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咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫 第7回「金城ちさと」【5】

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毎週土曜日更新! The dancing girls are in full bloom at their best.
咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫  第7回 「金城ちさと」 【5】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★ モデル=金城ちさと

ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」、第7回金城ちさとさん、最終回です!
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ステージが好きなんですよね
踊りも苦手だし、コミュニケーションも苦手だけど、でも頑張ろうって気持ちになれる
脳腫瘍の発覚

デビューからもうすぐ1年という頃、金城ちさとは充実した日々を過ごしていた。と同時に、左目にかすかな違和感を感じはじめたのもこの頃だった。

どうも目がチラチラしてしょうがない。母親に相談すると、「それはコンタクトしてるから悪いのよ。コンタクトレンズを止めなさい」と言われた。腑に落ちないと感じながらも、しばらく放っておくことにした。

数日後、やっぱり左目がおかしい。なんだか眩しくて見えずらい。もう一度、母親に相談すると「それはパソコンやってるからでしょう。パソコン止めなさい」と言われた。納得がいかず、金城ちさとはムスっとした。

そのうち頭痛がするようになった。内科へ行くと「仕事による緊張でしょう」と診断された。確かに思い当たるふしはあった。

「普段が健康だからわからないんですよね。ネットで調べると偏頭痛と症状が似てて、偏頭痛なんてそれまでなかったから、おかしいなあとは思ってたんですけど」

原因がわからず不安定な気持ちが続いた。母親に再び相談すると「あんたはダンスで頭振ったりするからいけないのよ」と冷たく言われた。もう相談するのは止めよう、と金城ちさとはすっかり心を閉ざした。

「頭はズキンズキンと脈打つように痛くて、右目は裏側を棒でグリグリやられてるような痛さで、痛み止めは効かないし、吐き気はするしで。内科を転々としてたけど、何件行っても理由がわからなかったんですよね」

事のてん末は、金城ちさとのホームページ内にある過去ログの中に記されている。読んでみて驚いたが、行く先々の病院でおざなりの診察をされ、半年もの間、原因を解明できなかったのだ。結果は、脳腫瘍だった。


「もういろんな病院へ行ったけど、脳外科だけは辿り着かなかったんですよ。どうしようと思ってギリギリのときに仕事が入っちゃって、とりあえず20日間で2つの劇場が入ってたから、それだけは頑張ろうと思って、劇場のある名古屋に向かったんです」

最後の力を振り絞って劇場入りしたが、初日から楽屋で吐いて吐いて吐きまくった。痛み止めを飲むために食事を口にするが、薬を飲む前に全て吐いてしまう。とても踊れるような状況ではなくなり、劇場にお願いしてベッドショーからのスタートにしてもらった。ところが足が立たなくてベッドショーすらもできない。仕方なくポラロイドとタッチショーのみを行ない、ステージのそででそのまま倒れて動けなくなってしまった。

救急車で運ばれた先で、医者は驚いて叫んだ。

「このまま手術しなかったら、余命一カ月ですよ!」

半年も放っておいたことを、何度も叱られた。母親はパニックを起していたが、金城ちさとは一人安心した気持ちになっていた。

「あ、脳腫瘍だったんだ、どうりでこんなに痛かったわけだって、自分の中でストンと落ちたんですよね。じゃあ後は治すだけでしょ、原因がわかると安心するんですよ」

それは経験をした人にしかわからない気持ちなのだろう。死の淵に立たされたとき、金城ちさとが何を考えたのか気になった。

「死ぬとは思ってなかったんですよ。絶対安静になって、トイレに行くにも車椅子を使うようになったとき『なんか重病人っぽいなあ』とか思ってたくらい(笑)。それより、ステージに戻れるかな、また踊れるかなって、そればかり考えてましたね」

復帰できたのは、それから半年後のことだった。


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エイサーとの出会い

金城ちさとは、沖縄が好きだ。ステージで、沖縄の太鼓「エイサー」を踊ることがあるが、その存在を知ったのは大人になってからだという。

「新宿の歩行者天国で、『新宿エイサー祭り』っていうのがあるんですよ。たまたま放射線治療をしてるときに、一時退院で家に帰ってたんですね。そのときに友達と新宿で待ち合わせることになって、アルタ前にいたらお祭りが始まったんです」

口には感染予防のマスク、そして放射線治療で失った髪を隠すために帽子を被っていた。うだるような暑さの中、目の前を通り過ぎるエイサーを眺めながら、金城ちさとは涙を流した。そして泣きながら最後まで観たという。

「ああ、生きてるんだなあ私、と思って。辛かったわけじゃないですよ。生きてることを実感したんです」

運命に導かれるようにして、沖縄に興味を持ちはじめた。体力が回復すると、すぐにエイサーを習い始めた。その腕前は、ストリップのステージでも披露されている。

「ステージが好きなんですよね。踊りも苦手だし、コミュニケーションも苦手だけど、でも頑張ろうって気持ちになれる。デビューが遅かったから、肉体的な年齢もあるけど、辞めるって選択肢はないですね」

金城ちさとは、これまで好きなことを躊躇なくどんどんこなしてきた。そしてストリップのステージで、経験したことをひとつも無駄にせず表現している。彼女の人生に、挫折という言葉はないのだ。

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Kinjo Chisato x Inbe Kawori★

金城ちさと
新宿TSミュージック所属。2003年08月21日デビュー。小麦色に焼けた肌と親しみやすい笑顔で、タッチショーも行なっている。自身のルーツが沖縄にあることもあり、沖縄地方でお盆の時期に踊られる「エイサー」を演目に取り入れ、ステージ上で大きな太鼓を用いることもある。

香盤情報

諏訪フランス座
7月11日-20日
新宿TSミュージック
8月11日-20日
撮影=インベカヲリ★
モデル=金城ちさと
取材協力=新宿TSミュージック

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インベカヲリ★ インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。

インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/

07. 5更新 | WEBスナイパー > インタビュー |







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