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『ザ・ストリッパー 堕ちて藍』 1981年、若松劇場にて公開。

ジョウジ川上。彼が率いる興行集団「プロジェクトSHOW-UP」は、去る2006年3月、DX歌舞伎町での「SM WORLD final」にてSM興行を一旦終了するという。その背景には、ストリップ興行師として30年の経験を持つ彼が、志を新たに固めた揺るぎない決意があるのだった――。

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ジョウジ川上55歳の決意 【1】からの続きです。 >>【1】へ

■駆け抜けた十年間、その後

現在五十五歳の川上の話し口調は柔らかく、とても温厚な人柄に見える。ストリップ業界という裏の世界で30年も過ごしてきた人物とは思えないほどだ。
待ち合わせ場所に現われた川上と共に、彼が現在住んでいるアパートへ向かう。旧劇場から歩いて五分。細い路地の先の小さなアパートだ。かつてはこのアパートの全ての部屋を、劇場従業員の寮として借り上げていたという。

玄関をくぐると、フィルムが二本ぶら下がっていた。モノクロフィルムを自家現像したものだ。台所には写真用の薬品と現像に使う道具、トイレには引き伸ばし機が置かれていた。
先のSM興行でも楽屋を中心に撮影したという。彼は現在ストリップ興行師だが写真学生でもある。そもそも30年前、写真をやるために大阪芸大を中退して上京してきたのだ。奇しくも今、彼が修士課程で通うのは同じ大阪芸大である。

出身は島根県だが、高校は広島県の工業科。どうしても行きたくて親に無理を承知で頼んだという。

「電気が好きでね、大学も工学部に行きたかった。アマチュア無線なんかもやってたから。だけど受験がうまくいかなくて、3年浪人しちゃったんです。その間に変わっちゃったんですね、気持ちが。その頃に出会ったのが荒木さんの『センチメンタルな旅』。私家版※11のね。面白いなあって思った。そこで初めて芸大に行こうって」

工学部を目指していた川上は、初めてカメラを持つことになる。

「行ったらカメラ小僧がいっぱいいるんですよね。詳しいやつとか。写歴10年だなんてやつまでいる。でも半年もしない内にレベルは一緒になっちゃうから」

当時の芸大は、さぞかし面白い場所であったように思うのだが、川上には違ったらし い。

「そんなに面白いヤツはいなかった。むしろ東京に出てからですよ。夜行バスでね。学園祭巡りしましたもん、寝袋持って。面白いじゃない、アングラの8ミリ自主 映画とかさ。そのとき知り合ったのが後藤和夫※12だったんです。『ハードボイルドハネムーン※13』って映画を彼が作ってた。そこに篠田昇※14がいた。そのあと劇場に入ったとき、みんなよく遊びに来てくれたね」

そう言いながら、若き日の篠田氏が撮影した当時のストリップビデオを見せてくれた。

「大学やめて東京出てきたって、誰も相手にしてくれないわけですよ。二度ほど朝日新聞とか持ち込みましたけど、全然相手にしてくれなかった。半年くらい過ぎた 頃かな、偶然なんだけど、当時『CAMP※15』が新宿三丁目にあったんですよね。そこへ行った帰りに、「新宿モダンアート」という劇場があって。そこで張り紙を見てこの世界に入ったんですよ」

その後、川上は前述のように三十五歳までの10年間ストリップの世界を駆け抜けて、業界から足を洗い運送業を興す。違う生き方をしなければいけない、そう思ったという。だが5年後にはまた、この世界に戻っていた。



ジョウジ川上55歳の決意 【3】に続く >> 【3】へ
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写真=川上譲治 文=編集部・五十嵐彰

※この記事は『S&Mスナイパー』2006年6月号に掲載された記事の再掲です。

26.jpg ジョウジ川上 1950(昭和25)年、島根県浜田市生まれ。大阪芸術大学写真学科を中退後上京、新宿モダンアートに照明係として入社、ストリップ業界に入る。その後運 送業や新聞営業職、またタクシー運転手や亜細亜大学への進学、そしてショーアップ大宮劇場のオーナーを経て「プロジェクトSHOW-UP」として興行をプ ロデュースしていたが2006年の3月に活動を一旦停止。現在は大阪芸術大学大学院芸術研究科芸術制作の修士課程に在学中。
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07.02.21更新 | WEBスナイパー  >  インタビュー