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私の嗜肛錯誤の日々 第三回

告白者=広瀬謙吉(仮名・50歳)

女の顔は忘れても、アヌスだけはハッキリ覚えているのです――。様々な女のアヌスを味わい尽くしてきた一人のマニア男性が綴る、エロティシズムへの冒険心と猛々しい肉欲まみれの放蕩録。『S&Mスナイパー』に贈られてきた貴重な手記を全三回に分けて再録しています。
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4、ケツ穴ホステス・恵子

その後も深雪との関係は一年近くも続いただろうか。もちろん逢えばアヌス嬲りの限りを尽くした。

深雪のアヌスはますます敏感に、ますます貪欲になっていった。金と猟色にしか興味のない私は深雪との結婚を考えた。深雪も私と別れることなど思いも及ばないようだった。

だが、人生、そううまく事が運ぶわけもなく、深雪は結核に罹かり、半年のサナトリウム生活のあと、あっけなく他界してしまった。

今流行りの言葉で言えば、「イッツ ジャスト、マイ、タイプ」の女であった深雪を亡くした私の衝撃は少なからぬものがあった。

時が流れ、深雪の面影が薄くなりかけると、また私は猟色の道を歩み始めた。

数限りない女と出会い別れたが、美代子や深雪のようなアヌス感覚の発達した女にはなかなか巡り会えなかった。

私はそのウサをいろいろな雑誌で晴らしていた。昭和四十年には二、三のSM雑誌が世の中に浸透し始めていた。

私はときどきSM撮影会などにも参加し、自分のSM志向を深めていった。
ここにひとつ私には反省すべきものがあった。それは美代子にしろ深雪にしろ、彼女たちのマゾ性は先天的なものといえた点である。彼女たちとの出会いは僥倖であり、私の努力や性技の成果ではなかった。

私はふつうの女をアヌス感覚に目覚めさせたいと思っていた。

その頃私に一人の女が現われた。赤坂のクラブでアルバイト・ホステスをやっていた女子大生の恵子である。恵子は、時代の影響なのであろうが、「金のためなら、肉体関係を持っても平気よ」といった女である。昔でもそんな女はいたが、昔の女は何か暗くジメついた影を引き摺っていたものだが、恵子には暗さなど微塵もなくアッケラカンとしており、私が引かれたのも恵子のそんな部分だった。

私の情事用のマンションで数回関係を持ったあと、私は恵に、

「痛い目には遭わせないから、ちょっと縛らせてくれよ」

と言った。

「まあ、オジさん、SMの趣味があるの!? そうねェ、おもしろそうね、いいわよ。でも、ぜったい痛くしないでね」

いつもの倍のお小遣いを出すと言うと、恵子はすぐ承諾した。

私は撮影会で覚えた縄捌きで、たちまち恵子を後手に縛りあげた。胸乳を形よく盛りあげることも忘れなかった。





「へえ、オジさん、縛り方、じょうずねェ」
「へヘッ、まあね。気分はどう?」
「ウーン、、気持ち悪いわ……」
「そうかい!? じゃあ気持ちよくしてやるよ」

私は縛られたままの恵子をフトンの上に倒すと、ネチッこい愛撫を加えた。まず舌先で恵子の全身を軽く刺激し、指で彼女の秘局に快感をタップリと送り込んだ。 「ああヘンな気持ち。この縄、解いて。相手を抱けないなんて……ものすごくジレったいわ……」
「フフフ そうだろう。恵子ちゃんはいつもすごく乱れるけど、あれがお芝居だってこと、オジサンは知ってたんだよ。でも、今は違う。今は、ほんとうに乱れているんだ……」

これが私の狙いだった。 縛ったところで痛い目に遭わせたのでは、女に怨まれるだけである。もちろん、徹底的に苛めぬくのもひとつの方法だろうが、私の趣味ではない。

私の嗜肛癖はあくまでも遊びの域を出ないのだ。

私は恵子のアヌスに指を当てクリクリと揉みほぐしながら、

「恵子ちゃんももうおとななんだから、お尻の穴が感じることぐらい知っているだろう?」

と言った。

世の中を知ったつもりの女子大生の弱点は無知を恐れることだ。たとえそれが性に関したことといえども……。

「そ、そのくらいのことは知ってるわ。で、でも、恥ずかしい……」
「どうして?」
「だって……ソコはきたない所だから」
「そんなことはないよ。ちゃんと拭いているんだろう」
「ええ……」
「それでも恥ずかしいっていうんなら、臭いものを全部出しちまえばいいじゃないか。恵子ちゃんももうおとななんだから、このぐらいの経験はしておかなくちゃ……」





私はガラス製の浣腸器を取り出して、その浣腸器を恵子に示しながら、

「これで腸の中をきれいにするんだよ」

と言った。

「ひ、ひどいわァ、そんなこと、お願い、オジサンやめて……」

哀願する恵子の性感を私はなおも攻めたてた。とうとう恵子は、

「オジさん、もうダメ、ちゃんと……して」

と、とろけるような眼差しを私に向けて言った。

「わかったよ、その代わり、これで腸の中をきれいにしてからだよ」

私が交換条件を出すと恵子はうなずくのだった。

私は縛ったままの恵子に背後から重なり、一度埒をあけ、恵子の肉の火照りを鎮めると、休む間もなく浣腸器の嘴管を恵子のアヌスに突き立てた。

まだ恍惚の余韻にひたっていた恵子はたちまち便意におそわれた。 「ああ、ひどい! で、出ちゃうわ、早く、この縄を解いてッ」

喚く恵子に私はオマルを差し出した。恵子は仕方なくオマルにまたがり、すさまじい放屁とともに汚物をオマルに叩きつけた。

さすがの私も初めて見る排泄行為にたいへんな興奮を味わったものだ。





恵子の排泄が終わると私は、

「ごめんよ、恵子ちゃん でも、オジサン、恵子ちゃんのこと全部を知りたかったんだよ。恵子ちゃんのウンチだって、オジサンはぜんぜんきたなく思えないぐらい、恵子ちゃんのこと、好きなんだよ」

と、侘びながら、恵子の汚れた所をやさしく浄めてやった。

女にやりたいことをやったあと、やさしい言葉をしつこいぐらいにかけてやるということが、嗜肛癖を遂行するときのポイントではないかと、私は思っている。恵子は、性の恍惚と排泄行為を見られた屈辱に、しばらくフクレっ面をしていたが、そのうち気を取り直し、

「フフフッ、オジさんってヘンな魅力がある人ねェ。こんなことされても、憎む気になれないもの。いいわ、きょうはテッテ的につきあってあげる。でも、これっきりにしてね」
「そ、そうかい。恵子ちゃん、オジサン、死ぬほど嬉しいよ。でも、恵子ちゃんとこれっきりになるってのは淋しいなァ」

私はそう言ったが、心の中では、「こんな行為は一人の女と何度もするもんじゃないんだよ」と思っていた。私には昔ほど一人の女に執着するということがなくなっていたのだ。

とくに嗜肛癖などは女を変えてこそ愉しみがあるのだ。

私は恵子の気が変わらぬうちにと思い、

「そうかい、じゃ、愉しませてもらうよ」

と言い、押入れから遠隔操縦器付のオモチャの自動車を取り出した。リモコン自動車は何も私の嗜肛癖のためではなく、純然たる趣味なのだが、その頃、思いついて試してみたいと思っ.ていたことなのだった。 私は自動車のリアバンパーに糸を巻きつけ、その糸の端にコルク栓を巻きつけた。そう、あの深雪のアヌスに埋め込んだコルク栓である。

私はそのコルク栓を、まだ愛液を溢れさせている恵子の秘局に当て、タップリと濡らすと、恵子のアヌスに埋め込んだ。

恵子は深雪のときと同じ、膝立ち俯せの姿勢だ。

「オジさんって、変わったことばっかり考えるのね」

初めは、おかしそうにしていた恵子だが、ソファに腰を下ろしていた私が操縦器のスイッチを入れると、様相が一変した。

自動車を急発進させたり、左もにカーブさせるたびに、恵子一のアヌスに埋め込まれたコルク栓が恵子の直腸襞の四面を余すところなく刺激するのだからたまらない。

「あっ、ううっ」

恵子は奇妙な呻きを洩らしながら、尻を振り悶えた。

深雪のときは柱時計だったので、私はただ眺めているだけだったのだが、そのときは、自分の手で自動車をリモコン操縦していたわけで、女を肉の玩具として弄ぶ愉しみが倍加されていた。

私は嬉々として自動車を操縦した。

「恵子ちゃん、さあ、いよいよクライマックスだよ」

私は恵子の上体を起こした。後手縛りで膝立ちした恵子の口に私は逸物を含ませた。そしてそのまま私は手に持った操縦器で自動車を動かしたのだ。

糸が引っぱられてアヌスに埋め込まれたコルク栓が刺激を送り込むたびに恵子の口は、キュッとすぼまり、私の逸物を締めつけた。恵子は悩乱の極致にいた。荒淫のせいですっかり感度の鈍くなった私の逸物もようやく頂点に達し、久しぶりに烈しく精気を吐き出したものだった……。

私には、「アヌス馴致法はこれだ!」などといった方法はないが、ただひとつ、やさしさを失なわなければ、女ってものは、男に馴至されるものだと思っている。もちろん、これはお遊びの範囲内でのことだ。 私のアヌス体験から読者が何らかを得たと言っていただければ、筆をとったかいがあったというものである。

告白者=広瀬謙吉(仮名・50歳)

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