毎週土曜日更新! The dancing girls are in full bloom at their best.
咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫 第5回「片瀬永遠」【2】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★
モデル=片瀬永遠
ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」第5回、片瀬永遠さん掲載中です!
踊り子の仕事を始める前は、本当に自分のことが嫌いでしたね
何々してる自分とかではなくて、自分自身が嫌いだったんです
大学・就職
何々してる自分とかではなくて、自分自身が嫌いだったんです
窮屈な生活から抜け出すために、早く家を出たかった。自立をすれば認めてくれるのではないかと想っていた。大学進学のために、中国へと飛び立った。
「留学中は充実していました。独りになってみて、やっとやっと親に対する感謝の気持ちも芽生えました」
片瀬永遠は日本へ戻ると、シティホテルへ就職する。
「ホテルマンの仕事はものすごくやりがいがありましたよ。ただ、やりたい仕事は本当にこれなんだろうかってずっと疑問が残ってたんですね。就職して落ち着いてもいいはずなのに、落ち着いた気分になれないし、ここは私の居場所じゃないという気持ちが消えなくて。でも親の顔色を見て、これでいいんだと思ったりして、そんな自分にもイラついていましたね。でも親の人生じゃないんですよね。両親の言うことを聞いてるのは自分なので、もちろん悪いんですけど、そういうふうに思ってる自分も嫌いだったりして、これは私じゃない、でも何がしたいのかわからない」
そんなときに、たまたま目に飛び込んできたのがストリップだった。劇場に足を運び、表現としてのストリップに大きな衝撃を受けた。運命は一瞬にして変わった。
「今まで、親の目を盗み盗み、親の顔色を伺いつつ、大学にも行き、就職もして、やっていたんですけど、この世界のステージを観たことによってパンドラの箱が開いてしまったんです。もうこれだ!って。ああ、自分が表現することってこういうことだったんだって」
親に対する反発だけではない。無意識に親に従ってしまった自分の人生に対する反発でもあった。
「踊り子の仕事を始める前は、本当に自分のことが嫌いでしたね。大嫌いでした。ホテルで働いてる自分とか、何々してる自分とかではなくて、自分自身が嫌いだったんです」
全てをひっくるめた大きな噴火。しかし、まっとうな道を歩んできた片瀬永遠にとって、一大決心はそう簡単に出来るものではなかった。
「やっぱり親の顔が浮かびましたね。半年悩んだというのは、自分の気持ちに整理をつけるため。でも悩んでてもしょうがないやって。やりたくてやりたくてしょうがなかったんです」
周りにストリップをやっている友達など一人もいなかった。今まで接したこともない人たちがいる世界へ、たった一人で飛び込んだ。付き合う人が変わり、環境も変わった。
「たぶん環境が変わったんじゃなくて、自分が変わったんだと思います。自分を好きになれたのが一番大きいです」
踊り子としては遅めなデビュー。それでも必要な遠回りだったと、片瀬永遠は言う。
片瀬永遠
新宿TSミュージック所属。2003年4月21日所属先となる新宿TSミュージックにてデビュー。温和な眼差しと慈愛に満ちた微笑み、また多彩なステージ構成と巧みな身体表現で古くからのストリップファンをも惹きつける魅力を持つ。 撮影=インベカヲリ★
モデル=片瀬永遠
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インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。 インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/ |
08.03.22更新 |
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