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シリーズ羞恥の教室
蒼き悪魔 【3】


著者=
小林電人


堂々完結した"官能羞恥小説"羞恥の教室。気になるキャラクターたちのその後は、過去は......。今作では謎多きあの男の少年時代が明らかに!
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蒼き悪魔【3】

吉田が指定してきたのは防衛庁近くの路地にある店だった。看板には「CONTORT」とのみ小さく書かれていて、そこが何の店かはよくわからない。いわゆる隠れ家的な店のようだ。

真理恵は店に入る。間接照明でボンヤリと照らされている薄暗い店内。黒いスーツを着た店員が出てきたので、平口の名前を告げると、一番奥の個室へ通された。客席は全て個室になっているようだ。

「失礼します」

ドアを開けると、かなり広い室内には10人ほどの男女がいて、盛り上がっていた。男女は同数くらいで、女はみんな若くて可愛らしかったが、軽いノリでいかにも水商売の匂いを感じさせた。男たちは、ほとんど見覚えのある顔だ。それほどテレビを見ない真理恵でも、わかるくらいには売れているお笑い芸人たちだ。そして一番奥に、吉田と、そして平口道夫がいた。

「おっ、真理恵ちゃん、来てくれたか」

吉田が手を振る。

「こんばんわ。遅くなりました」

真理恵はペコリと頭を下げた。全員の視線が自分に集中しているのがわかる。それは値踏みの目だった。女は、真理恵が自分よりランクが上なのか、下なのかを見極めようとしていたし、男は真理恵の服の下を透視するかのように不躾な視線を浴びせた。

「こちら、平口さん。知ってるよね」
「もちろんです」

一番奥のソファにふんぞり返るようにして座っているその中年男は、テレビに出ている時のような柔らかな表情は、微塵もなく、鋭い視線で真理恵を見た。

「やぁ、はじめまして、真理恵ちゃん。平口道夫です」

平口は口元に笑みを浮かべてそう言ったが、目は全く笑っていない。

この目は誰かに似ているなと真理恵は思い、それが慎治のものだと気づくと、心の中で苦笑いをした。

「うわぁ、すっごい清純っぽい子じゃない? とても風俗やってる子とは思えないよね。可愛いーっ」

平口の隣に座っていたギャル風の女が素っ頓狂な声をあげた。遠回しに、真理恵が風俗嬢であることを、バカにしているのだ。

すると平口はその女の肩を軽く突き飛ばすようにして、言った。

「うるさいな、薫。お前なんかよりも、真理恵ちゃんの方が、よっぽどアイドルが似合うぞ。お前らグラビアアイドルだって、風俗嬢と変わらないじゃないか」

冗談めかして言ってはいるが、かなり辛辣だ。薫と呼ばれた女は、大袈裟にふくれてみせる。

「ひっどーい、平口さん」
「真理恵ちゃん、さ、こっちに座って」

吉田が、平口との間にスペースを空けて、真理恵を手招きする。それはこの宴における特等席だった。

「あ、私、こっちの方でいいです」
「何言ってるの。平口さんが真理恵ちゃんに会いたいっていうから、呼んだんだからさ」
「そうだよ、こっちにおいで」

平口にそう言われては断ることも出来ない。真理恵は困ったような顔をしながら、平口と吉田の間に座った。他の女たちの視線が痛い。

「真理恵ちゃんは、ビールでいいかな?」
「あ、はい。あんまり飲めないんですけど」

平口自らが真理恵のコップにビールを注いだ。申し訳なくて、真理恵は肩をすくめる。

外見だけならば、単に小柄で貧相な四十男の平口なのだが、やはりカリスマ芸人と言われるだけの存在感があった。近くにいるとヒリヒリ感じるようなオーラがあるのだ。

「ほら、聞いたことあるでしょ。おれが風俗好きなの」

平口が風俗マニアだというのは、有名な話だ。テレビのトークでもよくネタにするし、実際に彼のサインを飾っている風俗店もいくつかある。売れなかった若い頃に、風俗嬢のヒモをやっていたという噂もあった。

「さすがに最近は、お店に行きづらくなっちゃってさ。今、行ってるのは渋谷の『ラブレス』くらいなんだよ」
「あ、あそこ芸能人御用達だって聞いたことあります」
「そうそう、あの店は店長に電話しておくと、別室に通してくれるから、他の客に顔合わせないで済むんだよ」
「あそこ、男のアイドルとかスポーツ選手もよく使ってるみたいだよ」

そう言う吉田自身が、芸能界と風俗業界のパイプ役をやっているらしい。

「でも、風俗誌とかはよくチェックしてるんだよ。真理恵ちゃんは、『風俗スナイパー』のグラビアに出た時から目をつけてたの」
「え、そうなんですか」

それは、真理恵が風俗誌で初めて大きく取り上げられたグラビアだった。

「この子は絶対人気でるよなーって思ったよ。可愛いもん。ロリ系好きな人にはたまんないだろうし、Mっぽい感じがまたよくてね」

Mと平口が口に出した時、真理恵は少しドキリとした。自分の性癖を見透かされているような気がした。一瞬、目が合った。平口はニヤリと笑った。真理恵は顔を赤らめてうつむく。

「ほら、おれ、Sだからさ、Mっぽい子にはアンテナが働くんだよね」
「平口さん、こわーい。何? 真理恵ちゃん、縛っちゃったりしたいとか思ってるの?」

薫が甘ったるい声で言う。

「バカ、SMってのはな。縛ったりとか叩いたりとか、そういうことだけじゃないんだよ。薫みたいな単スケにはわからない高級な世界なんだよ」
「ひっどーい。でも、私も某お偉いさんの人に、踏んでって頼まれて、いっぱい踏んであげちゃったこと、あるよ」
「あー、この業界、どっちかっていうとM男の方が多いんだよな」

すると若手芸人である城島がすかさず声を上げる。

「あ、おれ、M、M。ドMですよ。それもいかにも女王様って人じゃなくて、真理恵ちゃんみたいな真面目そうな可愛い子に、いじめられたいな」

すると他の若手芸人たちも、おれもおれもと口を揃える。一方、女たちは白けた表情になる。真理恵に対する嫉妬心が燃え上がっていく。

なによ、汚い風俗嬢のくせにチヤホヤされちゃって......。

男女共からの視線を一身に受けることになってしまった真理恵は、どうにも居心地が悪い。好奇心に負けて、この場に来てしまったことを後悔した。一瞬、慎治のことを思い出す。慎治に会いたいと思った。

そんな真理恵の気持ちを見透かして、とりなすように、吉田がしきりにビールを勧める。真理恵も場を取り繕うために、いつもより早いペースで飲んでしまった。

ずいぶん酔っぱらってしまったと気づいた時は、遅かった。身体が熱く、重くなっていた。目が潤み、表情が色っぽいものへと変わっている。

「真理恵ちゃん、Mだろ。そういうこと、したことある?」

平口がストレートに聞いてくる。いつもなら、適当にお茶を濁してごまかすのだが、酔っぱらっているためか、つい本心がこぼれてしまった。

「ちょっとだけなら」
「ちょっとって、どんなことまで? 縛られたことはある?」
「少しだけ......。でも縄じゃなくて、ベルトで結わかれることが多いです」
「ってことは、真理恵ちゃん、ご主人様がいるの?」
「え......、あ、あ......。はい」

言いながら自分の頬が真っ赤に上気していくのがわかる。それは酔いのためだけではない。

「へえ、やっぱりいるんだ。彼氏というんじゃなくて、ご主人様?」

聞かれて、真理恵は少しとまどう。私は慎治の彼女だろうか。いや、勝手に慎治に奉仕しているという方が正しいだろう。

「そうですね......」

ワーッと歓声があがる。

「ええなー。こんな可愛い子にご主人様なんて言われる奴がおるんやなぁ。うらやましいなぁ」
「真理恵ちゃん、可愛い顔してて、やるわよね。本当にSMカップルなんだ」

そんな外野の声を無視して、平口はグイッと顔を近づけて聞いてくる。

「真理恵ちゃんは、どんな風にされるのが、一番興奮しちゃうの?」
「え......、それは、その、相手の方が喜んでくれると私も嬉しいし、後は......」
「恥ずかしいことされると、興奮しちゃうんじゃないの?」

平口はまっすぐ真理恵の目を見て言う。さすがに低音の聞いた、いい声だった。それは真理恵の心の中の何かのスイッチを入れてしまう。

「はい......。恥ずかしいことされると、興奮しちゃいます......」

目を潤ませながら、美少女がそんな言葉を口にする姿はたまらなくエロティックだった。部屋の中はシンと静まりかえり、真理恵と平口を見つめた。

「そうか、真理恵ちゃんは恥ずかしいことをされると、興奮しちゃうんだね」
「は、はい......」

平口はあえて繰り返した。真理恵は操られるように返事をする。

「みんなの前で、恥ずかしいところを丸出しにされて覗き込まれたり、感じているところを見られちゃったりするのは、興奮する?」

頭の中に赤いモヤがかかり、平口の声だけが聞こえてくる。平口が言ったシチュエーションを想像する。身体の奥が熱くなる。

「ああ......、こ、興奮します」
「今、そんなことを想像して、濡らしちゃってるんじゃないの?」

平口は全てお見通しのようだった。真理恵は真っ赤になるが、首を振って否定する。

「そ、そんなの、違いますっ」
「どうかなぁ。本当は濡らしてるんだろ」

平口は急に真理恵の手首をつかんだ。左手で両手首をつかむと上へと持ち上げた。

「あっ」

真理恵は身体を引き延ばされるような姿勢になった。抵抗しようにも身体に力が入らない。平口は小柄な外見からは想像もつかないような握力を持っていた。

「違うかどうか、調べてみようか」

平口は右手を真理恵のスカートへ伸ばした。裾をつかんで一気に持ち上げる。

「ああ、いやっ」

真理恵の下半身が剥き出しになる。白い太腿とその奥の小さな白いショーツが曝される。

「おーっ、白パン!」

若手芸人たちが拍手しながら、身を乗り出して覗き込んでくる。そして手際よく、平口の左右に座り、真理恵の膝の裏に手を回し、そうして思い切り左右に開いた。

「いやっ、やめてっ」

若手芸人たちはずいぶん手慣れているようだった。手首も、もう一人の芸人が代わり、三人がかりで真理恵の身体を押さえつけていた。

真理恵は大股開きの格好にされ、身動きとれなくなっていた。平口は大きく広げられた股間へと顔を近づける。

「真理恵ちゃん、やっぱり濡れてるんじゃないの?」
「だめ、止めて下さい。離してっ」

平口はショーツの中央の染みを指先でなぞった。

「ほら、こんなになってるよ」
「あ、ああっ」

平口の指が布越しに真理恵の敏感な部分を刺激した。それは強烈な快感となり、真理恵の身体を痺れさせた。

「恥ずかしいね、真理恵ちゃん。こんなところで、みんなに見られながら、こんなに感じちゃって。真理恵ちゃんはいやらしい変態のマゾ女なんじゃないかな」

平口が耳元で囁いた。平口の言葉の一言一言が、真理恵の身体の奥の何かを燃え上がらせていく。それは、慎治と一緒にいる時とまるで同じだった。平口と慎治は同じタイプの人間だった。真理恵というM女を自由にできる資格を持った男なのだ。

「真理恵ちゃん、みんなに、このびしょ濡れのいやらしいおまんこを見てもらいたいんじゃないのかい?」
「ああ、いやです。お願いします。許して下さい」

真理恵はイヤイヤと頭を振り、身をよじるが力が入らない。それどころか、ますます身体の奥から熱い樹液が流れ出ていくのだ。ショーツの染みは広がり、肉の唇の形が透けて見えるほどになっていた。

「さぁ、脱いじゃおうね、みんなに恥ずかしいところをよく見てもらおうね」
「ああ、だめ......」

平口は、若手芸人たちに真理恵の足を揃えさせ、そしてスルリと白いショーツを抜き取った。片足首だけ残したのは平口の趣味だ。

「さて、ご開帳と行くかな」
「いやっ、それだけは止めて......」
「いっせーのっせ!」

若手芸人がかけ声と共に、一気に真理恵の両膝を左右に広げた。

「いやーっ」

真理恵の無毛の肉裂が、10人の男女の目の前に晒された。



(続く)

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09.06.22更新 | 小説  >  羞恥の教室
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