fetishistic meister フェティシストが愛する名匠を訪ねて 第3回 【1】 オリジナルフィギュア「T&M」 フィギュア造形師 TETSU氏 私たちの性の営みとその周辺に存在する様々なグッズやアイテム。そうしたモノとヒトにスポットをあて、普段顧みられることのない彼らの素顔と職人の技に迫る連載の第3回です。今回お話を伺ったのはフィギュア造形師のTETSU氏。熟女の肉感的なボディを見事に再現した、リアルな造形美の秘密に迫ります! インタビュー・文=安田理央 |
1/6 スケール レジン キット 島津雪子 全高 /約16.1cm |
実際に商品はこのように箱詰めされています。 |
こちらが組み立てたフィギュア。ずっしりと持ち重りがします。 |
見てくださいこの美しい脚! このリアルな肉づきを持った造形こそが「T&M」の特徴なのです。 |
そりゃあ、あたしの趣味ですよ(笑)。
若い女の子って、はっきり言って興味ないから。
若い女の子って、はっきり言って興味ないから。
箱の中身はこちら。これはガレージキットと言って、完成品ではなく自分で製作するフィギュアです。パーツ、簡単な組み立て説明書と、完成見本の写真を同梱しています。
お見せできませんが、大事な部分は細部まで作りこまれているのです。
髪飾りも全て手書き。こうした細部にこそ作家性が宿るものなのです。
手の甲に浮き出る血管まで再現。細かいこだわりを積み重ねていくことが全体のリアリティに繋がるとか。
TETSUさんにとってお尻のこだわりはとても重要だとか。この肉感……たまらんですねえ(笑)。
フィギュアといえば、アニメやゲームの美少女キャラ、もしくは海外の筋肉質の美女キャラというのが相場だったが、日本的な熟女フィギュアというのは全く想定外だった。
年の頃は30代半ばというところだろうか。女盛りの脂ののった体の線が実に艶めかしい。とくにムッチリとした下半身の造形が見事だ。
いったいどんな人が、このフィギュアを作っているのだろうか、気になって仕方がなかった。早速取材を申し込み、横浜にあるという「T&M」の工房を訪ねた。
筆者を迎えてくれた造形師のTETSU氏は、フィギュアという文化のイメージから最もかけ離れた、「横浜の暴走族」あがりのイカしたオヤジだった。
T:「もともと家業は材木屋だったんだけどね、倒産しちゃって、サラリーマンやったり、運送屋やったり、看板作ったり色々やってたんですよ。それである日、新聞を読んでたらフィギュア原型師の通信教育の広告が出てたんですよ。『稼ぐ人は年収2千万!』とか書いてあって、そりゃあいいなと(笑)。もともと手先は器用な方だったから、あたしにもできるんじゃないかなって思ってね。もちろん、それまでフィギュアなんて全く知らないし、オタクのことも全然わからない。何しろ秋葉原だって一度も行ったことなかったし」
なんとなく面白そうだというだけの直感で、フィギュア制作の通信教育を一年間受けて技術を学んだTETSU氏は、さっそくフィギュアの制作を始めた。
T:「最初は自分の子供をキャラクターにして作ってみたんだけど、なんか面白くない(笑)。それに商売にすることを考えたら、やっぱりハダカだろうなと。世の中にはスケベな男がたくさんいるんだから、ハダカならすぐお金に持って行けるんじゃないかという安易な考えだったんですよ」
しかし、TETSU氏は売れ線の美少女ではなく、熟女のフィギュアを作った。
T:「そりゃあ、あたしの趣味ですよ(笑)。若い女の子って、はっきり言って興味ないから。そりゃあ、若い子のフィギュアにした方が売れるだけろうけど、いやいや作ってもしょうがないじゃない。だけど、本当に熟女のフィギュア作っている人は見かけないね。「ワンフェス」(「ワンダーフェスティバル」。「海洋堂」が主催する日本最大級の模型やフィギュアの即売会)って1700店くらいのディーラーが集まるんだけど、そんな中でも熟女作ってるのは、うちだけだったもんね」
とにかく、「T&M」の第一号作品である「吉川涼子」が完成した。TETSU氏は、さっそく「T&M」のサイトを作り、通信販売を開始した。通信講座に申し込んだのが2005年の5月。そしてちょうど一年後の2006年4月には、もう商品を売り出しているのだ。それも全くフィギュアとは無関係な人間が始めたというのだから、驚異的なスピードでの進化だ。
(続く)
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取材協力=オリジナルフィギュア「T&M」
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安田理央 エロ系ライター、アダルトメディア研究家、パンク歌手、ほか色々。この夏、ついに四十代に突入ですよ。もう人生の折り返し地点かと思うと感慨深い。主な著作に「エロの敵」「日本縦断フーゾクの旅」「デジハメ娘。」など。趣味は物産展めぐり。でも旅行は苦手。 |
07.09.28更新 |
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