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咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫  第8回 「詩田笑子」 【2】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★ モデル=詩田笑子

ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」、第8回詩田笑子さん掲載中です!
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人間は誰でもどうにかなっちゃう可能性を秘めている
今、ここを歩いていった人がオカシイ人じゃないなんて言えないし
ストリップより精神病院

北海道へ戻った詩田笑子は、会社勤めを始めたがすぐにクビになった。何度か契約社員で務めてみたがやはり、契約更新のたびに切られてしまう。今度は特殊造形師のもとへ弟子入りをしたがこれも長くは続かなかった。クリエイティブな仕事をしたい、という漠然とした夢はあるものの、北海道という地では、なかなか手を出せるものがない。劇団のワークショップなどに参加して、とりあえず毎日を楽しく過ごしていたが、将来の見通しは何ひとつなかった。ストリップに出会ったのはそんなときである。

「インディーズムービーを作っている団体があって、そこに出演していた役者さんの中に、普段はストリッパーをしているという女性がいたんですよ。それで観にいったら、周年でやっていたお姐さんのステージが演劇チックだったんですね。屏風を立ててなんたらかんたらみたいな。ああ、こういうことも出来る世界なんだあ、と思って」

興味を惹かれたものの、すぐに始めるほどの決心はつかなかった。詩田笑子は一年間悩んだ。

「やっぱり親に言えない仕事なんで……」



そうこうしている間に、精神病院で働くようになった。ストリップと精神病院。まるで結びつかない世界だが、詩田笑子にとっては特別不思議なことでもないようだ。

「結構、医療系から来たという踊り子さんは多いですよ。看護婦さんとか、歯科衛生士さんとか」

サラリと言う。仕事内容は看護助手。それもハードな患者さんの多い病院だったらしい。

「入るとまずレベル4に回されるんですよ。レベル4っていうのは、重度の患者さんのことですね。もう全部、閉鎖、閉鎖、閉鎖。みんな一見普通の人なんですよ。普通の人だけど、錯乱するとウンコを投げつけたりとか(笑)。ウンコをカギ穴に詰めたりとかね。絶食して運ばれてきた人もいましたよ。死ぬつもりで何日も水も食事も取らなかったらしくて、歯も唇もカピカピに乾いてるんですよ。精神的にはもう極限ですよね。あとは、全裸で走ってるような人は普通にいたし」

精神崩壊した人間と毎日接していれば、人に対するものの見方も変わってきそうだ。そのことを質問してみると、詩田笑子は今初めて考えてみたように、ウ〜ンと唸ってから答えた。

「ああ〜、変わったといえば変わったかも。具体的に何が変わったかはわからないけど、人間は極限状態に置かれるとこうなっちゃうんだろうなって。オカシイ人は病院にいるだけじゃない、人間は誰でもどうにかなっちゃう可能性を秘めている。今、ここを歩いていった人がオカシイ人じゃないなんて言えないし。そういうふうに、広く広く、許せる範囲として見れるようになったかな」


結局、看護助手の仕事も半年で辞めてしまった。今度の理由は精神的にこれ以上は無理だと判断したから。患者さんと接することに限界を感じたようだ。

「頭がいいんですよ彼らは。元々はエリート集団って人が多いんですよね。だから人を攻撃するにも頭を使うというか。病院だと自分の思い通りにはならないから、常に自分に優しくしてくれる人をみつけて、揚げ足を取るんですよ。そういうのも気をつけなきゃいけないし、あとは部屋に入るのも絶対に一人では入れない。トイレ掃除も一人じゃなくて二人でやるんですね。そうじゃないと一人でトイレに入ったときに、バーンと個室に入れられて殺されちゃう危険性があるから。『これは本当にヤバイ』っていう瞬間はあるんですよ」

「殺される」という言葉を聞いて、ゾクっとした。若くて美人な詩田笑子が病院にいたら、さぞかし危険な目にも合うだろうと思ったが……。

「まあ別に。世の中、そういう人いっぱいいるなあって。あはは!!」

詩田笑子は終始こうした態度で、不思議なおおらかさを持っていた。

(続く)



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Utada Emiko x Inbe Kawori★

詩田笑子
渋谷道頓堀劇場所属。2004年02月1日、札幌道頓堀劇場にてデビュー。演技力の高さから表情豊かな感情表現、またマイムなどを用いた身体表現、そして演劇的要素を取り入れて構成された演目は、すでに実力派として多くのストリップファンが知るところとなっている。また演目のバリエーションが多彩であることも特徴のひとつ。

香盤情報
芦原ミュージック劇場
7月21日-30日
A級小倉劇場
8月1日-10日
シアター上野
8月11日-20日
撮影=インベカヲリ★
モデル=詩田笑子
取材協力=新宿TSミュージック

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インベカヲリ★ インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。

インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/

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08.07.19更新 | WEBスナイパー  >  インタビュー