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WEB SNIPER Cinema Review!!
ブライアン・リー・オマーリーによるコミック「Scott Pilgrim」が実写映画化!
不思議な女の子ラモーナに恋をした売れないバンドのベーシスト、スコット・ピルグリムは、ラモーナと付き合うために彼女の邪悪な元彼7人と決闘を行ない、全員を倒さなければならない宿命に落ちた……。日本のゲームやコミックのパロディを散りばめながら展開される、サブカル要素に満ちたアクション・コメディ。

シネマライズほか全国にて公開中!
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なんたって冒頭のUNIVERSALのロゴの出て来方が最高だ。実は全編を通してこの瞬間が一番興奮したかもしれない。
監督は、前作『ホット・ファズ 〜俺たちスーパーポリスメン!〜』が日本でもヒットした、エドガー・ライト。出世作『ショーン・オブ・ザ・デッド』ではゾンビをレコードで倒しながら「それはNewOrderの初回盤だから投げないで!」なんて台詞が飛び出していたから、こいつは音楽好きで間違いない(夏フェスとかに行ってそう)。という訳で今作はとにかく音楽がよかった。そして残りは!……イマイチというか……なんというか……乗り切れなかったかな……なんか……。

ただ実はなんと言うか、言いにくいのだが、俺はこの監督の映画いつもイマイチのれないのだ。『ショーン・オブ〜』も『ホット・ファズ〜』も「うわー!超おもしろそう!」と思って観てみては、(超期待した割には)「まあまあだったかな……」と思ってしまう。しかし、一緒に観た奴はみんな「最高!」とか言ってるから、多分この監督と波長があわないんだろう(そういうことって、あるよね!)。
本作も、どうもその思春期独特のかっこつけかた、不機嫌さには乗り切れないし、この監督のギャグは笑えない。思えば、イギリスのTVで放映されていたこの監督のギャグドラマ(シットコム)『SPACED 〜俺たちルームシェアリング〜』もあんまり笑えなかったから、ギャグの好みがもう全然合わないのかもしれない。

彼の映画にはいつもオタクで駄目な奴が出て来て、そいつの趣味がその映画のトーンを決める。たとえば『ホット・ファズ〜』なら、同僚のデブがアクション映画オタクで、「その完全に偏ったオタク知識の世界感で、ついには本物の世界も打ち破る!」という感じだ。
本作は、ゲーム野郎が主人公。ただ、今回は「オタク知識で現実の世界を……」というよりも、映画の舞台はもう、最初から最後までゲームとマンガが染み込んだ世界だ。擬音はCGで文字となって出てくるし(BANG!とか)、もめ事は「敵とのバトル」に還元され、そこでは中空に体力ゲージも出てくる。
主人公は映画の最後ついに成長を遂げるのだが、それも「そして現実の世界へと目覚めた!」というわけじゃなくて、世界はゲームとマンガのまま、一つ大人への階段を上る。登場人物の顔が顔文字になったり、たしかに新世代の映画!という感じがするし、でもそこで「俺はちょっと……」という気にもなる。


(C) 2010 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED


出て来るのは、ファミコンから、プリクラ、ゲーセンの音ゲーまで、日本人にもなじみのあるものばかり(っていうか日本のものばかり)。観ていて高校時代のデジャヴに襲われたが、ゲームマニアなら、ただのデジャヴでは終わらず一つ一つの元ネタが分かるだろう(俺にはさっぱり……、ストIIくらいしか……)。

主人公は、「他人の心が読めない童貞キャラ」俳優ならジェシー・アイゼンバーグかこいつ、という感じのマイケル・セラ。設定はナードなくせに、なんかモテてるじゃねえかというのがむかつくのだが、それは彼がガレージバンドのベーシーストでもあるからだ。そしてこのバンドの曲がまた、ファズも効きまくり、モノホンのガレージ・ロック・サウンドになっていてかっこいい。
とにかく、この映画は全編曲がかっこいい。と思ったら、音楽プロデューサーはレディオヘッドの『OKコンピューター』をプロデュースした奴だし、主人公のバンド楽曲はBECKが担当していて、そりゃいいはずだ。対決シーンではコーネリアスも参加してて、ただここは曲というよりなんか効果音みたいになっていた。そういえば、この映画ではゼルダの伝説のテーマも、ファイナルファンタジーのテーマも流れるのだ!(まあ俺はさっぱり気づかずパンフで知ったんだけど……)。

ストーリーはといえば、主人公が一目惚れしたミステリアスな女の子とつき合うことになったと思ったら、彼女には邪悪な元カレ軍団がいたのだ(7人)!というもので、題名を長くした感じだ。元カレと出会うたび格闘が始まり、主人公に惚れてる中国系の女の子の嫉妬や葛藤が挟み込まれつつ、映画は最終ボス決戦へと進んでいく。英語圏の青春ものに、風景じゃない中国人が登場してくるというのも感慨深かったが、元カレの中にはインド系も日系もいるし、これぞ21世紀ののクラスメイト分布。やはり、新世代の映画!というのは間違いない。
そして、エンディングの8bitの曲がまた最高にかっこいい(これもBECK)。やっぱり、最初と最後の8bitサウンドが一番! サントラCDを早速Amazonで購入だ!(DVDはいいや!)。

文=ターHELL穴トミヤ

一目惚れの彼女をゲットしろ!
噂のラブバトル・アクションコメディ!!


FLV形式 4.47MB 1分33秒

『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』
シネマライズほか全国にて公開中!
(C) 2010 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED
原題=SCOTT PILGRIM VS. THE WORLD
監督=エドガー・ライト
脚本=マイケル・パコール&エドガー・ライト
出演= マイケル・セラ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、キーラン・カルキン、クリス・エヴァンス、アナ・ケンドリック、アリソン・ピル、ブランドン・ラウス、ジェイソン・シュワルツマン、斉藤祥太、斉藤慶太

配給協力=アステア+パルコ

2010年|アメリカ|112分|英語|ユニバーサル映画作品

関連リンク

映画『『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』』公式サイト

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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊 ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。 http://sites.google.com/site/tahellanatomiya/
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