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咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫 第8回 「詩田笑子」 【3】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★
モデル=詩田笑子
ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」、第8回詩田笑子さん掲載中です!
男の子とは一切お話できませんでした。女の子も、きらびやかな子になるとダメ
唯一平気なのは、いつも一緒にいる地味な女の子だけ
デブでコンプレックスだらけの女の子
唯一平気なのは、いつも一緒にいる地味な女の子だけ
目の前にいる彼女は、明るくて上品でほんわかした人柄だ。どうしてそれが精神病院やストリップなどの世界に行ってしまうのかがわからなかった。「いかにも」という人はいくらでもいるが、詩田笑子はあくまで普通の人の雰囲気を持っている。そして見た目と反比例するように、想像もできない話ばかりが飛び出してくるのであった。
「昔、デブだったんですよ。身長158センチで60キロはありましたからね。タプタプで、大人の女の人とよく間違えられました。胸は1メートルで、まあデブだったんですけど(笑)」
太った詩田笑子の姿がまったく想像つかない。しかし思春期の彼女は、コンプレックスの塊だったようだ。
「男の子とは一切お話できませんでしたね。女の子でも、きらびやかな子になるとダメ。人がこの近くにいるって思ったらもうダメなんですよ。唯一平気なのは、いつも一緒にいる地味な女の子だけ」
それはつまり、きらびやかな女の子に憧れていたということだろう。コンプレックスは極度の緊張を生み出し、体の異変となって現れ始めた。
「緊張するとオナラが出ちゃうんですよ。そういう病気があるらしいですね。スゴかったですよ、ガスがお腹に溜まっちゃって痛くなるくらい。常に緊張していたんです」
太っていてオナラが止まらない女の子なんて、それだけでも絶望的に思えるが、加えて彼女は「何もしてないのに目立ってしまう」タイプであったらしい。
目立ちたくないのに目立ってしまう。怒りの矛先が自分だけに向けられる。理不尽な思いをすれば自暴自棄にもなりそうなものだが、詩田笑子は自分のことをあくまで普通に生きてきた普通の人生だと思っているようだ。
「なんで私だけとか、そういうことを考えもしなかったですね。バスケのいじめに関しても、どうせ一年経てば先輩はいなくなっちゃうし、いいかなみたいな。そういう風にして生きてきたっていうのはありますね。まあ、やってダメならダメでしょ、みたいな(笑)。いいんですか、こんな話で? 他の踊り子さんたちは、もっと面白い人生送ってそうですよね。うふふ」
そんなことを言っている。詩田笑子がどういう人物なのか、聞けば聞くほどわからなくなるようだった。
(続く)
Utada Emiko x Inbe Kawori★
詩田笑子
渋谷道頓堀劇場所属。2004年02月1日、札幌道頓堀劇場にてデビュー。演技力の高さから表情豊かな感情表現、またマイムなどを用いた身体表現、そして演劇的要素を取り入れて構成された演目は、すでに実力派として多くのストリップファンが知るところとなっている。また演目のバリエーションが多彩であることも特徴のひとつ。
香盤情報
芦原ミュージック劇場
7月21日-30日
A級小倉劇場
8月1日-10日
シアター上野
8月11日-20日
撮影=インベカヲリ★
モデル=詩田笑子
取材協力=新宿TSミュージック
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インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。 インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/ |
08.07.26更新 |
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