WEB SNIPER Cinema Review!!
世界中の星付きレストランや、知る人ぞ味覚の全貌が、初めてスクリーンに!
最高のレストランを求めて地球を駆け巡る美食家"フーディーズ"たちに導かれ、世界中の星付きレストランや知る人ぞ知る秘境の味覚を堪能する99分のドキュメンタリー。撮影厳禁の料理を含めた29店舗の料理を公開!2016年1月30日(土)より 角川シネマ有楽町・YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開
世界中のミシュラン星付きレストランや最先端の料理店が登場するドキュメンタリー映画。この店を紹介するのが、フーディーズと呼ばれる5人の食通。彼らは美食家の最高峰と称えられ、カリスマシェフからも信頼され、どんな予約困難なレストランでも、たちどころに席を確保するのだという。
パリ、ニューヨーク、香港、そして東京や京都はもちろんオスロ(ノルウェー)、ヤェルペン(スウェーデン)、杭州(中国)に至るまで、美食を求めて世界各地をめぐるフーディーズたち。その一人であるアンディ・ヘイラーは、ミシュラン三つ星全店を制覇しようとしているのだから、すごい。彼以外も、タイ・バンコクの金工会社の御曹司や元スーパーモデル、RUN-DMCを見出したレーベル(デフ・ジャム......?)の元オーナー、さらには香港生まれの普通の女の子とメンバーは個性豊か。
で、広告などでは触れられていないのだが、彼らはいわゆる料理評論家ではなく、グルメブロガーなのだ。
そしてこの映画、美味や料理店のドキュメントというよりも、グルメブロガーという存在を描いたドキュメントなのである(だから、原題はずばり「フーディーズ」だ)。
評論家とブロガーはどう違うのかという点はさておき、今やグルメブロガーは世界の料理界において、無視できないどころか、強大な影響力を持った存在になっているということがよくわかる。シェフたちは、彼らの反応を息を飲んで見つめているし、酷評されて喧嘩腰になるシェフもいる。それがよいことなのかはわからないが、彼らはお店で優遇もされているようだ。
料理を食べるためだったら、どんな苦労も厭わずに遠くまで旅をするというフーディーズたち。その美食にかける情熱は凄まじい。そして、登場する料理の美しいこと、美味そうなこと。なるほど、これが世界の最高峰の料理なのか!と唸らせられる。いったいどんな味なのか、一口でいいから、食べてみたい、と思いっぱなしの99分間だ。
ただ、どうも気になったのが、そんな最高峰のレストランで、彼らフーディーズは、パシャパシャとカメラやスマホで料理の写真を撮っているのだ。それがどうにも、お行儀悪いように見えて仕方がない。いや、僕自身、飲食店では必ずと言っていいほど料理の写真を撮ってしまうのだが、この映画で彼らが写真を撮っている姿を見て、「ああ、やっぱりみっともないんだなぁ」と実感してしまった。確かに店のムードを壊してしまう行為ではあるし、それを非難する人がいるのもわかる。
それでも写真があるのとないのではブログの説得力は大きく変わってしまうのだから、この問題は難しいとは思う。せめて、個人的には少しでもムードを壊さないように素早くコソコソと撮ることにするか。しかし、さすがの筆者でもミシュラン星クラスの店で写真を撮る勇気はない。その辺の腹の据わりようの差が、彼らフーディーズとの差なのかも(笑)。
美食とは何か、ということよりも、グルメブロガーとはどんな存在なのかに焦点を当てている映画なので、その辺を期待して観に行くと、少し違和感を感じるかもしれない。
いや、でも、ホント、お腹が空く映画であることは間違いないのだが。
文=安田理央
地球は、「美味しい」で出来ている。
三ツ星レストランから秘境の味覚、食の最先端から伝統料理まで――
『99分,世界美味めぐり』
2016年1月30日(土)より 角川シネマ有楽町・YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開
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