2013.1.27 Sun at Hatsudai Tamai Studio
2013年1月27日(日)
東京・渋谷「初台玉井病院スタジオ」にて開催
日本が世界に誇るジャパニーズ"フェチ"という共通テーマの元に、AV・エロコスプレイヤー・アーティスト・女優とジャンルの境界線を超えて行なわれた、即売会&パフォーマンスイベント「フェチフェス」。マニアならずとも楽しめるというその現場では、いったいどんな光景が繰り広げられていたのか!? 当日の模様を安田理央さんにレポートして頂きます!!東京・渋谷「初台玉井病院スタジオ」にて開催
老朽化し、すでに廃墟となったその病院に足を踏み入れると、いきなり現われたのは看護婦姿のゾンビ! 血まみれの白衣に腐り落ちた顔面。そして、その手には「ゾンビと撮影 500円」というボードが......。
ここは、フェチをテーマにした即売会&パフォーマンスイベント「フェチフェス」。会場になっているのは、病院を丸々使った撮影スタジオ。会場もユニークだが、販売している商品や、売り子、そしてパフォーマンスも当然一筋縄ではいかない。
ゾンビ看護婦がいたのは、スカトロや唾液などのディープなDVDを販売するフェ血スのブース。その隣では、フェチに造詣の深いライターの下関マグロ氏が自作のパイ投げDVDを販売している。反対側のブースでは、女の子の口腔内にこだわったグリップAVや足フェチ物や金蹴りのパンプスプランニングが。そんなディープなメーカーばかりかと思いきや、その奥にはブルセラ系AVメーカーの老舗みるきぃぷりんが、巨乳コスプレイヤーのchieちゃんを伴ってコスプレ系AVを販売中。さらに廊下の先のブースでは、カルト漫画家の駕籠真太郎さんが似顔絵を描いてくれるという......。
これは地下階であり、その上の3階までの合計4フロアでこのフェチフェスは開催されているのだ。病院という建物の特質上、幾つもの部屋に分かれていることもあって、即売会と言ってもコミケや文学フリマよりも、学校での学園祭のようなムードとなっている。廊下にゼンタイの女性や、着ぐるみのドーラーがウロウロしているといったシュールな光景も、いかにもお祭りっぽい。
1階はコスプレ系のブースが充実。ブルマー姿の田中まなちゃんの田中やさん、シースルー姿のあきとんさんのはいか×らびっちなど、セクシーな姿のレイヤーさんたちが自ら販売していて、目のやり場に困るほどだ。DVDを購入すると、撮影もできるというのは嬉しいサービス。
このフロアで面白かったのが、元は薬局だった部屋で、ビールの販売をしていたこと。飲みながら会場を見まわれるというのは、なるほど大人の学園祭ならではの楽しみだ。ちなみにハイネケンの小瓶にうまい棒が2本ついて600円だった。
2階に上がってみると、このフロアでは、マザーズエンターテイメントが北川エリカちゃんを、ベイビーエンターテイメントが奥田咲ちゃんを、ティークラフトが有村千佳、初美沙希を、と売れっ子AV女優を連れてきていて、一段と華やか。こちらでもDVDを購入すると撮影することが出来るのだが、普段のショップイベントや撮影会よりも、グッとお得になっていた。また過激プレイで知られる月花監督や、ストリップや演劇でも活躍する若林美保さんも自らの作品を販売していた。
さらにこのフロアでは、アクリル椅子越しに巨尻女性の顔騎が体験できるデカ尻ドットコム、鞭や拘束具の銀龍堂、全身タイツのTOKYO ZENTAI CLUB、アニメマスクの東京マスク工房、フェチ写真の口枷屋モイラなどのフェチ系も充実していた。
最上階展示フロアとなる3階にも、エナメルファッションのRouge、フェイクタトゥーの世之介☆桃色浮世、その場で付け牙を作ってくれる牙師SUMIOのFANG SHOP、レイヤー同人のすぱこすなど、ディープなフェチ系ブースが目白押し。
美術家・蜂谷実奈子がfanfanパーラー所属の吉瀬リナにボティペイントするパフォーマンスも素晴らしかった。
地下にはイベントステージもあり、緊縛ショーや、ボディペイントパフォーマンスも行なわれた。筆者が見た時は、三代目葵マリー、駕籠真太郎、下関マグロによるトークショーだった。飛び入りゲストとして、V&Rプランニングの総帥、安達かおるも登場。
客として、豊田薫、松本和彦、ターボ向後といったAV監督の姿もあり、業界人も大集合と言った状況だった。
しかし、なによりも興味深かったのは、来場客(コミケに習って一般参加と呼んでいた)の女性率の高さだ。三分の一くらいは女性だったのではないだろうか? ストレートなアダルトイベントでは、あまり見られない光景だ。そう言えば、先日、ギャラリー新宿座で開かれた都築響一氏の「新宿秘宝館」も女性客のほうが多いくらいだった。
アダルトメディア市場は、頭打ちどころかパイがどんどん小さくなって来ていると言われているが、これまでの通常のアダルトジャンルでは取り込めなかった層がまだまだいるのではないか。画一的ではない、もっとユニークなアダルト表現を求めている層が相当数存在するのではないか。そんなことを考えた。
ここに上げたのは、イベント参加のうちのほんの一部のサークルに過ぎない。なにしろ今回参加したのは約50サークルに上るのだ。日本のオルタナティブ・アダルトのパワーを実感させられたイベントだった。
いや、そんなことよりも、とにかく楽しめたイベントだったのである。病院というロケーションを活かした学園祭のような手作り感覚とお祭りムード。サークル参加者も、来場客も、売ること、買うことよりも、まず楽しもうという感覚が伝わってきた。
大きくなりすぎて企業化してしまった日本のアダルト産業は、一度こうしたスタンスに立ち返るべきなのかもしれない。
フェチフェスが定期的なイベントとして定着するかどうかは、まだ未定だが、ぜひ続いて欲しい。個人的にも、昨年あたりからアダルト業界に強く感じていた閉塞感に、パッと光明が見えたような気がした一日だったのだ。
写真・文=安田理央
関連サイト
「フェチフェス 」公式サイト
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13.02.02更新 |
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