「あぶらいふ」読者投稿不定期連載 北陸在住マニア画家の美少女羞恥緊縛図絵
Specially selected abnormal maniac exhibitionl
北陸在住のマニア絵師が描く背徳的な鉛筆画と掌篇バックストーリー。責められる肉感美女たちの恥じらいと諦観は、どこまでもあいまいで広大深淵なファンタジーを紡ぎだす――
人に似ていて、少し違うという存在に、惹きつけられる。しかし本来、人は誰もが他人とは違うものだ。同じ国籍であっても肌の色が微妙に違っているように、人はたとえば脳すらそれぞれである。しかるに(これは当然のことながら)社会は多数派にとって暮らしやすいように出来ている。
小谷真理の『エイリアン・ベッドフェロウズ』(松拍社・2004年)は、数々のSF・その他の文学作品に登場する「エイリアン」(=社会の規範からハズれたマイノリティ)を分析し、その果てに、マジョリティのつもりで安穏としている読者の立つ地盤の危うさを示唆した。そこで取り上げられた「ROBOT」「CYBORG」「VAMPIRE」「GYNOID」「NATIVE」「PET」など27種類の「エイリアン」は、架空の存在あるいは限られた特殊な例外として片付けられるべき安全な者たちではない。我々は誰もが、いつでも、誰かにとっての「エイリアン」になりえる。いや、すでに「エイリアン」なのだとクールに認識しておくべきであり、それが常識というものだったのだと彼らは気づかせてくれる。
それでも人は、自分が属する小さなコミュニティ内の常識を世界のすべてだと思い込みがちである。多数派であるという呪いは容易に人を残酷にする。勘違いに満ちた世界認識の上に立った友愛や団結ほどおそろしいものはない。しかしそれが我々人間なのであり、差別の認識こそがエロティシズムの正体であり、よくも悪くも逃れようのない日常なのである。我々は、差別をし、差別をされるエイリアン社会の中で、自らも「エイリアン」として生きている。
角を生やした両性具有の少女が見ているのは、あなた方というエイリアンの群れだ。 異形の者どもを見つめる彼女の瞳にあるのは恐怖だろうか、好奇心だろうか、興奮だろうか、皮肉だろうか。
まっすぐに向き合ってみてほしい。 エイリアン同士で交配を繰り返してきた我々は、他者と自分を差別することでエクスタシーを得るやっかいな生き物ある。あなたに似ていて、少し違うというこの少女は、すなわちあなたの隣人や恋人と同列の存在であり、逆に彼や彼女たちにとってのあなたなのだ。
作=魚清
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魚清 北陸在住のアマチュア画家。 学生時代に読んだSM雑誌『裏窓』で椋陽児の絵に触れ、緊縛画の魅力を知る。その後数十年を経て自らも鉛筆による緊縛画を書き始め、5年ほど前に『S&Mスナイパー』内にあった「あぶらいふ」に作品を投稿、連載 を始めた。 責めの情景の中に少女が秘めた憂いや葛藤をエロティックに描きだす。