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咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫 第8回 「詩田笑子」 【4】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★
モデル=詩田笑子
ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」、第8回詩田笑子さん掲載中です!
人前に出て、何かを披露するっていうのがもうダメで
一人でステージに立って、「私を見て!」って気分には到底なれないし
人前に出るのは大嫌い
一人でステージに立って、「私を見て!」って気分には到底なれないし
映画や舞台やテレビの世界に興味はあるが、なかなか職にありつけない。看護助手の仕事は月給12万円。生活をするにもギリギリだった詩田笑子は、とりあえず話だけでも聞いてみようと、ある日ストリップ劇場へと足を運んだ。
「面接用紙とかあると思ってたんですよ。そしたらそんなものなくて、行ったら『とりあえず服脱いで写真撮ろうか』ってなっちゃって(笑)。ちょうど劇団でも入ろうかなって思ってた時期だったから、ストリップならお金も入るし、ある意味好きなことができるし、いいかなと思ったんです」
劇場のホームページには、「チームショー」という言葉が大々的に謳われていた。大勢の中の一人なら大丈夫、と思っていた詩田笑子であったが、このときすでにその劇場からチームショーというスタイルはなくなりつつあった。
「死にそうでしたよ、最初は! 人前に立つのがすごい、なんていうか……ストレスって言い方はしたくないですけどね。始めて3日間くらいは大変でした。心臓がひっくり返るくらいに気持ち悪くて、辞めようと思ったんですよ。人前に出て、何かを披露するっていうのがもうダメで。チームショーだと思って入ったのに、いきなり単品でしたからね。一人でステージに立って、『私を見て!』って気分には到底なれないし」
役者志望の中には、何かを演じることで自分と向き合えるという、内向的な人が多いと聞く。
演劇や舞台をしたかったのに、ひとりでステージに立つのは耐えられない、という詩田笑子の屈折した心理は、思春期のコンプレックスと関係しているのではないかと思った。
「男の人がすごい苦手なんですよね。話をするぶんにはいいんですけど、可愛いとか可愛くないとか、品定めをされるというのがすごい嫌で。だって人と会うのにそんなこと関係ないじゃないですか。そういうのは昔からで、小学校のクラスでも、男子と女子が仲良くしてるグループに近づけなかったんですよ。苦手なんですよね、なんでですかね? なんか起きてたんですかね私に?(笑)」
あまり自分のことを深く分析しているタイプではないらしい。新聞奨学生に、精神病院の看護助手、そしてストリップ。自分の意志で特殊な道を歩んできているように見えるが、当の本人はまるでフラフラと流されて生きてるかのように軽やかだ。
「人生っていうほど、人生歩いてないですからね私(笑)。本当に適当ですよ」
またしても、そんなことを言っている。
(続く)
Utada Emiko x Inbe Kawori★
詩田笑子
渋谷道頓堀劇場所属。2004年02月1日、札幌道頓堀劇場にてデビュー。演技力の高さから表情豊かな感情表現、またマイムなどを用いた身体表現、そして演劇的要素を取り入れて構成された演目は、すでに実力派として多くのストリップファンが知るところとなっている。また演目のバリエーションが多彩であることも特徴のひとつ。
香盤情報
A級小倉劇場
8月1日-10日
シアター上野
8月11日-20日
晃生ショー劇場
8月21日-31日
撮影=インベカヲリ★
モデル=詩田笑子
取材協力=新宿TSミュージック
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インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。 インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/ |
08.08.02更新 |
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咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫