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『フラクタル(2)』(ガンガンコミックスONLINE)

著者:赤\xFAア睦美
原作:マンデルブロ・エンジン(山本寛・岡田麿里・東浩紀)
発売日:2011年7月22日
ISBN:978-4757532885
販売元:スクウェア・エニックス

『涼宮ハルヒの憂鬱』におけるハルヒダンスの創出とシリーズ演出、また『らき☆すた』『かんなぎ』のアニメーション監督などで知られる山本寛氏が、「この作品が失敗すれば引退も辞さない」と発言するほどの意気込みと決意をもって2010年に放った最新作『フラクタル』(FRACTALE) 。それは終わりゆく世界を描きながら、製作途中で未曾有の災害に直面し、話題を呼びながらも評価は大きく分かれた。はたしてこの作品の真価は、いったいどこにあったのか――。独自の批評世界を展開するターHELL穴トミヤ氏が、鋭い視線で徹底検証。今一度、全話レビューを敢行します!!
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■Episode6「最果ての街」

パイオツ出ちゃいましたパイオツ! さらに生ケツ出た〜!という今回ですが、前回ツルツル男子のふんどし、今回、ナウシカガールの生ケツと、これはもう次回あたりカラミがきてもおかしくない。あのやたらガタイのいい労働讃歌な女たちが凄い一発を見せてくれるのではないか! 次回が待ちきれないのではないか!という感じですが、しかしあの生ケツ描写は納得がいかないですね。アングル的にはアナルが見えているはずだった。けどツルツルだった。アナルくらい描きこんでも良いのではないか!という、まあそれはブルーレイディスクの特典なのでしょうか。


(c)フラクタル製作委員会
『フラクタル』Episode6「最果ての街」(放送日時=2011年2月24日 24:45 - 25:15 放送局=フジテレビ)より引用

↑ブルーレイ特典に期待!


今回はさらに登場人物が増えて、またもや世界が広がります。同じテロリスト団体に属している別の集団が登場したり、難民が出て来たり、そして一匹狼まで出て来る。これがまた、ケネディの演説「国家があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが国家のために何が出来るかを問おうではないか!」みたいな求心的フラクタル論者で、自分でフラクタル世界を再構築しようとしているんですね。「もはや人々に『フラクタル』抜きの人生はあり得ないのだ!」という自覚的なフラクタルハッカー、新タイプの人でした。


(c)フラクタル製作委員会
『フラクタル』Episode6「最果ての街」(放送日時=2011年2月24日 24:45 - 25:15 放送局=フジテレビ)より引用

↑求心的フラクタル論者が登場。


しかしこの、フラクタルという1つのアイデアに対しても推進派、享受派、反対派、そしてそれを自分で再構築しようとする派、と色々出て来るのは面白い。なんか原発問題みたいですけど、原発は日本に必要だけど原子力村は腐ってるから自分で作製、管理するしかない!って自宅で再構築派が出て来たらすごいですね。これいいですよ! 『太陽を盗んだ男2』のあらすじはこれで決まりだ!! プロデューサーさんメール待ってます!
あと『フラクタル』の世界で考えられるのは、世間と隔絶した派と隠遁派ぐらいでしょうか。これはまだ出て来てなくて、でも映画にはよく出て来るキャラですよね。「ラピュタ」のポム爺さんとか、出てくるのかな。

今回の舞台は飛行船が休憩に降りた辺境の町で、ここはフラクタルのサービスが受けられなくなっている災害地帯でした。過去に「テロリストの妨害によって、各地でフラクタルを発生させるバルーンが墜ちてる」なんて話が出てましたが、まさにここがそうなんですね。住民は、フラクタルの電波が届く場所を探してさまよう、難民状態になっちゃってる。そうすると、アフリカの国境沿いの難民キャンプにイスラム組織がやってくる感じで、この地域のテロリスト集団が出現します。
これが、基本は主人公をさらった一味と同じ団体なんですが、どうもうさんくさい。その出し方がうまかった! 難民に喋りかける時に、「なになにだからねー、なになにだよー」と語尾が全部延びているという。「その『よー』に騙されちゃダメだ!」そう思って観ていると、みんな手術をされた上、無理やり兵士にされちゃってましたが。食虫植物の毒々しい模様のような語尾延ばし、よかったですね。


(c)フラクタル製作委員会
『フラクタル』Episode6「最果ての街」(放送日時=2011年2月24日 24:45 - 25:15 放送局=フジテレビ)より引用

↑語尾が怖いテロリスト。


そして今回、共同体の嫌な部分がついに噴出します。食事の時間に「遅れたからスープはなし! ルールを守らないから悪いのよ!」みたいなね。さらに、なんか政治活動っぽい、「同じ思想のテロ集団だけど、あいつらとは違う」っていう、しがらみ感も出てくる。そのうち内ゲバになるんでしょうか。やっぱり、地に足が着いた生活をする共同体になんて参加するもんじゃない! 「新しき村」(武者小路実篤)よりラスベガスがいい。そんな気分になってくる回でもありました。


(c)フラクタル製作委員会
『フラクタル』Episode6「最果ての街」(放送日時=2011年2月24日 24:45 - 25:15 放送局=フジテレビ)より引用

↑スープはもうなかった。


しかし、今回なにより一番重要だったのはオタク同士のシンパシーでしょう。前出の再構築派のおっさんですが、この人は主人公と同じ、古いものが好きな「ヴィンテージマニア」でもあった。人間というのはまず家族とか人種という共同体を持っていて、でまあやがて職業でしょうか、そしてもちろん国というのもある。ですが、この世に目には見えないもう1つの共同体があって、それは「趣味・嗜好ネットワークなのだ!」という、(ターHELL穴トミヤ氏が主張している)有名なヒーマニズム宣言がありますが、今回の話にはそれが出現していた。
最近公開された『宇宙人ポール』でも、刑事の中にSFマニアが1人混ざっていて、主人公と遭遇した瞬間にピン!となっていました。追われるほうと追うほうであっても、マニア・トークの瞬間は仲間。そこには、職業や国籍とはまた別の、人間集団がある訳です。ちょっと前の映画『リトル・ミス・サンシャイン』でもこれは完全に家族についての映画でしたが、その「これぞ家族だ!」という最高の見せ場が終わった後、客席で1人だけ「ロックンロ〜ル!」と叫ぶおっさんがいる。これも、畳み掛けるようにさらにもう1つの共同体、趣味・嗜好ネットーワークがスパークするという素晴らしい場面でした。
今回の話もそこまで激しいものではないにしろ、「古いものが好き」というところでビビッときた主人公は、おっさんに「あんたが死んだら俺は悲しいよ」という感情を持つんですね。2人は趣味で共同体になる訳です! これは素晴らしかった。
と思ってたら、話の最後に示唆されるのはこれは、趣味が合う以前に血がつながっているのかな? お父さん...? それじゃ、今まで俺が興奮して話してた趣味・嗜好で新しい共同体説が台無しじゃねーか!フラクタルをダシにせっかく自分の話をしようと思ってたのに! とうろたえてしまいましたが。ついにシリーズの折り返し地点をむかえて、色々出て来た人達ははたして収束していくのでしょうか。

文=ターHELL穴トミヤ

『フラクタル(2)』(ガンガンコミックスONLINE)


著者:赤\xFAア睦美
原作:マンデルブロ・エンジン(山本寛・岡田麿里・東浩紀)
発売日:2011年7月22日
ISBN:978-4757532885
販売元:スクウェア・エニックス

Amazon.co.jpにて詳細を確認する>>

関連リンク

フラクタル - FRACTALE - 公式サイト

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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊 ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。 http://sites.google.com/site/tahellanatomiya/
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12.01.29更新 | WEBスナイパー  >  『フラクタル』全話レビュー
文=ターHELL穴トミヤ |