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公式パンフレット『電撃GAME SYMPHONY VOL.1』表紙
編集: 株式会社KADOKAWA
「電撃PlayStation」編集部
発行:2015年10月10日
WEB SNIPER Event report
2015年10月10日(土)「Game Symphony Japan 14th Concert -SEGA Special-」
オーケストラでゲーム音楽を楽しめるコンサート「Game Symphony Japan(GSJ)」。その第14回目となる今回は、数多のファンを熱狂させるゲームタイトルをリリースし続けてきたゲームメーカー「SEGA」オンリーでの初めての公演に。そのホットな現場の模様をネットワーカー・ばるぼらさんにレビューして頂きます(ゲストにターHELL穴トミヤさんを迎え、編集部と共にSEGA&ゲーム音楽を振り返る特別鼎談も特別収録しています!)。
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SEEEEEEEEEEEEEEEEGAAAAAAAAAAAAAAAAAAA

2015年10月10日、池袋の東京芸術劇場で開催されたコンサート「Game Symphony Japan 14th Concert -SEGA Special-」に行ってきた。指揮者の志村健一プロデュースにより2014年6月に発足した「Game Symphony Japan(GSJ)」は、ゲーム音楽をフルオーケストラで演奏する定期コンサートシリーズ。14回目の本公演は、老舗ゲームメーカーであるSEGAの全面協力・監修による、SEGAのゲーム音楽だけをフルオーケストラで演奏するもの。こうしたSEGAオンリーのコンサートは世界初だそうで、会場には30~40代の筋金入りのSEGAマニアたちがひしめき合っている......という面もありつつ、10~20代など若年層も男女問わずそこかしこに確認でき、総じて幅広い年齢層に支持されているように見えた。

ゲーム音楽とクラシックは、まったく関係ないように見えて関係は長い。『マリオブラザーズ』(1983年発売)のスタートからしてモーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」が流れていたが、『バイナリィランド』におけるエリック・サティ「Je te veux」、『忍者ハットリくん』におけるビゼー「アルルの女(第2組曲メヌエット)」をはじめ、著作権が切れており使用料を気にしなくていいクラシック音楽は、初期ゲーム音楽によく用いられていた。また、1987年から現在まで『ドラゴンクエスト』の音楽をオーケストラで演奏する催しが定期的に行なわれており(最初の音源は『ドラゴンクエスト・イン・コンサート』としてCD化)、そちらに親しみを覚えている人も少なくないだろう。つまり、クラシック曲はゲーム・アレンジされ、ゲーム音楽はオーケストラ・アレンジされ、というふうに、お互いにアレンジされあってきた妙な関係なのだ。そういう下地があったからこその「GSJ」シリーズと言えるだろう。

コンサートは16時半開演の定刻より少し遅れてはじまった。SEGAのCMやゲーム起動音でおなじみの「セーガー」のボイスを、東京混声合唱団が実際に歌うところからスタート。演奏曲目は公式サイトにもあがっているが、全部で三部構成になっており、第一部が『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズ関連、第二部がSEGAのヒット作いろいろ、第三部が『NiGHTS into dreams...』関連、となっている。

一番最初に演奏された『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』関連曲は、作曲者クレジットにDreams Come Trueの中村正人の名前があった。SEGAを象徴するゲームの音楽が、当時のJ-POPの第一線にいた音楽家によって作られたというのはなかなか興味深い。Flying Lotusなど海外ミュージシャンからも評価の高い「Spring Yard Zone」の演奏がないのは残念だったが、途中、ソニックシリーズのサウンドディレクターである瀬上純氏がオーケストラ演奏をバックにエレキギターを弾くシーンがあり、盛り上げ役として良かったと思う。

あえて言うなら、オーケストラ演奏の醍醐味の一つはダイナミックレンジの広さであり、アンプで増幅されたギターの音色はそれを無化するもので、オーケストラの味わいがどうこうよりも、まずオーケストラ演奏に慣れないゲームユーザーに向けた道案内のようにも感じた。ついでに言えば、音量が大きすぎるドラマーとキーボーディストが壇上にいたのも疑問だったが、それらを必要としないオーケストラアレンジにしなかった理由も、ゲームからの地続きの音楽性を意識したのかもしれない。

第二部はSEGAのヒット作から代表曲が続く。演奏されたゲームタイトルは『セガガガ』『スペースチャンネル5』『ニュールーマニア』『サクラ大戦』『ファンタジーゾーン』『バーチャファイター2』『デイトナUSA』『電脳戦機バーチャロン フォース』『きみのためなら死ねる』『赤ちゃんはどこからくるの?』『バーニングレンジャー』。

実はこの中の『スペースチャンネル5(以下SC5)』の楽曲を聴くことが今回の主目的で、というのも自分はこのゲームの大ファンであり、『SC5』さえあれば他に何のゲームもいらないと思っているほど好きなのだ。本当に好きだ! しかも今回は『SC5』の主人公=うららが出演するというのだからもう来るしかなかった。正確にはうららは声だけの出演なのだが、まあそれは問題ではない。とにかく生で一度聞きたかった。

「宇宙からの素敵なゲストをお招きしています。スペースチャンネル5のうららさん!」という紹介で『SC5』パートへ。「こんにちは。今日はスペース衛星中継で、東京芸術劇場につないでいます」といううららの声が東京芸術劇場に響く。司会との会話の中に「了解。行きがかり上、はりきっていきたいと思います」「あらかたありません」など、独特の言い回しによる本物のうらら感は感動的であり、三階席に座りながら身震いしていた。

テーマ曲「Mexican Flyer」や「opening jingle」、そして「spaceport: introducing ulala!!」が本物のオーケストラ演奏で再現されるのを聴きながら、合間合間にうららの声がかぶさり、合唱団の人たちが踊り出すのを見て、「ああ、来てよかった」とすでに心はクライマックスを迎えていた。自分にとって人生の中で特別な作品に関わった人々がこの会場にいるのかと思うと感謝してもしきれない。会場に『SC5』ファンが何人いたのかはわからないけども、反応は良かったように見えた。息の長い人気がある作品だからか、最近のゲームにうららがゲスト出演している影響なのか、色々と考えるのが楽しい。曲が終わった後、「スペェェース、チャンネルファーイヴ!」とうららの声が響く。『SC5』パート終了の合図だった。

そしてここで原稿も終了です。この細かさで書いてたら終わらん! のであとはオマケです。

第二部はその他に「ハロハロナリヤンス音頭」でかがわの水割氏が歌い踊ったり、『バーニングレンジャー』で光吉猛修氏が熱唱したり、いろいろ盛り上がった。とくに『バーニングレンジャー』は光吉氏の声の高さを完璧に活かす楽曲で、ベストマッチだと思う。その後休憩を15分ほど挟み、第三部に突入。『NiGHTS』の楽曲はこれまで聴いてきたゲームミュージックの中でも最高峰に良いので、安定して楽しめた。心地よすぎて寝るところだった。

アンコールではもう一度「ハロハロナリヤンス音頭」をやった後、セガハードガールズが歌う「檄!帝国華撃団」(『サクラ大戦』主題歌)と「セガ社歌"若い力"(SEGA HARD GIRLS MIX)」でシメ。終わってからも拍手が何分間も途切れなかった。会場にいたファンは全員大満足で帰ったに違いない。

物販で唯一買ったパンフレット『電撃GAME SYMPHONY VOL.1』は2500円もする代物で、フルカラーとはいえ全44ページという薄さに、SEGA愛を試されている気分だったが、うららの最新コメントが載っていたので買った。抽選でサインをもらえることになったので、列に40分並んで光吉猛修氏+瀬上純氏+飯塚隆氏のサインをもらう。これで本当にイベントは終了。お疲れ様でした。

個人的感想としては、『スペースチャンネル5』と『Rez』の曲がもっと聴きたかったなということを除けば、概ね楽しかったので満足だ。ただひとつ改善を促したいのは、開演前の物販列の混乱である。あまりのSEGAグッズの人気っぷりに、コンサートが始まる時間5分前になっても1階のレジから3階のバースペースまで長蛇の列ができており、運営側がこうした列の捌き方にまったく慣れてないのか一向に進まないという、運営上の不手際みたいなものが気になった。まあSEGAだもんね、カルトなファンがいるゲームメーカーだもんね、しょうがないよね。

文=ばるぼら

【特別鼎談 ばるぼら×ターHELL穴トミヤ×編集部 SEGA&ゲーム音楽】

■SEGAオンリーのオーケストラコンサート!

ばるぼら(以下「ば」) SEGAコンサートに行ってきました。

編集部(以下「編」) 池袋、東京芸術劇場ですね。本日はターHELL穴トミヤさんも交えて、SEGAとゲーム音楽に対する皆さんの記憶を伺いたいと思っています。

ターHELL穴トミヤ(以下「タ」) 僕もお邪魔します。

編 一番最初にSEGAのことを意識した記憶は覚えてますか?

タ 僕は、SEGAっていうと不良っていう感じなんですよね。優等生的な白いファミコンがいて、そこに黒いメガドライブが登場、みたいな。

ば (笑)。

タ 任天堂が王道だとしたら、SEGAはアンチ、ちょっと外した選択みたいな。

ば コカコーラに対するペプシみたいな。

タ 「ジャンプ」じゃなくて「サンデー」「マガジン」みたいな。

編 「コロコロ」じゃなくて「ボンボン」みたいな。

タ そういうので意識しました。小学校の同級生の中でもちょっとオシャレなヤツがチェックするっていう。

編 不良の印象の中にオシャレ感もあったんですね。

タ ありましたね。色数が多いみたいな。わからないですけど(笑)、ファミコンよりちょっと性能が上でしたよね。

ば ファミコンが8bitで、メガドライブが16bit。ちょっとグラフィックがギザギザした印象。

タ あとはゲーセンのイメージもありますけど、そもそも社名からして英語ですからね、SEGAって。任天堂は漢字ですから。

ば ワタシは一番最初はたぶん、ゲームセンターで見た『スペースハリアー』だか『ハングオン』だが、どっちかですね。あとは「Beep」とかのゲーム雑誌で見てイメージを湧かせる感じかな。実際にゲームやるのって結構SEGAはハードルが高い。

編 筐体もでっかいんですよね、『スペースハリアー』の動く筐体とか。動かないやつもでっかいので、やるのが恥ずかしい。

ば そうそう。それにちょっと高かった。

タ 300円とか。

編 高かったですね。

タ いつかやりたいなと思いながら1度もやらないまま大人になった感じですね。

編 やっぱり子供心にバイク型の筐体に跨ってウィンウィンやるのは、ちょっと勇気がいる。

タ 小1、小2にはハードル高いですね。

■往年のSEGAハード、持ってましたか?

ば SEGAに対する印象は、メガドライブを持ってる友達がまわりにいるかいないかでだいぶ変わるんじゃないですか。普通はみんなファミコンだけだし。

編 ちなみにばるぼらさんは周りに持ってる人、いらしたんですか。

ば いました。しかもその人ファミコン買ったか何かでやる気がなくて、ワタシ私にハードごと貸してくれたんです。4年くらい借りてたと思う(笑)。

編 その時一緒に借りたソフトは何だったんでしょう。『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』?

ば 『ソニック』の1は、2をやったあとに後追いでやったんですよ。最初は『スペースハリアーII』だった気がする。いま奥行きのあるグラフィックが好きなのって絶対『スペースハリアー』の影響だと思う。

編 『スペースハリアーII』はメガドライブのローンチタイトルですね。

ば メガドライブで一番やってたのは『大魔界村』と『コラムス』。他に死ぬほどやったのは、そのちょっとあとの『ソニック2』。この3本がメガドラの個人的大傑作。海外では「ソニック」が超人気になったんですよね?

編 はい。メガドライブが海外でよく売れたんですね。とくにソニックは超スピードで、青いハリネズミが画面中駆け回るみたいな。

タ 「ワーオ、スーパークール!」みたいな。

ば そういうのがアメリカ人に合ってたんでしょうね。もちろんスーパーマリオも超絶人気ありますけど。ソニック好きからすればスーパーマリオは遅いぜ!みたいな感じだったんじゃないかなあ。

タ 『魔界村』ってSEGAなんですか?

ば カプコンのアーケードゲームなんだけどメガドライブ用にSEGAが移植したのかな? あれが本当に好きだったなあ。ファミコンの『魔界村』ってクソだったじゃないですか。一番最初に出てくるレッドアリーマーの難易度が最悪だし。なんだけど、ゲームバランスがちっょと改善された『大魔界村』以降は、二段階のパワーアップとかいろいろ変わってくる。

編 武器もいろいろあって。

ば っていうのがよかったのかな。ずっとやってた。ただとにかく最後のステージが難しくて、しかもセーブできないからずっと電源入れっぱなしにしてた時期がある。『コラムス』はカンストまでやって、達成感を得て終わった(笑)。『ソニック2』はどうしても出せないスペシャルステージがあったまま終わった。

編 メガドラをやりこんでたんですね。私は大田区羽田が出身地でして。

タ SEGAじゃないですか。

編 そうなんですよ、元SEGA本社のある羽田。もの心ついた頃から青いロゴを見て育っていたようなものです。ショーウインドウみたいな大きいガラスの向こうに、ゲーム機的な何かがあるんですよ。小さいときにここはゲームセンターか?みたいな思いで中に入ってしまって、お姉さんに嗜められて出てきたという甘い記憶もあります。

タ じゃあもう生粋のSEGA派じゃないですか。コンピューターゲームとの出会いはSEGAみたいな。

ば 任天堂に対してはどう思ってたんですか。

編 ファミコン綺麗ですげぇなって。

ば あ、別にライバル視じゃないんだ。子供は何でも受け入れる(笑)。

編 地元企業ということもあったかどうかわからないですが、SEGAの本社があるのは大鳥居。その隣の糀谷という駅に今も現存する青い鳥という玩具屋さんがありまして、そこにSEGAのゲーム機の試遊台があったんですよ。だから近所の子供たちはそこの玩具屋さんに行ってSEGAのゲームを遊べたんです。

タ それ、五十嵐さんたちを実験台というか、テストプレーヤー代わりにしてたとか?

編 そこまでしていたのかはわからないですけど。

タ 遊んでるうしろに、こっそり開発者が立ってたんじゃないですか。

ば のちの湯川専務が見てたかも知れない。

編 ちなみにあったのはSG1000-Ⅱです。それで『ジッピーレース』とか『オーガス』をやった記憶がありますね。

ば そういう感じなんだ。それは我々とはちょっと違う感じかな......(笑)。

タ SEGAエリートだ。

編 (笑)。でもゲームセンターだと『フリッキー』とか。ヒヨコたちを集めるゲームですけど......。

タ えっ、それって1プレイ20円くらいのやつじゃないですか?

編 かなり昔、1984年ですね。

タ 懐かしいな、駄菓子屋にあったやつですよね。20円くらいのやつ。違うかな? それ、やってた気がします。

編 あれSEGAなんですよ。SEGAのゲームだって初めて自覚を持ってプレイしたのはあれでした。

■SEGAは元々外資系

タ 任天堂って最初はトランプとか花札じゃないですか。SEGAはなんだったんですかね。っていうかそもそも、日本の会社なんですか?

編 もともとは外資系のジュークボックス会社で、ゲームセンター用の大型遊具なんかを作るところからアーケードゲームに参入します。

タ 国はどこなんですか?

編 アメリカです。アメリカ人が創業者だったんですが、そのうちに日本のCSKという会社の資本が入って国産企業に。当時作ってたアーケードゲームは、『ヘッドオン』っていう、車が『パックマン』みたいに点々を食べるゲームで、SEGAが作ったこの『ヘッドオン』が世界初ドットイートゲーム。これは僕もSEGAだという認識もないままプレイしてました。

タ 『パックマン』よりも先なんですか。

編 はい。でも売れたのは『パックマン』。あと『トランキライザーガン』っていうゲームもあって。森の中に動物が出てきて、それを麻酔銃で撃ち、動かなくして、車の中に閉じ込めるっていう、猛獣を麻酔銃で撃って捕まえる、結構有名なレトロゲームがあります。『ギャラクシアン』とかそういう時代。

ば そういう時代はやってないな。ワタシは基本的にゲームは家で派だから。

編 今回のコンサートで一番古いゲームは『ファンタジーゾーン』ですよね、恐らく。あれはやられました?

ば メチャクチャやった。PCエンジンで。

タ シューティングゲームですか?

ば シューティングゲーム。

タ 左右に進むタイプで、地面に着くと足が出て歩きだすやつ?

編 それです。羽があって赤くて青いキャノピーがついてて。

タ あー!おぼえてる。やっぱりPCエンジンでやってました。

編 あれはSEGAの代表ゲームですよ。ああいうパステル調のファンタジー世界でシューティングゲームっていうのはなかったですよね。

タ 『グラディウス』じゃないけど、ああいう背景が黒で宇宙っぽい感じとはちょっと違う。

編 お金を貯めて武器を買うシステムも。

ば 今考えると『スターウォーズ』の影響なんですかね。

タ そうなんだ!

ば わかんないけど(笑)。いや、最後のオチがね、ラスボスがね。

タ 俺、けっきょく最後までいけなかったんですよね(笑)。

編 結構難しかったですからね。ネタバレしちゃうと、最後のラスボス、自機はオパオパっていうんですけど、そのオパオパのお父さんなんですよ。

タ ええーっヤバい、父殺し。闘いたくないじゃないですか。

編 しかもメチャ強い。

タ 完全にダースベーダーだった(笑)。セリフ出てくるんですか、「私はお前の父だ」みたいな。

編 クリア後に英語でメッセージがありましたね。

タ I'm your father.とか!? それだともう、まんまですね。

ば 変な線みたいな攻撃で画面が埋まっていってそれを避けるんですけど、完全に覚えゲー。

タ オーケストラで『ファンタジーゾーン』を聴いた時は、やっぱプレイ画面がフラッシュバックしたりするんですか?

編 しましたね。

ば やっぱ知ってる曲の時はなりますね。

タ 何か思い出深いプレイとか? あの悔しいところで死んでしまった、あの日のあの瞬間が蘇ってくる......、みたいな。

ば そこまで具体的な感じじゃない(笑)。

編 自分の頭の中ではそこでBGMが消えて、ミスの音が流れるみたいな。そこまで具体的じゃなかったですけど、間違いなくイメージは浮かびますよね。

ば それを目的に聞きに行くんでしょうね、普通は。懐かしがりたいというか。

■SEGAといったら......あのゲーム?

ば 80年代でSEGAで有名なのってなんだろう。

編 やっぱり『ハングオン』とか『アウトラン』とかのレースゲームというか、体感ゲームシリーズ。

ば 筐体デカめのそういうのって近所に置いてあったけど、自分ではやらなかったな。今ふり返るとやっとけばよかった。

編 僕はゲーセンでプレイしてたんですが『アウトラン』とか『スーパーハングオン』は、まず自分のプレイで流すBGMを選択するんです。スタートする前に曲を選ぶんですよ。

タ おお~、オシャレですね。

編 曲を選んで、その曲でプレイするっていうゲームは、SEGAのゲームで初めてだったんじゃないかなと思うんですけど。そういう感覚があるので、SEGAのゲームって音楽と結びついてるイメージが凄くあるんです。なんか否が応でも音楽を意識するじゃないですか、自分で主体的に選ぶから。

タ そもそもあの頃って、子供が音楽好きになるきっかけが「ゲームのサントラCD」とかって時代じゃないですか。僕も『MOTHER』のCDを母親に買ってもらって持ってました。あとPCエンジンCD-ROM2とかは、そのままCD-ROMを音楽CDとしても聴けて。ラジカセに入れて聴いたりしてましたね。

編 セガサターンのソフトも、同じように聞けたんですよね。

ば あれは2トラック目から?

編 だいたい3トラック目から。

ば CDプレイヤーを傷める可能性があるから1トラック目は聴いてはいけないと書いてありましたよね。

タ でもその聴いてはいけない禁断の一曲目を聴いてみたくて、ある日恐る恐る再生してみた(笑)。そういう欲望が、テクノとかにつながっていくのかな。

ば グリッチ(笑)。

タ 結局音しなかったですよね、あの部分。

ば もしかして高周波が鳴ってたのかもしれませんよ(笑)。

タ 聴こえる人にだけ聴こえてる。SEGAは、会社としてはドリームキャストまではイケイケだったんですか?

ば ドリームキャストは一番最初だけ。

タ そっから落ち目に。

編 落ち目というか撤退したんですよね。

ば ハードウェアから撤退した。今はゲームだけ作ってて、立ち直ってます。だから最初にドリームキャスト発売時に生産が追いつかなかった時期が結構長くて、その時期をちゃんと売れてたら違ったんじゃないかって言われてます。

編 ちなみに負けた相手は各家庭にDVDプレイヤーを普及させるという意味でも画期的だったプレイステーション2。それに負けました、ドリームキャストは。

ば どっちが欲しいかって言ったらね......。当時まだDVDプレイヤー誰も持ってなかった。

編 そうなんですよ、国内のDVD普及にプレステ2は一役買ってるんですね。

ば 当時高かったですからね、DVDプレイヤーは。10倍以上してた気がする。

編 今みたいに3000円とかでは買えない時代だったので。みんなプレステ2で、僕のまわりでもゲームはしてないけどDVDは観てるっていう人が凄く多かった。

タ ゲーム機能付きDVDプレイヤー。

ば 一応セガサターンもCDプレイヤーになりましたよね(笑)。でもCDプレイヤーは別にいらないなぁ、もうあるなぁって。

編 80年代後半からCDプレイヤーはありますからね。

タ でもなんかこう、セガサターンでCD再生すると「音楽に合わせて模様が出てきてコントローラーで操れる」みたいのありませんでしたっけ。

ば ちょっとだけ遊び要素もあるみたいな。

編 ハード撤退以降のSEGAは、コンテンツプロバイダーとしてゲームを供給してますけど、最近のそういうSEGAの試みで、SEGAを意識したことはありますか?

タ 僕はtwitterで、セガインターナショナルのイギリスの田舎在住の人をいつも見ていて、その人面白いんですよ。

ば なんですかそれ。

タ SEGAと同じグループ会社なんだけど、ゲーセンに特化したセガ・アミューズメンツっていうのがあるらしいんですよ。それのウェールズ支店っていうのがあって、日本人はその人ひとりだけっぽいんですけど、日常を見てるとイギリスのパブとかが顧客なのかな。基本は開発者っぽいんだけど、多分田舎だから修理とかもしてる。

ば 海外のゲーム機の保守作業してるんだ。

タ 「今日は一日ヤスリがけ楽しかった」とか、「なんで英国の小さいゲーセンの隅でペンキ塗ってるんだ俺は!」とか、駆り出されてる感が面白い(笑)。あと同僚との異文化コミニュケーションとか。でもその人はホントに筐体ゲームが好きっぽくて、愛を感じるんですよ。イギリスってパブがあって、ピンボール・ゲームがあって、ていうのが景色として文化になってるじゃないですか。そこにピンボール機とじゃあ一緒にSEGAのゲーム機もあったりするみたいで、そういうイギリスのパブ・ゲーセン文化みたいな。

ば へえ~。

編 彼はその守り手なんですね。

タ なんかそんな感じがしていいんですよね。でもやっぱ中国とかの新興勢に押されてるらしくて、パブの一角を巡ってSEGAも頑張るみたいな。

ば そんなところでもSEGAは闘ってるんですね。しかもちょっと負け気味みたいな(笑)。

編 撤退戦のしんがりっぽい感じだけど、でも頑張ってる。

ば 頑張って欲しい。

編 ばるぼらさんは、最近のSEGAについては。

ば 『スペースチャンネル5』以外で? 初音ミクのゲームが印象深いかなあ。

編 初音ミクなら、もちろんゲームも出してるんですけど、ライブとかの映像をSEGAが制作しているということで有名ですね。

ば そうか、忘れてたけどそんなニュース見ましたわ。それ以外は何が有名でしたっけ?

編 コンサートでもやったんですけど、DSでミニゲームがいっぱいつまった『赤ちゃんはどこからくるの?』とか『きみのためなら死ねる』とか、あの辺はSEGAを意識していない人たちにも、認知されてるゲームではないでしょうか。

ば そうか、今回演奏した曲に2000年代以降もあるんですよね。ワタシは1980、90年代のハードウェア出してた時期の印象が強すぎるのかな。コンシューマー派だったから。アーケード派だったらまた違ったのかも。

■『スペースチャンネル5』とマイケル・ジャクソン

編 原稿の中にもあったんですけど、『スペースチャンネル5』の話を聞かせて下さい。

ば 初めてやったの2009年だから偉そうなこと言えないんですけど、イヤーなことがあって落ち込んでる時にあのゲームやったらすごく面白くて。こんなゲームあったんだ!!!!!!!!!!!って衝撃的体験で。それくらい、人生が復活した感じ、自分の人生の第二部はあそこから始まってると言えるくらい好きですね。

編 凄い。

ば 『Rez』のミニコミ作ってる時にやったんだけど『スペースチャンネル5』のほうが面白くて制作の軸がブレた感あった(笑)。だから『Rez』の次は『スペースチャンネル5』の同人誌作ろうと思って調べてたんだけど、あまりにも好き過ぎて作れなかった(笑)。とりあえずしばらくヤフオクで『スペースチャンネル5』グッズが出たら買うみたいな生活を続けてました。あんないいゲーム本当にないです。たぶん時代的には映画『オースティン・パワーズ』の影響を受けてると思いますけど。

タ どんなゲームなんですか?

ば リズムゲームで、「上 下 下」って言われたら、同じように入力するヤツですね。

編 ばるぼらさんから『スペースチャンネル5』のオリジナルのサントラをお借りした記憶があります。今もスマホに入ってますけど、面白い作りになってましたね。

ば 音楽もいいし、遊びみたいな、セリフみたいなものが入っていて、それもいい。あとマイケル・ジャクソンが出てくるのもいい。

タ マイケル・ジャクソン出てくるんですか!? 実名で!?

ば 出てきます。

タ すげえ。もちろん権利とかはクリアしてるってことですよね。ファミスタの選手名とは違う。

ば あはは。昔、SEGAでマイケルジャクソンのゲームがあったんですよ。その時に録音した声の素材みたいなものもちょっと流用してるんですよ。

編 『マイケル・ジャクソンズ・ムーンウォーカー』っていうゲームですね。マイケルがゲーム好きで、日本へ来た時にSEGAへ遊びに寄るんだそうです。

タ ええーすごい。

ば 『スペースチャンネル5』を作ってる時に突然、マイケルに呼び出されて、SEGAの偉い人が。「お前は俺のゲームいっぱい作るって言ってたのどうなったんだよ」って怒られて。

タ (笑)

ば 「いや、ちょうど音楽ゲームを作ってて、是非登場させたい」みたいな話になったらしくて。

タ いい話ですね。

編 続編のpart2にもでてますよね、「スペースマイケル」。

タ へぇ~。

ば 「スリラー」とかああいう感じのPVっぽい動きもしたりして。結構面白いんですよ。

タ すごいな、豪華なんですね。

ば 『スペースチャンネル5』を初めてやったのが2009年10月で、その年の6月にマイケルが死んじゃったから、個人的にも思い入れがあります。マイケル......。

タ 魂になってここに的な......。

編 ゲームの中で踊り続ける。やっぱりおしゃれなんですね、SEGAは。外資系なだけあって、マイケルとか。

ば 世界中のスターがSEGAのゲームになりたがってるに違いないですよ。

編 (笑)。

タ あれ観ました? レッドブルのゲームのドキュメンタリー、去年webで公開されたやつ。(ディギン・イン・ザ・カーツ http://www.redbull.com/jp/ja/music/stories/1331676401833/diggin-in-the-carts-episode-1)。あれ観ると、やっぱり「SEGAは俺が最初に聴いたテクノだ、ファンクだ」みたいな、正確なジャンルは忘れましたけど、やっぱ大人の音楽への入り口になったっていう話を、アーティストがしてましたもんね。「クールだった」みたいな。

ば そうそう、フライング・ロータスが鼻歌で歌ってるんですよね、『ソニック』の曲。

タ あれは凄かったですね。やっぱりSEGAはクールだったのかと。

ば 子供の頃の原体験としてああいうゲーム音楽がクールなものとして認識されて、そのままみんな育っちゃったんだなーみたいな。

編 そうですよね。

ば 最近RealSoundにあがってた、任天堂のゲーム音楽を担当した近藤浩治さんのインタビューもいい話ありましたよ。宮本茂さんがポール・マッカートニーにライブへ招待された時に自分も一緒つれてってくれて、宮本さんが「彼はマリオの曲を作った人なんだ」ってポールに紹介したら「『タタッタッタタッタッ』ってポールが歌ったんだ」みたいな話(http://realsound.jp/2015/09/post-4601_3.html)。

編 うわぁ。

タ それはヤバい。

ば こういうエピソード知ると、ゲーム音楽って世界を超えるんだなって思いますよね。

タ マイケル・ジャクソンからポール・マッカートニー!

ば みんなゲームやってる。

編 レッドブルのあれはゲーム音楽の魅力を再確認する素敵な番組だったので、是非皆さんにも観て欲しいですね。

タ 面白かったですね。

■『セガ・ハード・ガールズ』も登場!

ば 『スペースチャンネル5』の音楽もいいんだけど、サントラで聴くと全体的に曲が短いんですよ。もうちょっと長いバージョンが欲しい。だから12インチシングルが出てるんでしょうけど。

編 そうですね。

ば 『スペースチャンネル5』だけでまるまる一章使ってくれてもいいくらいでした!

編 そのぶん『NiGHTS』は、スタートからエンディングまでやってくれてたから。

ば そうそう、ずるい!(笑)

編 すごく贅沢な第三章でしたね。

ば 完全にプレイ再現。ゲーム実況みたいな感じでしたね。

タ なるほど。オーケストラのお客さんとか、みんな聴きながら目を瞑って夢想してるイメージありますけど、今回はみんな頭の中にプレイ画面がバーンと?

ば ボス戦来たぞ!みたいになったり。

タ あ、いきなり死んだ!みたいになったりはしないですか?

ば それはなかったですね(笑)。

編 『スペースチャンネル5』のパートでは大胆な演出があって。混声の合唱団がいたんですけど、その合唱団がゲーム内のキャラを真似て踊らされてしまうという演出がありました。

ば わりと盛り上がった感じでしたね。うららの声がリアルタイムで途中途中に入ってきて。それはなかなかよかったですよ。盛り上げるなーって。

編 盛り上がりましたね。

ば このまま全曲やってくれてもいいのにみたいな(笑)。でも3曲くらいで終わってしまうという......。

編 (笑)。

ば そういえば、『スペースチャンネル5』のテーマ曲「Mexican flyer」、ホントは最終的に別のに替える予定だったけど、開発中に余りにもイメージがつきすぎたからこの曲の権利を買う話になった、ってエピソードがパンフレットに書いてありました。当時Levi'sのCMで「Make Her Mine」が使われたみたいな感じで、こういうスウィンギン・ロンドンなブラスロックっぽい曲はちょっと流行ってましたよね。

タ オシャレかっこいい感じなんですか?

ば オシャレかっこいいバカみたいな(笑)。

編 最後のバカ重要ですね。

ば そうそう。やっぱりかっこよくなりすぎないでちょっとね。

タ 外してくる。

ば あとは、もはや記憶にないですね。その後にいろんな人が出てきて歌って盛り上げてたなーみたいな(笑)。

編 若い女の子たちも出てきたりしました。

ば セガ・ハード・ガールズ。

タ それは声優なんですか?

編 声優さんです。

ば 声優ユニットなんだけど、それぞれにメガドライブ、ドリームキャスト、サターン、マークIIIみたいな役割を与えられていて。

タ 擬人化みたいなことですか。

ば そうそう。CDパッケージとかだとキャラ絵で、初音ミクを描いたKEIさんのイラストなんですよね。

編 そのキャラでアニメをやってたり、漫画にもなってたりして。SEGAはハードから撤退してるじゃないですか。そういう意味でも企画的に自虐的なネタなわけですよ。

タ なるほど。

編 もうすでにいないというか、遊ばれてはいない子たちなので、ファンアイテム的な、ファンコンテンツなのは間違いないですね。そういうこともやるようになっています。

ば 実際にSEGAのハードの人気とセガ・ハード・ガールズの女の子たちの人気は比例してるんですか?

編 比例してないんじゃないでしょうか。

ば その辺はやっぱりシビアなんだ(笑)。それにしてもSEGAの記憶を思い出そうとするとハドソンが混じってくる......なんかしらないけど(笑)。

編 わかる!

タ あとSEGAといえば、カラーのポータブル機出してませんでした?

編 ゲームギアですか。

タ 任天堂がゲームボーイ先に出して、SEGAはじゃあカラーだ!みたいな。

ば そうです。でも電池の減りが早いんですよあれ。携帯ゲームなのに持ち歩きにはあまりむかない(笑)。あれでも『ソニック』を地獄のようにやった。それはメガドライブとは別の人から借りて、2、3年近く借りてたらスゲー怒られた(笑)。

タ それは怒られるでしょうね。よく2、3年も怒られなかったなって。

ば むしろね(笑)。もはや半分自分のものくらいの気持ちになってたところでハッとさせられる。そんなどうでもいい思い出がある。

■ゲーム音楽とサントラ

編 今回のコンサートはSEGAオンリーでしたけど、ゲームミュージック的な観点からも、こういうイベントは楽しいですよね。

ば 楽しいです。もともとゲームファン向けのイベントでしょうし、そんな真面目なクラシックファンが聞きにくるわけではないから。言っちゃ悪いけど。

タ コスプレして来てる人とかはいないんですか。

ば いたのかなぁ。周りにはいなかったですけど、緑色の髪の毛した人は見た。なんだったんだろう? 初音ミクのコスプレか、シーパンクか......。

編 なんだったんでしょうね。ターHELLさんも、このゲーム音楽のイベントなら行きたいっていうのはありますか。

タ 『MOTHER』ですかね。最初にやったTVゲームが『MOTHER』なんですよ、ファミコンで。

ば ドラクエとかじゃないんですね?

タ ドラクエは友達しかもってなかったんですよ。

ば マリオは?

タ マリオも友達しかもってなくて。マリオ3からですね、自分でやったのは。だから『MOTHER』が一番思い入れがあるんですよね。

ば 1ですか?

タ 1です。

編 2はやったんですか。

タ 2もやりましたけど、やっぱり2の印象はあんまないんですよね。

ば 1からやった人は1好きなんですよね。私は2からやったら、1にさかのぼるとちょっと物足りなかった。

タ チョーキングってものを知ったのは『MOTHER』でした。

ば (笑)。

タ 絶対、音楽嗜好的にもなんか影響受けたと思うんですよね。

ば 『MOTHER』は鈴木慶一の曲ありましたよね? 2の「Because I love you」は好きだなあ。

タ ムーンライダーズですよね。『MOTHER』のサントラCDがやっぱり全部オーケストラっぽいサウンドで。

ば そうなんだ。

タ で最後に、ゲームの曲がオリジナルのまま一通りダイジェストで入ってるんですけど。それ聴いた時にやっぱ8bitサウンドが一番いいなと。

ば 結局(笑)。

タ でも『MOTHER』の曲、オーケストラで聴いたら面白そうですよね。もうやってそうですけど(やっていました!http://www.kayac.com/news/2015/04/jagmo_july_official)。

ば やってそうですね、どこかで。人気ゲームだし。

タ ゲーム音楽のオーケストラ・コンサートだと、響きとかメロディを聴く感じになるんですか? 8bitで聴きたい派として質問しますが(笑)。

ば 音色の問題ですよね。

編 それと体で感じる部分がありますね。オーケストラは。

ば うん。マイクを通さない音量で。あとは単純に、昔パーカッションやってたからパーカッションの人の動きをつい見ちゃうんですよ(笑)。大変だろうなって。

タ なるほど(笑)、やっぱ演奏だとアクションが入ってきますもんね。今回、コンサートで初めて聴いたけどよかったっていう曲はありました? このゲーム知らねーけど、いいみたいな。

ば 第二部の一番最後の曲なんだっけ。

編 『バーニングレンジャー』。

ば それ。『バーニングレンジャー』っていうゲーム、よく知らないんですけど、それはアニメのテーマ曲のパロディみたいな感じで。それを有名な社員の人(光吉猛修)が歌うんですよ。それが歌唱と曲調がハマりまくってて、これかっこいいなぁって、あとでYouTubeで探した(笑)。

編 デイトナでも歌ってる人です。

タ 「デイトーナー」しか覚えてないですけど(笑)。

編 それです、それを言いながら入ってきましたよね(笑)。

タ  (笑)。

ば そうそう(笑)。で、客が完全にノリをわかってて、「なんとか~」っていったら「なんとかー!」って言えるんですよ。別に練習があったわけでも、教えられてもないのに。

タ コール&レスポンスあるんですね。

編 クラシックなのに。

ば おかしいな、どうなってんだこれって(笑)。その辺もファンイベントっぽかったですね。

タ ゲームの中に入っちゃった感がありますねそれ。

ば SEGAの一員になった気持ちになれるんじゃないですか。

編 それはありますね。

タ 『トロン』的な意味でSEGAの一員になった感じ。

ば そうそう(笑)。

編 アンコールは社歌でしたしね、SEGAの。

タ そうなんですか。俺もそれ聴いたことある気がするな......なんで知ってるんだろう。

ば 『NiGHTS』以外だったら何がよかったですか。

編 僕はやっぱり『ファンタジーゾーン』の「Opa-Opa」が印象的で、サンバアレンジというか、サンバだったんですよ。子供のころプレイしてる時にサンバ感はあまり感じてなかったんですけど、でも凄く幸せな気持ちになりましたね。あとはやっぱり『スペースチャンネル5』がよかった。「Mexican flyer」の圧倒的なまでの......

ば もともとブラスの入ってる。

編 そう、迫力がね。それとベースラインのグルーヴ感がとても素晴らしかった。

タ そんな曲だと、踊りだしたくなっちゃったりしないんですか。

ば なんでこれは座って観なきゃいけないんだみたいな。

タ そうそう、もうスタンディング・オーケストラ鑑賞だ!みたいな。そういえば楽団は結構、大所帯なんですか?

編 中規模オーケストラくらいじゃないですかね。

ば そうですね。50人弱くらい。

編 たぶんもっと大きな規模のオーケストラだとさらにふたまわりくらい大きくなるんでしょうけど。

■オリジナル音源とアレンジもの

ば 昔のゲームファンとしては8bit音源に惹かれるものがあるじゃないですか。

編 そうですね。

ば オーケストラアレンジよりもオリジナルのほうが好きなのも多いですよね。なのに、オーケストラをわざわざ聞きにいくっていうこの行為。しかもそれなりにチケット代払って、このコンサートに来る人たちはいったいどういうものを求めてるのかなって、気になります。なんとなく高尚なものになって嬉しい感じなのかな?

編 オリジナル音源をみんなで聞いて、一体感を感じたところでどうなんだっていう感じはします。やっぱりクラシックっていうフィルターを一枚噛ますことで、もっと個人的な記憶と結びつきやすいのではないかと。

ば なるほどね。オリジナル音源じゃないことによって。

編 そうそう。

ば それで思い出したのが昔のゲームサントラのアレンジ・バージョンばっかり入ってるやつ。

編 オリジナルと両方入れてくれればいいんだけど。

ば そう、アレンジ・バージョンだけ入ってるのがある。変なフュージョン・アレンジの(笑)。

タ 騙された!みたいな。

ば 昔はイヤでしたね。今はそれを楽しむ文化もわかってきましたけど。ゲーム音楽って「どうアレンジするか」っていう部分を楽しむ文化が昔からあるんでしょうね。東方Projectもそうですが。

編 ホントですね。昔は「Beep」の付録についてたソノシート、あれがね。

ば ちょっとチープな感じが嬉しかったですね。微妙に豪華にされると却って困るみたいな(笑)。あとは、基本的にクラシックだとすぎやまこういちのイメージなんでしょうね、世間的には。

編 そうですね。やっぱり『ドラゴンクエスト』とかで、すぎやまさんがオーケストラアレンジでやったのが走りですよね。

ば 走りですね。

編 ゲーム音楽に限らずに、たとえば菅野よう子さんがアニメの「∀ガンダム」で劇伴した時に、オーケストラによるコンサートをやったりもしてるんですけど、ゲームミュージックに限らずクラシックアレンジでコンサートっていうイベントはあるような気がします。

タ テクノもオーケストラアレンジあるんですよね。デリック・メイの曲とか。あとDJシャドウのアルバムをオーケストラ・アレンジでやってるのがあって。凄く倒錯してて。『Endtroducing』ってアルバム、もともと全部サンプリングじゃないですか。そもそも生の演奏をサンプリングして、細切れにして、曲を作ってるのに、それをそのまま楽譜に起こして、こんどはまた楽器で演奏するっていう。

ば それはちょっと面白いですね、聴いてないや。

タ それは元と一緒なのか、違うのかみたいな。(https://www.youtube.com/watch?v=2KopZfl0THo

ば 譜面で書かれてない音楽をむりやり譜面にしちゃう。

編 そういうアプローチがあるとオーケストラも肩肘張らずに楽しめますね。今回のイベントもそういう感じ。コール&レスポンスがあるくらいですから。

タ コール&レスポンス凄いですねぇ。クラシック・コンサートで、あんまないですよね。

ば 指揮者も踊ってましたからね。

編 もうちょっとこれで、気軽に楽しめる金額だとよかった。

タ 結構高いんですか?

ば 平均7500円くらいですね。

タ それは......、高いですね。やっぱりそういうとこだと、チケット高くなっちゃうんですか。

ば 単純にオーケストラって出演者が多いからってことでしょうね、価格は。

タ 作曲家の方たちはどうなんですかね? 当時オリジナルを16bitとかで作ってた人たちは来てたんですか?

ば 『ソニック』の三作目以降をやった人(瀬上純)がゲストでギター弾いてました。二曲くらいやって引っ込んじゃったけど。

編 他にもおそらく招待席にいらしたんでしょうね。

タ そもそも8bitがいいとかいってるけど、リアルタイムで8bitやってる時はオーケストラやりたいけどできないから、8bitでやってるわけじゃないですか。だから当時、作曲してた人としては「ついに俺の頭の中で鳴ってた音楽がここに出てきた」っていう感慨があるんですかね。

ば あるんじゃないですかね。3音だか4音しかない制限の中で何やるかっていう世界だったところで、その制限をなくしたいっていう欲求からコンサートをやるっていう。でも一応すぎやまこういちはフル伴奏楽曲みたいな、バッハとかを引き合いに出して、昔のクラシックの人たちが1音だけで音楽を作れてるんだから俺たちだってできないことはないみたいな、熱い発言を残していました。

■ゲームと音楽を楽しもう

編 というところで、そろそろまとめに。

ば 『スペースチャンネル5』と『NiGHTS』がよかったです。

編 『NiGHTS』はプレステ3でDL販売とか、新作がWiiでプレイできるので是非どうぞ。素晴らしいゲームですから。

ば 『NiGHTS』はあまりに曲がいいからサントラ買おうとしたら、全部の曲が入ってる完全盤だけ売切れでプレミアついてて悲しかったですよ(笑)。でも実際にゲームのサントラを買うことってありました?

タ 僕は最後に買ったゲームのサントラは『MOTHER』ですね。

ば (笑)。

編 最初で最後だったんですね(笑)。

タ 擦り切れるまで聞いてました、CDが。

ば 五十嵐さんが最後に買ったゲームのサントラは?

編 何か買ったかなあ。

ば 『巨人のドシン』とか買わなかったですか。任天堂の。あれスッゲーいいんですよサントラ。まあ任天堂の話は今回いいや(笑)。

タ あ、『ワイプアウト』とか『攻殻機動隊』のサントラ買ってたかも。卓球がやったりしたんですよね。

ば なるほど、テクノ好きだとそういうのがありましたね。

編 あ、僕は『Rez』だ。それが最後です。

ば なるほど。ワタシも『Rez』かも(笑)。

編 というわけで皆さんも、よいゲームライフと音楽ライフをたまに結びつけたりしてみるのはいかがでしょうか。ありがとうございました。

構成=編集部

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ばるぼら  ネットワーカー。周辺文化研究家&古雑誌収集家。著書に『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』など。最新刊は共著の『20世紀エディトリアル・オデッセイ』。
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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。
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