たとえSMマニアではなくとも、彼のその姿、その作品を一度は目にしているのではないだろうか。それほど多くの作品に関わり、多忙な日々を過ごす乱田舞。だからこそ足を止めることなく走り続ける、新たな時代のキーパーソンである。そんな彼の想いは深く、そしてとても大きく見える。 |
photo サコカメラ |
乱田舞が語る夢
ファンタジスタということ
――明智さんから学んだことと言ったら失礼ですが、やはり這ってでも舞台、という姿勢でしょうか。
乱:這ってでもというより、まっすぐな道っていうかね。明智さんはホント真っ直ぐな人だった。心臓病患って入院して退院して、周りが止めようが自分がやりたいことに対して真っ直ぐ生きた。そこが僕が一番学んだところというか、共感を持てたところ。だから好きだったんだっていう。明智さんの縛りがとかではなく彼の一直線な部分がホントに共感できて、後ろについて背中を見ていたいっていう。人間性、ひたむきさ、まっすぐさ、あそこまでの大きな器にはなかなかなれないと思いますけど、やっぱり僕自身も、今度は後ろにいる人たち、真っ直ぐに来る人がもしいるのであれば、そういう人たちのお手本なりになっていって、そっからまた僕が明智さんを見てそれを広げたように、僕がやったことを誰かがまたもうちょっと広げて。そうすればね、SMっていう言葉がなくなっても僕はいいと思ってるんですよ。それくらいに、僕はもっともっと膨らんでいけばいいと思う。僕はもちろん明智さんがやってきた道を多少なりとも膨らませてこれたっていう自負がありますから。女が感じてたら絶対ヤダって人もいれば、女が叩かれながら感じてないと燃えないって人もいる。だからこそ僕の場合は広く色んな形で提案していって、どれか選んでくれっていう。ショーなら男と女の信頼関係がなけりゃここまでできないっていうのを、感じないSMがいいのなら『蛇縛』(アタッカーズ)。逆に女を追い込んでるけど心と心は繋がってるっていうのが見たければ『奴隷通信』(アートビデオ)をとかね。そういう意味で色んな形で表現して、一番初めに戻っちゃうんですけど、ファンタジスタでありたいなって。僕は今までずっと自分の夢ってものを自分のなかで色々見つけてやってきて、そういうかたちで色々な方が色んな見方をしてくれるようになってくれたんで。だったら俺はもうファンタジスタ。SMっていう世界でファンタジーを与えていくっていうのが俺の役目なんじゃないかなって。今までにも色んな形で提案してきたけど、もっともっとSMって世界は、まだまだあると思っていて。ここ2、3年はちょっとしぼんでましたけど、最近はまたちょっと、仰る通り、明智さんが亡くなったってことで考え出すようになりました。それまではちょっとモヌケのカラっていうか、なんか全部夢が実現しちゃったなあって、そして流れ作業的に、実現した夢の仕事を続けて、おかげさまで忙しい毎日を送らせてもらってるんだけど、なんだかなーってときに、明智さんがポーンと亡くなっちゃった。だからね、最近は少しずつ考え出しているところです。一つずつね、ゆっくりとやっていきます。
(続く)
インタビュー=編集部・五十嵐彰
※この記事はS&Mスナイパー2006年1月号に掲載された記事の再掲です。
乱田舞 1959年生まれ。緊縛師としてビデオ、Vシネマ、テレビ、雑誌、写真集、舞台などで積極的に活躍。また日本だけではなくアメリカやヨーロッパでも活動する。ビデオやVシネマと舞台では監督、脚本、演出も手掛け、関わった作品は1000本を悠に超えるほどである。
関連リンク
乱田舞公式サイト『−乱舞−』=http://ranbu.32ch.com/
Bar 乱舞館=http://ranbukan.32ch.com/
サコカメラ公式サイト『WWW.SACO-CAMERA.ORG』=http://www.saco-camera.org/
関連情報
乱田舞プロデュース 『SM LIVE SHOW DX act2』開催!
開催期間:2007年3月21日(水)祝日〜31日(土)
※3月25日(日)、及び31日(土)は特別興行となるため、開催時間及び料金システムが異なりますので、ご注意ください。
会場・お問い合わせ:『新宿DX歌舞伎町』
東京都新宿区歌舞伎町2-25-10/TEL03-3232-9946/URL=http://www.dxk.co.jp/
料金:男性8,000円/女性5,000円
出演者:香盤表