『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』The Beatles(Parlophone)【UK】 1967年6月1日発売 |
本誌・web連動企画 『新宿アンダーグラウンドの残影』 〜モダンアートのある60年代〜 文=ばるぼら S&Mスナイパー4月号の誌面では紹介できなかった「モダンアート」をめぐる新宿とアングラの親和性。現在までつながるいくつかの残影を集めながら、いま再び光をあてる新宿アングラ詳論の決定版! |
ここまで新宿のフーテン、アングラ映画、前衛演劇などを紹介してきたが、アングラがブームになった1967年から1968年にかけては、当時から特別な年だったようである。もともと海外では1967年は「サマー・オブ・ラブ」と呼ばれ、SEX・ドラッグ・ロックンロールの革命の時期と言われているが、日本でもどうやら同時期に色々と起きていたようだ。というのは、『マーケティングと広告』1968年3月号に「“アバンギャルド二年”の感覚構造」(三島彰)というレポートが掲載されており、そこに「私は、昭和43年をアバンギャルド二年と名付けたいと思う。ということは昨年、すなわち昭和42年が、アバンギャルド元年だったという認識に基づいているわけだ(後略)」とハッキリ書かれているのである。
このレポートを書いた三島は西武百貨店のファッション事業部長で、その理由として、女性のスカート丈が短くなったこと、女性の服飾が“驚嘆するほど”カラフルになったこと、グループ・サウンズの大規模な進出があったこと、ディスコテック文化が花開いたこと、アバンギャルドなインテリア感覚のスナックやレストランやドライブインが展開しはじめたこと、前衛演劇や前衛映画が登場したこと、ハプニングが受験学習雑誌で特集を組まれるほど大衆化したこと、フーテンがマスコミに注目されたことなどを次々と挙げている。
(C)ROME-PARIS FILMS+DINO DE LAURENTIS CINEMATOGRAFICA 1965 |
邦題:『気狂いピエロ』 |
たしかに、音楽で言えば、1967年にビートルズが金字塔『Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band』を世に送り出し、それに触発されたミュージシャンが、少し遅れて次々と斬新な作品を発表した頃である。映画では1967年といえばゴダールの『気狂いピエロ』やアントニオーニの『欲望』が発表された年だし、漫画では1967年はつげ義春「紅い花」や永島慎二「フーテン」や赤塚不二夫「天才バカボン」の年だし(1968年は「ねじ式」)、イベントでは「クロス・トーク/インターメディア」が開催された年だし……と、何かとそれらしいものが集中している。日本に限らず、世界中の若者文化に新しいセンスが吹き荒れ爆発していたのがこの時期だったのだ。
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構成・文=ばるぼら ネットワーカー。周辺文化研究家&古雑誌収集家。著書に『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』『ウェブアニメーション大百科』など。なんともいえないミニコミを制作中。 |
07.03.25更新 |
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