『SM KITTY LAND 9』
(サークル名「いい人屋どすこい堂」)
(サークル名「いい人屋どすこい堂」)
ここ数年、コミケに参加し続けている。2005年に「ダリオレコード」という自主レーベルで参加して、直にお客さんに売るという対面販売の面白さを知ってしまい、以降も友だちのサークルの売り子をやらせてもらっているのだ。
今年は「ザ☆デイナミツクプロ」という70〜80年代の永井豪エッチ漫画マニアのサークルで参加した。
ここで販売したのは、イヤハヤ南友本の「大の字マガジン」と、まぼろしパンティ本の「THE MABOROSHI PANTY!
ZERO」。まぁ、かなり購買層がピンポイントな本なので、正直売れ行き自体は芳しくなかったが、たくさんの友だちが訪れてくれたし、その後の打ち上げも楽しかったし、お祭りとしては十分に楽しめた。
僕は売り子として参加すると、店番するのが楽しくてあまり場内を回らないのだけれど、それでも知り合いのブースには概ね顔を出せたし、それなりに戦利品もあった。
買ったり、もらったりした同人誌は全部で21冊。簡単に紹介していこう。
『大の字マガジン』 (サークル名「日本大の字党」) |
今回、僕が販売したうちの一冊。10人の絵師が熱い思い入れを込めてイヤ南&永井豪ヒロインズの大の字おっぴろげ姿を描いている。イヤハヤ十人衆全員(弁天ゆり、神薔薇あけみ、万華鏡子、銀狼いぶき、十文字菊乃、霞竜子、和泉白鳥、鳴神緑、陽炎カオル、夢魔さつき)に家早さよこ、テレヤ・シェイ、冷東麗造子、河合リカ、分津マリィ、果扨紅蛇、マーガレット・フレンド、部流原おす香、家早獰猛。さらに弓さやか、ロミー・オータム、雪子姫、牧村夫人、まぼろしパンティ、如月ハニー、菊の助、キューティー・ハニー、錦織つばさと豪マニアにはたまらないラインナップだけど、ちょっとマニアック過ぎたか(笑)。実は僕も小林電人と一緒に冷東麗造子ちゃんを描いている。
『THE MABOROSHI PANTY! ZERO』 (サークル名「ザ☆デイナミツクプロ」) |
「けっこう仮面」の姉妹作である「まぼろしパンティ」の前夜譚。寿々美ちゃんの三角木馬とか最終回の強制おっぴろげとか「まぼパン」ファンにはツボなシーンが満載。
駕籠真太郎『印度で乱数 糞便編』 (サークル名「駕籠真太郎」) |
偶然隣のブースだった駕籠真太郎先生の新刊(復刻新装版)。食糞ネタのてんこ盛り漫画も楽しいが、三条友美から鳥山明まで網羅した漫画家別のウンコ表現の解説が素晴らしい。
海野やよい『ゆるゆる1』 (サークル名「みりん」) |
おなじみ海野やよい先生の新刊。アブノーマルな男性教師に女生徒が調教されていくというお話。海野先生の描く女の子はいつも健気で可愛いなー。
しのざき嶺『TEEN』 (サークル名「みりん」) |
こちらもおなじみフタナリの巨匠。フタナリというより、巨根少女か。チンコ嫌いの僕も思わずムズムズしてしまうほど、しのざき先生の描く巨根少女は可愛い。それにしてもデカいチンコだらけだ。
まいなぁぼおい『奴隷女王ソアラ Vol.8』 (サークル名「いい人屋どすこい堂」) |
海野さんしのざきさんのブースの隣が、まいなぁぼおい先生。20年前に「景子先生」シリーズ読んで以来の大ファンなのだ。海野さんに紹介してもらって、お話できて感激。こういうのもコミケの魅力だ。この本は大長編シリーズの8巻目。レズあり、苦痛責めあり、公開羞恥ありと抜きどころ満載。
『SM KITTY LAND 6』 (サークル名「いい人屋どすこい堂」) |
まいなぁ先生が以前出していた同人誌。6号は95年というから、かなり古い。まいなぁ先生のキューティハニーもいいが、未由間すばる(鬼薔薇)先生が渡辺浩明名義で描いている綾波レイ物が切なくていい。この人の描くマゾ少女には、いつもグッと来る。
唐沢なをき『パチモン大王 Vol.7』 (サークル名「からまん」) |
フィギュア王での連載をまとめたもの。カラーページも多くて豪華。素敵すぎるパチモンコレクションの数々。ショウワノートなどの正規ライセンス物なのに画が狂いすぎてるブツに感動。なんだこの怪人化したミミズクの竜は?
串間努『昭和レトロ学研究 第2号』 (サークル名「日曜研究社」) |
ひたすら昭和の思い出を研究し続ける串間さんの姿勢には毎度ながら圧倒されるなぁ。特集「日本デパートの屋上遊園地史」はデパートがハレの場だった世代には涙が出てくる。占い機、純喫茶、多面式筆箱、ソノシートとページをめくる度に甘酸っぱい気持ちになれる。
玉置勉強『庶☆民』 (サークル名「ポルノ★スター」) |
ツンデレお嬢様と彼氏がクーラーの無い安下宿の一室で汗まみれでセックス。シンプルなのに、お嬢様のセリフと表情だけで抜きまくれる。こういうのをエロ漫画というんだよなぁ。実用度極めて高し。
責任編集/東浩紀+宇野常寛『Final Critical Ride』 (サークル名「第二次惑星開発委員会」「波状言論」) |
ゼロ年代の旗手二人が手を組んで平成仮面ライダーを語るという一部では話題の一冊。作りも豪華で完全に商業誌ノリ。でも正直難しくて何だかよくわかんなかった。バカでごめん。
『アニメ会と4コマコラボ2』 (サークル名「アニメ会」) |
アニメ会がネタを考えて有名絵師がそれを漫画化したというコラボ。徹底して萌えネタ。でも、自分たちで描いた漫画のプリミティブな迫力の方が萌える、なんとなく。
三平×2『本当はかわいい図画百鬼夜行』 (サークル名「金属バット」) |
アニメ会の三平×2さんの妖怪擬人小説(?)コピー本。妖怪ネタであろうとも、強引にツンデレ萌えへ持っていく三平×2さんの姿勢に揺るぎはない。
『メイド喫茶の起源はSM倶楽部ではなかろうか論』 (サークル名「くまくま・らんど」) |
メイド喫茶はSMクラブやイメクラから発展したものではないかという独自の理論を豊富な資料から裏付けていく研究本。素晴らしい。大変資料的価値もある一冊で、スナイパー読者ならぜひ読んでおきたい。
『80年代アニメを観て下さい!』 (サークル名「くまくま・らんど」) |
20代の若者に「メガゾーン23」とか「プロジェクトA子」とか「戦え!イクサー1」とか「超次元伝説ラル」などを見せて感想を聞くという試み。若者の回答よりも、サンプルとして登場するアニメのタイトルが、もう懐かしくて懐かしくて。このくまくま・らんどの2冊は作り手の情熱がヒシヒシと伝わって来て、これぞミニコミ!と感動させてくれる。
以上は、知り合いのブースで買ったりもらったりしたもの。そして以下は、会場で目にとまって購入したもの。
『エロリーメイト』 (サークル名「いちごみるく味」) |
エロアニメ全作品レビューを目指しているサークルでこの創刊2号は2008年に発売された44作品を収録。こういう資料的価値の高い本はつい買ってしまう。レビューはなかなか手厳しい。イフリートの実写AVが酷評されていた(笑)。
『風俗ガイドシリーズ外伝8 AV女優編』 (サークル名「coco tanuki」) |
風俗嬢本というのもコーナーが出来るほど増えていてびっくり。これはAVの企画モデルとして短期間バイトした子の体験談イラストルポ。この業界のいい加減さがよくわかる(笑)。
『洋酒物語 シングルモルト』 (サークル名「無節操倶楽部」) |
飲食系本も結構多い。好きなのでよく買う。これはシングルモルトに目覚めた夫婦による蒸留所セミナーや試飲会イベントのレポート。ウイスキーは好きなので、即買い。こういうイベント行ったことないけど、読んだら行きたくなった。ほのぼのとしたイラストもなかなか上手い。
さえきまい『TENPERANCE』 (サークル名「MILKY−WAY」) |
コスプレイヤー写真集。貧乳をベルトで隠したリリスの写真に一目惚れ。まるで少年のようなスレンダーボディが妙なエロスを感じさせる。CD-ROMもあったけど、あえて印刷版を購入。
『NOBUSUMAS FROM HELL』 (サークル名「Predator Rat」) |
話題のコスプレイヤー、うしじまの最新写真集ROM。例の赤ビキニで四つ足ロボに載ってる画像も収録。これは通称「サブカル」と呼ばれている写真集らしい(笑)。すっぴんに私服で本人が販売していたけれど、生うしじまは小柄で大変キュートだった。人当たりもいい感じ。午後にはちゃんとフンドシ姿になってサービスサービス。うしじま最高。
今回はあまり知り合い以外のブースを回れなかったので、買い逃したものも多かったかも。
やっぱりコミケはお祭りなんだから、あんまり商売っ気の高いサークルや、それをやっきになって行列したりするのは、正直どうかと思う。さすがにちょっとイベントとしては臨界点に達しちゃってるなぁという気も。
もっと気軽に足を運べるようなイベントだったらいいのになぁ。
文=安田理央
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安田理央 1967年埼玉県生まれ。美学校考現学教室卒。エロ系ライター、アダルトメディア研究家、パンク歌手、ほか色々。メディアとエロの関係を考察することがライフワーク。主な著作に『エロの敵』(雨宮まみとの共著 翔泳社)、『日本縦断フーゾクの旅』(二見書房)『デジハメ娘。』(マドンナ社)など。趣味は物産展めぐり。でも旅行は苦手。 |