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小林電人、書き下ろし官能羞恥小説の決定版 交錯する物語が急展開!
羞恥の教室 第2部
第八章 脅迫者たち 【7】
著者=小林電人
第1部の登場人物とあらすじはこちら>>
第八章 脅迫者たち
VII 忍 21
ほとんど眠れないままに藤井は朝を迎えた。昨日は忍を自宅の二つ先の駅で降ろしてから、学校へ向かい、二度目の猥褻メール配信についての対策会議に参加した。
しかし、誰が何のために行なったことなのか、全くわからないので、とりあえずこの件が外部に漏れることがないように生徒に緊急通達するということ以外に打つ手はなかった。校外秘のはずの連絡リストがどこからか漏れたという問題については犯人捜しをすることはなく、守秘の徹底を確認しあうだけで終わった。学校側は、ただの愉快犯の仕業だと見ているらしい。
しかし、藤井はこの犯人たちの真意を知っていた。何らかの理由により、自分と忍を追い詰めようとしているのだ。もちろん、そのことを学校側に話せるはずもない。
どこから自分と忍の関係が彼らにわかったのか。そして忍とのプレイ写真が、なぜ彼らの元へ流出してしまったのか。どう考えてもわからなかった。
禁じられた関係の証拠が彼らの手にある以上、藤井と忍の生殺与奪の権は握られてしまっている。どう対処すればいいのか。いくら考えてもわかるはずもなかった。
忍には、何かあったら逐一報告するように命じ、しばらくの間は学校の外で会うことを控えることにした。
忍は怯えていた。当たり前のことだ。自分の恥ずかしい写真が、あきらかに悪意を持った者の手元にあるのだ。そして、かなりの個人情報も握られている。これから自分がどうなってしまうのか、考えれば考えるほど恐ろしくなる。
「大丈夫だ。先生が何とかする」
昨日、別れる時に藤井はそう言って忍を抱きしめた。
大丈夫だ。先生がきっと何とかしてくれる。先生を信じていれば、絶対に大丈夫なんだ......。忍はそう自分に言い聞かせていた。藤井とこんな関係にならなければよかったなどという後悔は微塵もなかった。ただ、早く昨日までの幸せな日々が戻ることだけを祈った。
明らかに寝不足の不健康な顔のまま、藤井は登校した。神経が過敏になっているために、眠気はなかったが、体が鉛のように重い。
もし、今、この瞬間にも忍とのツーショット画像がメールで配信されれば、自分たちの生活は音を立てて崩れてしまうのだ。
校門のすぐ前で、同僚である谷口ゆりに出くわした。今年、赴任してきたばかりの新任教師だ。ゆりは、藤井の顔を見ると、驚いたような反応をした。
その瞬間、藤井はもしかして既に自分と忍の関係が学校側にばれてしまったのではないかと思った。
「谷口先生、どうかしましたか?」
「あ......、いえ、別に......。あの、藤井先生が、ちょっとお顔が疲れているみたいだったもので......」
ゆりに言われて藤井は、自分が険しい表情をしていたことに気づく。慌てて自分の顔をごしごしと擦った。
「ああ、すいません。ちょっと寝不足だったもので」
「そうですか。体には気をつけてくださいね」
ゆりは、そう言うと早足で職員室の方に去っていった。まるで逃げるようだ、と藤井は感じた。
その時、不意に声をかけられた。
「藤井先生っ」
振り返ると1年S組の照谷翔子だった。ほっそりとした体型に似合わず、ソフトボール部では期待の一年生選手と言われているスポーツ少女だ。明るい性格で、何かと藤井にも話しかけてくる。
「ねぇ、またあのメールありましたね」
その話題を振られて、藤井はドキリとする。しかし翔子は無邪気に笑いながら話す。
「今度のもすごかったでしょ。先生とか、やっぱりああいうの見ると興奮しちゃうの?」
年頃の女の子らしい興味津々の表情だ。
「バカ。あれは、それどころの問題じゃないからな。ちょっとした犯罪になるんだぞ。学校でも大騒ぎだよ。あんなメールが女子高の全生徒に送られたなんてマスコミに知れたら大変だよ。お前たちも、絶対に内緒にしておけよ」
「うん、昨日、そういうお達しが回ってきたよ。でも、もうあの画像はネットに流れちゃってる見たいよ。ここの学校で出回ったってことまでは、わかってないみたいだけど」
「そうか......、もうネットに流れたか......」
こんなことが続けば、マスコミに知られるのも時間の問題だろう。そして、何かの拍子であの写真が仲村忍のものであることが、知られてしまったら......。
「先生、恐い顔してるー」
翔子に指摘されて、藤井は慌てて表情を崩す。
「ねぇ、やっぱりあの写真の子って、うちの学校の生徒なの?」
声を少し落として翔子が聞く。
「え、何でだ?」
「みんな噂してるよ。その子と別れた男が、嫌がらせにやったんじゃないかって。でも、最初のメールの子とは違うじゃない? だから私は、たぶんネットとかに落ちてた適当な写真を使ってるだけだと思ってるんだけどね。嫌がらせだったら、同じ子の写真にするでしょ。まさかこんな短期間に二人に振られるってこともないだろうし」
「わからないぜ。もしかしたら二股をかけてるのがバレて、二人に同時に振られたのかもしれないし」
「あー、教師がそんなこといってる。なんか不謹慎」
「おっと、これはオフレコでな」
「どうしよっかなぁ」
翔子は笑いながら、教室の方へと走っていった。それを笑顔で見送りながら、藤井は考える。最初のメールで配信された画像も、やはりこの学校の生徒だったのか? だとすれば犯人はこの学校に何らかの関係を持っている者ということになる。様々な可能性を考えるものの、あまりにも手がかりが少なすぎる。
藤井は重たい体を引きずりながら職員室へと入っていった。
やはり忍も、ほとんど眠れていなかった。
「顔色悪いわよ、大丈夫なの?」
母親に言われてしまうほど、憔悴しきった表情をしていた。
「ちょっと夜更かししちゃったから。でも、大丈夫だから」
忍は、気丈にそう言って、登校した。親に心配をかけるわけにはいかないし、怪しまれるわけにもいかない。
学校に近づくにつれ、杉村東女子高の制服を着た生徒が目に付くようになる。見覚えのある顔も多い。この全ての生徒に、自分の恥ずかしい姿を見られているのかと思うと、忍はいたたまれなくなる。あの写真に顔は写っていないため、自分だということは知られていないとしても、恥ずかしさに代わりはない。それは藤井とのプレイや自分の妄想の中での、激しい興奮を伴う羞恥心とは全く別種のものだった。ただ恐ろしく、屈辱的だった。
「おはよう、忍」
声をかけてきたのは、親友の志村茜だった。忍はこわばった表情をあわてて笑顔に変える。
「おはよう、茜」
「ねぇ、あのメール、忍のところにも来たでしょ?」
忍はどきりとする。心臓がギュッと捕まれたような気になる。
「う、うん」
「この前の子と違う写真でしょ。でも、あれ、両方ともうちの学校の子だって噂なんだよ」
忍の心臓はさらに締め付けられた。もうそんな噂が広がっているのか。いったいどこまで知られているのだろうか。
「この間のも凄かったけど、今度のも凄かったね。あそこまで丸見えだと、ちょっとグロテスクっていうか......。でも、あのメールが送られてきた時、タツヒコと一緒だったのね。そんで見られちゃったんだけど、あいつは興奮しちゃって、この写真、くれとか言うのよ。なんかムカついてその場で削除しちゃった。男って、女の裸なら、なんでもいいのよね」
ああ、茜の彼氏にも、自分の恥ずかしい部分を見られてしまったんだ......。忍は絶望的な気持ちになる。いったい何人もの人に見られたのだろう。生徒だけではなく、たくさんの男性にも見られてしまったはずだ。確か、前のメールの時は全職員にも配信されたという。となると、学校の全ての教師にも自分の恥ずかしい部分を見られてしまったことになる。
「どうしたの、忍? 顔色悪いよ」
茜に言われて、忍は慌てる。怪しまれたらおしまいだ。
「うん、ちょっと昨日寝不足で......」
「忍には、刺激の強すぎる写真見て、おかしくなっちゃったんじゃない? ショックで眠れなくなっちゃったりして」
茜がからかう。忍を奥手な清純派だと信じている茜は、全く疑う気持ちなどないのだ。
「そ、それは関係ないよ」
「ねぇ、そういえば年上の彼とは、どうなってるの。少しは進んだ?」
「う、うん。まぁ、ちょっとは......」
「ええ? ちょっと進んだってことは、ついにやっちゃった?」
「あ、あの、その......」
しどろもどろになるその姿を見て、茜は忍を可愛いなぁと思っていた。
「いいわね、あのメールと画像は必ず削除し、このことは絶対に他人に話さないこと。こういうのって情報統制みたいで、あまりいいことだとは思わないけれど、もしこんな事件が校外に漏れたら、根も葉もない噂がどんどん広がっていくのは、間違いないわ。そうなったら、学校の名前だけじゃなくて、生徒も傷つくことになるの。だから、こんな事件があったことは秘密にして下さい」
一時限目は緊急ホームルームだった。1年S組の担任である冬木景子が真剣な顔をして学校からの指示を生徒に伝えていた。
ボーイッシュな美人教師である景子は、生徒から最も人気が高い。女子校にはありがちなことだが、本気で景子に恋をしている生徒も少なくない。
忍は藤井の書く小説の登場人物である夏川景子のモデルが、この冬木景子であることを知っている。そこに少なからずの嫉妬を感じたこともあった。藤井の小説の中でも、責められるのは自分の分身である「しのぶ」だけであって欲しいと思うのだ。モデルにするということは、景子に性的魅力を感じているということでもある。しかし、そんなことを藤井に言って、面倒くさい女だと思われたくない。その嫉妬心は心の中にそっとしまってある。
「それから、あの写真の女の子が我が校の生徒であるという噂もあるみたいだけど、それはなんの根拠もありません。たぶん、もともとネットで出回っているような画像です。だから、余計な詮索をしたり、変な噂を流して人を傷つけるようなことはしないでね。先生はみんなを信じてるから」
景子の言葉を聞きながら、忍は身を切られるような思いだった。景子先生にも自分の恥ずかしい姿を見られてしまっているのだ。とにかく、この話題が早く終わって欲しかった。
しかし、少なくとも数日間は、学校内でこの話題が途切れることはないだろう。何日か仮病で学校を休んでしまおうか。忍はそんなことも考える。
そして何の気なしに机の中に手を入れて、そこに覚えのない封筒があることに気づいた。教壇の上で話している景子にわからないように、その封筒を引き出して、机の下でこっそり開けた。
心臓が凍りついた。
封筒の中には一枚の写真と一枚の手紙が入っていた。
そして同封されていた画像には、忍が羞恥と恍惚の表情で、排泄している姿が映っていた。そこには「杉村東女子高 1年S組 仲村忍 浣腸プレイが大好きです」との文字が書かれていた。
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著者=小林電人
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VII 忍 21
ほとんど眠れないままに藤井は朝を迎えた。昨日は忍を自宅の二つ先の駅で降ろしてから、学校へ向かい、二度目の猥褻メール配信についての対策会議に参加した。
しかし、誰が何のために行なったことなのか、全くわからないので、とりあえずこの件が外部に漏れることがないように生徒に緊急通達するということ以外に打つ手はなかった。校外秘のはずの連絡リストがどこからか漏れたという問題については犯人捜しをすることはなく、守秘の徹底を確認しあうだけで終わった。学校側は、ただの愉快犯の仕業だと見ているらしい。
しかし、藤井はこの犯人たちの真意を知っていた。何らかの理由により、自分と忍を追い詰めようとしているのだ。もちろん、そのことを学校側に話せるはずもない。
どこから自分と忍の関係が彼らにわかったのか。そして忍とのプレイ写真が、なぜ彼らの元へ流出してしまったのか。どう考えてもわからなかった。
禁じられた関係の証拠が彼らの手にある以上、藤井と忍の生殺与奪の権は握られてしまっている。どう対処すればいいのか。いくら考えてもわかるはずもなかった。
忍には、何かあったら逐一報告するように命じ、しばらくの間は学校の外で会うことを控えることにした。
忍は怯えていた。当たり前のことだ。自分の恥ずかしい写真が、あきらかに悪意を持った者の手元にあるのだ。そして、かなりの個人情報も握られている。これから自分がどうなってしまうのか、考えれば考えるほど恐ろしくなる。
「大丈夫だ。先生が何とかする」
昨日、別れる時に藤井はそう言って忍を抱きしめた。
大丈夫だ。先生がきっと何とかしてくれる。先生を信じていれば、絶対に大丈夫なんだ......。忍はそう自分に言い聞かせていた。藤井とこんな関係にならなければよかったなどという後悔は微塵もなかった。ただ、早く昨日までの幸せな日々が戻ることだけを祈った。
明らかに寝不足の不健康な顔のまま、藤井は登校した。神経が過敏になっているために、眠気はなかったが、体が鉛のように重い。
もし、今、この瞬間にも忍とのツーショット画像がメールで配信されれば、自分たちの生活は音を立てて崩れてしまうのだ。
校門のすぐ前で、同僚である谷口ゆりに出くわした。今年、赴任してきたばかりの新任教師だ。ゆりは、藤井の顔を見ると、驚いたような反応をした。
その瞬間、藤井はもしかして既に自分と忍の関係が学校側にばれてしまったのではないかと思った。
「谷口先生、どうかしましたか?」
「あ......、いえ、別に......。あの、藤井先生が、ちょっとお顔が疲れているみたいだったもので......」
ゆりに言われて藤井は、自分が険しい表情をしていたことに気づく。慌てて自分の顔をごしごしと擦った。
「ああ、すいません。ちょっと寝不足だったもので」
「そうですか。体には気をつけてくださいね」
ゆりは、そう言うと早足で職員室の方に去っていった。まるで逃げるようだ、と藤井は感じた。
その時、不意に声をかけられた。
「藤井先生っ」
振り返ると1年S組の照谷翔子だった。ほっそりとした体型に似合わず、ソフトボール部では期待の一年生選手と言われているスポーツ少女だ。明るい性格で、何かと藤井にも話しかけてくる。
「ねぇ、またあのメールありましたね」
その話題を振られて、藤井はドキリとする。しかし翔子は無邪気に笑いながら話す。
「今度のもすごかったでしょ。先生とか、やっぱりああいうの見ると興奮しちゃうの?」
年頃の女の子らしい興味津々の表情だ。
「バカ。あれは、それどころの問題じゃないからな。ちょっとした犯罪になるんだぞ。学校でも大騒ぎだよ。あんなメールが女子高の全生徒に送られたなんてマスコミに知れたら大変だよ。お前たちも、絶対に内緒にしておけよ」
「うん、昨日、そういうお達しが回ってきたよ。でも、もうあの画像はネットに流れちゃってる見たいよ。ここの学校で出回ったってことまでは、わかってないみたいだけど」
「そうか......、もうネットに流れたか......」
こんなことが続けば、マスコミに知られるのも時間の問題だろう。そして、何かの拍子であの写真が仲村忍のものであることが、知られてしまったら......。
「先生、恐い顔してるー」
翔子に指摘されて、藤井は慌てて表情を崩す。
「ねぇ、やっぱりあの写真の子って、うちの学校の生徒なの?」
声を少し落として翔子が聞く。
「え、何でだ?」
「みんな噂してるよ。その子と別れた男が、嫌がらせにやったんじゃないかって。でも、最初のメールの子とは違うじゃない? だから私は、たぶんネットとかに落ちてた適当な写真を使ってるだけだと思ってるんだけどね。嫌がらせだったら、同じ子の写真にするでしょ。まさかこんな短期間に二人に振られるってこともないだろうし」
「わからないぜ。もしかしたら二股をかけてるのがバレて、二人に同時に振られたのかもしれないし」
「あー、教師がそんなこといってる。なんか不謹慎」
「おっと、これはオフレコでな」
「どうしよっかなぁ」
翔子は笑いながら、教室の方へと走っていった。それを笑顔で見送りながら、藤井は考える。最初のメールで配信された画像も、やはりこの学校の生徒だったのか? だとすれば犯人はこの学校に何らかの関係を持っている者ということになる。様々な可能性を考えるものの、あまりにも手がかりが少なすぎる。
藤井は重たい体を引きずりながら職員室へと入っていった。
やはり忍も、ほとんど眠れていなかった。
「顔色悪いわよ、大丈夫なの?」
母親に言われてしまうほど、憔悴しきった表情をしていた。
「ちょっと夜更かししちゃったから。でも、大丈夫だから」
忍は、気丈にそう言って、登校した。親に心配をかけるわけにはいかないし、怪しまれるわけにもいかない。
学校に近づくにつれ、杉村東女子高の制服を着た生徒が目に付くようになる。見覚えのある顔も多い。この全ての生徒に、自分の恥ずかしい姿を見られているのかと思うと、忍はいたたまれなくなる。あの写真に顔は写っていないため、自分だということは知られていないとしても、恥ずかしさに代わりはない。それは藤井とのプレイや自分の妄想の中での、激しい興奮を伴う羞恥心とは全く別種のものだった。ただ恐ろしく、屈辱的だった。
「おはよう、忍」
声をかけてきたのは、親友の志村茜だった。忍はこわばった表情をあわてて笑顔に変える。
「おはよう、茜」
「ねぇ、あのメール、忍のところにも来たでしょ?」
忍はどきりとする。心臓がギュッと捕まれたような気になる。
「う、うん」
「この前の子と違う写真でしょ。でも、あれ、両方ともうちの学校の子だって噂なんだよ」
忍の心臓はさらに締め付けられた。もうそんな噂が広がっているのか。いったいどこまで知られているのだろうか。
「この間のも凄かったけど、今度のも凄かったね。あそこまで丸見えだと、ちょっとグロテスクっていうか......。でも、あのメールが送られてきた時、タツヒコと一緒だったのね。そんで見られちゃったんだけど、あいつは興奮しちゃって、この写真、くれとか言うのよ。なんかムカついてその場で削除しちゃった。男って、女の裸なら、なんでもいいのよね」
ああ、茜の彼氏にも、自分の恥ずかしい部分を見られてしまったんだ......。忍は絶望的な気持ちになる。いったい何人もの人に見られたのだろう。生徒だけではなく、たくさんの男性にも見られてしまったはずだ。確か、前のメールの時は全職員にも配信されたという。となると、学校の全ての教師にも自分の恥ずかしい部分を見られてしまったことになる。
「どうしたの、忍? 顔色悪いよ」
茜に言われて、忍は慌てる。怪しまれたらおしまいだ。
「うん、ちょっと昨日寝不足で......」
「忍には、刺激の強すぎる写真見て、おかしくなっちゃったんじゃない? ショックで眠れなくなっちゃったりして」
茜がからかう。忍を奥手な清純派だと信じている茜は、全く疑う気持ちなどないのだ。
「そ、それは関係ないよ」
「ねぇ、そういえば年上の彼とは、どうなってるの。少しは進んだ?」
「う、うん。まぁ、ちょっとは......」
「ええ? ちょっと進んだってことは、ついにやっちゃった?」
「あ、あの、その......」
しどろもどろになるその姿を見て、茜は忍を可愛いなぁと思っていた。
「いいわね、あのメールと画像は必ず削除し、このことは絶対に他人に話さないこと。こういうのって情報統制みたいで、あまりいいことだとは思わないけれど、もしこんな事件が校外に漏れたら、根も葉もない噂がどんどん広がっていくのは、間違いないわ。そうなったら、学校の名前だけじゃなくて、生徒も傷つくことになるの。だから、こんな事件があったことは秘密にして下さい」
一時限目は緊急ホームルームだった。1年S組の担任である冬木景子が真剣な顔をして学校からの指示を生徒に伝えていた。
ボーイッシュな美人教師である景子は、生徒から最も人気が高い。女子校にはありがちなことだが、本気で景子に恋をしている生徒も少なくない。
忍は藤井の書く小説の登場人物である夏川景子のモデルが、この冬木景子であることを知っている。そこに少なからずの嫉妬を感じたこともあった。藤井の小説の中でも、責められるのは自分の分身である「しのぶ」だけであって欲しいと思うのだ。モデルにするということは、景子に性的魅力を感じているということでもある。しかし、そんなことを藤井に言って、面倒くさい女だと思われたくない。その嫉妬心は心の中にそっとしまってある。
「それから、あの写真の女の子が我が校の生徒であるという噂もあるみたいだけど、それはなんの根拠もありません。たぶん、もともとネットで出回っているような画像です。だから、余計な詮索をしたり、変な噂を流して人を傷つけるようなことはしないでね。先生はみんなを信じてるから」
景子の言葉を聞きながら、忍は身を切られるような思いだった。景子先生にも自分の恥ずかしい姿を見られてしまっているのだ。とにかく、この話題が早く終わって欲しかった。
しかし、少なくとも数日間は、学校内でこの話題が途切れることはないだろう。何日か仮病で学校を休んでしまおうか。忍はそんなことも考える。
そして何の気なしに机の中に手を入れて、そこに覚えのない封筒があることに気づいた。教壇の上で話している景子にわからないように、その封筒を引き出して、机の下でこっそり開けた。
心臓が凍りついた。
封筒の中には一枚の写真と一枚の手紙が入っていた。
1年S組仲村忍様
おはようございます。私たちのアナルマゾ奴隷になっていただける決心はつきましたでしょうか?
明日の放課後に、最初の調教を行いたいと思います。場所、時間等は追って連絡いたしますので、準備をして楽しみにお待ち下さいませ。
なお、この件は大好きな先生にも、秘密にしておいて下さい。誰かに話した場合、そして約束の場所に来なかった場合は、同封の画像を全世界に発信させていただきます。
忍様の行動は全て把握しておりますので、我々に隠しごとは一切出来ませんので、念のため。
それでは明日お会いできることを楽しみにしております。しのぶファン一同
そして同封されていた画像には、忍が羞恥と恍惚の表情で、排泄している姿が映っていた。そこには「杉村東女子高 1年S組 仲村忍 浣腸プレイが大好きです」との文字が書かれていた。
(続く)
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著者=小林電人 長年夢見ていた自分の「理想のSMビデオ」を自主制作したことがきっかけで、AV&SM業界のはじっこに首をつっこむことになった都内在住の40代自営業。ひたすら羞恥責め、アナル責めを好み、70年代永井豪エッチ漫画の世界を愛する。これまでの監督作品として「1年S組 高橋真弓のおしおき」「同2」「穴牝奴〜町内会人妻肛虐倶楽部 」がある。以前、永井漫画をモチーフにした小説をネットに発表したことはあるが、オリジナルは本作が初めて。 |