2010.5.4
Tue.at 東京ビッグサイト東1・2ホール
プロ・アマを問わないマンガ作家・イラストレーターたちが、自主出版した本・作品を発表・販売する展示即売会=コミティア。そこは作家たちが自分の個性を自由に発揮できる場であり、訪問者にとっては未知の表現に出会えるかも知れない宝の島。
GW中に開催された「COMITIA92」の収穫物レビューを、四日市氏のレポートでご紹介します。コミティアとは御存知の通り、東京都にて年4回開催されている「創作」に限定された同人誌即売会である。ちなみにどうでもいい豆知識だが厳密には「創作が本全体の50%以上を占めている」ことが条件になっており一枚や二枚の二次創作イラストなら許される。
さて今回の「コミティア92」だが、私見ではあるが開場前の入場待機列も普段以上に伸びており、かなりの盛況だったと言えるだろう。「待機列が長かった」という会話はここ最近、毎回している気がするのでコミティアの動員そのものが増え続けているのかもしれない。そんなコミティアの、完全なる私の趣味嗜好による購入物の一部を以下に紹介させていただく。毎度くどいようだが、これがコミティアの全貌ではない。ほんの一部の切り抜きであり、私の私による書架の一部だ。
□書名=DC2/ミッキーはカラッ風
□作者=暇
□サークル名=極上レジスタンス すでに10年以上の活動歴を誇り、新刊コピー誌5種、なのに少部数などの荒業を繰り広げながら、それでも多くの人々を渇望して止ませない驚異の魅力が滴り落ちるサークル。万金を積まれても譲れない開場後10分の時間、初動の座を与えるにふさわしいサークル。絵柄を見て微かにでも惹かれたなら、あなたもこの争奪戦に参加すべき戦士だ。基本的にはギャグ漫画。たぶん。
□書名=鬱とエロスと委員長 1〜3
□サークル名=Kingdom Come!!
□作者=ふじ・きりお 新ジャンル「鬱デレ」を標榜したラブコメ作品。これまで刊行された3作品の総集編で、全て持っているが総集編は総集編で買うだろ、常識的に考えて。設定の奇抜さと絵柄がマッチしすぎていて一目惚れした。ちなみに18禁ではない。
□書名=さかだち漫談2
□サークル名=どんつく
□作者=うい、ジョニィ、TAKASHIRO 表紙のまぬけさに一目惚れ。同人といえば個人で一サークルという形式が主流だが、昨今のコミティアや東方界隈では複数人による本来の意味でのサークルが増えてきているように感じる。作風の異なる三者による合同誌。執筆者のひとり、ジョニィ氏の漫画が笑えた。
□書名=妄殺ソングブック
□作者=高野雀
□サークル名=Chapter-22 bedside yoshino(from eastern youth)、くるり、倉橋ヨエコ、group_inou、アナログフィッシュの曲から妄想を広げた短編集。装丁も凝っているし、最後の話だけボーナストラック風味な構成になっていて素晴らしい。コミティア91開催後に行なわれた読書会による投票で一位を獲得したようだ。あとなんかうまい棒を配っていた。
□書名=戦時急造やわらぎMEMBER
□作者=はしもとしん
□サークル名=プロペラ いつも買っているサークル。ラフさが絵柄になっている魅力的な絵。イラスト一枚で世界観が見えるところが好き。
□書名=10式むすめふさほせSOFTALK++
□作者=CYON
□サークル名=付和雷堂
ダメなメイドに苦労させられるおぼっちゃま、という設定の四コマ。ここもいつも買っているサークルで、なんともゆるいオタクネタ四コマで気が抜ける。気を抜きたくていつも買う。
□書名=GOBAR
□作者=野口摩擦
□サークル名=OBIRT 「TRIBO」というサークルの変名参加。普段は割とハードな18禁メインだが、今回は全年齢向けの自転車漫画。かわゆす。
□書名=位置原光Zの服従主義
□作者=位置原光Z
□サークル名=大作戦 ここもいつも買っているサークル。サンクリでkanonの二次創作同人誌を出していた頃からいつも買ってるサークル。創作サークル「良識派」に所属する位置原光Z氏による個人誌。はじめは絵柄が好きで買ってたんだけど最近は作風が好みの路線に乗ってきて、新刊がかなり楽しみな作家のひとり。基本的にはギャグ。
□書名=あさねプロジェクト
□作者=死体屋
□サークル名=UNISON いつも買っているサークル。「死体ちゃん」という、無口で死体集めが趣味の女の子や物理的な攻撃ばかり用いる魔法少女などかなり極まった女の子たちによる極まった世界観の漫画を出し続けているサークル。丸い本や三角形の本や板ガム型の本など変形コピー誌を用意する奇異なサークルでもある。SQLはどうなってるんだ。
争奪戦の激しい少部数サークル、普段とは違う名前で参加する変名サークル、普段とは違うサークルからの頒布など、これらの情報戦も即売会の楽しみのひとつだ。開催前に効率良く情報を収集、知名度の推移や前評判や前回の頒布数、完売速度から巡回する優先順位を変更し、自分だけの戦略図を作り上げる。これもコミケが戦争と呼ばれる所以のひとつだ。なにもそこまで入れこむ必要はないが、入れこんで喜んだり悔しがったりするのもそれはそれでおもしろいので一度やってみるといいかもしれない。お薦めはしない。
文・取材=四日市
関連リンク
COMITIA
関連記事
東京大学院特別講義「コンテンツ・サービス論」を受講する!!
コミックマーケット76 頒布作品紹介
私たちの夏コミ、おすそわけします!
“本”と私たちの新しい関係を巡って
同人誌にとらわれない自主制作文化の可能性へ向かってオンラインショップ「Lilmag」野中モモインタビュー
2010年2月14日(日)開催「COMITIA91」!!