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The
ABLIFE September 2010
窮屈な毎日に縛られて気持ち悪くならないためのゆるやかな処方箋
黒い恥毛の奥深く、まばゆい女陰から迸る黄金色のオシッコを百薬の長と崇める稀代のネクタール(神の酒=おしっこ)愛飲作家が、自由闊達、繊細至極、奇々怪々、博覧強記の知性に加えて、百花繚乱の体験談を交えて読者諸兄からの質問・相談に答える新連載。内容・ジャンルは自由。ネクタール+言葉の免疫で、貴方が今を生きるためのヨスガを紡ぎます。
第13回の受付案件
58、「嫁が欲しいが……」
59、「女性からイジってもらうにはどうしたらいいか」
60、「お尻の快感」
61、「あがり症で就職できない」
62、「性と政」
58、「嫁が欲しいが……」
先生の小説で聖水拝受&絶頂射精が骨がらみになった者です。先生の作品はiPadに電子書籍化せんと、自炊中です。相談ですが。嫁が欲しいのですが。世知辛い日常生活の中で、嫁を娶り、聖水を望むのは、避けるべきでしょうか。ファンタジーの中に押しとどめておくべきでしょうか?(匿名希望)
知人の熟女が、
「あっ」
とうだけの、ホントーにあっけない、絶頂射精のために、女がほしい、嫁がほしいと、男はなんで大騒ぎするのでしょう……。
つくづく、私の顔を見るのですヨ……。
「どうしてでしょうねえ」
「腹上死っていうのは……その……相手が女房でも、腹上死っていうの?」
これは小沢昭一さんに聞いてみた。
「永さんね。断言しますが、女房で腹上死はありえません」
これは小沢昭一さんに聞いてみた。
「永さんね。断言しますが、女房で腹上死はありえません」
『大往生』(岩波新書) 著者=永六輔
出版社=岩波書店 発行=1994年6月1日
出版社=岩波書店 発行=1994年6月1日
59、「女性からイジってもらうにはどうしたらいいか」
私は今年で23歳になる、M気の強い男です。子供の頃から女の子に集団でイジメられたり、からかわれたりすることが多く、そうされることで密かに興奮を覚えてきました。でも、20歳になった頃から、同年代の女の子は男をイジメるということがなくなってきて、何となくツマラナイ日々を送っています。芳野先生は、いろんな女性からオシッコを飲まされていて、本当に凄いと思います。大人の女性に「この人に私のオシッコを飲ませよう」と思わせる力が、凄いです。普通、女性はそんなふうに思わないではありませんか。教えて下さい。芳野先生は、いったいどのようにして、女性のS心をくすぐっていらっしゃるのでしょうか。(学生/スワロー)
さて、どうしたらいいのでしょうか……。
私の場合は、誌友(ファン)の奥サマや情人方が、それが当然のように私の顔にまたがっただけでして……。
そうでなくても、お舐め大好きのスケベですから、お舐めしながら「オシッコしてもいいよ」ってやさしくササヤイテおりますけど、S心をくすぐっているのか、神酒強奪しているのかよくわからない。
たまたま『シゴいてもらえないM男 ジラされ続け生殺しされた僕』というDVDのパッケージサンプルが目につきまして、見れば「舐めて……あげない」とか「舐めるフリよ、何感じてんの」「シゴしてないのにイッちゃった」ですって。
これ、男の人生そのものじゃありませんか。
イジってくれなかった御婦人のなんと多かったことか……合掌。
60、お尻の快感
マルキ・ド・サドは肛門オナニーの大家だったそうですが、お尻の穴って、本当にそんなに気持ちのいいものなんですか? 僕は何度か指やボールペンを突っ込んでみたりしているのですが、まだ気持ちよくなったことがありません。(アルバイト/健)
ペルーでは娼家は手っとり早く申すと寝台車みたい(中略)値段表には、コンプレータ(完全)がイクラ、コムン(普通)がイクラと数字が出ている(中略)コンプレータにはお尻の穴がつき、コムンにはそれがつかないというだけのことだそうである。
当時(一九八〇年)の実勢レートで円に換算して一〇〇〇円ぐらいと記憶している。裏口の愉しみはたった一〇〇〇円と、この国では算定されているらしいのである。
吉行学兄はいつかこの裏口のことにふれて、力を尽して狭き門より入れよといわれても狭きは突入のときだけであって、入ってみたらあとはただの筒であるという趣きのことを書いていたと記憶するが(後略)
一〇〇〇円で、ただの筒ですって……。当時(一九八〇年)の実勢レートで円に換算して一〇〇〇円ぐらいと記憶している。裏口の愉しみはたった一〇〇〇円と、この国では算定されているらしいのである。
吉行学兄はいつかこの裏口のことにふれて、力を尽して狭き門より入れよといわれても狭きは突入のときだけであって、入ってみたらあとはただの筒であるという趣きのことを書いていたと記憶するが(後略)
『もっと広く(下)』(文春文庫) 著者=開口健 写真=水村孝
出版社=文芸春秋 発行=1994年5月15日
出版社=文芸春秋 発行=1994年5月15日
61、あがり症で就職できない
芳野先生は、人前で講演などはされたことがあるのでしょうか。私はあがり症なので就職の面接ですらまともに話すことができません。人前に出ると頭が真っ白になってしまいます。ですから、ヘンな例えですが、3Pなどもできないと思います。人生経験の豊富な芳野先生なら、人前であがらない秘訣をご存知ではないでしょうか。真面目に働く気は持っていますので、無事に就職ができますように、その秘訣をご教示いただけたらとても助かります。(無職/たかおみ)
私は生まれつき吃音で、大学の面接のとき名前もいえませんでしたヨ。なんたって歌でも吃る。それこそ、人前に出ると頭が真っ白になってしまう。
だから、ひとりで小説を乱読しながらモーソーにふけり『奇ク』に出会ってエッセイや小説を書くようになりました。
それから六十年、有り難いことに、今この原稿を書いています。
まあ、吃音のおかげで、神酒人生を楽しむことができまして感謝しております。
皆さまのおかげです。
田辺一鶴師匠は、吃音を治したくて、講談師になったそうです。
これ、逆転の発想ですヨ。
私がある企業で、勤労青少年福祉推進者をしていた頃、中卒から大卒まで、ニ千人の社員を前にして講演することが多くて……さあどうしましょう。
原稿なんて吃って読めません。
一鶴師匠がブレイクしたのは、跳びはね、奇声を発し、張り扇で釈台をたたき、体で表現したからでした。
勢いをつけないと言葉がでない。
私の場合は、マイクを手にして、広い会場のニ千人の間を歩きながらしゃべった。原稿なし。
聴覚障害者も数十人いましたし、手話、というより身振り手振りで踊るようにしてしゃべり、スケベだからすぐに下ネタに脱線するから、会場全体がリラックスしてしまう。
すっかり吃音を忘れてしまった。
誰でもあがりますよ。
あがるのが人間なんです。御心配なく。
62、性と政
性の道を深く探求されている芳野先生にとって、政の道、つまり政治とはどのようなものなのでしょうか。私は将来、政治の道を志そうと思っております。誰かの役に立つ仕事の代名詞として政治家というものを捉えているからです。まだまだ勉強中の私ですが、なるべく広い視野を身につけたいと、今は様々なアルバイトとボランティア活動を頑張っております。今後の勉強のため、芳野先生にとっての理想の政治家像を是非お聞かせ下さい。(学生/進藤健)
「人間というやつ、遊びながらはたらく生きものさ、善事をおこないつつ、知らぬうちに悪事をやってのける。悪事をはたらきつつ、知らず識らず善事をたのしむ。これが人間だわさ」というのが、平蔵の人間観だ。
鬼平を読めば、人間もわかるし、政治もわかると思うけど。
尾崎秀樹「池波正太郎の文学」より(『鬼平犯科帳24 誘拐』の巻末に併録)
『鬼平犯科帳24 誘拐』(文春文庫) 著者=池波正太郎
出版社=文芸春秋 発行=1998年2月25日
『鬼平犯科帳24 誘拐』(文春文庫) 著者=池波正太郎
出版社=文芸春秋 発行=1998年2月25日
さて――
明の建文帝から「日本国王」に冊封(さくほう)された。
死後、朝廷から「太上天皇」の尊号を贈られた。
相国寺の過去帳には「鹿苑院太上天皇(ろくおんじだじょうてんのう)」とある。
さあ、誰でしょう……。
征夷大将軍足利義満です。
こんなスゲエ政治家はほかにいませんヨ。
参考文献
今谷明 『室町の王権』(中公新書)
1991年1月30日 中央公論社
(続く)
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芳野眉美 作家・ネクタール愛飲家。1952年、『奇譚クラブ』に高校3年生の時に書いた小説「孤独なFANTASY」が掲載され、デビュー。翌年2月号の「硝子便所」で評価が固まり、以後ネクタール(神の酒=おしっこ)を題材にした小説の元祖として多くのマニア読者に指示される。また「あぶいらいふ」での連載「芳野流神酒譚」で綴られたファンタジックなまでに刺激的な実体験は、数多のファンに衝撃を与えた。現在は『SMマニア』(マイウェイ出版)にて不定期に新作を発表している。