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咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫  第3回「颯輝」【3】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★ モデル=颯輝

ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」、第3回は“SM班”の新人、颯輝さんを掲載中!
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伝統とかしきたりを守る、そういうものを先輩から学ぶっていう機会は、
普通に仕事していたらなかなかないことだなって

ストリップデビュー

新人発掘オーディションの後、「紅薔薇座」から出演オファーが来た。きっかけは「紅薔薇座」の公演を観にいったときに、アンケート用紙に「私も将来、SMやりたい20歳の女子です」と書いたこと。主催側は、実験的に劇場未経験の若手を使ってみたかったのだと言う。まったくの未経験であった颯輝さんは、この話を受け、「紅薔薇座」のサブメンバーとして2回出演している。

「最初はやっぱり裸になるっていうのは抵抗ありましたね。最初の二日間はとくに。でも脱がなきゃダメだなって途中から割り切って。慣れてくると裸でいるのが快感になってくるんですよ。気持ちいいっていうか。それはエロ的な意味じゃなくて、もちろん露出狂という意味でもなくて、表現としてヌードを見せるということにですね。自分もどこかしらで、ヌードを使った表現がしたかったんじゃないかなって、そのとき思いました」






要領良くスイスイとやりたいことに突き進む颯輝さん。しかし、裏ではものすごい練習を積み重ねているのがストリップの世界だ。

「ステージに出る前に、先輩姐さん達に教えて頂いたんですけど、表情とかポーズを切ることとか、泣きながら学びましたね。最初はボロクソ言われて、自分には出来ることと出来ないことがあるんだなって、諦めたほうがいいのかな思ったりしてヘコみました。技術的なこともあるし、気遣いとか、楽屋での大事なことも教わったし。人間関係とかしきたりとか、タブーとかあるんですよ。その制約の中でどうやって自分は出来るのかなっていうのはありましたね。まだ数える程度しか劇場には出てないけど、女の子なら一回は通ったらいい道じゃないかな、くらいに思いましたよ。今の同世代の女の子たちって、自分より一周りも二周りも上のお姐さんたちから、面と向かってビシっと言われることって少ないじゃないですか。そこまで向き合ってもらえないですよね。伝統を守るとか、しきたりを守るとか、そういうものを先輩から学ぶっていう機会は、普通に仕事していたらなかなかないことだなって思って」

伝統やしきたりが、どんどん崩されているのが現代の常だ。特に女性の世界では、縦社会はほとんどと言っていいほどない。唯一残っているのがストリップの世界といっても過言ではない。それでも昔に比べて随分と緩くなったという話だが、ベテランストリッパーからじきじきに教わった颯輝さんは、かろうじてその厳しい世界を体感することが出来た。よほどの根性がなければ、上下関係のきつさにすぐに挫折してしまうだろう。しかし颯輝さんはやり遂げた。

「自分も伝統を守っていきたいなって思いましたね。私のショーの振り付けは、先輩姐さん達から教えていただいたものであり、自縛にしろ自吊りにしろ、ロウソクをカラダに垂らす、ロウソクベッドにせよ、あれもやっぱり見せ方とか表現の仕方とか普通のこととは違うやり方を教わってきたんで。先輩の意思をステージで表現したい。一番の課題は、昔からあるものを自分なりにアレンジしたいっていうのがあって。だから、伊藤舞さんや、一条さゆりさんのショーが一番の憧れですね。一条さゆりさんはもうとっくに亡くなられているし、伊藤舞さんは引退しちゃってるので、観ることはできないんですけど」

颯輝さんの話を聞いていると、丁寧な言葉遣いであることに気付く。言葉を慎重に選び、ほんの一瞬でもタメ口は使わない。ベテランストリッパーのお姐さん達が、真剣に向き合って稽古してくれたのも、きっと颯輝さんの生真面目な姿に惹かれたからではないだろうか、と思う。きっと厳しい親御さんにしつけられたのだろうと想像したら、やっぱりそうだった。

「娘に手を上げる父親でしたね。顔とかケツとか色々。キックが飛んできたり、色んなものが飛んできたり。私、父親のことが嫌いだったんですよ。短気で、いつもガタガタ怒るから。6歳くらいのときに怒りが爆発して、父親を指さして『バカヤロー死んじまえ』って言っちゃったんですよ。そしたらボーンと飛んできて、私はタンコブだらけ。でも引き下がるわけにはいかないので、仕返しに急所をパンチしたんですよ。子供の力ですから、そんなに強くはないと思うんですけど。やったらすごい痛がっていましたね」

攻撃的な子供である。案外、それでサディストに目覚めたのではなかろうかと想像してしまう。しかもそれでいて、幼稚園では自閉症と思われていたというギャップがすごい。

「今となっては、親に殴られることって別にマイナスじゃなかったなと思います。結局、テメーが悪いんだから自業自得だよっていうのが身に付いたので。小さい頃から、『テメーの人生だからテメーでなんとかしろ』って言われて育ったんですよ。父は見た目が暴力団みたいで、パンチパーマで色白でムキムキで眉毛が薄くて、言葉遣いはものすごく乱暴。いきなり『バーロー』とか言いますからね」


しかしそんな乱暴な父を持ちつつ、さらに父方の祖母のルーツを探ると、まったくの逆であるから面白い。

「父の父は刑務官なんですよ。昔は軍人で、終戦後に刑務官になったらしくて。それで余計に血気盛んなんですね。にも関わらず、祖父というのは、町でも一番有名な恐妻家だったらしいんです。表向きは刑務所で恐れられる仕事なのに、家ではまったくの逆。小さな集落なんですけど、その中で奥さんとお姑さんが一番怖い女系家族だってくらいで。あだ名があったらしくて、母曰く『うちのお父さんの家系は、なんとか殺しだよ』って。そのなんとかが、たぶん婿殺しか嫁殺しだったと思うんですけど。小さい頃に父の田舎に行ったんですけど、祖母がやたらと怖かったのを覚えています。祖父は台所に縮こまって一人でパンを焼いて食べてて。家の父は全然そんなことなくて、母より父のほうが怖いんですけどね」

颯輝さんの性格は男っぽい。喋り口調から、男と対等に立ちたいという意思を感じる。そして父親に対しては、現在も攻撃的に接しているらしい。これも隔世遺伝なのかもしれない。

(続く)



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Satsuki x Inbe Kawori★

颯輝
乱田舞氏主催「DX歌舞伎町」で行なわれた新人発掘オーディションへの参加をきっかけに劇場デビュー。最近は紅薔薇座の興行にサポートとして加わることがあるとのこと。また早乙女宏美さんに心酔しており、彼女のお手伝いなどをしたりしているとか。
撮影=編集部
モデル=颯輝

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インベカヲリ★ インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。

インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/

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08.01.26更新 | WEBスナイパー  >  インタビュー