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The Tokyo International Anime Fair 2010
2010年 3月25日(金)〜28日(日)於・東京ビッグサイト 東1・2・3ホール 他
2002年「新世紀東京国際アニメフェア21」の名称で開催され、翌年から現在の「東京国際アニメフェア」と呼称されることとなったこのイベントも、今年で第9回を数えます。明日の28日(日)はパブリックデーとして一般参加も可能なこのイベントを一足早く取材された永山薫さんのレポートでご紹介いたします。
東京国際アニメフェア(TAF)2010は、3月25〜28日の4日間ビッグサイトで開催。
25〜26日がビジネスデーで27〜28日がパブリックデーだ。
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↑入場口。今回の呼び物のひとつ『牙狼<GARO>〜RED REQUIEM〜』の看板がゲートの上に。個人的には『チュブラーシカ あれれ?』も気になるところ。
簡単に言えば、国際的なアニメ見本市である。誰でも知ってる東映動画みたいなアニメ制作会社から、ほぼ個人で制作しているクリエイターまで、世界中からアニメ関係者が集まってプレゼンする場といえばいいだろうか? 広告とテクニカルタームが溢れ、デジカメやらムービーカメラを担いだプレスと愛らしい着ぐるみとコスプレ・コンパニオンと美麗なカタログであふれかえっている。
筆者がプレス入場したのは昨日のビジネスデー2日目。こちらは誰でもチケットを買えば入れるパブリックデーと違って、入場者の大半は招待客と業界関係者とプレス関係者。筆者は毎年初日入場だったが、今回は水戸と都条例改正問題でスケジュールがどしゃめしゃになってしまい、初の二日目入場である。で、ファーストインプレッションからいうと「低調・貧乏」でした。
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↑会場内。ピカチュウ、アンパンマン、トトロなどのアドバルーンが気分を盛り上げてくれるのだが、昨年初日と比べると空いてる感が……。
例年なら、まずは大手ブースの配布するアニメキャラの描かれた巨大なペーパーバッグをゲットして、パンフレットやカタログを詰め込むという流れだった。このペーパーバッグってのが曲者で、好きなアニメのキャラのバッグを見つけるとついつい手が出てしまい、気がつけばペーパーバッグが10個くらいになっていたりする。しかしオタクの習性としては捨てられませんよね。仕方なくバッグを重ねて使ったりするわけだが、たかがぺーバーバッグとはいえ、10枚重ねとかになると重いのだ、これが。
ところが、今年二日目はペーパーバッグを配布しているところがほとんどないのである。初日でハケてしまったのか、一般客用にストックしてあるのか、そもそも用意していないのか? 筆者はトートバッグ持参だったからヨカッタけど、パンフレット類の持ち運びに苦労している客が多かったなあ。やはり不景気なのか? 初日から参加している友人に訊いてみたら、初日も以前に比べれば低調な印象だったとのこと。これは他の入場者も口を揃える。コンテンツ産業振興は国も都も力を入れているはずなんだが、全体的に華やかさに欠けるのだ。正直、空いてました。ただ、これはあくまでも印象論なので、実際の商談などの成果は見えてないし、ビジネスデーに限っての話。パブリックデーの様子はGoogleとかツィッターで検索して確認して欲しい。
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↑東京都が海外報道陣に配布した東京案内の豪華パンフ『TOKYO COLORS』。なんと日本語版、中国語版、英語版、スペイン語版、フランス語版があった。一冊で多国語版にできなかったのか? 納税者としては事業仕分をお願いしたい。
■3D動画はスゴイけど……
さて、筆者的に楽しませてもらったのが3D動画。プレゼンされていたのは、いずれも液晶メガネを掛けるタイプ。メガネ人類にはちょっと不便ちゃ不便。まずは、東北新社ブースにて5分間公開された映画『牙狼<GARO>〜RED REQUIEM〜』(原作・監督:雨宮慶太)。これが、なかなかスゴイ。座席が右端だったのだが、立体感バリバリ。日本刀とかニューッと目の前に伸びてきますからね。もちろん、特撮オタクも、クリーチャーの造形とかアクションとか特殊効果とか短い尺(約5分)の中に見所が詰め込まれているので満足度は高いだろう。
http://www.garo-3dmovie.jp/
さらに楽しめたのは東映アニメーション『プリキュアオールスターズDX2 エンディングダンス3D立体映像』ですよ。取材仲間は「これはいい」「俺はやっぱふたりはプリキュアだよな」と絶賛しておりましたが、実際、これは見応えありというか、思わずニコニコしてしまう極上の仕上がり。「こんだけ立体だと、下から覗けばパンツが見えるかも」「元々スパッツじゃねーか」ってホントに筆者の周りはロクなのがいないですね。とかいいながらキュアマリンとキュアブロッサムの着ぐるみさんと3ショット撮ってもらったのは筆者ですが何か?
http://www.precure-allstars.com/
他にも3Dやってるブースはあったけど、基本的に上出来。ただ、まだ発展途上感が残る。特に見たのがデモ画像ということもあって、「飛び出す」「奥行きがある」が強調されすぎ。このへんはこなれていくんだろうなとは思う。それでも実写はまだ自然に見える。アニメーションの方はプリキュアみたいなアニメ絵アニメ(変な表現だが)は2Dでは気にならなかった髪の毛のボリュームなどが3Dになると、動きはなめらかなのにマッス(量感)が強くなって、「この髪で殴られたら死ぬ」とか感じてしまったのだ。見る側の慣れというのもあるのだろうが、このあたりも課題なのかもしれない。
■勉強もできますよ
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↑国際的といえば、カザフスタン共和国のAlmaz Kosobayevとも知り合った。これは現在企画中の『The Renegade』の絵コンテ兼プレゼン資料。今、ロシアで問題化しているネオナチの台頭と、60年前、モスクワ防衛に血を流した中央アジアの兵士たちの姿を描く作品。
TAFは楽しいだけではない。地方の町おこしともからむ、コンテンツ系施設(美術館、作家の記念館)や、全国にある「聖地」の一覧など、後で取材や研究に使えそうな展示もあれば、漫画・アニメ系の大学・専門学校のブースも多数。そっち方面に進学したい学生が一気に学校の情報を集めることもできるので、親御さんにもオススメだ。
また、国際的イベントなので海外からの出展も多数。今後、躍進するであろう中国アニメの世界を先取りしたり、海外で開催される「OTAKON」などのイベントについての情報を得ることもできる。『ドバイ国際キャラクター&ライセンンシングフェア』って業界人ならいざしらず普通の人は知らないと思いますよ。
会期は28日までなので、興味のある人は急ぐべし。イベントも新作発表、ミニコンサート、学術的あるいは企業セミナー的シンポジウム(ビジネスデー中心だが)もあるわけで、様々な角度から「アニメの世界」を楽しめることは間違いない。今年が無理だったら、来年の開催を待ちましょう。少しは景気が良くなってるといいのだが。
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↑OTAKONブースでプレゼントされたキャップをかぶった筆者。これはレアかも。
取材・文=永山薫
文中敬称略
文中敬称略
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私たちの夏コミ、おすそわけします!
永山薫 1954年大阪生まれ。近畿大学卒。80年代初期からライター、評論家、作家、編集者として活動。エロ系出版とのかかわりは、ビニ本のコピーや自販機雑誌の怪しい記事を書いたのが始まり。主な著書に長編評論『エロマンガスタディーズ』(イーストプレス)、昼間たかしとの共編著『マンガ論争勃発』『マンガ論争勃発2』(マイクロマガジン社)がある。
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10.03.27更新 |
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