S&Msniper special archives gallery.
『S&Mスナイパー』1993年8月号
緊縛モデルたちの縛られレポート
「被縛報告」未沙編
緊縛モデルたちの縛られレポート
「被縛報告」未沙編
告白=未沙
SM雑誌のグラビアに登場するモデルってどんな人？ 数多いるモデルの中には「緊縛、大好き！」という生粋のマニア女性もいれば、「SM？ ナニソレ」「初めて縛られるんですけど……」と戸惑いを隠せない人や、初めてなのにとんでもなく乱れてしまう隠れマゾ女性もいたりしす。そんな十人十色のグラビアモデルたちが、自ら綴る撮影後記「被縛報告」。今回は『S&Mスナイパー』1983年8月号に掲載された「被縛報告」、未沙編を再掲載いたします。
■Piece of my heart 心のかけら
○月×日 久し振りの休H。休みの日はいつもお昼過ぎまで寝ているのに、今日は8時半に起きた。天気がよいので洗濯をして布団を干す。ベランダの日だまりで布団に顔を埋めていたら猫になったみたいで、幸せ。
少し汗をかいたので、熱いシャワーを浴びて朝ごはん。以前、不摂生な生活が原因で体調を崩してから、毎日3食食べるように心がけている。なのに、冷蔵庫を開けたら何も入ってない。しばらく忙しい日が続いたので、お買物もできなかった。結局コーンフレークに牛乳、それとコーヒーの簡単な朝食になる。
午後から、引っ越したばかりの友達の家に遊びに行く。引っ越し祝いに持っていったつもりのワインに酔って、つい友達にグチをこぼす。モデルを始めてから今日までずっとガンバっできたけど、この頃ふと“この仕事を続けていていいんだろうか”と不安になることがある。努力した結果、舞台（ストリップ）という新しいジャン〃の仕事もできるようになったし、仕事自体は充実しているのに私、一体どれくらい進歩しているのかな？
落ちこんでいる私を心配して、帰りは友達が駅まで送ってくれる。駅前で、彼女に誘われて初めてパチスロをする。2時間くらいネバって2人で1万円くらい使って、同じくらい儲けたけど、とにかく彼女はギャンブルが強い！ おかげでイジケていた気分がスカッとなった。いい友達がいてよかった、としみじみ思う。
○月×日 人に言うと気持ち悪がられるけど、私は納豆におしょう油とマヨネーズを入れて食べるのが好き。カロリーもあるし健康食でもあるので、疲れの残る朝は大体コレ。で、今朝も納豆ごはんを食べてから、いつもよりしっかり歯磨きをして、外出の支たくをする。
今日は「S&Mスナイパー」の仕事。SMの撮影は初めてではない。肉体的にも精神的にも、結構キツいのを知っている。でも今日は、納豆パワーでネバリ抜くもん！
メイクさんのナチュラル・メイクが気に入って、仕事前の忙しいときにアレコレ質問していて叱られてしまう。仕事柄（特に舞台は）濃い化粧をするので、この頃肌荒れがとても気になる。荒れた部分をカバーしようとして濃い化粧をするメイクさんが多いのに、今日の人はプロだわ！
縛られるのは嫌いじゃないし、プライベートでもSM好きの人達が集まる行きつけの店があって、気が合えば、私も時々プレイに参加している。私はMだから、縛られたりバイブで責められたりするのが気持ちよくて好き。相手が複数だと、気分も快感も盛り上がって“体がどうかなっちゃうんじゃないか!?”って恐くなるほど立て続けにイッちゃうこともある。私って、真性マゾなのかな!?
乳房の上下に縄を掛けられるのも感じてしまう。自分のそういう写真を見るだけでも興奮する。でも、巨乳と呼ばれるモデルの友人に“胸縄ばっかりやってると乳房が早く垂れちゃうよ”と言われてドキッとする。人サマに堂々とお見せできるのは、あと何年くらいかしら？
今日は（バイブの）突っ込みがなかった代わりに、いろいろな体位で縛られたので体中が痛かった。撮影の途中、2度ほど本気でイキかける。でも私は、膣を擦られないと、なかなかイケないみたい。知り合いには、クリトリスを擦るだけで5〜6回は軽くイッちゃうというコもいるけれど、私はダメだな。彼女みたいな女のコは、気軽にオナニーできそうでうらやましい。
夜はゆっくりお風呂に入る。私の部屋はワンルーム・マンションだけど、このゆったりサイズの大きなバスタブだけは自慢。ぬる〜いお湯につかりながら鼻唄を歌ったり、顔をスクラブしたりパッティングしたりして、たっぷり1時間半はつかっていた。あ〜ゴクラク！
○月×日 予約していた健康診断の日。病院は嫌いなので気が重い。鏡に映っている暗い顔で、口元だけニッと笑って見る。ちょっとブキミ。
都内某病院の午前10時、あたりには、人間ドックのためかノリのパリッときいたブルーのパジャマを着たオジサマたちが大勢いる。でも、みんなとっても健康そうだ。
検診はテンポよく進んだが、胸を開かなければならない内科検診で、とても恥ずかしい思いをする。潔くパッと胸を見せたら、頭の薄いお医者様が一瞬驚きの表情を浮かべたのを見逃さなかった。ハッとして下を向くと、乳房の上下に赤い筋がくっきりと!! ウソでしょう!? 健康診断の予約をしたときは、前日にSMの撮影が入る予定なんてなかったんだもの。あ〜ん、くやしい。恥ずかしい。
帰りがけに、廊下の傍らに放置してあった握力計を取り、こっそりと測定してみる。左=40、右=42……。ここに来なくてもよかったかしら？と思うと、くやしさがまた込み上げてくる。
もう二度とあの病院には行けない。
○月×日 起き抜けにラジカセで、ジャニス・ジョプリンの『パール』を聴く。今、私が一番お気に入りのカセット。CDからダビングしてくれた友人が、
「聴いていると力がモリモリ湧いてくるの」
と言っていたけれど本当！ ジャニスのソウルフルなハスキー・ヴォイスが、私の魂を揺ぶる。ジャニスの歌は、ジャニス自身のためよりいつも、知らない世界の人々を悦ばせるためにあった。そして彼女自身は、寂しいまんま天国へと旅立った。ジャニスを聴いていると映画の『道』や『ゾルバ』に出てくる歌姫・ジュリエッタ・マシーナの姿を思い出す。どうしてなのかな？ 私は“普通”とか“平凡”とかいうことを、生き方で拒否しでいるような女性に強く魅かれてしまう。
世の中で言われている正直＝善というのは少し違う。本当は“正直さ”ってとてもネガティブで、貫けば薄幸な運命になる気がする。それが本能的にわかっているから、正直な女はいつでも100パーセント燃焼しながら、生き急ぐのだと思う。
○月×日 今日は一日、情緒不安定だった。仕事中も、引っ越ししたての飼い猫のように落ちつきがなくて、何度もダメ出しをされる。原因は生理日が近いせい。毎月ブルーデイの始まる4〜5日前になると、訳もなくイライラする。結局、今日はあまり納得いく仕事ができなかったみたい。
夜、レンタル・ビデオ店で、『ローズ』を借りる。これはジャニスのバイオグラフィ的映画。主役のジャニスを、これも私の大好きなベット・ミドラーが演っている。本当に、このところの私ったら、ジャニスにハマリっぱなし！ 今度の劇場では、BGMに彼女の曲を流して踊ろうかと本気で考えている。
「スナイパー」の編集者に話したら“やめたほうがいい”と言われたけれど。『ベンツが欲しい』か『サマータイム』、『ダウン・オン・ミー』や、『ボール・アンド・チェーン』なんかも絶対いけそうな気がするんだけど。
告白=未沙
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