毎週土曜日更新！ The dancing girls are in full bloom at their best.
咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫 第１４回 「ひなぎく」 【３】
写真・文・インタビュー＝インベカヲリ★
モデル＝ひなぎく
ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」第１４回、ひなぎくさん掲載中です！
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楽屋に行くと色んな風俗を渡り歩いて来たみたいな女の子たちばっかりで楽しくて
元気のよい働く女の子たちと、一緒に場を共有できる機会ってなかなかないじゃないですか
「売春とは何か？」を知るために
元気のよい働く女の子たちと、一緒に場を共有できる機会ってなかなかないじゃないですか
ある日、ひなぎくの元へ、グループの仲間３人からアルバイトのお誘いがきた。
「ちょっと人が足らないんだけど、素人大会に出てみない？」
素人大会とは、ストリップ劇場にプロの踊り子ではなく、素人の女の子が上がる興行のこと。当時の素人大会は、ステージ上で裸になり、客と一緒にゲームやクイズをするようなものだった。興味を持ったひなぎくは、軽い気持ちでついていった。
「友達からバイトに誘われたって感じで、結構ハードルは低かったんですよね。その子たちもしっかりしてたし、問題が起きれば自分たちで抗議できたから。みんな強い女の子なんですよ」
さすが性に関して活動するグループだけのことはある。正しい知識があれば怖いことも減るのだろう。
「その子たちが出演する素人大会を見に行ったこともあるんですよね。性の話をするような場所にバンバン来てるような子だったから、そういうこともすごくオープンなんですよ。グループでは、『自分の場合はこう』って話をするし、オープンに出来なければ意味がないと思ってたし。そういうことが出来ないから駄目なんだよっていうところから始まるような場所だったから。仕事に対しても『そういう仕事してるんだ』みたいな感じでしかないんですよね」
とは言ってもオープンに性の話をすることと、実際に自分がステージに上がって裸になることには大きな差がある。
そこに抵抗はなかったのだろうか。
「そうでもないはずなんですけどね（笑）。もともと性に対しては１０代の頃は奥手だったんですよ。それがグループに参加するようになって、『売春ってＯＫなはずじゃん、なんで法律で禁止されているんだろう』みたいなところから話が進んで。私もそうだよなあと思いつつ、でも売春についてまったく知らないわけだから、よくわからないみたいな気持ちもあったんですよ。そこで素人大会に誘われたから、じゃあやってみようかなって。気持ちと体がついていってない気がしてたのが、行けば体験も出来るしわかるんじゃないかと思って」
勉強熱心とはまさにこのこと。大学に通いながら、性の問題について取り組み、「売春とはなにか」を知るために素人大会に出場する。今まで取材したストリッパーの中でも、郡を抜いて変わった動機だ。
「楽屋に行くと、来てる女の子たちがすごく元気なんですよ。色んな風俗を渡り歩いて来たみたいな女の子たちばっかりで、それぞれ自分の考えで生きてるから話しててすごく楽しくて。元気のよい働く女の子たちと、一緒に場を共有できる機会ってなかなかないじゃないですか。一般の社会でもないし、そういう場所も初めてだったし。そこですごい私は元気になって、次行くときも『誰々ちゃんいるかなあ？』とか、そういうのも楽しみで。で、その合間にちょっとステージに上がるみたいな（笑）」
女だけの職場は厳しいと聞くが、まったくそんなことはなかったらしい。
「当時は潤ってたので、ちょこっと出たらすごいお金になったんですよね。スタッフと揉めても、一番人気で売り上げもある子が、社長のところへ行って『そんな値段じゃ私できません』って交渉してくれたりするんですよ。誰に相談するでもなく一番説得力のある子が『ちょっと行ってくるわ』みたいな感じで。
格好よかったんですよ。そういうのを見せてもらったし、私もそこでエンパワメントしてもらったし、自分にとっては大きな経験になりましたね」
ステージではなく、女の子のエネルギーに魅了されたと断言するひなぎく。彼女を語る上で「女性」というのは一つのキーワードのように思えた。
(続く)
ひなぎく
2002年09月11日、DX歌舞伎町にて劇場デビュー。DX歌舞伎町所属。抜群のスタイルと美しい黒髪、そしてエンターテインメントに徹したステージで観客を魅了する。 香盤情報
DX歌舞伎町
4月1日ー4月10日
芦原ミュージック劇場
4月21日ー4月30日
撮影＝インベカヲリ★
モデル＝ひなぎく
取材協力＝池袋ミカド劇場
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| インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。 インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/ |
09.04.04更新 |
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