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(C)2012 Cold Rock Productions Inc., Cold Rock Productions BC Inc., Forecast Pictures S.A.S., Radar Films S.A.S.U., Société Nouvelle de Distribution, M6 All rights reserved

WEB SNIPER Cinema Review!!
フレンチホラー『マーターズ』で各国に賛否の嵐を巻き起こしたパスカル・ロジェの最新作!!
ワシントン州ピッツビル郡の炭鉱町コールド・ロック。広大な森に囲まれ迷路のような地下壕が張り巡らされたこの街は、6年前の鉱山閉鎖を受けて急速に寂れつつあった。もはや死を待つばかり。そんなこの町で次々と幼い子供たちが行方不明になる事件が発生。人々は、子供を攫う謎の犯人を"トールマン"と名づけて恐怖した――。ターHELL穴トミヤさんによるレビュー&パスカル・ロジェ監督への直撃インタビューをお届け!! 尚、本作は「シアターN渋谷」のクロージング作品となっています。

11月3日(土)より、シアターN渋谷にてロードショー!ほか全国順次公開!!
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(C)2012 Cold Rock Productions Inc., Cold Rock Productions BC Inc., Forecast Pictures S.A.S., Radar Films S.A.S.U., Société Nouvelle de Distribution, M6 All rights reserved

フランスの人体破壊・猟奇・ホラー監督パスカル・ロジェ。衝撃の非人道映画だった『マザー/MOTHER』『マーターズ』に続く、彼の長編第3作『トールマン』がついに公開される。今回は今までの路線から一転、猟奇描写は抑えめになり、さびれた町で続発する「神隠し」事件の犯人を追う恐怖サスペンスとなっている。
主演はジェシカ・ビール(『テキサス・チェーンソー』'03)。保安官役として、Xファイルで黒幕をやっていたウィリアム・B・デイヴィスが配役されているのも渋いところだ。。
ちなみに今回は監督の来日に合わせ、フランス語が流暢なわたし、ターHELL穴トミヤがインタビューを行なって来た。ストーリー紹介と併せて、皆さんにその全貌を伝えたいと思う(当日は極度の緊張のためか突如としてフランス語がまったく喋れなくなり、通訳の方を介してのインタビューとなった)。 


――まず、監督にズバリお聞きしたいのですが。トールマンの身長は何センチなのでしょうか?
「1メーター90くらいじゃないかな......」
――トールですね!
「でもそれは、ヒチコックで言うマクガフィンのようなものだから......」(ヒチコックが使った、『ストーリーを進めるために必要ではあるが、重要なのはその存在自体で、詳細ではない設定や物ごと』をさす言葉を使って、その質問にはあまり意味がないんじゃないかな?ということを遠回しに指摘してくれるロジェ監督)
――(マクガフィンという言葉の意味が分からず)ええ、なるほど。ところで、監督の映画にはいつも2人組の女性が出て来て、必ず不幸な目にあいますね。そこに何か理由があればお聞かせ願えないでしょうか? 幼少期に2人組の女の子にいじめられていたとか?
「強いて言えば母親にしかられていたくらいかな、まあ幼少期にはみんなそうだと思うんだけど......。僕はシンプルに、不幸な目にあって苦しんでいる女性の姿を観るのが好きなんだ(質問を膨らますために考え込んでくれる監督)。まあ、思春期の頃はクラスの女の子たち、とくにきれいな子たちからはまったく相手にされないということでずいぶん苦しんだよ。だから今度は彼女たちに苦しんでもらうんだ(笑)。僕にとって映画を撮るというのは、そういうかつての美女たちに対するリベンジでもあるね」

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映画は、炭坑の閉鎖をきっかけに、すっかり廃れてしまったアメリカの田舎町を舞台に進んでいく。続発する子どもの行方不明事件は、いっこうに解決に向かわず、巨大な森がまるで子どもを吸い込むスポンジのように、町を取り囲む。住人たちはいつしか「これは、トールマンの仕業だ」と噂しはじめた。
そんなある夜、看護師をしている主人公(ジェシカ・ビール)がソファで寝ていると、突然階下から不気味なラジオが聞こえてきた。目を覚まし台所へと向かった主人公が見たのは、縛られ床に転がされた同居人の姿。パニックになりあわてて子ども部屋へと向かうが、すでに子どもの姿はなくなっていた......。


――子どもがさらわれてしまうシーンでラジオから牧師の説教が聞こえてきますね。とても不気味で効果的なものでしたが、そのあまりに突き抜け感に、最後は思わず笑いだしてしまいました。あの説教には、なにか元ネタはあるんですか?
「基本的なセリフは、声をやったトロントの俳優が考えてきてくれたんだ。アイディアとしては、映画にアメリカ人に対する意地悪な視点を入れたい、というのがあったんだよね。それでアメリカ人に対するステレオタイプ、厳格な、いかにもプロテスタント的な説教というのを出してみた。僕はこの映画の中にいろいろなヒントをちりばめているから、2度目に観るときはこのラジオが誰に向けられたものなのか、また新たな発見があると思うよ」
――本作でもう一つ印象的だったのが、投石によってパトカーの窓が割られるシーンです。監督の作品にはいつも、ガラスや鏡の割れるシーンが印象的に使われていますね。何かオススメの「ガラスが割れたり、鏡が割れる」映画があれば教えていただけないでしょうか?
「まず連想したのは『鏡の国のアリス』かな。これは大好きな作品の一つだよ。それからイタリアでは『ジャッロ』と呼ばれているんだけど、イタリアンホラーだね。特にダリオ・アルジェントなんかは、いつも非常にうまく鏡を使っていて、特に思い出すのは『フェノミナ』の冒頭シーン。冒頭のシーンで、少女がガラスを突き破りながら死んでいく、それが超スローで映し出されて、アングルもフェティッシュで、とても印象に残ってるね」 

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奪われた子どもを追いかけ、夜の森にさまよい出て行く主人公。やがて捜査官、住人を巻き込みながら、映画は思いもかけない方向へと転がりだしていく。

――本作の背景には公共福祉を否定する、アメリカの新自由主義的な社会があるかと思います。一方フランスは、比較的、高負担高福祉な社会ですよね。監督にとって子どもを育てる上で理想的な社会とは、アメリカ式なのでしょうか、フランス式なのでしょうか。それともどこか他に、もっと良いと思える国はありますか?
「まず言えるのは絶対にアメリカではないということだね。アメリカは、『格差があるのが当たり前』『貧困層があって、一部の大金持ちがいるのが当たり前』という考えの上に社会が成り立っているから、僕はそういう場所で子どもを育てたいとは思わないよ。ただフランスにも格差社会はあるし、このところの不況でその差はどんどん増して来ている。フランスは10年15年遅れつつアメリカの真似をしているところがあって、将来は同じようになるかもしれないね。ただ少なくとも『自分が隣の人よりずっと稼いでいるときに、ある意味での罪悪感みたいなものを感じる』という点は、アメリカと違うんじゃないかな。まあ、どの社会が子どもにとって一番良いのか僕には分からないけど、それがアメリカでないということだけは確かだね」


――監督の映画にはいつも暴力と恐怖が出てきますが、セックスが出てきませんよね。それはどうしてでしょうか?
「ひとつには『マーターズ』でも『トールマン』でも、主人公たちは他に追求すべきことがあって、単純にセックスをしている時間がないというのがあるよね。むかし、僕がパリの映画学校を卒業してすぐ、まだ25歳くらいでアルバイト暮らしをしていた頃に、1回だけイタリアのTV局のためにソフトコアポルノを撮ったことがあるんだ。そのときに気づかされたのは、『セックスを見飽きた形じゃなくて、オリジナルに撮る』というのがどんなに難しいか、ってことだったんだよね。もし将来、自分の映画のなかでセックスを撮るとするなら、そのときはハリウッド的じゃない、今までとは違う形のエロスを提示したいね。それには何度も何度も考えることが必要になると思う。ポルノに限らず、現代の映画のなかで良いセックスシーンが描けている作品っていうのは、もう全然ないんだ。かつてはあったんだけどね......。ところで、僕の次回作は、実はまさにそのセックスについてなんだよね」

――そうなんですか! ちなみに、前作『マーターズ』はフランス語でしたけど、今回はデビュー作『マザー/MOTHER』に引き続き、再び英語で撮られていましたよね。その次回作っていうのは、どちらの言葉で撮るつもりなんですか?
「英語で撮るよ。今回、世界中に映画を配給するには、英語が一番やりやすいって分かったからね。それからこれは補足になるけど、僕は『フランス映画』というものに関しては、もうここ20年くらい全く興味を失ってるんだ。スタッフは今回フランス人のすばらしいチームを組むことができたから、その同じチームでやると思うんだけどね」
――なるほど、次回作も楽しみにしています。今日はどうもありがとうございました。

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わたしターHELL穴トミヤのたぐいまれなるインタビュー手腕によって、立体的に立ち上がる『トールマン』の圧倒的な紹介、いかがだっただろうか。図らずも次回作の予定まで引き出してしまった今回のインタビューは、自画自賛ではないが大成功だったといえるし、今読み直してみてもその柔軟かつ的確な質問の数々に震えだしてしまう。
映画の題名となっている「トールマン」は、アメリカ版の都市伝説とも言える、子どもをさらう怪物の名前。しかし監督は、その裏に大胆な妄想を働かせ、彼お得意の「ホラーサスペンス映画かと思ったら、全然別の映画だった」というようなジャンルちゃぶ台返し展開を今回も炸裂させている。
職人技に支えられた、ひたすら不気味なサスペンス的な前半の展開、そしてロジェ監督でしかあり得ないような、「おいおいどこ行くんだよ」という後半のどんでん返し、ぜひみなさんも劇場で堪能し「そんなのありかよ!」などと突っ込んでみてほしい。

文=ターHELL穴トミヤ

神隠しか、悪魔のいたずらか――
死の町に忍び寄る子取り鬼"トールマン"!





『トールマン』
11月3日(土)より、シアターN渋谷にてロードショー!ほか全国順次公開!!
(C)2012 Cold Rock Productions Inc., Cold Rock Productions BC Inc., Forecast Pictures S.A.S., Radar Films S.A.S.U., Société Nouvelle de Distribution, M6 All rights reserved
原題= The Tall Man
監督・脚本= パスカル・ロジェ
出演= ジェシカ・ビール『トータル・リコール』/ジョデル・フェルランド『ローズ・イン・タイドランド』/ウィリアム・B・デイビス『 Xファイル ザ・ムービー』/スティーヴン・マクハティ

配給= キングレコード
宣伝= ビーズインターナショナル


2012|アメリカ・カナダ・フランス|106分|カラー

「シアターN渋谷」より最後のお知らせ その1
面白割引き! 「トールマン」公開記念"とおる"さん割引き決定!

橋下市長! 村西監督! あぶない刑事の人! 山路さん! 風間さん! アムロの声の人! 雨あがりの人! 郁恵ちゃんの旦那さん! 朗報です!
どんな漢字表記でも名前が"とおる"なら「トールマン」ご鑑賞料金1000円に割引き!!!
とおるさん、お待ちしております!!
※必ず名前が証明出来るものをご持参下さい。

「シアターN渋谷」より最後のお知らせ その2
やっぱり最後はハードコアチョコレート。「トールマンTシャツ」発売!!

シアターN渋谷の名物ともいうべき、ハードコアチョコレートとのコラボTシャツの発売が決定!
公開初日の11/3(土)より劇場にて発売開始いたします。
シアターN渋谷での上映作品としましては、最後のコラボTシャツです。



販売価格:¥3,500円(税込3,645円)
サイズ: XS/S/M/L/XL
INFO:ハードコアチョコレート ( info@core-choco.com
http://www.core-choco.com/

関連リンク

映画『トールマン』公式サイト

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ターHELL 穴トミヤ  ライター。マイノリティー・リポーター。ヒーマニスト。PARTYでPARTY中に新聞を出してしまう「フロアー新聞」編集部を主催(1人)。他にミニコミ「気刊ソーサー」を制作しつつヒーマニティー溢れる毎日を送っている。
http://sites.google.com/site/tahellanatomiya/
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