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咲きほころぶ踊り子たちの肖像 舞姫爛漫 第10回 「春風るな」 【3】
写真・文・インタビュー=インベカヲリ★
モデル=春風るな
ストリップ劇場でのストリップショー。黄金時代は過ぎたといえ、根強いファンはいまも劇場に通っています。そして踊り子たちもまた踊り続けているのです。そんな彼女たちの姿を追う「舞姫爛漫」第10回春風るなさん、掲載中です!
女の人のカラダが綺麗に見えるデザインが好きなんですよ
表に着て歩けないような服ばかり好きで
春風るなのポリシー
表に着て歩けないような服ばかり好きで
ヤンキーの制服を脱ぎ捨て、進学した高校は服飾のデザイン科。さらに卒業後、ボストンへ渡り服飾の専門学校へ入学した。早くから進路を定めるのは勇気のいることだが、彼女が話すと、なぜか「意志」とか「決断」という言葉から遠のいていくから不思議だ。
「なんとなく。田舎だからそんなに選択肢がなくて、いろいろ知らないし。興味のある分野っていったら洋服ぐらいしかなかったんですよね」
ボストンへは5年間。うち最初の一年は語学の勉強もしている。
「語学学校のときは、サボってどっかに遊びに行ったり、テストもいつも適当。服飾の学校へ入るときも、英語喋れないのに『喋れます』とかいって嘘ついて入ったんです。実際に入ったら、出された宿題も読めなくて、何やっていいかわからなくて。何もできない人が入ってきたから先生も困ってて。でも、読めないと困る事態が起きたから辞書引きながら頑張りました。それで、通ってくうちに慣れました」
羨ましいほどの大胆さ。その度胸はいつからあるのか聞いてみたかったが、
「度胸はないですね」
キッパリと言われてしまった。知らない世界に一人で飛び込むのは怖いことだと思うが。
「楽しいです。ウフフ」
それを普通は「度胸」という。
「不安とかはない。それより面白くなかったらどうしようとか、そういう心配はありますけど」
面白くなかったらやらない。それが春風るなのポリシーだ。
「卒業して洋服の店員をやったけど面白くなくて。アクセサリーのデザインもしたけど面倒臭くなって辞めて。商品のラベルのデザインをやったときも面白くなくて。なんか自分の着たい服を作ってただけだから、デザイナーになるっていうのは違うなあと思って」
洋服は作るより、着るほうが好き。ボストンにいたときは、学校そっちのけでドレスコードのあるゴシックのクラブへ出かけていた。毎日、お洒落することが楽しかった。東京へ移った春風るなは、ある日フラリとストリップの世界へいってしまった。
「女の人のカラダが綺麗に見えるデザインが好きなんですよ。ゴシックとかフェティッシュの人たちが好んで着るようなコスチュームとか、表に着て歩けないような服ばかり好きで。だから最初にストリップのステージ写真を見て、興味あるなあって思ったんです。衣装もそうだけど、写ってる人の感じも面白そうだった」
ステージを観にいってストリッパーになることを決めた。そこにもやはり春風るな特有の柔軟さがあった。
「決断とかはなにもないです。面白いなあと、ただそれだけ。見つつ思い、やりつつ思い。ダンスができるようになるのも面白かったし。色んな人に出会って、この職業をやる人には色んな人がいて、そこがまた面白い。ステージも本っ当に色んなものがあるし」
そして現在、デビュー5年目になる。
(続く)
春風るな
渋谷道頓堀劇場所属。2003年11月21日、渋谷道頓堀劇場にてデビュー。挑発的でありながらどこか妖しげ、そして少しだけ“毒”を入れるというステージは扇情的。まるで昔懐かしいストリップのようでいて、巧みに現在のスタイルを取り入れたショー。観劇のベテランはもちろん、初心者まで楽しめる。
香盤情報
渋谷道頓堀劇場
10月1日-10日
シアター上野
10月21日-31日 撮影=インベカヲリ★
モデル=春風るな
取材協力=渋谷道頓堀劇場、若松劇場
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川中理紗子 【1】>>>【2】>>>【3】>>>【4】>>>【5】
インベカヲリ★ 東京生まれ。編集プロダクション、映像制作会社勤務を経てフリー。写真、文筆、映像など多方面で活動中。著書に「取り扱い注意な女たち」。趣味は裁判傍聴。ホームページでは写真作品を随時アップ中。 インベカヲリ★ http://www.inbekawori.com/ |
08.10.04更新 |
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