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読者投稿弄虐小説 「撮られた双つ花」
作= 羽鳥止愁

N女子大学文学部教授、真鍋隆博、51歳。毎年、彼の元には単位欲しさにふしだらな取り引きを要求してくる女子学生が複数人やってくる。秘めたサディズムを胸に燃やして危険なコレクションを増やす初老の教授の、エスカレートしていく行為とは……。『S&Mスナイパー』1981年2月号に掲載された力作投稿小説を、再編集の上で全4回に分けてお届けしています。
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【2】排泄の苦しみ

「これで三十点だ、朱美くん。あと四十点、どんな答案を出すか楽しみだな」
「問題によりますわね。先生。私の答案の出し方は」

必死の抵抗か。自分への気力の鼓舞か。朱美は乾く唇で真鍋に対した。

「楽しみだね。じゃ、こちらも練った問題を考えよう」

小刻みに震えている朱美の後ろ姿を見ながら、真鍋はたばこに火をつけた。

「セックスにおける牝大の地位、嗜好度を、SM風に述べよ。というのはどうかね。SMって言葉、もちろん知っているだろう?」
「変態のことですわね」
「フフ、変態か。人間は皆変態さ。それを表の生活に出すか出さないかだ sとMなんて誰でも持っている。君だってさ、朱美君。もっとも、君の場合はsのほうが強いようだね。Sの女王様って感じだね、君の性格、雰囲気からだとね」
「お生憎さま、私にはそんな趣味はございませんわ、先生。どなたかと違って」
「sの似合う君に、今日はMの感覚を味わわせてあげよう。いずれ君がSの女王として君臨するときの参考にね」

(何をしようってのさ、助平じじい。どうにでもしやがれ)

「さて、それじゃ、これから牝犬朱美の忠誠心を見せてもらおうか。四十点の答案を出せるかどうか。君はわたしに飼われた牝犬だからね。ハッハハハ」

(何を勝手なことを、クソじじい)

「それじゃ、まずそこで四つん這いだ。尻振って媚を売ってみたまえ」

(チクショウ。変なことを。どうする、朱美……私にそんなことができる……?)

「どうしたんだね。帰るかね。三十点はあげるよ。白紙の答案で三十点もらえれば御の字だろう」

朱美は膝を折った。両手を着き、真鍋には見せられない口惜し涙を滲ませた。煌々と輝く明かりの下、四つん這いの痴態には、最早、自分の羞恥は、後ろから覗く真鍋にはあからさまであろう。

「まず、牝大の曲芸を見せてもらおうか。その椅子を登って、向こうへ下りて、またこっちへ戻ってくるんだ。もちろん、四つん這いでね。犬だから」

今まで座っていた肘掛け椅子が眼の前にあった。

(ええい。こうなったら、何でもやってやるよ。見たけりゃ、見ればいいさ。見せてやる。拝ませてやるよ)

朱美は椅子に手を掛けた。這い登り、四つん這いで椅子に乗った。

「肘掛けに膝を着いて、大股開いて、お尻を振って、キャンとでも鳴いてみるか」

(鳴いてやるよ、みてな)

朱美は膝を開いた。両手を背もたれの上におき、左右の肘掛けに膝を乗せた。グイッと尻を突き出してやった。

真鍋はカメラを操作していた。モニターには、画面一杯に朱美の突き出した双臀が映っている。ぱっくりと弾けた薄紅色があからさまにのぞいていた。すぐ上のセピア色も、あえかに緊縮を繰り返して、画面を彩っていた。

「キャンはどうしたキャンは」
「……キャン……」

口惜しさを飲み込んで朱美は鳴いた。

「キャン、キャン、キャン、キャアーン」

わざとしなを作って、悩ましく鳴いてやった。

「フフ、色気たっぷりな犬だな」

朱美はグイと腰を引いて、尻を突き出してやった。これみよがしに……。

「いったん、向こう側に下りて、這い登ってこい」

椅子の背から顔を出汁、朱美は真鍋の下卑た笑いを浴び、すぐにまぶたを伏せた。

乳房を晒し、うつ伏せって肘掛けに両手を掛けた。背もたれの上から両膝をいざり下ろし、肘掛けに両手両足を乗せた。

「顔を上げろ、俯いている犬などおらんぞ」

さすがに口惜しさは隠しようもない。惨めな肢体で、女の羞恥を全てあからさまに覗かせている。恥ずかしさは、顔をまともに見られているだけに、余計に口惜しさをつのらせた。

たわわに下がる乳房。開いた股間からそよぐ品のいい絹草。

自分で剃らしてみるか……。と、真鍋は思った。

「よし、下りてこっちへ来い。これを付けるんだ」

鎖に繋がった犬の首輪をデスクの前に垂らした。モニターにはぼやけた鎖の向こう側に四つん這いの朱美が映っている。刺激的な構図だ。

口惜しそうに朱美の顔がのけ反っている。真鍋に対する侮蔑のいろをはっきりとあらわしていた。

せめてもの抵抗であろう。そんなことはどこ吹く風と、真鍋はチャラチャラと鎖をチラつかせた。

「ほんとに変熊なのね、先生」
「おや、犬が人間の口をきくのかね」
「フン、変態じじい」

朱美はその鎖を荒っぽくたぐりよせた。

「これを付ければいいのね。付けてやるよ。これで先生、何点下さいますの?」
「そうだね。十点あげよう。それでは何点になるかね」
「四十点ですわ」
「あと三十点……」

首輪を付け、朱美は犬のおすわりのように座った。いかつい首輪は、華奢な朱美の首に痛々しかった。もっとも、それが真鍋には快い刺激になるのだ。

鎖は真鍋がしっかりと握っている。三メートルはあろう、長い鎖だった。かなり重い。

「よし、椅子に座って、両脚を肘掛けに載せて牝大のオナニーといこう」
「なんですって……!」

信じられないというように、驚愕の表情を真鍋に向けた。

「濡れて、気をやったら、二十点やろう。どうだね」
「いやよ、そんな」
「それが嫌なら、排尿と排便を見せるかね。どっちかだ」
「そんな。いやよ。あんまりよ、ひどいわ。ひどすぎるわ」
「sの女王様にもなろうって君が泣きを見せるのかね。経験はあるんだろう。淋しい夜なんか、ひとり慰めるんだろう。それとも何かい、男がいつでも用足せるのかね」
「あんまりです。いや。もういや。嫌ッ」

さすがに、二十歳そこそこの娘に、この経験は異常であった。鎖に繋がれ、犬のように堕としめられ、しかも、オナニーをしてみせろという。朱美には最初の威勢のよさは微塵もなかった。もう、帰りたいと思った。単位なんかいらない。

「先生、もういや。帰ります。もういやよッ」
「もう少しじゃないか、朱美君。オナニーしてみせりゃ、あと十点、もう終わったようなもんだ。それで卒業できるんだよ」
「そんなものいらない。もうイヤー」

感情的に朱美はわめきたてた。首輪を外そうとしている。
真鍋はカメラのスイッチを切り、デスクを離れた。

「いまさら、もうだめだよ。最後までやりなさい。そんなに難しい問題でもないだろう。途中で投げだすから君は駄目なんだ」
「いやよッ。やめて――」

真鍋は朱美の両手を背中に絞り上げ、後ろ手錠を掛けてしまった。

「やめて、やめて。もういや。帰してェ――」
「ここまで見せておいて、いまさら、恥ずかしがることもないだろう」

グッと、後ろからその秘裂を撫で上げた。

「ヒイッ。ヤメテーッ」

朱美を椅子に座らせ、片足を手錠で椅子の足に繋ぎ留めた。
もう一方の足は、肘掛けの上に乗せて、組紐で括りつけた。もう膝を閉ざすことはできない。

「オナニーの言い付けに従わなかったら、罰を与えてやろう。従順な牝犬にならなきゃならんのに……」

真鍋はガラス製の浣腸器を取り出した。狼狽の悲鳴をあげる朱美を尻目に、二〇〇ccを二回、続けざまに注腸した。泣き叫ぶ朱美の後ろ手錠を右手だけ外し、左手は椅子の後ろの脚に繋ぎ変えた。

デスクに戻り、カメラのスイッチを入れた。朱美の股間の下には空の浣腸器を置いて、それを済ませたことを知らせていた。

「いやよ、先生。ひどい。こんな……。どうしようというのよォ――」
「片手があいているだろう。オナニーだよ。牝犬ひとり遊びだ」
「いやよ!」
「やらないんなら垂れ流しだ。もうすぐ、どうしようもなくなるよ。その前に、一度昇り詰めてしまうことだね。そうすれば、トイレに連れていってやるよ」
「そ、そんなッ。ひどい――」
「簡単なことじゃないか。君のその手を少し動かせばいいんだ」

自由になった右手で、朱美は自分の股間を覆っていた。

「競争だな。どちらの穴が先にいってしまうか」
「ククッ、クヤシィ――」

目覚め出した下腹の鈍痛は確実に拡がっていた。下腹全体が、絞り出すような衝動に狂い出した。それはもう、止めようもなかった。

本当にこのまま放っておかれるのか? 自慰をして見せれば、トイレに連れて行ってくれるのか……? しかし、もう、真鍋の言葉を疑っている余裕などなかった。真鍋の言葉に縋るしかなかった。

切羽詰まった排泄の苦しみは、朱美の神経を弛緩させた。股間を覆っていた指が動き始めた。

(続く)

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