、あまりピンとこないというか……すごくよくできてるって月並みな感想はもつんですけど。こちらの方面の音楽の蓄積が僕にないってこともいえるかもしれないですけどね。だから逆に、率直に何がいいのかってことを、今日、少しでもわかりたいというか。

■サンホラを愛する人たち

相馬:ポイントとしては、しっかりとした楽曲、難解な歌詞、よく練られた劇ってことで、みなさん、うなってるのでしょうか? 他にもあります? 村上さんの見解をちょっと聞かせていただけませんか?

2nd Story CD『Thanatos』/Sound Horizon 販売元=自主制作盤 発売日=2002年8月11日
村上:僕の立場はもちろんサンホラ大肯定で、ずいぶん古くからのファンです。『Thanatos』のときからですね。少し自虐的な言い方をすると、相対的に貧弱な同人音楽シーンでしっかりとした作曲とプログレ的構成を持ち込んだサンホラが『黒船』的に受け入れられたというところはあると思います。でもそれだけだとすればメジャーで生き延びているのは首を傾げるところですよね。ちょうどさっきAKB48の名前をちょっと出しましたが、あれはファンが育てるアイドル、というのが一つのコンセプトなんですよね。サンホラも、そこまでストレートではないんですが似たようなコンセプトがあると思います。つまりリスナーが「サンホラ」に参加していくという要素があるんです。

相馬:ふーん。ファンと共に成長してくってことか。参加してくって、たとえば、どんな風に?

村上:最初はそれは楽曲の中に埋め込まれた「謎」を解くことによって、視聴者が普通よりも主体的に音楽に参加する、といった程度のものでした。もちろんこの謎解きにも重要な意味があるのですがさておいて、で、その後はいわゆる「王国」というファンコミュニティが成立するんですよね。これはRevoを国王とする共同体なのですが、特徴的なのはオフィシャルにこれが認定されていることです。この架空の共同体が非常に強力な現実感を持っていて、それと楽曲がシナジーを起こしているというのが、サンホラの良さなのだと思います。はっきり言って、従来の意味では音楽的でもなんでもないでしょうが、このスタイルがサンホラの「音楽性」ではないかと。

相馬: 「参加」っていってもロックのライブのような熱狂的一体感とか、あるいはジョン・ケージの「4分33秒」なんかの客席の椅子の音まで音楽にとりこむっていう「参加」ともちがうんでしょ? これもインタビューにあったと思うけど、みんな、ばらばらになっちゃったってことで、何か参加できるような共通項をもつってことですよね?

村上: もちろんサンホラのライブにも一回的な熱狂の経験はあるわけですが、もっと宗教的なリアリティを持っている気がしますね。というのはライブのリアリティってもちろん現実に対する強力なオルタナティブだと思うんですが、より持続的な性質が感じられます。参加できる共通項というのはそういうことだと思いますね。とはいえサンホラは間違っても新興宗教ではないのであって、いわゆる「物語」がそこでうまく均衡を保つ機能を果たしているのかな。

相馬:ロックとかもやっぱり宗教的なところは強いとは思うんですが、そうなると客層が気になりますよね。まず、たとえば渋谷系でも、あるいはビジュアル系でも、ファンたちはどうしても若干似通ったファッションになっちゃいますよね、当たり前ですが。とりあえず、サンホラのファンの方たちってどんなファッションなんでしょうかね? 服装の統一感というのも、宗教的な側面を強調すると思うんですが。

村上:難しいな。第一声としては統一感はそんなにはない、という気がします。主要なファンはほとんど普通の人です。ちょうど最近におけるオタクのライト化によって、あまり見た目ではオタクかどうか分からなくなったのに似てるかもしれないですね。その上でよく注視してみると、やっぱり根強いのはゴスロリかな、という感じはします。

相馬:そこはおもしろいですよね。まず、自然に考えて、ファンの人たちって、やはりそのバンドのメンバーみたいな服装したがるじゃないですか。だから、サンホラだと、たしかに近いのはゴスロリやロリータ・ファッションなのかなって思いました。でも普通の人も結構交じってるわけですね。ゴスロリが根強いとすると、あの人たちって自分たちの世界に閉じこもりがちで、他の人たちを受け入れないところも強いから、ファンの間で対立とかはないんですかね?

村上:いわゆるゴスロリの人たちがどれほどサンホラに合流しているのか、ということは統計的には分からないのであれなのですが……つまりもともとそういうのにハマる要素はあったけれど現役ゴスではなかった人たちがサンホラを通じていささか不思議な形でゴスロリ化するっていうのが多いのかな、という印象があります。その点ではオタクもゴスロリもなかよくしているように見えますね。

相馬:そこはすごいですね。おたくとゴスロリ、あるいはおたくとサブカルが一体感をもつっていうのがサンホラのすごさなんですか? ちなみに、そういう例って他にあります? 村上さんの世代だったら、なんか知ってるんじゃ?

『La Vita Romantica 』初回限定盤/ALI PROJECT 販売元=メロウヘッド 発売日=2010年1月13日
村上:サンホラほど巨大な例は正直見たことないですけど、オタク系の有名なコンテンツがゴス要素を持っていて、擬似的にそうなっているというのはあるみたいですね。僕は結構オフ会とかに行ったことがあるんですけれど、そこだと『うみねこのなく頃に』『黒執事』なんていうコンテンツがそういう役割を果たしてましたね。主題歌がそれっぽかったというのもありますが。それで思い出しましたが、アニソン界ではALI PROJECTっていうザ・ゴスロリみたいなユニットが大人気を博しているんですがこれは一例になるかもしれませんね。

相馬:オタクがゴスロリに接近!? 他にもあります?

『gothic lolita agitator』/妖精帝國 販売元=ランティス 発売日=2010年12月22日
村上:またサンホラと一緒くたに語ると怒られるのですが妖精帝國というこれまたアニソン系のバンドがありまして、これも強力なゴシック風味と偽史による囲い込みで強烈な経験をファンに与えています。逆にサブカル界から逆説的にそういう役割を果たしているものについては僕は思いつかなかったりするのですが、これだけを見ているとオタク業界が緩やかにゴスロリを取り込んでいるように思えますね。

相馬:たしかにそれほどよくは知らないのですが、『ローゼンメイデン』でしたっけ? 最近、単純なことですが、アニメにゴスロリ・ファッションっぽいのを結構見かけますよね。おたく業界が穏やかにゴスロリを侵食してる……なんか、不気味なようでもありますが、どうなっていくんでしょうね。

『ローゼンメイデン』1 著者=PEACH-PIT 販売元=集英社 発売日=2008年12月19日
村上: 『ローゼンメイデン』はまさに市民権を獲得したオタク系ゴスロリ作品ですね。あれは内容的にも非常に興味深いので脱線して話し続けたいところですが(笑)、サンホラとの類縁性で言うと「人形」というモチーフがとても大事ですね。サンホラにおいてもゴシックっぽさが顕在化したのは五枚目のアルバム『Roman』からで、これは、語弊を承知で言えばゴスロリ人形の話ですね。しかも歌い手がオフィシャルにゴスロリ風コスプレをしていたので、一気にファンの間でも同様のファッションが隆盛したのだと思います。

相馬:やはり先程のインタビューによると、ポップスということを強調しているように思えますし、それだったら、党派的な垣根って最大の敵ですものね。おたくだけ、ゴスロリだけっていうんじゃ元も子もないって、ある意味、すごい野望のような気も……。でも、今の音楽シーンにおける深刻な無関心への挑戦というのは、かなり難しいでしょう。そこで、サンホラが提案してるのが「物語音楽」というジャンルの確立なのでしょうか。リーダーの方がマンガと比較していたのは、興味深かったですが、本当にマンガというジャンルと張れるほどのものなのでしょうか?

『KAGEROU』 著者=齋藤智裕 販売元=ポプラ社 発売日=2010年12月15日
村上:マンガというジャンルは広大なので文字通りに拮抗するのはつらいでしょうね。特に例えば『ワンピース』なんかは先般、累計部数2億部を達成したとのことですし、このレベルの「大文字」ぶりには到底届きません。ですがこれはまあ、キャズムを超えた例外作品と考えたほうがいいでしょうね。小説では『KAGEROU』が話題性だけで70万部近く売れてしまいましたが、当然内容なんて関係ないわけで、その意味ではジャンルの大文字性はほとんどない。そういうことで、現状の勢いを脇に置いて見てみると、確かにサンホラの描く緻密な「物語」は、音楽としては破格ですし、また他のフィクションと比較しても見るべきところがあると思いますね。

■物語に秘められた主題と謎

相馬:歌詞も結構読んではみたのですが、たしかに難解で複雑。ただ、あくまでも「歌詞」だから「小説」と同じような効果は発揮できるのかなって気はしました。謎解きの奥深さっていう点でも、本当に小説なんかに匹敵するような効果は出せてるんでしょうかね? みなさん、あれ読んで、メモなど取りながら(僕だったら、文章量が少ないから自分で物語追いなおさないととても楽しめませんが)、謎解き遊びに夢中になってるんですか?

村上:イエスノーで答えなければならないのならイエスですね。2ちゃんねるなんかでも多くの人が知恵を絞って物語の整合性を議論し合っています。また、これは特別な事情ですが、謎を解くことでダウンロードできるようなボーナストラックも存在していて、これがまた一つ謎解きを盛り上げているようですね。でもまあ、それこそQJのインタビューでもRevoが言っていましたが、謎解きだけが重要なら犯人探しの殺人事件にすればいいのだし、だとすればそもそも数多あるミステリーを読めばいいという話になりますね。恐らくは相馬さんも、そういう前提において、なぜサンホラなのかということが気になっているのだと思うんですけど、どうでしょう。

相馬:そうですね。またインタビューですが、彼は答えの不在というか、世界の謎の持続性というようなことも言ってましたよね。つまり、「考え続けること」を重視してるわけですが、それも、やはり無関心への挑戦。でも、テーマというのが、たとえば「エヴァンゲリオン」などとくらべて、今一つ見えずらい気も…… 難しいかもしれませんが、村上さんのご意見ということで、いくつかテーマ的なものを指摘していただけませんか。

村上:ちょっと否定神学っぽいところがありますよね。確かにサンホラの物語は謎の中枢を明かすことをしません。それでも僕が見る限りで申し上げれば、まず全てに共通するテーマとして「現実と虚構の転倒」というのがありますね。この主題は変奏の後に反復されていて、「Roman」であれば「朝と夜」、「Moira」であれば「生と死」、「Marchen」であれば「光と闇」といった具合です。とはいえこれは誰が見てもわかるのでもう少し踏み込んだことを述べると、自己言及というのが一つの問題になっていると思います。例えば書物は現実において書き込まれるものですが、現実が書きこまれた記述に依存するというような状況がそれです。現実と虚構のどちらが確かなのかがサンホラの作品ではよくわからない。その空転によって作品世界が支えられています。

相馬:なるほど。村上さんの論理が冴えてきましたが、ここで、もうちょっとわかりやすくしていただくために、二、三質問を。まず、否定神学っぽいというのは、神でも超越界でもよいですが、それが現実とはかけ離れた、もはや無限に近い距離で隔てられてるってことですか? それと、これは的外れなのかもしれませんが、「現実と虚構の転倒」というのは、それによって現実世界を撹乱させようということですか? つまり、現実世界という牢獄を打ち破るというか、現実世界の課す「モイラ」すなわち運命ですね、それに抗おうということなのか……実は、「モイラ」という作品の歌詞をみて、その辺がいまひとつわからなかったんです。「モイラ」=運命には逆らえないという悲歌なのか、それに挑む希望の歌なのか? それとも、そもそもそのどちらでもないテーマが描かれてるのか。いかがでしょう?

6th Story CD『Moira』/Sound Horizon 販売元=キングレコード 発売日=2008年9月3日
村上:丁度「Moira」が話題に上ったのでこれで言いますと、まさに、誰も見たことがない(No eye has ever gazed)神としてミラ(Moira)がいますね。果たしてミラはいるのかいないのか。これはまさに否定神学だと思います。どこまで接近しても辿りつけない点では無限的でもありますね。「Moira」作中では叙事詩は彼女の采配で行なわれていると信じこまれているようですが、これは丁度、他の作品で「謎」が物語を駆動させていることに対応します。つまりミラというのは謎の人格化なのだと言えると思います。 で、次の問いですが、僕の考えでは、Revoは、作品では悲劇を語り、ライブやインタビューでは希望を語ります。この辺にはかなり厳密な縛りがあるような気がしています。従って例えば「Moira」が結論としてどちらのベクトルなのかは決定不可能に思われます。それはまさに解釈次第なのだと思います。この「解釈次第」ということも頻繁にリテラルに歌われています。ところで、サンホラが物語主題として転倒を描いていることは「我々の現実」に対してはどうなのか、ということが問われたのだと思いますが、これに関して「王国」などの様子を鑑みれば、少なからず実現実の撹乱も考えているのではないかと思われます。

相馬:先ほどのサンホラが宗教的って話と関連させると、ヘレニズム時代の古代密儀宗教というのは、イシス密儀にしろ、キュベレ密儀にしろ、悲惨な運命に対する秘密の知恵を伝授するってことが目的だったらしく、参加者は終わった後、ものすごいカタルシスを味わうわけだ。仮に、歌詞においては希望なのか、絶望なのか、はっきりと表明されてなくても、やはりサンホラのライブに参加したファンたちは、何らかのカタルシスは得てるはずですよね。村上さんの考えだと、それってどんな感じのものなんだろう?

村上:決定不可能だの解釈次第だの、価値中立っぽいことを言ってきましたが、少なくともライブを見る限り非常にポジティブなカタルシスがそこに生じているのは間違いないと思われます。今やサンホラはかなりライブをこなしているので、その事例もかなり蓄積されていると考えられるのかな、と個人的には思いますが……。
(続く)

【注釈】 コーエー 株式会社コーエーはPCゲーム・コンシューマゲームの開発会社。歴史シミュレーションゲーム『信長の野望シリーズ』などで有名。また女性向け恋愛シミュレーションゲームである『アンジェリーク』なども手がける。近年では『三國無双』『北斗無双』などの無双シリーズが人気を博している。(村)

ジョン・ケージの「4分33秒」 第一楽章から第三楽章まで楽譜にはあるものの、すべて休み。すなわち、ピアニストは椅子に座って何もしないで退場する。演奏家が何も演奏しないことによって会場内外の雑音を聞くように聴衆を促すわけだが、それは、それら雑音を音楽に取り込み、椅子を軋ませた聴衆や囀った鳥を演奏に参加させると見ることもできるかもしれない。(相)

うみねこのなく頃に 同人ノベルゲーム。またはそのシリーズ。『ひぐらしのなく頃に』で圧倒的な人気作家となった竜騎士07の最新作で、この冬コミに完結編となる『うみねこのなく頃に散』の第八章が頒布された。孤島の洋館を舞台に起こる密室殺人事件を描いた作品だが、話が展開するに連れ、魔女と呼ばれる抽象的な存在とのメタ推理ゲームが問題の主軸となっていく。本対談との関連においては、登場人物の洋装や魔女・悪魔たちの衣装がゴシカルで、ファンを刺激している。(村)

黒執事 枢やなによる漫画作品。19世紀後半のイギリスをモチーフにしている。二度アニメ化しており大人気を博した。内容的にもゴシック調のところがあるが、本対談的にはアニメの主題歌が重要。第一期はシドが、第二期はthe GazetteEが担当しており、双方とも非常に人気の高いヴィジュアル系ロックバンドである。つまりここではゴスロリ層とアニメファンがゆるやかに重ね当てられている。(村)

ALI PROJECT 宝野アリカと片倉三起也による音楽ユニット。主にアニメとのタイアップで楽曲を発表している。ホームページでは「ダークなロック・官能ゴシック・妖しいロリータ・極上バラード・きらびやかでキュートなポップスから大和ロック・現代音楽」と自己規定しており、多様な側面を持っているが、概ね典型的なゴスロリだと考えていいだろう。後述する『ローゼンメイデン』のアニメ版にも楽曲提供している。(村)

妖精帝國 ヘヴィメタル・ロックバンド。アルバムに『stigma』『GOTHIC LOLITA PROPAGANDA』など。主にアニメに楽曲提供している。ゴスロリ調のファッションや楽曲で、それだけに留まらずボーカルのゆいは架空のはずの「妖精帝國」の代表者として実際に演技的に君臨し、ライブを式典、ファンを臣民とすることで日夜領土の拡大に精を上げているという体になっている。傾向が似ているため知らない人間からはサンホラなどといっしょくたに見られるが、それは妖精帝國ファンにもサンホラファンにも嫌がられることである。(村)

ローゼンメイデン PEACH-PIT原作の漫画作品。二度のテレビアニメ化がされた。ゴスロリの少女人形たちが至高の少女「アリス」を目指してバトルロイヤルするという話。水銀燈、翠星石などそれぞれの人形が熱狂的なファンを生んだ。(村)

否定神学 「神は〜ではない」という否定表現によって神を語ろうとする方法。肯定神学(形而上学)に対するもの。サンホラに当てはめると、けっして名指しされない空白の中心(謎)が様々な物語を駆動させているというのが否定神学的だと言える。後述もしているが、『Moira』におけるミラは母神として、存在することになっているが「誰も見たことのない」ものとして取り扱われている。(村)

ヘレニズム時代の古代密儀式宗教  密儀宗教にはエレウシス密儀、ディオニュソス密儀、オルフェウス密儀、イシス密儀、キュベレ密儀などがあるが、「密儀」というだけあって、その儀式の内容はほとんどわかっていない。ただ、おそらくは、神との神秘的合一(ウニオ・ミスティカ)、神的力の覚醒を目指した、死と再生のイニシエーション的性格をもち、個人の救済を目的としていたようである。あくまでもその基本は非公開の祭儀・儀式を中心とする信仰形態であり、思弁的・哲学的教説の伝授ではなく、ある種の宗教的経験を獲得することを主眼としていたとおぼしい。(相)

イシス密儀  イシスは元はエジプトの女神であるが、ヨーロッパにも浸透し、根強い人気のある女神の一人となった。イシス・オシリス密儀については、アプレイウスの『黄金の驢馬』から若干の情報が得られる。詳しくはそれにあたってもらいたいが、「運命の女神(フォルトゥナ)」とイシスの対立がこの物語の基本構造を成しており、「運命の女神」に支配された主人公ルキウスがイシス(とその密儀)によって救済されるまでの話となっている。イシスは恐るべき運命の力を征服し、それを従わせる。これが「救済の約束」となっていたと、エリアーデは『世界宗教史』に書いている。(相)

キュベレ密儀 キュベレは元はフリュギアの女神で、黒い石(隕石という説もある)に宿るとされた。ローマにおけるその密儀は、数ある密儀の中でも最も凄惨な儀式をともなったものの一つである。それはタウロボリウムと呼ばれる儀式で、罪を清める効力があると信じられた牡牛の血を浴びるといったものであったらしい。そして、キュベレに仕える神官たちは去勢された息子−夫のアッティスを模して、トランス状態のうちに自らも去勢し、その男根をキュベレに捧げたといわれる。(相)
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村上裕一 見習い批評家。「東浩紀のゼロアカ道場」最終通過。講談社BOXから2010年1月に単著を発表予定。製作した同人誌「最終批評神話」を収録した『東浩紀のゼロアカ道場、伝説の「文学フリマ」決戦』が講談社BOXより発売中。
村上私記
http://d.hatena.ne.jp/mythos/

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相馬俊樹 1965年生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒。 エロティック・アート研究家、美術ライター、美術評論家。 「S&Mスナイパー」「トーキングヘッズ叢書」「美術手帖」 その他にアート、漫画、文学などに関する文章を多数発表する。近著に『禁断異系の美術館1 エロスの畸形学』(発行:アトリエサード/発売:書苑新社)がある。
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