毎週土曜日更新! The dancing girls are in full bloom at their best.
咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫 第11回 「天羽夏月」 【2】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★
モデル=天羽夏月
ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」第11回、天羽夏月さん掲載中です!
中高はずーっと女子にしか告白されてないですよ
家にまで来てプレゼント、手紙
死んだ魚の目
家にまで来てプレゼント、手紙
「ずっと好きでした。付き合ってください」
スポーツに打ち込むため、全寮制の中学校に進学した天羽夏月は、モテまくった。頭はスポーツ刈り、筋肉ムキムキ。寄ってくるのは当然女の子。
「中高はずーっと女子にしか告白されてないですよ。家にまで来てプレゼント、手紙。試合に行くと他校の生徒も含めて女子の応援団がいたんですよ」
インターハイに出場し、国体の選手でもあった天羽夏月は、女子が男子に憧れる要素をすべて持っていた。
「うちの親が応援に来ても引いてましたからね。『お母さん、女の子産んだつもりなんだけど?』って。そんなこと言われても知らねーよ!って(笑)。試合前に女の子が『ちょっとだけ時間ありますか』って寄ってきて、行ったら告白されて『せめて妹にしてください!』って泣かれたりして。ええーーー!!みたいな。もー、私の青春は女の子一色ですよ!」
そう話しながら笑う天羽夏月は、ミニスカートにロングブーツ。エロティックに足を組みなおす姿からは、男っぽいイメージが浮かばない。
「そうだと思いますよ。高校時代は、背筋が200Kgで、握力が58Kgと56Kg、筋肉も今の3倍はありましたから」
不本意ながらも女子ばかり引き寄せてしまう、美男子系のルックス。黄色い声援を浴びながら、天羽夏月はスポーツの世界でメキメキと頭角を現わしていった。高校一年ですでに有名大学の推薦も決まっていた。誰よりも厳しい父に育てられ、人の何倍も努力し、自分と闘いを続けてきたが、それと反比例するようにライバルの視線は冷たいものになっていった。
「ボコボコにされたんですよ。女子の先輩と同級生にですね。高校生になると第一線でスポーツやってる人間は推薦がかかってくるんです。大学なり企業なりの進路が決まってくるんですね。それでレギュラー争いのときにボコボコ。誰も信用できなくなりましたね。スポーツって心と体を養うものであって、そんな不毛なことはありえない。もう誰を信用していいのかわからなくなったんですよ」
人間不信に陥いると、まず目つきが変わる。天羽夏月は、物体を見るような眼で人を見るようになっていた。人を人と思わない目つき。ボロボロになりながら、父親に「辞めたい」と話すと、案の定「学校に戻れ」という言葉が返ってきた。
「逃げ場がないでしょ。それで自律神経をおかしくして立てなくなっちゃったんですよ。起立性低血圧っていうんですけど、いつも眩暈がするんです。それを見た弟が、父親に土下座してくれましたね。『姉さんが死んでしまうからやめてくれ』って。そのおかげで高校一年の二学期に、別の学校へ編入することができたんです。だから弟には一生かかっても返しきれない恩があるんです」
感謝の気持ちを口に出すというのは、なかなかできることではない。苦労してきた人間特有の思考回路に思えた。
(続く)
天羽夏月
九条OS劇場所属。2005年2月1日、九条OS劇場にてデビュー。ストリップファンも認めるダンサブルなステージから、一転してエロティックで過激なベッドが評判。締まりある肉体美がところ狭しと躍動するさまは必見だ。
香盤情報
芦原ミュージック劇場
11月11日-20日
池袋ミカド劇場
11月21日-30日
A級小倉劇場
12月1日-10日
ライブシアター銀映
12月11日-20日
撮影=インベカヲリ★
モデル=天羽夏月
取材協力=シアター上野、西川口テアトルミュージック
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インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。 インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/ |
08.11.01更新 |
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咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫