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WEB SNIPER Cinema Review!!
伝説的カルトアニメ、梅津泰臣『A KITE』原作
少女たちが性の奴隷として売買される近未来。両親を殺され、暗殺者と化した少女の復讐に終わりは来るのか――ハリウッドでカルト的人気を誇る"原作:日本"のR-18禁アニメ、衝撃の映画化!

全国順次公開中!!
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梅津泰臣による、オリジナルアニメーションビデオ「A KITE」シリーズは、エロかった。女子高生が、おっさんとチョメチョメ、悪い奴につかまってチョメチョメ、そんなシーンが1話に1回は入って来る。この女子高生はある男たちの手下として殺し屋をしていて、炸裂弾という特殊な武器を使って人を殺す。それで撃たれた奴は何秒かたつと破裂してしまうのだ。そのグチャッという感じが『AKIRA』っぽくて、梅津泰臣は『AKIRA』の原画マンでもあるのだった。近未来の日本を舞台とした「A KITE」シリーズには、箱庭のような都市の閉塞感、そしてVシネのような90年代のハードボイルドがつまっていた。

それが日本のみならずアメリカでもカルト化し(もちろんタランティーノも大好き)、ついにハリウッドで実写化された。あの破裂弾どうなるの!?と思ったら、ちゃんと頭が吹っ飛んでいるじゃないの!首切断もアリ! しかしポルノシーンはなくて、だけどセクシーシーンはある。主演の娼婦に変装するため赤いウィッグをつけたインディア・アイズリーには、紫のウィッグで全世界のボンクラをロックした『キック・アス』のクロエ・モレッツちゃん以来、ひさびさのロリータ・ミューズ・エクサイトメントを感じたのだった。

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映画の舞台は未来の荒廃した都市、そこでは人さらいのギャング「ナンバーズ」が暗躍し、警察にも汚職がはびこっている。そんな中、サワ(インディア・アイズリー)と呼ばれる少女が、次から次へと人身売買組織のメンバーを襲っていた。彼女の目的はただ一つ、自分の両親を殺した組織のボスにたどり着き、自らの手で処刑すること......。そんなサワにターゲットの情報を与えている警部を、サミュエル・L・ジャクソンが演じている。このジャクソンの登場シーンが印象的で、パトカーを運転しながら、蛮族みたいな住人が投げつける石を鼻歌交じりに無視している。このときの首の揺れ方が素晴らしい! なんか早くて小刻み、この揺れだけで「この街キちゃってるな~」という狂気が伝わってくるのだ。

アニメ版の舞台は日本ということになっていたが、明らかにNYを意識していて、BGMもジャズなんかが流れつつ、ハードボイルドにつらなる「非情な都市」感を出していた。それがアメリカ製作に移ると、なんとロケ地はヨハネスブルグ、BGMはEDMになるのがおもしろい。南ア・ロケの映画といえば『第9地区』や、ポール・ウォーカーが主演した『逃走車』、そしてこれから公開される『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』もそうなのだが、本作は難民キャンプやスラムというより、無人のビル街がうまく使われている。ブロンクスやハーレムは再開発で綺麗になり、東京や香港も、もはや誰でも訪れることができる一大観光地になって、ミステリアスさは薄れた。世界に残された「よくわからないけどヤバそうな大都会」はもはや、ヨハネスブルグくらいしかないということなのかもしれない(あとはそれこそウクライナのキエフとか)。
そんなヨハネスブルグのオリジナル演出、人さらいギャング「ナンバーズ」のアニマル具合がやばくて、もう四つ足で移動しちゃってますからね。さらにはビルからビルへ飛び移って襲ってくる。突然バスでやってきてストリート・チルドレンをさらうシーンなんかには、大航海時代の奴隷誘拐もかくや!?というような緊張感がある。

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サミュエル・L・ジャクソンはトラウマを消すための麻薬を定期的にインディア・アイズリーに渡していて、その副作用で彼女は両親の顔を忘れていってしまう。そこに「俺は君の両親を知っている」というなぞの青年(カラン・マッコーリフ)が現われる。彼は一体何者なのか?と映画はサスペンスに向かっていくのだが、もう見てるほうとしてはインディア・アイズリーちゃん、早く悪の組織に捕まってくれないかなと。そして※※※※されたり※※※※されてしまう展開になってくれないかなと、ひたすら股間が手をすり合わせてくるのを感じる。けどよく考えると、そういう二次創作的妄想はすでに原作のアニメで実現済みなのだ。
そんなHENTAI世界から生まれた主人公のファッション、原作では普段着もありつつ、一番の萌えどころではツインテールにセーラー服のブルセラ路線でキメていた。一方、本作インディア・アイズリーはツインテールにニーハイ、黄色いジャンパーというキャンディー・チア路線。さらに一番の見所である娼婦のふりをするシーンでは、何度褒め称えても褒めすぎにはならない赤いウィッグに加えて、黒いブラジャーに、パンティは赤、そこに黒の網タイツを合わせ、黒いアイシャドウも麗しいゴス路線でぶちかましている。ここに日米の「ロリツボ」の差異があるようでたいへん興味深かった。俺は断然、赤ウィッグ、黒タイツ支持!ウィッグ最高!ウィッグがイイ!やっぱり、網タイツに赤ウィッグの実写「サワ」が※※※※※されてしまうシーンもみたいから、『カイト/KITE』のさらなるパクりポルノ化も期待する!! となるとやはり『タイタニック』が『パイパニック』になったように、『グラディエーター』が『フェラディェーター』になったように、その邦題は『カント/KANTO』ということになるのだろうか。

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文=ターHELL穴トミヤ

心も体も傷だらけになった幼い暗殺者を待ち受けていたのは、
予想を裏切る残酷な真実だった......


『カイト/KITE』
全国順次公開中!!

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原題=『KITE』
原作=梅津泰臣『A KITE』
監督=ラルフ・ジマン
脚本=ブライアン・コックス
出演=インディア・アイズリー、サミュエル・L・ジャクソン、カラン・マッコーリフ、カール・ボークス、テレンス・ブリジット
提供=カルチュア・パブリッシャーズ
配給=アスミック・エース

2014年|アメリカ|カラー|90分

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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。
http://sites.google.com/site/tahellanatomiya/
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